JIS F 8074:2003 船用電気設備―第502部:タンカー―個別規定 | ページ 4

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F 8074 : 2003 (IEC 60092-502 : 1999)
5.5.2 液体,ガス及び蒸気の流れに起因して蓄電された静電気が火花放電する危険性を避けるために,貨
物及びスロップタンク,配管システム及び機器の外面のすべての点と船体間の抵抗は,106 Ωを超えては
ならない。
備考1. 当該抵抗値は,ボンディングストラップを使用することなしに,貨物及びスロップタンク,
配管システム及び機器を,直接又はそれらの支持物を介して,船体に溶接するか又はボルト
締めすることによって得てもよい。
2. 使用中の劣化を考慮して,初期においては,一般に抵抗値を106 Ω以下とする必要がある。
3. 非金属管は電荷が蓄積しない製品又は構造とするのがよい。
5.5.3 船体へ恒久的に接地しない貨物及びスロップタンク,配管システム及び機器には,ボンディングス
トラップが要求される。例えば,
− 独立形貨物タンク
− 船体から電気的に分離している貨物タンク,配管システム
− スプールピース取外し用の配管接続
5.5.4 ボンディングストラップを要求する場合は,次による。
− 欠陥部分が明確に発見できるように,はっきり見える。
− 機械的損傷から保護できるように,また,腐食性の製品又は塗料などの高抵抗物質による汚染によ
って影響を受けないように設計及び設置する。
− 取付け及び交換が容易である。
5.5.5 貨物以外の導電性の低い液体用タンク又は配管システムを,危険区域に設置する場合,それらのタ
ンク及び配管システムには5.5.2,5.5.3及び5.5.4を適用しなければならない。
5.5.6 危険区域に設置する通風機,又は換気しないと危険区域に分類される区域へ送風する通風機につい
ては,回転体及びケーシングともに静電気防止材料を使用し,また,機器表面のすべての点と船体間の絶
縁抵抗が106 Ωを超えないように有効に接地し,静電気の充電を防ぐ。

5.6 避雷

5.6.1  落雷による危険性を考慮しなければならない。
5.6.2 多量のガス,蒸気を放出する排気管,又はこれに隣接する構造物への落雷の危険性及び影響を考慮
するのがよい。
備考 JIS F 8072 (IEC 60092-401)及びIEC 60079-14 参照。

5.7 陰極防食装置によって保護した金属部

 該当公的機関によって認められたものであって,かつ,特
別に設計したものを除き,危険区域内の金属部に対して,外部電源式陰極防食装置を設けてはならない。

5.8 電磁波の放射

 電磁波を放射する電気機器は,その放射量又は電界強度が該当公的機関によって安
全と認められた値を超えてはならない。

6. 電気機器

6.1 一般

 機器に対する一般要求事項については,IEC 60092の規格群の他の部に規定している。また,
次の規定は,この規格で定義している危険区域内の機器に対する追加要件である。

6.2 電気機器の選定

 危険区域への適切な電気機器の選定のためには,次の情報が必要となる。
− 危険区域の分類(6.2.1参照)
− 設置場所(6.2.2参照)
− 対象となるガス又は蒸気の発火温度(6.2.3参照)

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− 適用可能な場合,電気機器のグループ分けに関連したガス又は蒸気の分類(6.2.4参照)
− 外的影響及び周囲温度(6.2.5及び6.2.6参照)
備考1. 内圧,油入,砂詰め及び安全増などの保護形式には,ガス又は蒸気の分類は要求しない。
2. 貨物が他の材料と反応することによって危険となる場合,発生ガスの発火温度及びグループ
が電気機器の選定要件を決定する場合がある。
3. 砂詰防爆及び油入防爆の使用制限について考慮する。これらの保護形式については,船舶が
動揺する際に充てん材が移動するため,電気部品を覆っている充てん材の深さが減少し,防
爆の有効性が失われる場合がある。
6.2.1 危険区域の分類 電気機器は,運転を行う危険区域の種別により選定しなければならない。
4. に危険区域の分類に関する指針が示され,6.5には,各危険区域における機器の保護形式の詳細を規
定している。
6.2.2 設置場所 追加で特定の場所に設置される電気機器は,該当公的機関によって,その場所に必す
(須)であり,かつ,適切なものと認められた特定の保護形式及び/又は機能のものに限定しなければなら
ない。
特に,その配置は9. (IEC 60079-17による。) の規定に確実に適合しなければならない。
6.2.3 ガス又は蒸気の発火温度に関する選定 電気機器はその最高表面温度が,存在するすべてのガス,
蒸気又はそれらの混合気の発火温度にならないように選定しなければならない。
考慮すべき表面温度は,機器の保護形式によって内部又は外部の温度とする。
電気機器に表示する温度等級の記号の意味を,表3に示す。
表 3 温度等級と発火温度との関係*
電気機器の温度等級 ガス又は蒸気の発火温度
T1 >450 ℃
T2 >300 ℃
T3 >200 ℃
T4 >135 ℃
T5 >100 ℃
T6 >85 ℃
*IEC 60079-14から引用。
1) 一般的に,混合気の発火温度は最も低い発火温度をもつ構成物質のそれに等しく取るか,又は試験によって決
定する。ただし,特定カテゴリーの貨物の特性は,個々の解析又は試験をすることなしに機器の選定が行える
よう,十分に,かつ,適切に確立されているものであるということが認められている。例えば,T3温度等級の
機器については,特定の貨物に対する解析又は試験を行うことなしに,原油又はプロダクトタンカーの危険区
域に使用することができる。
2) 特定カテゴリーのケミカル貨物には,T4,T5又はT6の温度等級の機器を要求する。
6.2.4 ガス又は蒸気グループに関する選定 耐圧防爆外被及び本質安全電気機器,耐圧防爆又は本質安全
部品を組み込んだ機器,又は特定のグループ用として試験又は証明されたその他の機器は,IEC 60079-12
によって選定しなければならない。
特定ガス用として表示された機器は,他の可燃性ガスが存在しないときにのみ選定しなければならない。
代表的なガスに対し,機器に表示されるグループの記号は表4による。
備考1. IEC 60079-12には,ガスの混合気体はそれぞれの関連する特性に対する特別な判断によって
だけ,あるグループに割り当てるのが一般的であるとの記載がある。しかし,このような特

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別な判断がない場合には,混合気は最も厳しい要求をもつ成分のグループに割り当てられる。
これは,また,発火温度の場合のように,特定貨物の特性が個々の解析をすることなしに機
器の選定が行えることを認めている。例えば,グループIIAの機器は特定の貨物に対する解
析又は試験を行うことなしに,原油又はプロダクトタンカーの危険区域に使用することがで
きる。
2. 特定カテゴリのケミカル貨物及び液化ガスには,グループIIB及びIICの機器が要求される。
表 4 機器グループと代表的なガスとの関係
機器グループ 代表的なガス
IIA プロパン
IIB エチレン
IIC 水素
JIS C 0931 (IEC 60079-1)から引用。
備考 ガスは,一般的に,経験的な最大安全すきま又は最小点火電流の決定に基づき,様々なグループに割り当て
られる。これらは,耐圧防爆外被の許容最大すきま及び本質安全回路の最大許容電流に関連している。双方
(すきま,電流)ともにIIAからIICへ累進的に減少する(IEC 60079-12参照)。
6.2.5 外的影響 電気機器は,さらされる外的影響(例えば,化学的影響,機械的影響及び熱応力)から保
護しなければならない。この保護は,電気機器が特別な外的影響下で使用する場合でも,潜在的爆発性雰
囲気を発火させない保護形式が維持できるものでなければならない。
備考 外的影響の指針として,IEC 60092-101の附属書Bを参照
6.2.6 周囲温度
6.2.6.1 電気機器は一般的に,周囲温度−25 ℃45 ℃に適したものでなければならない。
6.2.6.2 電気機器に周囲温度の表示がない場合,これらの機器の周囲温度は,−20 ℃40 ℃までとみな
す。
6.2.6.3 該当公的機関により,機器の安全操作が損なわれないと認められる場合,6.2.6.2に規定した温度
範囲又は,機器に表示した温度範囲を超える周囲温度で使用してもよい。

6.3 証明付き安全形機器

 6.5の規定によって,証明された安全形の機器であることが要求される場合,
当該機器は,関連する爆発性雰囲気内での使用の際,爆発の危険性に対して安全であることが確認できる
よう,該当公的機関によって証明されていることを,証拠として提出する。
6.4 “n”形の電気機器及び通常操作中,スパ−ク,ア−ク及び“ホットスポット”が発生しない電気機

6.4.1 “n”形の保護構造をもつ電気機器は,IEC 60079-15による構造としなければならない。
6.4.2 通常操作中,スパ−ク,ア−ク及び“ホットスポット”が発生しない電気機器は,該当公的機関に
よって可燃性雰囲気での使用が認められることを条件に適合しているものと認められる。

6.5 危険区域内の電気機器

6.5.1  電気機器又はケーブルは,通常,危険区域内に設置してはならない。
運用上不可欠である場合,設置する危険区域によって,6.5.2,6.5.3及び6.5.4に規定する形式の機器及
びこの機器の運転に必要なケーブルを設置してもよい。
6.5.3及び6.5.4で許容される場合であって,他の敷設経路が非現実的な場合は,ケーブルの通過を認め
る。
機器は,できる限り,危険の少ない場所に設置しなければならない。

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6.5.2 0種区域には,次の機器だけ設置してもよい。
a) 証明付き“i a”形の本質安全防爆形機器
b) EC 60079-14に示される制限を超えて電力,電気エネルギーを蓄積又は発電することのできない“i a”
形の本質安全回路用単純電気機器及びその構成品であって,該当公的機関によって認められたもの(熱
電対,フォトセル,ひずみゲージ,接続箱,スイッチなど)
備考 回路の対地絶縁保全性,機器又は構成部品内に組み込まれているすべてのプラスチック又は軽
金属の適合性,及び機器(スイッチ,プラグ,ソケット及び端子を除く)のあらゆる部分にお
ける最高表面温度などの問題に対する考慮が必要である。
IEC 60079-14で設定した制限値内に収めるために電圧又は電流を,制限又は抑制する装置に
頼る機器は,“単純機器”の範ちゅうには含まない。
c) 0種区域用として特に設計し,該当公的機関によって証明したその他の電気機器。地絡又は絶縁不良
状態下の運転に対する予防措置については5.3.4参照。
d) 低液位の際に,少なくとも2種類の独立した方法による自動遮断をもつサブマージ形電動ポンプ。
ポンプ,関連ケーブルの構造及び設置,並びに液につかっていない場合,又は燃焼を可能にする雰
囲気において電源投入を防止する手段は,該当公的機関によって承認したものとする。
地絡又は絶縁不良状態での運転に対する予防措置については,5.3.4を参照。
6.5.3 1種区域には,次の機器だけ設置してよい。
a) 0種区域用のすべての機器
b) 証明付き“i b”形の本質安全防爆形機器
c) EC 60079-14の13.21に示す制限を超えて電力又は電気エネルギーを,蓄積又は発電することのでき
ない“i b”形の本質安全回路用単純電気機器及びその構成品であって,該当公的機関によって認められ
たもの(熱電対,フォトセル,ひずみゲージ,接続箱,スイッチなど)。
d) 証明付耐圧防爆形機器(タイプ“d”)
e) 証明付内圧防爆形機器(タイプ“p”)
備考 加圧値及び/又は保護ガス流量が最小規定値を下まわった場合に,JIS C 0932 (IEC 60079-2)に
適合する自動遮断が要求される。
f) 証明付安全増防爆形機器(タイプ“e”)
備考 3 kV以上の誘導電動機については,エアーギャップに発生する火花の危険性に対応するために
追加の保護(例えば,始動前のエアーパージ)が要求される。
g) 証明付カプセル封じ防爆形機器(タイプ“m”)
h) 証明付砂詰防爆形機器(タイプ“q”)
備考 通常の海洋環境下における湿気によって,充てん材の特性が変化することがある。
i) 証明付き油入防爆形機器(タイプ“o”),ただし,申請者により要求され,かつ,該当公的機関に許可
されたときだけ。
j) 特別に証明された防爆形機器(タイプ“s”)
k) 外部電源式陰極防食装置用のアノード,電極,音響測深儀,船速距離計などの送受波器に用いる端子,
又は外板貫通部をもつ船体取付物。ただし,これらの取付物は,気密構造又は気密の容器内に設置し,
貨物タンク隔壁には隣接して設置しない。
そのような取付物又はその容器の設計及びケーブル導入部の設計,並びにそれらの気密性確認試験
については,該当公的機関の満足するところによる。

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l) ケーブルの通過
6.5.4 2種区域には次の機器を設置してよい。
a) 1種区域用のすべての機器。
b) 2種区域用として特に試験したもの(例えば“n”形防爆)。
c) 加圧したものであって,該当公的機関によって認められたもの。
d) 絶縁液体で満たされた容器をもつか,又はカプセル封じしたものであって,該当公的機関によって認
められたもの。
e) 通常操作中にスパーク,アーク及び“ホットスポット”が生じない機器。
6.5.5 複数の保護形式をもつ機器については,すべての保護形式が設置する危険区域での使用に適したも
のである。

6.6 移動形機器

 移動形機器については,該当公的機関が危険区域での使用を認めた場合は,証明され
た安全形のものであって,可搬又は運搬に適し,6.2によって選定されたものである。
備考 手持(携帯形)機器は,JIS C 0930の7.2(落下試験)(IEC 60079-0,22.4.3.2及び22.4.3.3)に規
定される落下試験に適合する。

7. 設備

7.1 一般

7.1.1  危険区域内の電気設備は,IEC 60092の規格群の他の部に記載されている要件に追加して,できる
限り,IEC 60079-14及び次の規定によらなければならない。
7.1.2 設備は,電気機器の安全な使用にかかわるすべての特別な条件,特に機器の証明書に記載される条
件に適合しなければならない。
7.1.3 この項で,特別な形式の設備を規定している場合は,安全性が劣らないことを該当公的機関が認め
れば,他の方法による設備の使用が認められる。

7.2 機器の選定

7.2.1  電気機器の選定は6.2の規定による。

7.3 配線システム─一般

7.3.1  ケーブルの構造及び試験については,JIS C 3411-350 (IEC 60092-350)を参照。
7.3.2 配線システム及びその構成品は,化学及び腐食性要因を含む危険区域の環境に適したものでなけれ
ばならない。

7.4 ケーブル配線システム

7.4.1  本質安全回路用ケーブルを除き,0種及び1種区域に敷設するすべてのケーブルは,少なくとも次
のいずれか一つのシースを施さなければならない。
a) 編組又は他の金属被覆を伴った非金属性インパービアスシース。
b) 銅又はステンレス鋼シース(無機絶縁ケーブル用のみ) 。アルミニウムシースのケーブルを特別な用途
用として考慮できる。
7.4.2 本質安全回路用ケーブルは,少なくとも非金属外部インパービアスシース付きの金属遮へいがなけ
ればならない。
7.4.3 本質安全回路が電磁障害を受けるおそれのある場合には,電磁界が本質安全回路に悪影響を及ぼさ
ないよう,ねん架又は他の方法で特別の注意を払わなければならない。

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