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F 8076 : 2005 (IEC 60092-504 : 2001)
9.4.5 制御電圧 船内機器に取り付けてある圧力センサのような検出素子又は類似の装置を含む制御回路
の電圧は,直流,交流とも250 Vを超えてはならない。
9.4.6 手動制御 一つの電動機の制御器における異常又は運転中若しくはスタンバイ電動機に対する自動
切換システムにおける異常が,2台以上の電動機の手動操作を無効にしてはならない。
9.5 機械制御装置
9.5.1 序文 この条項は,船の推進と安全に重要な機械の制御に関するものである。
備考 かじ取機の制御及び計装はJIS F 8079に電気推進プラントは JIS F 8073に,要件が規定されて
いる。
9.5.2 一般要件 船の推進,制御及び安全に重要な主機及び補機は独立するか,又は一つのシステムにお
ける故障が他のシステムの性能を低下させないための配慮をして設計しなければならない。
9.5.3 制御の切換え 機械及び関連機器の制御は,いかなるときにも1か所の制御場所からだけ可能でな
ければならない。制御場所間の切換えは制御を受け取る側の確認をもって有効になるものとしなければな
らない。システムにはインタロック又は他の適切な手段を設けて,制御の切換えが有効に行われるものと
しなければならない(9.5.5.1参照)。
備考 制御場所が直接視認でき,かつ,声が届く範囲の十分近接した位置関係である場合には,当該
公的機関はこの要件を免除することができる。
9.5.4 船橋からの推進機関の遠隔制御
9.5.4.1 適用 航海船橋からの推進機関の遠隔制御が行われる場合には,次の内容を取り入れなければなら
ない。
9.5.4.2 制御パラメータ プロペラの回転数,推力方向,及び適用可能なときは翼角は,操船時も含めて
すべての航行状態において,航海船橋から十分に制御できなければならない。
9.5.4.3 制御装置 制御は,個々のプロペラに対応した唯一の制御装置によって実行し,必要な場合には,
推進機関の過負荷を防ぐ手段を含めて,すべての関連した機能が自動的に実行されるものとしなければな
らない。
複数のプロペラが同時に作動する設計となっている場合には,1個の制御装置で制御してもよい。
9.5.4.4 非常停止 主推進機関には,航海船橋制御システムとは独立した非常停止装置を航海船橋に設け
なければならない。
備考 推進原動機が電気設備用の動力も供給する場合には,例えば,クラッチを使用することで,プ
ロペラから動力を取り出せる可能性が十分ある。
9.5.4.5 指令表示 航海船橋からの推進機関への指令は,操縦台に及び機関制御室を設置している場合に
は主機関制御室にも表示しなければならない。
備考 推進機関の機側制御場所は,操縦台と同等のものと考えてよい。
9.5.4.6 制御の切換え 推進機関の遠隔制御は,いかなるときにも1か所からだけ可能であるものとしな
ければならない。それらの場所では,制御位置を相互に接続することが許される。
航海船橋と機関室との間の制御の切換えは主機関区域,又は主機関制御室において可能でなければなら
ない。
一つの制御位置から他の位置へ切り換えるとき,制御中の回転数,推力方向又は翼角といったパラメー
タが著しく変動してはならない。
制御の切換えは,制御を受け取る側の確認なくして実行に入ってはならない。
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9.5.4.7 機側制御 推進機関及び船の推進と安全に不可欠なすべての機械は,遠隔制御システムのすべて
の部分に故障があった場合にも,機側から制御できなければならない。
補機も,船の推進と安全に不可欠である関連した機械のある場所で又は近くで制御できなければならな
い。
9.5.4.8 故障警報 遠隔制御システムが故障の場合には,可視可聴警報を発しなければならない。実行不
可能でなければ,あらかじめ設定されたプロペラ回転数,推力方向,及び適用可能であれば,翼角は機側
操縦に入るまで保持しなければならない。
9.5.4.9 始動阻止 推進機関の遠隔制御システムで自動始動を行う設計となっている場合には,機関制御
室又は機側からの始動を可能にするだけの十分な始動空気圧を残すために,自動連続試行の回数を制限し,
かつ,始動空気圧のあらかじめ設定された低圧値で始動を阻止することを考慮しなければならない。
9.5.5 機械の遠隔制御の表示器
9.5.5.1 制御場所の表示 各操作場所には,どの場所で機械を制御しているかを示す表示器を設けなけれ
ばならない。
9.5.5.2 運転表示 遠隔操作が設けられている場合には,各操作場所に運転表示,又は同様の装置を設け
なければならない。
9.5.5.3 パラメータ表示 航海船橋,主機関制御室及び操縦台には,次の表示を設けなければならない。
− 固定ピッチプロペラの場合の,プロペラ回転数及び回転方向。
− 可変ピッチプロペラの場合の,プロペラ回転数及び翼角。
9.5.6 手動オーバライド 一般に,自動始動,自動運転及び自動制御システムには,自動制御を手動でオ
ーバライドする手段を設けなければならない。これらのシステムのすべての部分の故障は,手動オーバラ
イドの使用を妨げてはならない。
9.6 機械保護(安全)システム
9.6.1 序文 この条項は,運転中の機械のパラメータが設定値を超えた場合に,すべての場合において,
適切な動作を起こすことを要求する機器に関するものである。
備考 機械保護のためのコンピュータ利用安全システムは,追加要件及び他の設備を必要とする場合
があることに注意する(10.参照)。
9.6.2 一般要件
9.6.2.1 動作原理 保護装置は,機械又はボイラ運転中に緊急な危険を伴う異常が生じた場合に,プラン
トのその部分を遮断するか又は負荷を低減するなどの自動保護動作を開始し,可視可聴警報を発するもの
でなければならない。
備考 自動保護(安全)は,例えば,次の場合に要求する。
a) 往復動内燃機関
− 機関及び/又は減速歯車の致命的潤滑油喪失
− 過速度
b) 蒸気タービン及びガスタービン
− タービン及び/又は減速歯車の致命的潤滑油喪失
− 過速度
c) 蒸気発生装置
− 水位の過度の低下
− 水位の過度の上昇
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− 燃焼空気の停止
− 失火
9.6.2.2 推進システム 推進システムの緊急停止は,致命的な損傷,完全な破壊又は爆発を伴う場合に限
定しなければならない。
9.6.2.3 故障形態 保護(安全)システムは,実行可能な限り,このシステム内のただ1か所の故障の場
合には可視可聴警報を発するだけで,推進力の全喪失には至らない配慮を講じた設計をしなければならな
い。
9.6.2.4 オーバライド装置 主推進機関のオーバライド装置が設けられている場合には,不注意な操作が
行われないものとしなければならない。オーバライドが作動していることを示すために,少なくとも視認
手段を設けなければならない。これは,機関士の注意を喚起する可視可聴警報が望ましい。
保護装置の自動リセット又は自動オーバライドの設備は望ましくなく,設備するべきではない。例外的
に,かつ,ある種の適用に不可欠な場合には,試行回数は制限しなければならない。
9.6.2.5 給電 保護装置は,保護装置への通常電源からの給電が喪失した場合には予備の電源(例えば,
蓄電池)から自動的に給電しなければならない。保護装置への通常電源喪失は可視可聴警報によって,表
示しなければならない。予備電源は,保護装置に少なくとも30分間給電できる能力をもたなければならな
い。
備考 適用によって,安全状態を確保するために,又は当該公的機関が要求する場合,更に大きな容
量が必要となることがある。
9.6.2.6 始動及び停止 対象とする機械を発停する通常の処理を行った当然の結果として,設定点からの
過剰な逸脱が生じた場合に意図しない保護機能が作動するのを防止するために,保護回路を切り離すこと
ができる考慮を払わなければならない。このように考慮された場合には,対象とする機械が意図的に停止
されている場合に限って保護回路が無効になるものでなければならない。
9.7 船首戸,内部戸,船側外板戸及び船尾戸
9.7.1 適用 この要件は,“ロールオン・ロールオフ”(Ro-Ro)旅客船に適用する。
9.7.2 遠隔制御 遠隔制御を備える場合には,8.4の要件を適用しなければならない。
9.7.3 表示器システム 次の状態を示す個別の表示器を各戸に取り付けなければならない。
− 戸の完全閉鎖
− 戸の完全ロック(すべての固定装置が閉鎖位置にある)
各戸は個別に表示しなければならない。
これらの表示は,船橋と操作盤の両方に設けなければならない。
9.7.4 モードの選択 船橋のパネルには“出入港/航海”のモード選択機能を備え,航海モードにおいて,
いずれかの戸が完全閉鎖でなく又は完全ロックでもない場合には,可視可聴警報を発するための配慮をし
なければならない。
備考 当該公的機関が認めた場合には,手動切換スイッチでよい。
9.7.5 フェイルセイフ 表示器及び警報システムは,フェイルセイフ原理に基づいて設計しなければなら
ない。システム内の事故の場合,実際にはそうでないのに,いずれの戸も完全に閉鎖されている,又は完
全にロックされているというような不正な表示があってはならない。
備考 システムの一部に2か所以上の不良の可能性がある場合には,最も可能性のある事故の方に優
先権を与えなければならない。
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9.7.6 試験 表示,例えば,ランプテスト及び可聴警報の両方に対するテスト装置を航海船橋パネルに設
けなければならない。
9.7.7 独立性 警報及び表示器システムは,戸制御システムからは独立していなければならない。
これらのシステムに対する給電は個別に保護し,バックアップ又は確実な電源,例えば,無停電電源
装置(UPS)を備えなければならない。
すべての電源の故障は,航海船橋において可聴警報を発しなければならない。
9.7.8 表示 表示は,すべての予期される照明条件の下でも,効果的,かつ,連続的に行わなければなら
ない。
9.7.9 センサ 表示器システムのセンサは水,氷結及び機械的損傷から保護しなければならない。
9.7.10 テレビジョン監視 ロールオン・ロールオフ貨物区域の浸水に至る可能性がある外板戸の漏水監視
を行うために,航海船橋にテレビジョン監視装置を設けなければならない。
船首戸に対しては,内部戸及び船首戸と内部戸との間の区域の両方を監視しなければならない。
監視される物体の照明及び対比色について,特別の考慮を払わなければならない。また,特殊分類区域
及びロールオン・ロールオフ貨物区域の監視にも特別な考慮を払わなければならない。
9.7.11 漏水検知 特殊分類区域及びロールオン・ロールオフ貨物区域の浸水につながる,すべての戸から
の漏水を検知する漏水検知警報を設けなければならない。
船首戸に対しては,内部戸からの漏れを検知しなければならない。
航海船橋と機関制御室に,可聴警報を発しなければならない。
9.7.12 排水警報 船首戸とランプの間,及び内部戸が取り付けられている場合には,ランプと内部戸の間
の区域には排水システムを設けなければならない。
9.7.11の区域において,水位が自動車甲板上0.5 mを超えた場合には,9.7.11の要件に加えて,別個の
可視可聴警報を航海船橋に発しなければならない。
9.7.13 制御場所 自動車甲板への出入りに使う船首戸及び内部戸に対するすべての閉鎖装置及びロック
装置の遠隔制御は,乾げん(舷)甲板より上方の位置から行わなければならない。
9.8 水密動力戸
9.8.1 表示 すべての水密動力滑り戸に対して,各戸が開か閉のいずれであるかを,すべての遠隔操作場
所に,すなわち,航海船橋及び隔壁甲板より上部で手動操作が行われる場合には,その場所に表示しなけ
ればならない。
9.8.2 警報 各滑り戸には,その区域で他の警報と区別できる可聴警報を設けなければならない。
この警報は,戸が遠隔操作で動力によって,閉鎖するときに鳴り,戸が動き始める前に5秒から10秒間
鳴らなければならない。
警報は,戸が完全に閉鎖するまで鳴り続けなければならない。
備考 当該公的機関は,旅客区域及び周囲の騒音が高い場所においては,可聴警報器に加えて断続的
な可視信号を戸に備えることを要求することができる。
9.8.3 閉鎖速度 滑り戸は,動力によってほぼ一定の速度で閉鎖しなければならない。船が直立状態にあ
る場合において戸が動き始めてから完全に閉鎖するまでの時間は,すべての場合において,20秒以上40
秒以下でなければならない。
9.8.4 電源 滑り戸に必要な電力は,非常配電盤から直接に,又は隔壁甲板上に設置された専用分電盤か
ら給電しなければならない。
関連する制御装置,表示器及び警報装置の回路についても同様とする。
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更に,主電源又は非常電源が故障した場合には,これらは臨時の非常電源から給電しなければならない。
臨時の非常電源は,15度の逆傾斜に対して戸を少なくとも3回,例えば,閉−開−閉と操作するための
十分な容量をもたなければならない。
9.8.5 専用回路 電気的に操作されるそれぞれの滑り戸は,戸を開閉することができる専用の電動機と関
連する回路をもたなければならない。
これらの回路における一つの故障が,手動操作を妨げてはならない。
9.8.6 機器の設置場所 水密戸のための電気設備及び電気機器は,実行可能な限り,隔壁甲板の上方並び
に危険区域及び危険な場所の外に設置しなければならない(JIS F 8074参照)。
9.8.7 外被 やむを得ず隔壁甲板の下方に設置される電気機器の外被は,次に規定する水の浸入に対する
適切な保護を施さなければならない。
a) 電動機,関連回路及び制御機器;少なくともIPX7で保護する;
b) 戸の位置表示器及び関連回路機器;IPX8で保護する;
c) 戸の開閉警報信号;IPX6で保護する。
IPX8に適合する保護を施した外被の水圧試験は,浸水中にその機器の設置場所に生じる圧力で36時間
行い,当該圧力を基準としなければならない。
備考 その他の電気機器の囲いのための設備は,当該公的機関が同等の保護が確保されることを認め
ることを条件に,設けることができる。
9.8.8 浸水 隔壁甲板の下方に位置する電気設備への水の浸入が,実行可能な限り戸を開けさせる原因と
ならないための措置をとらなければならない。
9.8.9 独立回路 電動力装置,制御装置,表示器及び警報装置の回路は,一つの戸の回路における故障が
他の戸の故障の原因とならないための保護をしなければならない。
9.8.10 警報回路の故障 戸の警報装置又は表示器回路における短絡及びその他の故障が,動力によるその
戸の操作を妨げないものでなければならない。
9.8.11 制御回路の故障 滑り戸の動力操作装置又は制御装置の一つの故障が,閉鎖した滑り戸を開ける原
因とならないものでなければならない。
9.8.12 電源監視 電源は,9.8.5で要求するそれぞれの電動機のできる限り近い電気回路の一点で連続的
に監視しなければならない。電源が喪失した場合には,航海船橋の中央操作盤に可視可聴警報を発しなけ
ればならない。
9.8.13 モード選択 航海船橋の中央操作盤には,二つの制御方式をもつ“主モード”スイッチを備えなけ
ればならない。一つの制御方式は“機側制御”モードで,すべての戸が機側であけることができ,かつ,
使用後自動閉鎖によらず機側で閉鎖することができる。もう一つの制御方式は“戸閉鎖”モードで,開い
ているすべての戸が自動的に閉鎖しなければならない。“戸閉鎖”モードでは,戸は機側であけることがで
きるが,機側制御の機構を解除することによって当該戸は自動的に再閉鎖されなければならない。“主モー
ド”スイッチは,通常,“機側制御”モードに位置しておかなければならない。“戸閉鎖”モードは非常時
又は試験の目的でだけ使用しなければならない。“主モード”スイッチの信頼性には,特別な考慮を払わな
ければならない。
9.8.14 航海船橋での表示 航海船橋の中央操作盤には,各戸の位置を示すダイアグラムを備え,それぞれ
の戸が開か閉のいずれであるかを示す可視表示器を設けなければならない。表示は,予期可能なすべての
照明条件の下で,効果的,かつ,連続的に行わなければならない。
赤色灯は戸の完全開を示し,緑色灯は戸の完全閉鎖を示すものでなければならない。
――――― [JIS F 8076 pdf 30] ―――――
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JIS F 8076:2005の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60092-504:2001(IDT)
JIS F 8076:2005の国際規格 ICS 分類一覧
- 47 : 造船及び海洋構造物 > 47.020 : 造船及び海洋構造物一般 > 47.020.60 : 船及び海洋構造物の電気設備
JIS F 8076:2005の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISF8007:2004
- 船用電気機器―外被の保護等級及び検査通則
- JISF8061:2005
- 船用電気設備―第101部:定義及び一般要求事項
- JISF8062:1996
- 船用電気設備 第201部 システム設計―一般
- JISF8063:2006
- 船用電気設備―第202部:システム設計―保護
- JISF8065:2003
- 船用電気設備―第302部:低圧配電盤及び制御盤
- JISF8072:2006
- 船用電気設備―第401部:装備基準及び完成試験
- JISF8073:2017
- 船用電気設備―第501部:個別規定―電気推進装置
- JISF8074:2003
- 船用電気設備―第502部:タンカー―個別規定
- JISF8079:1989
- 船用電気設備 第204部 システム設計―電動及び電動油圧操だ装置