JIS K 2541-4:2003 原油及び石油製品―硫黄分試験方法 第4部:放射線式励起法 | ページ 2

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5.1.2 着脱可能な試料カップ 3 mm以上の深さに試料を入れることができ,交換できるX線透過膜を取
り付けたもの。
備考1. 窓に使用する材料は,普通6 リエステルフィルム,ポリプロピレン又はポリカーボ
ネートの膜である。市販のはん(汎)用ポリエステル膜は,微量のカルシウムを含んでいる
ため測定を妨害することがある。多量の芳香族分を含む試料は,ポリカーボネートの膜を溶
解する。
2. フローセルタイプの試料カップでは,厚さ6 リエステルフィルムと同等のX線透過
率をもつ金属ベリリウム薄板が窓材として使用されている。
3. 揮発性の試料を取り扱う場合は,試料の蒸発を防止し,かつ,蒸気圧による窓の変形防止対
策がとられる構造でなければならない。
参考 高精度形の窓材は,厚さ45 李[騰騰 懿 そのばらつきは±2 %とする。
5.1.3 X線検出器 2.3 keVのX線に対して高い感度をもつもの。
5.1.4 フィルター 硫黄のKα線と他のX線を区別できるもの。
5.1.5 信号調整電子機器 パルス計数とパルス高さ分析の機能を備えたもの。
5.1.6 表示装置又はプリンター カウント数,硫黄分又はこの両方が表示又は印字できるもの。
備考 試験装置が放射線源をもっている場合,その装置及び使用方法は,放射性物質の防御に関する
国際委員会の電離放射線の使用に関する規則,提言に従わなければならない。放射線源は,規
則によって,時々放射線漏れについて点検する必要がある。線源に対する注意は,正しい遮断
技術を用い,十分訓練を受けた資格のある技術者によってだけ可能である。
参考 放射線源の取扱いについて,国内では放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
などがある。
5.1.7 試験装置の性能 試験装置の性能は,JIS B 7995に規定する励起式卓上形の規定を満たしたものと
する。参考としてその性能を次の参考表2に示す。
なお,性能試験は,JIS B 7995附属書の校正液,試験液を用いて行う。
参考表 2 JIS B 7995の励起式卓上形の性能
単位 質量%
項目 硫黄分の変化許容値 備考
連続測定誤差 0.01+0.01S以下 連続10回計測
ゼロドリフト 0.01S以下 −
スパンドリフト 0.01+0.015S以下 −
検量線の直線性誤差 0.02+0.05S以下 −
セル間誤差 0.02+0.02S以下 −
周囲温度5 ℃変化時 0.01+0.015S以下 −
C/H 1.0 変化時 0.01+0.02S以下 −
備考 S : 励起法試験装置の校正に用いる硫黄分標準溶液の硫黄分値
5.1.8 高精度形励起法試験装置(以下,高精度形試験装置という。) 高精度形試験装置とは次の性能を
もつものをいう。
a) 硫黄分測定値(質量%)を小数点以下4けた以上表示又は印字できる。
b) /Hが1.0変化したとき,硫黄分の変化が次の値以下である。
S .0002 .0003S
ここに, ΔS : 硫黄分の変化許容値(質量%)

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S : 試料の硫黄分(質量%)
c) 9.によって試料の硫黄分を測定した場合の連続測定許容差が表1の規定以下である。
表 1 高精度形試験装置の連続測定許容差
単位 質量%
硫黄分 計測時間100秒以上での許容差
0.0100.100 0.004 0

5.2 天びん

 0.1 mgのけたまではかれるもの。

5.3 かくはん機

 泡を立てない高速せん断型のもの。

5.4 容器

 容量100 mlの細首コニカルでほうけい酸塩ガラス製の全量フラスコ,揮発性試料の場合は栓
のついたものを用いる。又は同じ容量で口をポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンでふたができ
るボトル。

6. 試料の採取方法及び調製方法

 試料の採取方法及び調製方法は,次による。
a) 特に断りがなければ,試料はJIS K 2251又はISO 3171の手順に従って採取する。
b) 試験用試料は,a)の試料から,よく混合して小分けした後抜き取る。粘性の高い試料は,その試料が
液化する温度まで加熱し,必要ならばかくはん機を用いて均質にする。

7. 試験装置の準備

 試験装置の準備は,次による。

7.1 試験装置

 試験装置は,最適な安定性を維持するため,電源を常に入れておくか,又は測定時に装
置が安定するよう,取扱説明書に従ってあらかじめ電源を入れておく。

7.2 試料カップ

 使用する前に試料カップは,十分に洗浄し,乾燥しておく。使い捨ての試料カップは,
再使用してはならない。窓材に手を触れるのは必要最小限にとどめる。

8. 検量線

 検量線は,次による。

8.1 一般事項

 認証物質又は流動パラフィン(ホワイト油)に溶かした硫黄化合物から調製した標準試
料原液を用いて,適切な濃度範囲の検量線用標準溶液を調製する。

8.2 標準溶液の調製

 硫黄化合物からの標準試料原液は,三つ以上濃度が異なったものを調製する。標
準試料原液を用い,流動パラフィン(ホワイト油)による希釈によって検量線用標準溶液を調製するか,
又は次の方法によって,直接に決められた濃度範囲の検量線用標準溶液を調製する。調製の濃度範囲を表
2に示す。
参考 旧ISO 8754:1992では,標準試料原液として5質量%,2.5質量%,1質量%の3種類の濃度が
規定されていた。
a) 流動パラフィン(ホワイト油)を表2を参照して容器に0.1 mgのけたまではかり採り,次に選択した
硫黄化合物を0.1 mgのけたまではかり採り,これに加える。容器の内容物は,室温で十分に混合する。
備考 容器の内容物を混合するには,不活性なマグネティックスターラと装置を用いるのが望ましい。
揮発性溶液の場合は,容器にふたをし,混合物を緩やかに振とうするか動かす。
b) 硫黄含有量(質量%)は,用いた流動パラフィン(ホワイト油)及び硫黄化合物の量から,次の式に
よって計算し,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.001に丸める。
(M C)
S
(M W)

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ここに, S : 硫黄含有量(質量%)
M : 硫黄化合物の質量(g)
C : 硫黄化合物の硫黄含有量(質量%)
W : ホワイト油の質量(g)
表 2 硫黄含有量の計算値に基づく標準溶液の組成
単位 g
概略硫黄濃度 ホワイト油 DBT DBS TNA DBDS
(質量%)
5 40.0 16.1 11.8 10.6 6.46
4 40.0 11.95 8.95 8.05 5.01
3 40.0 8.3 6.3 5.75 3.64
2 45.0 5.85 4.5 4.1 2.65
1.5 45.0 4.25 3.3 3.0 1.96
1 45.0 2.75 2.15 1.95 1.29
0.5 50.0 1.5 1.15 1.05 0.71
0.3 50.0 0.9 0.7 0.65 0.42
0.10 50.0 0.3 0.25 0.2 0.14
0.07 50.0 0.21 0.18 0.14 0.1
0.05 50.0 0.14 0.11 0.10 0.07
0.03 50.0 0.09 0.07 0.07 0.04

8.3 C/H補正用標準溶液の調製

 ジブチルジスルフィド(硫黄含有量35.95質量%)をJIS B 7995の附
属書によって調製したもの。
なお,C/H自動補正機能をもたない試験装置を用いる場合には,C/Hに合わせた硫黄分標準溶液を次の
いずれかによって調製する。
a) ジブチルスルフィド(硫黄含有量21.915質量%のもの)を使用し,JIS B 7995の附属書に準じて調製
したもの。
b) 任意のC/Hの補正用標準溶液の調合計算 DBDS,デカリン及びテトラリンの調合比は,次の式によ
って求めることができる。
CB .2781 6CS
100 CS
CD 25.163 6 .9148 5 .0028 5CS
1 C/ H
CR 100 CB CD
ここに, CS : 硫黄分(質量%)
CB : DBDS濃度(質量%)
CD : デカリン濃度(質量%)
CR : テトラリン濃度(質量%)
C/H : C/H(質量比)

8.4 検量線用標準溶液

 自動検量線作成装置のない試験装置の場合は,検量線用標準溶液を表3に示す
ような四つの範囲に分けて作成する。自動検量線作成装置をもった試験装置又は手動で検量線を書く必要
のある試験装置では,二つの隣接した範囲を合わせる。このとき範囲内にあるすべての標準溶液を用いな
ければならない。

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表 3 検量線用標準溶液の範囲
単位 質量%
範囲 試料の硫黄含有量 標準溶液の硫黄含有量
1 0.010.10 0.00 0.03 0.05 0.07 0.10
2 0.1以上0.5 0.00 0.1 0.3 0.5 −
3 0.5以上2.0 0.5 1.0 1.5 2.0 −
4 2.0以上5.0 2.0 3.0 4.0 5.0 −

8.5 標準溶液の保存

 硫黄分認証標準物質は,指定された方法によって保存し,指定された期間以内に
使用する。
流動パラフィン(ホワイト油)と硫黄化合物から調製した検量線用標準溶液は,暗色のガラス栓のある
瓶に入れて冷暗所に保存する。
備考 保存した標準溶液の安定性は,上記の保存条件では,3か月を超えることが分かっている。

8.6 検量線の作成

a) 試料カップをメーカーの取扱説明書に従って準備する。カップの基底部に窓材の膜を張る。このとき,
窓部分には皮膚が触れないように注意する。
b) 検量線用標準溶液を320 mmの厚さに入れる。窓材が滑らかでしわがないように張ってあり,窓材
と溶液の間に気泡が入らないように気をつける。
c) 試験装置に指定された計数時間を守り,各溶液のカウント数を読み取る。
通常,各溶液に対して1回の読取りで十分である。ただし,読取り値がふらつくような兆候が見ら
れたならば,新しく準備したカップと新しい溶液を用いて,直ちに最大4回まで測定を繰り返すこと
が望ましい。
d) 同じカップと溶液を用いて続けて読み取ることは,望ましくない。カップの膜は測定中や測定の待機
中にも形を変える。更に,試料は揮発性によって時間とともに組成を変える可能性がある。
e) )で求めたカウント数を用いて,必要なら平均値を算出し,各検量線用標準液におけるカウント数を
求める。
f) 硫黄分を独立変数とし,カウント数を従属変数として,手動又はコンピュータによって,一次回帰で
検量線を作成する。
備考1. 励起法試験装置又は高精度形試験装置を用いて0.010.03質量%の硫黄分を測定する際は,
JIS K 2541-7波長分散蛍光X線法に規定されている検量線用標準溶液Bを用いて検量線を作
成する。
2. C/H比自動補正機能をもたない試験装置は,試料と同じC/H比の標準溶液を用いて検量線を
作成する必要がある。
参考 検量線の作成は,励起法試験装置の取扱説明書に指定する方法で設定するとよい。

8.7 検量線の点検

 検量線の点検は,次による。
8.7.1 短期の点検 通常の使用の場合,検量線上の2点以上を週に2回以上点検する。そのとき検量線の
検査用にあらかじめ決めてある標準溶液を用いて行う。点検の結果が検量線から室内併行許容差以上外れ
ていたら検量線を作り直す。
8.7.2 長期の点検 8.6の手順に従い,3か月を超えない間隔で検量線を作り直す。

9. 試験の手順

 試験の手順は,次による。

――――― [JIS K 2541-4 pdf 9] ―――――

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a) 8.6の手順に従い,試料カップを準備して試料を入れる。試験装置に指定された計数時間を用いて2
回の計数値を読み取る。
b) 揮発性の試料については,試料カップにふたをしたとき窓材がたわまないように注意する。過度に圧
力がかからないように通気が必要になる場合があるが,測定のとき蒸発による損失が認められたなら
ば,新しいカップに新しい試料を2度目の計数に用いる。このとき,計数時間は計数精度を犠牲にし
ても減らす必要がある。
c) 試料の平均カウント数を計算する。
備考 新しい試験装置では,この計算を自動的に行うものがある。

10. 計算

 各試料に対する平均値カウント数を用いるか,計算機能を内蔵した試験装置の直読値によって,
検量線から硫黄分含有量を読み取る。
備考 試料のC/H比と検量線作成時の標準溶液のC/Hの差の確認 試料のC/H比が検量線作成時の標
準物質のC/Hから1以上外れていると予想される試料の場合は,試料のC/H比を挟むC/H比の
異なる標準物質を用いて点検する。試料のC/H比は,元素分析その他の方法で求める。

11. 結果の表し方

 結果の表し方は,次による。
a) 硫黄分0.030質量%以上,0.10質量%未満の場合は,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.001に丸め
る。
b) 硫黄分0.10質量%以上5.00質量%は,JIS Z 8401の規定によって丸めの幅0.01に丸める。
c) 高精度形試験装置などを用いて測定した硫黄分0.010質量%以上,0.030質量%未満の場合は,JIS Z
8401の規定によって丸めの幅0.001に丸める。

12. 精度

 この試験法によって得られた硫黄分0.01質量%以上の試料の試験結果の許容差(確率0.95)は,
次のとおりである。
備考 この精度を外れた場合は,JIS Z 8402-6によって処理する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験装置で引き続き短時間に同一試料を2回試験
したとき,試験結果の許容差を表4及び表5に示す。
b) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験装置で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して
求めた2個の試験結果の差の許容差を表4及び表5に示す。
表 4 精度
単位 質量%
室内併行許容差 室間再現許容差
0.017(X+0.8) 0.055(X+0.8)
X : 試験結果の平均値
表 5 高精度形試験装置での0.010.10質量%の試料の範囲の精度
単位 質量%
室内併行許容差 室間再現許容差
0.004 0.007
参考 高精度形試験装置での0.01質量%未満の試料の精度(300秒の一例)を参考表3に示す。

――――― [JIS K 2541-4 pdf 10] ―――――

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