JIS K 6217-7:2013 ゴム用カーボンブラック―基本特性―第7部:ゴム配合物―多点法窒素比表面積(NSA)及び統計的厚さ比表面積(STSA)の求め方 | ページ 2

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表1−各種物質の脱気条件
物質 温度 時間(最低) 引用試験方法
℃ h
カーボンブラック 300±10 0.5 JIS K 6217-2の3.6.1 b),4.4及び5.6.6
シリカ 155±5 1.0 JIS K 6430のD.4(試料の採取)f)及び
E.3(試験の手順)b)
酸化亜鉛(タイプA又はB)a) 300±10 0.5 −
酸化亜鉛(タイプC)a) 155±5 1.0 −
注a) 種々の酸化亜鉛のグレードは,ISO 9298:1995の表D.1(Classification)による。

7.2 真空式

7.2.1  試料を含まない空のセルを真空脱気後,セルを大気圧の窒素ガス(5.2参照)又はヘリウムガス(5.3
参照)で満たす。セルをアダプタから取り外し,速やかに蓋又はバルブで密閉して,0.1 mgの単位までは
かり,その質量m1を記録する。
7.2.2 試料の窒素吸着比表面積が20 m250 m2 2) に相当する量になるように事前に乾燥した試料をはか
り,セル(4.2参照)の中に入れる。セルの管に付着した試料は,パイプクリーナでセルの中に入れ込む。
注2) 試料の表面積の想定がつかない場合は,事前に予備試験を行って決めることもできる。
7.2.3 試料を入れたセルを前処理装置に接続し,300±10 ℃で0.5時間以上(表1参照)真空加熱脱気す
る。専用前処理装置がないものについては,アダプタ(図1参照)に取り付け,真空加熱脱気する。取扱
いは,説明書の手順に従い行うことが必要である。
7.2.4 真空脱気後,大気圧で7.2.1で用いたものと同じガスを満たす。セルをアダプタから取り外し,速
やかに蓋又はバルブで密閉して,0.1 mgの単位まではかり,その質量m2を記録する。
7.2.5 試料質量は,式(1)によって算出する。
m0=m2−m1 (1)
ここに, m0 : 試料の質量(g)
m1 : 吸着セル,ガラス棒,充ガス及び蓋又はバルブ質量(7.2.1
参照)(g)
m2 : 吸着セル,ガラス棒,蓋又はバルブ,充ガス及び試料の質
量(7.2.4参照)(g)

7.3 ガス流通式

7.3.1  試料を含まない空セルをアダプタに接続し,セルに接続しているバルブを開く。窒素ガス(5.2参
照)又はヘリウムガス(5.3参照)の流通チューブを底に当たるまで挿入し空セルにガス導入後,セルを
アダプタから取り外し,速やかに蓋又はバルブで密閉して,0.1 mgの単位まではかり,その質量m1を記録
する。
7.3.2 試料のNSAが20 m250 m2に相当する量になるように事前に乾燥した試料をはかり,セルの中に
入れる。セルの管に付着した試料は,パイプクリーナでセルの中に入れ込む。
7.3.3 試料を入れたセルをアダプタに接続し,セルに接続しているバルブを開く。7.3.1で用いたものと
同じガスの流通チューブを底に当たるまで挿入し,サンプルが飛ばないような適正な流量のガスを流す。
ガスを導入しながら試料を300±10 ℃で0.5時間以上(表1参照)加熱し,経時的に質量が変化し試料の
脱気を終了する。
なお,加熱時間は,試料によって著しく変化することがあるので,時間に余裕をもつことが望ましい。
7.3.4 試料を入れたセルをアダプタから取り外す。速やかにセルに栓をして,0.1 mgの単位まではかり,
その質量m2を記録する。

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7.3.5 試料質量は,7.2.5と同様に算出する。

8 試験手順

8.1 一般事項

  試験手順では,測定点の選び方が重要である。測定点を選ぶ方法には,精密に結果を出す方法(操作A)
及び操作Aの結果を基に簡便に値を得る方法(操作B)がある。
なお,ほとんどの操作が自動で行われるが,操作に慣れること及び取扱説明書を忠実に守ることが重要
である。

8.2 共通手順

  測定点の選び方以外の操作は,共通である。操作手順は,次による。
a) デュワー瓶中の液体窒素(5.1)の温度は液体窒素に溶解した不純物及び周囲の圧力に影響される。酸
素などの不純物が増加すると容器中の液体窒素の温度が上昇し,そのために飽和蒸気圧は数kPa上昇
する。装置によっては,窒素の飽和蒸気圧を自動的に測定する装置もある。自動測定装置がない場合
は,温度を測定して飽和蒸気圧を求める。
b) 吸着装置で測定する相対圧力範囲,測定点数,飽和蒸気圧,試料質量などの必要情報を説明書に従っ
て,パソコンに入力する。STSAが必要な場合は,相対圧力が0.5になるまで設定する。また,NSA
だけが必要な場合は,相対圧力が0.3まででもよい。ここで,相対圧力とは,飽和蒸気圧に対する測
定圧力の比(P/P0)である(附属書JB参照)。
なお,吸着装置で測定する範囲,測定点数の決め方は,8.3及び8.4による。
c) 測定を開始する前にOリングにきずがないことを確認する。
注記 この操作が正しくないと測定中に漏えいが起こり,測定値を過小評価することがある。
d) 試料を含む脱気したセルをアダプタに接続する。
ガラス棒を吸着セルの管の部分に挿入すると,セルの体積を小さくでき,試験精度が改良できる。
注記 セルの管の部分は,液体窒素液面の変動による誤差の要因となる(図1に液体窒素液面を示
す。)。
e) 測定結果の計算吸着量は,入力された相対圧で測定し,装置の内部で計算され結果が表示される。

8.3 精密操作(操作A)

  操作Aは,NSA・STSAを求める回帰直線の始点及び終点の範囲が不明の試料について,この決定のた
めに用いる精密な操作である。測定者は,全相対圧力区間(00.5)で最低10点,望ましくは20点以上
の均等に分割した相対圧力で吸着量を測定する。この操作によって試料の吸着等温線が求まる。この吸着
量のBETプロットからNSAを求める範囲及びNSAが求まり,tプロットからSTSAを求める範囲及びSTSA
が求まる。NSAを求める一般的な始点及び終点は,相対圧力は0.050.3とされているが,NSAが大きく
なると終点が小さくなる傾向にあるので,測定値によって変更することが望ましい。
注記 操作Aで測定する点数が多いほど,NSA・STSAの精度は上がるが,測定には時間がかかる。

8.4 簡便操作(操作B)

  操作Bは,操作AでNSAを求める始点及び終点が分かっている品種について用いる簡便操作である。
分かっている始点及び終点の範囲で,2点以上の相対圧力の吸着量を求め,NSAを計算する。

8.5 測定結果の検証

8.5.1  測定結果の検証としてBET定数の確認を行うことが望ましい。通常のカーボンブラックにおいて
は,BET定数は75250の範囲にある。ただし,多孔質カーボンブラックにおいては,始点及び終点を0.05

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0.3の相対圧力で計算すると,BET定数が負の値をとる。
この場合は,V(1−P/P0)が最大値が得られる相対圧力までを測定区間として,BET定数が負の値をと
らない範囲で,再測定又は再計算しなければならない。
8.5.2 測定の精度を確認するため,定期的に標準物質による校正を行い,この測定値が標準物質の指定範
囲に入っていることを確認する。測定値が標準物質の指定範囲を外れている場合は,7.17.2及び8.18.3
の操作を再度行い,それでも誤差の要因がつかめない場合は,測定機器メーカに相談する。
なお,標準物質には認証標準物質を用いることが望ましい。
認証標準物質は,国家標準機関によって提供され,現在,ドイツBAM及び米国NISTから入手可能であ
る。
Bundesanstalt fr Materialforschung und-prfung (BAM)
Division I. 1 Inorganic Chemical Analysis; Reference Materials
Branch Adlershof,Richard-Willsttter-Strae 11,D-12489 Berlin,Germany
Standard Reference Materials Program
National Institute of Standards and Technology (NIST)
100 Bureau Drive,Stop 2322
Gaithersburg,MD 20899-2322,USA
上記の情報は,この規格の利用者に便宜を与えるためのものであり,それらの製品をJIS(ISO規格)
が保証するものではない。同じ結果を与える場合は,同等の標準物質を使うことができる。

9 外部比表面積の求め方

9.1 一般事項

  カーボンブラックの細孔比表面積を除いた外部比表面積は,ゴム配合物性を決定する重要な要因の一つ
である。外部比表面積測定方法には,幾つかの方法がある(JIS K 6217-3など。)。このうちSTSAは,窒
素吸着量の測定データ及び各測定機器メーカ又は過去の文献の基準物質の吸着層厚さを利用して,全比表
面積から,0.86 nm以下の細孔内部と外部比表面積とを分離して外部比表面積を求める方法(tプロット解
析)である。
注記 CTAB(臭化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)の分子は,0.9 nmの分子径をもつため
この分子径以下の細孔を除いた外部比表面積が求められる。
STSAでは,0X nm(Xは2 nm未満)の範囲の細孔を除いた外部比表面積を求めることが
できる。Xの値は,測定する相対圧力の範囲で決めることができる。この規格の設定(相対圧
力0.20.5)は,0.86 nmまでの細孔を除いた外部比表面積である。測定相対圧の範囲を上げる
ことによってより大きな細孔を除いた外部比表面積が求めることができる。例えば,1.4 nm以
下の細孔を除くには相対圧力0.60.9の区間で直線を求めることが必要となる。

9.2 試験手順

  試験操作は,8.2と同様に行う。
操作Aにおいては,NSA・STSAを求める操作を同時に行うことができる。
操作Bは,操作AでSTSAを求める近似直線の始点及び終点が分かっている品種について用いる簡便操
作であり,比表面積の測定と別個に実施することができる。分かっている始点及び終点の範囲で3点以上
の相対圧力で吸着量を求め,その直線性を確認した上でSTSAを求める。

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9.3 試験結果の計算

9.3.1  この測定値の相対圧力0.20.5の領域でtプロット解析を行い,外部比表面積を計算し求める。
tプロット解析においては,2本の近似直線が求められる。NSAを求める直線は,相対圧力0.050.3程
度にある。STSAを求める直線は,0.20.5程度にある。この近似直線の切片及び傾きから,NSA及びSTSA
が求められる。詳細を附属書JCに示す。
9.3.2 tプロット解析のプログラムの挿入は,装置メーカと相談の上,行う。また,取扱説明書をよく読
んで,実施する。

9.4 測定結果の検証

  測定の精度を確認するため,定期的に基準試料による校正を行い,この測定値が基準試料の指定範囲に
入っていることを確認する。測定値が基準試料の指定範囲を外れている場合は,7.27.3及び9.29.3の
操作を再度行い,それでも指定範囲を外れている場合は,測定機器メーカに相談する。

10 精度及びかたより

  精度及びかたよりは,SRB-E8多孔質カーボンについて調査した値を附属書JAに記載した(内容は附属
書JA参照)。

11 記録

  試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の番号
b) 試料の名称
c) 前処理の条件
d) 用いた方法
NSA又はSTSA及びA法・B法
e) 測定結果 [0.1×103 m2/kg(0.1 m2/g)の単位まで記載]
f) 測定点数及び相対圧の範囲
g) 試験年月日
h) 測定者

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附属書JA
(参考)
精度及びかたより
JA.1 窒素吸着比表面積の精度
JA.1.1 この試験方法の精度の計算は,ISO/TR 9272:2005(参考文献[1]参照)のレベル2に従って行った。
用語及び統計上の詳細については,それを参照する。
JA.1.2 得られた精度は,測定の精度を予測するものである。精度のパラメータをカーボンブラックの合否
判定試験に用いる場合には,これらのパラメータが,対象とするカーボンブラック及び採用した試験に適
用できることを,文書で確認しておかなければならない。
JA.1.3 カーボンブラックに対して,タイプ1の試験室間試験プログラムを実施した。表JA.1にその詳細
を示す。得られた併行精度及び再現精度は,短い期間の試験状況を表すものである。
表JA.1−試験室間精度テスト
試験日 試料 試験室数
2012年4月 SRB-E8(NSA) 6
2012年4月 SRB-E8(STSA) 6
2012年6月 多孔質カーボン(A社品) 6
JA.1.4 精度の計算結果を表JA.2に示す。
JA.1.5 BET吸着比表面積の平均値に対する精度は,次のとおりである。
a) 併行精度(試験室内繰返し精度) 併行精度(r)は,0.4 %となった。表JA.2に示す値は,個々の試
料の併行精度の推定として用いることができる。二つの試験結果が,表JA.2の品種の(r)の値より
大きな差がでた場合は,疑わしいと考え,何らかの適切な精査を要する。
b) 再現精度(試験室間精度) 再現精度(R)は,3.8 %となった。表JA.2に示す値は,個々の試料の再
現精度の推定として用いることができる。二つの試験結果が,表JA.2の品種の(R)の値より大きな
差がでた場合は,疑わしいと考え,何らかの適切な精査を要する。
表JA.2−NSAによるカーボンブラック比表面積の精度
評価試料 平均 試験室内 試験室間
比表面積 Sr r (r) SR R (R)
m2/g m2/g m2/g % m2/g m2/g %
SRBE-8(N762) 36.25 0.05 0.142 0.4 0.481 1.36 3.8
JA.2 窒素比表面積のかたより
かたよりとは,平均的な測定値と標準値(真の値)との差である。測定値は,この試験方法によってだ
け求められるので,この試験方法に対する標準値というものは存在しない。したがって,かたよりを求め
ることができない。
JA.3 統計的厚さ比表面積(STSA)の精度
JA.3.1 この試験方法の精度の計算は,ISO/TR 9272:2005(参考文献[1]参照)のレベル2に従って行った。
用語及び統計上の詳細については,それを参照する。

――――― [JIS K 6217-7 pdf 10] ―――――

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JIS K 6216-1:2001の国際規格 ICS 分類一覧