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4 原理
この方法は,土壌の水分量を調整することによって,試験土壌中におけるプラスチック材料の最適な生
分解速度を与え,さらに,材料の究極生分解度を求めるために設計されたものである。
プラスチック材料は,唯一の炭素源(エネルギー源)として土壌と混合する。混合物は,酸素の消費量
(BOD)又は二酸化炭素の発生量が検出される期間中フラスコ内に保持する。BODは,例えば,呼吸計フ
ラスコの気体体積を一定に保つのに要する酸素量を測定するか,体積及び/又は圧力を自動又は手動で測
定する。適切な呼吸計の例を,附属書Aに示す。二酸化炭素発生量は,試験材料の生分解挙動に合わせた
一定の間隔で,土壌に二酸化炭素を含まない空気を通し,適切な方法で空気中の二酸化炭素量を決定する
ことによって,測定する。適切な方法の例を,附属書B及び附属書Cに示す。
生分解度は,BODと理論的酸素要求量(ThOD)との比として,又は発生した二酸化炭素量と理論発生
量(ThCO2)との比として計算し,パーセントで表す。BODに対する硝化反応の影響は考慮しなければな
らない。試験は,生分解が定常状態に到達するか,長くとも2年1) を経過したとき,終了する。
各種の有機物に対して用いられるISO 11266と違って,この規格は,プラスチック材料の生分解度を測
定するために特別に設計されたものである。
注1) 対応国際規格には,“長くとも6か月”と記載されているが,これは誤りである。
5 試験環境
培養は,密閉系の暗所又は散乱光下,微生物に有害な種々の蒸気から遮断された囲いの中で行う。培養
温度は,2028 ℃の範囲から選び,望ましくは25 ℃とする。設定温度±2 ℃の一定温度に保つ。
6 試薬
試薬は次による。
6.1 蒸留水,脱イオン水 DOC 2 mg/L以上を含まないもの。
6.2 二酸化炭素吸収剤 ソーダ石灰を用いるのがよい。
7 装置
装置は,次による。
なお,全てのガラス器具は,完全に洗浄し,特に有機物又は有害な物質が付着していてはならない。
7.1 圧力測定型閉鎖呼吸計 試験用フラスコなどの器具を含むもの。恒温室又は定温装置(例えば,恒
温水槽)の中に設置する。例として,附属書Aに示す。
注記 十分な精度で生物化学的酸素要求量を測定できる呼吸計でもよいが,酸素消費量を検知し,自
動的にその酸素を補給する装置を用いるのがよい。これによって分解過程における酸素不足及
び微生物活性の阻害が生じない。
7.2 発生二酸化炭素量を測定するための装置
7.2.1 試験フラスコ ガス漏れのない,二酸化炭素を透過させない管を備えたガラス容器(例えば,500 ml
程度の三角フラスコ又は瓶)。恒温室又は定温装置(例えば,恒温水槽)の中に設置する。
7.2.2 二酸化炭素を含まない空気の供給装置 各試験フラスコに二酸化炭素を含まない空気を数ml/min
±10 %の範囲で一定量供給できるもの(試験フラスコと供給装置とを組み合わせた例は,附属書B参照)。
ASTM D5988に示されている培養槽を選択してもよい。
7.2.3 二酸化炭素測定装置 代表的なものは,二酸化炭素赤外分析計,溶存無機炭素(DIC)分析計,塩
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基性溶液に完全に吸収した後,滴定法で測定する装置(附属書C参照)及びJIS K 6953-2に規定する重量
法で測定する装置。
7.3 分析用はかり
0.1 mg単位まで測定可能な化学天びん(秤)。
7.4 pHメータ
JIS Z 8802に規定するpH計。
8 操作
8.1 試験材料の調製
試験材料は,質量が既知で,試験に用いる分析装置で測定可能なBOD量,又は二酸化炭素発生量を生
じる十分な量の炭素を含んでいなければならない。全有機炭素量(TOC)を化学式から計算するか,又は,
適切な分析手段(例えば,元素分析,ISO 8245による測定)によって決定し,ThOD又はThCO2を計算す
る(附属書C及び附属書D参照)。
注記 高分子化合物に対する元素分析は,低分子化合物に対するよりも精度は劣るが,ThOD又は
ThCO2を計算する目的には,通常十分な精度である。
試験材料の量は,試験材料が入っていない試験土壌だけによる酸素消費量又は二酸化炭素発生量よりも
十分に大きくなる量でなければならない。100 mg300 mgの試験材料を100 g300 gの土壌に対して用い
るのが通常適切である。土壌が非常に大量の有機物を含んでいない場合は,200 mgの試験材料と200 gの
土壌とを使用するとよい。
二酸化炭素発生測定による試験の場合は,試験材料の二酸化炭素発生量と空試験の二酸化炭素発生量と
の差を大きくするために,試験材料を多めに使用できる(例えば,200 gの土壌に対して2 500 mg)。追加
で,最終マスバランスを求める場合には,更に多くの試験材料が必要になる(附属書E参照)。
フラスコにおける土壌呼吸への影響を低減するためには,必要に応じて,試験材料をあらかじめ通気し
ておくか,又は不活性物質を添加することが望ましい。
試験材料は,粉体を用いることが望ましいが,フィルム,断片又は成形品を用いてもよい。
試験試料は,低温で粉体にしてもよい。
試験材料の形状は,究極生分解度には,ほとんど影響しないことが実験によって示されている。しかし,
生分解速度は,試験材料の形状の影響を受ける。したがって,同じ試験期間で異なるタイプのプラスチッ
ク間で比較を行う場合は,同一形状の試験材料を用いることが望ましい。粉体を試験材料とする場合は,
粒度分布が分かっている細かい粒子形状のものの使用が望ましい。最大直径は,250 μmの粒度が望ましい。
試験材料が粉体でない場合は,材料の大きさが5 mm×5 mmを超えてはならない。また,試験材料の形状
によって使用する試験装置の大きさが決まる。装置の構造によって機械的な異常が発生しないことを確か
めておくことが望ましい。通常は,試験材料を加工する場合は,試験材料の分解挙動に影響しないように
する(例えば,混合物の場合は,粉体を使用する。)。
試験材料の水素,酸素,窒素,りん,硫黄含量及び分子量(例えば,サイズ排除クロマトグラフ法によ
る。)を測定することが望ましい。試験材料中に,添加剤が含まれている場合,プラスチック材料の正確な
生分解度を求めるためには,添加剤の生分解度を求めなければならない。
水に貧溶解性の物質の詳細な取扱いは,ISO 10634による。
8.2 対照材料の調製
既知の生分解性ポリマー(例えば,微結晶セルロース粉体,灰分のないセルロースろ紙,又はポリ- 戀
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ヒドロキシ酪酸)を対照材料とする。対照材料の形状及び大きさは試験材料と同じにするとよい。陰性対
象として,形状及び大きさが試験材料と同じ非生分解ポリマー(例えば,ポリエチレン)を使用してもよ
い。
8.3 試験土壌の調製
8.3.1 土壌の採集及びふるい分け
畑地,森林などの表層から採集した天然の土壌を用いる。土壌は,5 mm以下,望ましくは2 mm以下の
大きさにふるい分けし,さらに,植物材料,小石,その他不活性物を取り除く。
わら(藁)などの有機物固体は,試験中に分解されて結果に影響する可能性があるため,できるだけ取
り除かなければならない。
土壌は,予調整を行ってよいが,通常は予暴露した土壌は使用しない。特に,自然環境下での生分解挙
動を模擬する場合の土壌は,予暴露しない。試験の目的に応じて予暴露を行った土壌を用いることができ
る。試験材料の潜在的生分解度を評価する場合には,採取した土壌は,試験材料に予暴露した土壌を使用
する。この場合,試験報告書には,予暴露した土壌を用いたこと及び予暴露の詳細な方法を明記する(例
えば,予暴露した土壌での生分解度=x %)。予暴露した土壌は,種々の条件下で行っている適切な実験室
内生分解試験又は関連した環境条件が存在する場所(例えば,有機物を含む場所又は工業的処理プラント)
から採取することができる。
土壌を採集した場所,位置,植物の存在又は以前に栽培した作物,採集した日付,採集した深さ,また,
可能であれば,肥料及び殺虫剤使用履歴を記録する。
8.3.2 基準土壌の調製
8.3.1に規定する天然土壌の代わりに,基準土壌を使用してもよい。塩類を添加する前の基準土壌の成分
は表1に示す。基準土壌の使用によって,土壌の取扱い及びその通気の問題が減少するので,かさばった
土壌(ローム土壌又は粘土質土壌)の条件下でのプラスチック材料の生分解性を決定するのに非常に有効
となる。
表1−塩類を加える前の基準土壌の成分
組成 説明 乾燥質量による
配合率(%)
工業用けい砂 直径0.05 mm0.2 mmの粒子を50 %以上含む細砂 70
粘土 カオリナイト粘土(少なくとも30 %のオリナイトを含んでいる。)10
又はカルシウムベントナイト
天然土壌 8.3.1参照 16
熟成堆肥 好気的堆肥化プラントの十分に通気されていた堆肥を使用する。 4
基準土壌の微生物活性を安定させるために,少なくとも1年間成
熟した堆肥を使用するか,又は使用の前に数箇月の間老化を待つ
のがよい。
使用する堆肥は,ガラス,石又は金属片のような大きい不活性物
質のない,均一な堆肥でなければならない。手作業で不活性物質
を取り除いて,次に2 cm5 cmのふるい(篩)で堆肥を選別する。
表1で規定する土壌に,表2で示す塩類を添加して,基準土壌として使用する。水分調整の際に,塩類
を蒸留水又は脱イオン水に溶解して加えるとよい(8.3.4参照)。
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表2−表1の土壌に添加する塩類の成分
化合物名 化学式 g/kg
リン酸二水素カリウム KH2PO4 0.2
硫酸マグネシウム MgSO4 0.1
硝酸ナトリウム NaNO3 0.4
尿素 CH4N2O 0.2
塩化アンモニウム NH4Cl 0.4
基準土壌の妥当性は,ラウンドロビン試験によって検証された(附属書G参照)。
8.3.3 土壌特性の測定
試験結果を十分に解釈するため,土壌特性に関する知見を求める。選択した土壌について,少なくとも
次の検査を行うとよい。
a) 最大容水量 ISO 11274による。
b) 土壌のpH ISO 10390による。
c) 有機物含量 ISO 10694による。
8.3.4 土壌の水分含量及びpHの調整
土壌に適切量の蒸留水又は脱イオン水を添加,又は直射日光の当たらない場所で風乾後適切量の蒸留水
又は脱イオン水を添加することによって,土壌の水分含量を試験材料に適した値に調整する。土壌のpH
が,6.08.0の間に入っていない場合は,この範囲に調整する。
注記 試験土壌の最適な水分含量は,試験材料によって異なる。通常は,最大容水量の40 %60 %で
ある。
適切な生分解状態を得るためには,試験材料,又は対照材料中の有機炭素と土壌中の窒素との比率(C :
N比)において,C : N=40 : 1よりも窒素が少ない場合は,このレベルに調整するとよい。C : N比の調
整は,窒素源として,例えば,塩化アンモニウム水溶液を添加する,又は,表2に示す窒素化合物の水溶
液を使用することによって行われる。
8.3.5 土壌の取扱い及び保存
土壌は,試験に使用するまで密閉容器に入れ4 ℃±2 ℃で保存する。土壌中の微生物活性が低下しない
ように,採取した水分量を保つ。
ISO 10381-6に従い,サンプリングによって土壌微生物の活性が影響を受けないようにする。
8.4 試験の準備及び実施
次の数のフラスコを用意する。
a) 試験材料用フラスコ(略号FT)3個
b) 空試験用フラスコ(略号FB)3個
c) 対照材料を用いて土壌の活性を調べるためのフラスコ(略号FC)3個
必要に応じて,次のフラスコを用意する。
d) 試験材料の非生物的変化又は非微生物的分解を調べるためのフラスコ(略号FS)1個
e) 試験材料の阻害効果可能性を調べるためのフラスコ(略号FI)1個
それぞれのフラスコの底に土壌(8.3参照)を置き,表3に示されているように試験材料(8.1参照)又
は対照材料(8.2参照)を土壌に加える。試験混合物を含む,それぞれのフラスコの質量を記録する。試験
材料用,空試験用及び対照材料用のフラスコ数が2個の試験条件で行った場合は,これを報告書に記載す
る。
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試験材料と土壌中の微生物とをよく接触させるために,粉体の場合は,土壌と均一に混合する。また,
フィルムの場合は,できるだけ土壌に広く分散させる。また,試験材料と土壌中の微生物との接触をよく
するために,試験混合物の表面をスパチュラで圧縮することが望ましい。
非生物的な分解を検証する場合には,試験の開始に当たって微生物の活性を阻害し,さらに,試験中無
菌状態を持続した手順の細部を報告に記載する。
これらの試験フラスコを恒温環境(箇条5)に置いて,所定の温度になるまで放置する。呼吸計又は二
酸化炭素を含まない空気製造装置と必要な接続を確認し,培養を開始する。
酸素消費量測定の場合,圧力計の目盛を読み取る(手動装置の場合)又は酸素消費量の記録計が正常に
作動しているかを確認する(自動測定呼吸計の場合)(附属書A参照)。
二酸化炭素発生量測定の場合,二酸化炭素発生速度に応じた時間間隔で各フラスコから発生する二酸化
炭素量を適切な方法で測定する(附属書B及び附属書C参照)。
表3−試験材料及び対照材料の構成
フラスコ 試験材料 対照材料 試験土壌
FT 試験 + − +
FT 試験 + − +
FT 試験 + − +
FB 空試験 − − +
FB 空試験 − − +
FB 空試験 − − +
FC 土壌活性確認 − + +
FC 土壌活性確認 − + +
FC 土壌活性確認 − + +
FS 非生物的分解確認(任意) + − −
FI 阻害確認(任意) + + +
注記 + : あり − : なし
試験の途中で試験土壌の乾燥によって生分解速度が低下したと考えられる場合は,測定を停止してフラ
スコを呼吸計,又は二酸化炭素を含まない空気の製造装置から取り外す。フラスコの質量を測定し,水分
含量が試験開始時の値になるように適切量の蒸留水又は脱イオン水を添加する。フラスコを試験装置に再
び接続して酸素消費量の測定,又は二酸化炭素発生量の測定を再開する。これらの操作は,土壌微生物の
活性を阻害しないようにし,かつ,酸素消費量又は二酸化炭素発生量の測定に影響しないようにする。ま
た,実際に行った作業を,試験報告書に明記する。
BOD値,又は二酸化炭素発生が一定レベルに至り(定常期になる。),それ以上は分解が進まないと考え
られるときに,試験は,終了したとみなす。
試験期間は6か月を超えないことが望ましい。しかしながら,生分解がまだ観察されて,かつ,生分解
が定常期に到達しない場合は,その試験は延長してもよい(附属書F参照)。ただし,2年を超えない方が
よい。試験期間が6か月より長い場合は,定期的に可能性のある箇所のガス漏れを調べる。試験の延長及
び特別措置,例えば微生物を再接種したり,又は十分な栄養素を供給したりした場合には,試験報告に詳
述する。
試験終了後に,フラスコを取り出して質量を測定し,試験土壌の水分含量の減少を確認する。可能であ
るならば,残留する試験材料を適切な溶媒で土壌から抽出して質量測定をすることが望ましい。
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JIS K 6955:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 17556:2012(MOD)
JIS K 6955:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 83 : ゴム及びプラスチック工業 > 83.080 : プラスチック > 83.080.01 : プラスチック一般
JIS K 6955:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK6953-2:2010
- プラスチック―制御されたコンポスト条件下の好気的究極生分解度の求め方―発生二酸化炭素量の測定による方法―第2部:実験室規模における発生二酸化炭素の質量測定方法
- JISZ8802:2011
- pH測定方法