JIS K 6961:2014 プラスチック―制御されたスラリー系における嫌気的究極生分解度の求め方―発生バイオガス量の測定による方法 | ページ 2

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よって,作成できる(附属書C参照)。

4 試験材料及び対照材料

4.1 試験材料

  試験材料は,揮発性固形物濃度が7 g/Lから10 g/Lになるように,通常は,固体の形態で直接添加する。
試験材料は,粉体又はフィルムが望ましい。

4.2 対照材料

  粒子径20 μm未満の薄層クロマトグラフィー用微結晶セルロースを,陽性対照材料として用いる。

5 測定装置

  全てのガラス製品は,徹底的に洗浄し,さらに,確実に有機物又は毒物がないようにしなければならな
い。必要な装置は,通常の研究機器のほか,次に示すものとする。
5.1 消化容器 容器は,丈夫なガラスフラスコを用い,接続には気密性のあるコネクター及びガス透過
性のない接続チューブを用いる。6.3に示すように,ガラス容器の体積は,1.5 L以上とすることが望まし
い(附属書A参照)。
5.2 ガス体積測定装置 発生したバイオガスは,ガス収集バッグに集める。気密性のあるシリンジ又は
ガスビュレットは,ガス収集バッグに集めたガスの体積を測定するために用いる。ガスに接触する水は,
二酸化炭素の溶解を避けるために,例えば,りん酸,硫酸などを用いてpH 2未満としなければならない。
全てのコネクター及び接続チューブは,気密性があり,かつ,ガス透過性のないものでなければならない
(附属書A参照)。ガス収集バッグは,ガス透過性のない,容量3から5 Lのガス分析用サンプリングバ
ッグを用いるとよい。
5.3 溶存無機炭素の測定装置 消化容器の上澄み液中の溶存無機炭素を直接測定するために,適切な炭
素分析機器を用いる。例えば,過剰の希りん酸を加えることによって,発生する二酸化炭素の量を測定す
る(附属書B参照)。
5.4 ガス分析機器(任意) 発生したガス中のメタンと二酸化炭素濃度とを測定できる,適切な検出器及
びカラムを備えたガスクロマトグラフなどを用いてもよい。
5.5 分析機器(任意) 揮発性脂肪酸並びに全ケルダール窒素,アンモニア性窒素,全乾燥固形物(105 ℃)
及び揮発性固形物(550 ℃)を測定する機器を用いてもよい。

6 操作

6.1 概要

  消化汚泥を空気(酸素)にさらさないように,できる限り必要な予防処置をする。例えば,不活性ガス
で消化容器内を置換する。

6.2 植種源の準備

  植種源の準備は次による。
a) 消化汚泥の採取及びろ過 主に家庭用下水を処理している下水処理の消化施設から,消化汚泥を採取
する。代わりに,家畜の排せつ物又は生ごみを処理している消化施設からの消化汚泥を用いてもよい。
いずれの場合も,消化汚泥が稼働している消化施設から集められたことを確認する。消化汚泥は,目
開き2 mmのふるいでろ過する。
代わりに,試験施設で増殖させた嫌気消化汚泥を植種源として用いてもよい。試験に用いる消化汚

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泥の最終濃度は,全乾燥固形物で150 g/Lを超えてはならない。消化汚泥のpHは,7.5から8.5とす
る。
b) 消化汚泥の運搬及び保存 高密度のポリエチレン又は類似のガス不透過で膨張可能な材料から作られ
ている広口の保存容器を用いる。ガラス容器は安全性の理由で望ましくない。消化汚泥は,保存容器
の上部から1 cm以内まで満たし,蓋は,しっかり閉める。試験施設に運んだ後,容器から直接取り出
した消化汚泥を用いるか,又は,それを実験室規模の消化槽に保管する。内圧が増加しないように,
発生した過剰なバイオガスを放出する。
c) 消化汚泥の前培養 消化汚泥からのバックグラウンドのガス発生を減少し,空試験のガス発生量を減
少させるために,消化汚泥の前培養を行うとよい。5日間の前培養をすると,誘導期又は生分解期が
長くなりすぎることがなく,空試験からのバイオガスの発生が十分に減少する。
中温菌の消化汚泥から高温菌の消化汚泥を調製する場合には,約1か月かけて35 ℃から55 ℃まで
段階的に培養温度を上げることで,消化汚泥をじゅん(馴)化することができる。高温メタン菌の増
殖は,バイオガス中のメタン比率の増加によって確認することができる。
植種源は予調整を行ってもよいが,自然環境下での生分解挙動を模擬した標準状態(0 ℃,1気圧)
での試験の場合は,予暴露した植種源を使わないほうがよい。試験の目的によっては,試験報告書で
明記すれば,予暴露した植種源を使用してもよい。
必要な場合は,栄養素を消化汚泥に加えて,前培養してもよい(消化汚泥に加える微量栄養素につ
いては,附属書JA参照)。その場合は,試験報告書に,前培養をしたことを明記する。

6.3 試験の準備

  試験の準備は,次による。
a) 少なくとも次の数の消化容器を準備する。
1) 試験材料用容器(VT) 2個
2) 対照材料用容器(VR) 2個
3) 空試験用容器(VB) 2個
b) それぞれの消化容器に,1.4 Lの消化汚泥(植種源)を加える。
c) 試験終了時に,溶存無機炭素の濃度を測定するため,各容器内の消化汚泥の重量を測定し記録する。
d) 揮発性固形物として10 gから15 gを含む試験材料及び対照材料を各試験容器に加えて,不活性ガスで
混合物を10分間バブリングして置換する。同様に,試験材料又は対照材料を含まない,二つの空試験
容器を準備する。
e) 容器を培養器又は水槽に入れ,ガス収集バッグを容器に接続する。接続には,ガス透過性のないチュ
ーブ及び気密性のあるコネクターを用いる。
高温嫌気分解を模擬するためには,消化温度を55 ℃±5 ℃に設定し,中温嫌気分解を模擬するた
めには,消化温度を35 ℃±3 ℃に設定する。必要ならば,試験中に消化容器を振ることで,試験混
合物を混ぜる。

6.4 発生バイオガスの測定

  発生バイオガスは,ガス収集バッグに集め,シリンジ又はガスビュレットで測定する。ガス生成速度を
求めるために,ガス体積,気圧及び温度を測定する。測定頻度はガス生成速度に対応し,変化の大きい試
験開始直後は1日に数回,安定すれば1日に1回,変化が少なくなれば数日に1回とする。初期の段階で
は,頻繁な測定が必要であるが,時間経過とともに測定回数を減らしてもよい。

6.5 試験期間

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通常の試験期間は60日間である。定常期(2.10参照)になるまで試験を短縮しても延長してもよいが,
全試験期間が90日を超えてはならない。

6.6 溶存無機炭素の測定(附属書B参照)

  ガス体積の最後の測定のあと,試験期間の最後に,消化汚泥を消化容器の中で静置し,それぞれの消化
容器の蓋を開け,消化汚泥の上澄み液の溶存無機炭素濃度を測定する。単位は標準状態(0 ℃,1気圧)
で,上澄み液1 L当たりの溶存無機炭素のリットル量とする。溶存無機炭素を測定した後,消化汚泥のpH
を記録する。同様の方法で,空試験及び対照材料の溶存無機炭素を測定する。上澄み液を取るために,遠
心分離又はろ過をしてはならない。遠心分離又はろ過は,予期できない溶存無機炭素の損失を引き起こす。
上澄み液の分析がすぐにできない場合は,上部に空間を作らずに,上澄み液を適切な密封容器で,約4 ℃
で,最大2日間保管してもよい。

7 計算及び結果の表示

7.1 発生バイオガス量

  はじめに,それぞれの消化容器からガス収集バッグに集められたバイオガスの標準状態(0 ℃,1気圧)
における体積(V0)を計算する。バッグの中の発生バイオガス及び容器の中の消化汚泥は,熱的に平衡状
態にあり,バッグの中の発生バイオガスは室温に対応する飽和水蒸気を含んでいる。したがって,バイオ
ガスの圧力は大気圧から室温における水蒸気圧を引いたものとなり,バイオガスの体積は,式(1)で求めら
れる。
V0 V (273.15 /T)(p (1)
pw 1/) 013.25
ここに, p : 大気圧(hPa)
pw : 測定時の水蒸気圧(hPa)(表D.1参照)
V : シリンジ又はガスビュレットで計測したバイオガスの体積
(L)
V0 : 標準状態(0 ℃,1気圧)におけるバイオガスの体積(L)
T : 絶対温度で表された室温(K)

7.2 溶存無機炭素の量

  試験容器内の消化液の溶存無機炭素の量は,式(2)を用いて計算する。
VL,0 V,0DICVL (2)
ここに, V0,L : 試験容器内の消化液の溶存無機炭素の標準状態(0 ℃,
1気圧)の体積(L)
V0,DIC : 試験終了時における,1 L当たりの消化液に含まれる溶
存無機炭素の標準状態の体積(L/L)
VL : 容器内の消化液の体積(L)

7.3 生分解度百分率の計算

  生分解度百分率は,式(3)を用いて計算する。
VL,0 ( test ) ]
[Vg,0 ( test ) VL,0 (blank) ]
[Vg,0 (blank)
B 100 (3)
224.
mC,i / 120.
ここに, B : 生分解度百分率(%)
V0,g(test) : 各試験容器から発生したバイオガスの総量の標準状態
(0 ℃,1気圧)における体積(L)
V0,L(test) : 各試験容器の液中の溶存無機炭素の標準状態における
体積(L)
V0,g (blank) : 空試験容器から発生したバイオガスの総量の標準状態
における平均の体積(L)

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V0,L (blank) : 空試験容器の消化液中の溶存無機炭素の標準状態にお
ける平均の体積(L)
mC,i : 試験材料の炭素量(g)
注記 式(3)の分母は,理論的発生バイオガス量に一致する。理論的発生バイオガス量の計算方法を附
属書JBに記載する。
対照材料の生分解度百分率を計算するためには,同じ式を用いる。

8 結果の表示及び解釈

  試験材料,対照材料及び空試験の測定及び計算結果を含む表を作成する。
消化容器(空試験,試験材料及び対照材料)から発生したバイオガスの積算量を,時間の関数としてプ
ロットする。試験材料及び対照材料の生分解度(時間の関数としての生分解度百分率)をプロットする(附
属書C参照)。個々のデータ間の差が,20 %以内の場合は平均値を用いる。そうでない場合は,消化容器
ごとに生分解度をプロットする。
試験の終了時における生分解度百分率の平均値を計算し,その値を最終試験結果として報告する。

9 結果の正当性

  試験は,次の場合有効であると判断する。
a) 15日間経過後の対照材料の生分解度百分率が70 %以上。
b) 対照材料の生分解度百分率の試験容器間の差が試験終了時において20 %以下。

10 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の規格番号
b) 試験材料及び対照材料の同定に必要な情報[有機炭素の含量,理論的発生バイオガス量,化学組成及
び化学式(分かるならば),形状,外観及び試料の量/濃度]
c) 試験容器中の試験材料の濃度
d) 発生バイオガス量測定方法の詳細(例えば,用いた体積測定方式)及び溶存無機炭素の測定方法の詳

e) 植種源の情報[例えば,採取源,平均滞留時間,採取日,保管方法,取扱履歴,試験材料に対するい
かなるじゅん(馴)化,他の前培養,全乾燥固形物,揮発性固形物,懸濁液のpH値,全窒素含有量,
揮発性脂肪酸量など]
f) 各消化容器の,生分解度百分率及びバイオガスの発生量並びにそれらの平均値として得られた結果を
表形式及び図にした結果,試験材料並びに対照材料の最終生分解度百分率の結果
g) 培養温度
h) 試験終了時の試験懸濁液のpH及び溶存無機炭素
i) 誘導期,定常期,生分解期及び試験期間
j) 試験結果が棄却された場合その理由

――――― [JIS K 6961 pdf 9] ―――――

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附属書A
(参考)
ガス体積測定装置の例
A.1 概要
ガス体積測定装置の例を,図A.1及び図A.2に示す。
1 培養器 6 ガス収集バッグ
2 消化容器 7 バイオガス
3 植種源 8 シリンジ
4 バイオガス排気口 9 放出口
5 リークバルブ
図A.1−発生バイオガスをシリンジで測定する試験装置の例

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  • ISO 13975:2012(MOD)

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