JIS Q 14001:2015 環境マネジメントシステム―要求事項及び利用の手引 | ページ 7

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Q 14001 : 2015 (ISO 14001 : 2015)
標が達成されているか否かを決定するための規定された尺度に対して,定量的又は定性的な方法のいずれ
を用いることも可能であるということを意味する。“実行可能な場合”と規定しているとおり,環境目標を
測定することが実施可能でない状況もあり得ることが認識されている。しかし,重要なことは,環境目標
が達成されているか否かを決定できるのは組織であるということである。
環境指標に関する更なる情報は,ISO 14031に示されている。
A.7 支援
A.7.1 資源
資源は,環境マネジメントシステムの有効な機能及び改善のため,並びに環境パフォーマンスを向上さ
せるために必要である。トップマネジメントは,環境マネジメントシステムの責任をもつ人々が必要な資
源によって支援されていることを確実にすることが望ましい。内部資源は,外部提供者によって補完して
もよい。
資源には,人的資源,天然資源,インフラストラクチャ,技術及び資金が含まれ得る。人的資源の例に
は,専門的な技能及び知識が含まれる。インフラストラクチャの資源の例には,組織の建物,設備,地下
タンク及び排水システムが含まれる。
A.7.2 力量
この規格における力量の要求事項は,次に示す人々を含む,環境パフォーマンスに影響を与える,組織
の管理下で働く人々に適用される。
a) 著しい環境影響の原因となる可能性をもつ業務を行う人
b) 次を行う人を含む,環境マネジメントシステムに関する責任を割り当てられた人
1) 環境影響又は順守義務を決定し,評価する。
2) 環境目標の達成に寄与する。
3) 緊急事態に対応する。
4) 内部監査を実施する。
5) 順守評価を実施する。
A.7.3 認識
環境方針の認識を,コミットメントを暗記する必要がある又は組織の管理下で働く人々が文書化した環
境方針のコピーをもつ,という意味に捉えないほうがよい。そうではなく,環境方針の存在及びその目的
を認識することが望ましく,また,自分の業務が,順守義務を満たす組織の能力にどのように影響を与え
得るかということを含め,コミットメントの達成における自らの役割を認識することが望ましい。
A.7.4 コミュニケーション
コミュニケーションによって,組織は,著しい環境側面,環境パフォーマンス,順守義務及び継続的改
善のための提案に関する情報を含む,環境マネジメントシステムに関連した情報を提供し,入手すること
が可能となる。コミュニケーションは,組織の中と外との双方向のプロセスである。
コミュニケーションプロセスを確立するとき,最も適切な階層及び機能とコミュニケーションを行うこ
とを確実にするために,内部の組織構造を考慮することが望ましい。多くの異なる利害関係者のニーズを
満たすために,単一のアプローチをとることが適切な場合もあれば,個々の利害関係者の特定のニーズに
取り組むために,複数のアプローチをとることが必要になることもあり得る。
組織が受け付ける情報には,環境側面のマネジメントに関する特定の情報に対する利害関係者からの要
望を含むこともあれば,組織がそのマネジメントを遂行する方法についての一般的な印象又は見解を含む

――――― [JIS Q 14001 pdf 31] ―――――

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こともある。これらの印象又は見解は,肯定的なものもあれば,否定的なものもあり得る。後者(例えば,
苦情)の場合には,組織が迅速かつ明確な回答を行うことが重要である。その後に行うこれらの苦情の分
析は,環境マネジメントシステムの改善の機会を発見するための貴重な情報を提供し得る。
コミュニケーションは,次の事項を満たすことが望ましい。
a) 透明である。すなわち,組織が,報告した内容の入手経路を公開している。
b) 適切である。すなわち,情報が,関連する利害関係者の参加を可能にしながら,これらの利害関係者
のニーズを満たしている。
c) 偽りなく,報告した情報に頼る人々に誤解を与えないものである。
d) 事実に基づき,正確であり,信頼できるものである。
e) 関連する情報を除外していない。
f) 利害関係者にとって理解可能である。
変更のマネジメントの一部としてのコミュニケーションに関する情報を,A.1に示す。コミュニケーシ
ョンに関する更なる情報は,JIS Q 14063に示されている。
A.7.5 文書化した情報
組織は,適切で,妥当で,かつ,有効な環境マネジメントシステムを確実にするために十分な方法で,
文書化した情報を作成し,維持することが望ましい。文書化した情報の複雑な管理システムではなく,環
境マネジメントシステムの実施及び環境パフォーマンスに,最も焦点を当てることが望ましい。
この規格の特定の箇条で要求されている文書化した情報のほかに,組織は,透明性,説明責任,継続性,
一貫性,教育訓練,又は監査の容易性のために,追加の文書化した情報を作成することを選んでもよい。
もともとは環境マネジメントシステム以外の目的のために作成された文書化した情報を,用いてもよい。
環境マネジメントシステムに関する文書化した情報は,組織が実施している他の情報マネジメントシステ
ムに統合してもよい。文書化した情報は,マニュアルの形式である必要はない。
A.8 運用
A.8.1 運用の計画及び管理
運用管理の方式及び程度は,運用の性質,リスク及び機会,著しい環境側面,並びに順守義務によって
異なる。組織は,プロセスが,有効で,かつ,望ましい結果を達成することを確かにするために必要な運
用管理の方法を,個別に又は組み合わせて選定する柔軟性をもつ。こうした方法には,次の事項を含み得
る。
a) 誤りを防止し,矛盾のない一貫した結果を確実にするような方法で,プロセスを設計する。
b) プロセスを管理し,有害な結果を防止するための技術(すなわち,工学的な管理)を用いる。
c) 望ましい結果を確実にするために,力量を備えた要員を用いる。
d) 規定された方法でプロセスを実施する。
e) 結果を点検するために,プロセスを監視又は測定する。
f) 必要な文書化した情報の使用及び量を決定する。
組織は,外部委託したプロセス若しくは製品及びサービスの提供者を管理するため,又はそれらのプロ
セス若しくは提供者に影響を及ぼすために,自らの事業プロセス(例えば,調達プロセス)の中で必要な
管理の程度を決定することとなる。この決定は,次のような要因に基づくことが望ましい。
− 次を含む,知識,力量及び資源
− 組織の環境マネジメントシステム要求事項を満たすための外部提供者の力量

――――― [JIS Q 14001 pdf 32] ―――――

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− 適切な管理を決めるため,又は管理の妥当性を評価するための,組織の技術的な力量
− 環境マネジメントシステムの意図した成果を達成する組織の能力の重要性,並びにその能力に対して
製品及びサービスが与える潜在的な影響
− プロセスの管理が共有される程度
− 一般的な調達プロセスを適用することを通して必要な管理を達成する能力
− 利用可能な改善の機会
プロセスを外部委託する場合,又は製品及びサービスが外部提供者によって供給される場合,管理する
又は影響を及ぼす組織の能力は,直接的に管理するものから,限定された影響を与えるもの又は全く影響
をもたないものまで,異なり得る。ある場合には,現場で実施される外部委託したプロセスは,組織の直
接的な管理下にあることがある。別の場合には,外部委託したプロセス又は外部供給者に影響を及ぼす組
織の能力は,限定されることもある。
請負者を含む外部提供者に関連する運用管理の方式及び程度を決定するとき,組織は,次のような一つ
又は複数の要因を考慮してもよい。
− 環境側面及びそれに伴う環境影響
− その製品の製造又はそのサービスの提供に関連するリスク及び機会
− 組織の順守義務
変更のマネジメントの一部としての運用管理に関する情報を,A.1に示す。ライフサイクルの視点に関
する情報を,A.6.1.2に示す。
外部委託したプロセスとは,次の全ての事項を満たすものである。
− 環境マネジメントシステムの適用範囲の中にある。
− 組織が機能するために不可欠である。
− 環境マネジメントシステムが意図した成果を達成するために必要である。
− 要求事項に適合することに対する責任を,組織が保持している。
− そのプロセスを組織が実施していると利害関係者が認識しているような,組織と外部提供者との関係
がある。
環境上の要求事項とは,組織が利害関係者[例えば,内部機能(調達など),顧客,外部提供者]に対し
て確立し,伝達する,環境に関連した組織のニーズ及び期待である。
組織の著しい環境影響には,製品又はサービスの輸送,配送(提供),使用,使用後の処理又は最終処分
の中で発生し得るものもある。情報を提供することによって,組織は,これらのライフサイクルの段階に
おいて,有害な環境影響を潜在的に防止又は緩和することができる。
A.8.2 緊急事態への準備及び対応
組織独自のニーズに適切な方法で緊急事態に対して準備し,対応することは,それぞれの組織の責任で
ある。緊急事態の決定に関する情報を,A.6.1.1に示す。
緊急事態への準備及び対応のプロセスを計画するとき,組織は,次の事項を考慮することが望ましい。
a) 緊急事態に対処する最適な方法
b) 内部及び外部コミュニケーションプロセス
c) 環境影響を防止又は緩和するのに必要な処置
d) 様々な種類の緊急事態に対してとるべき緩和及び対応処置
e) 是正処置を決定し実施するための緊急事態後の評価の必要性
f) 計画した緊急事態対応処置の定期的なテストの実施

――――― [JIS Q 14001 pdf 33] ―――――

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g) 緊急事態に対応する要員の教育訓練
h) 連絡の詳細(例えば,消防署,流出物の清掃サービス)を含めた,主要な要員及び支援機関のリスト
i) 避難ルート及び集合場所
j) 近隣組織からの相互支援の可能性
A.9 パフォーマンス評価
A.9.1 監視,測定,分析及び評価
A.9.1.1 一般
環境目標の進捗のほかに,監視し測定することが望ましいものを決定するとき,組織は,著しい環境側
面,順守義務及び運用管理を考慮に入れることが望ましい。
監視,測定,分析及び評価のために組織が用いる方法は,次の事項を確実にするために,環境マネジメ
ントシステムの中で定めることが望ましい。
a) 監視及び測定のタイミングが,分析及び評価の結果の必要性との関係で調整されている。
b) 監視及び測定の結果が信頼でき,再現性があり,かつ,追跡可能である。
c) 分析及び評価が信頼でき,再現性があり,かつ,組織が傾向を報告できるようにするものである。
環境パフォーマンスの分析及び評価の結果は,適切な処置を開始する責任及び権限をもつ人々に報告す
ることが望ましい。
環境パフォーマンス評価に関する更なる情報は,ISO 14031に示されている。
A.9.1.2 順守評価
順守評価の頻度及びタイミングは,要求事項の重要性,運用条件の変動,順守義務の変化,及び組織の
過去のパフォーマンスによって異なることがある。組織は,順守状況に関する知識及び理解を維持するた
めに種々の方法を用いることができるが,全ての順守義務を定期的に評価する必要がある。
順守評価の結果,法的要求事項を満たしていないことが示された場合,組織は,順守を達成するために
必要な処置を決定し,実施する必要がある。この場合,規制当局とやり取りし,法的要求事項を満たすた
めの一連の処置について合意することが求められ得る。このような合意がなされた場合,それは順守義務
となる。
不順守は,例えばそれが環境マネジメントシステムプロセスによって特定され,修正された場合は,必
ずしも不適合にはならない。順守に関連する不適合は,その不適合が法的要求事項の実際の不順守には至
らない場合であっても,修正する必要がある。
A.9.2 内部監査
監査員は,実行可能な限り,監査の対象となる活動から独立した立場にあり,全ての場合において偏り
及び利害抵触がない形で行動することが望ましい。
内部監査において特定された不適合は,適切な是正処置をとる必要がある。
前回までの監査の結果を考慮するに当たって,組織は,次の事項を含めることが望ましい。
a) これまでに特定された不適合,及びとった処置の有効性
b) 内部監査及び外部監査の結果
内部監査プログラムの確立,環境マネジメントシステムの監査の実施,及び監査要員の力量の評価に関
する更なる情報は,JIS Q 19011に示されている。変更のマネジメントの一部としての内部監査プログラム
に関する情報を,A.1に示す。

――――― [JIS Q 14001 pdf 34] ―――――

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A.9.3 マネジメントレビュー
マネジメントレビューは,高いレベルのものであることが望ましく,詳細な情報の徹底的なレビューで
ある必要はない。マネジメントレビューの項目は,全てに同時に取り組む必要はない。レビューは,一定
の期間にわたって行ってもよく,また,役員会,運営会議のような,定期的に開催される管理層の活動の
一部に位置付けることもできる。したがって,レビューだけを個別の活動として分ける必要はない。
利害関係者から受け付けた関連する苦情は,改善の機会を決定するために,トップマネジメントがレビ
ューする。
変更のマネジメントの一部としてのマネジメントレビューに関する情報を,A.1に示す。
“適切(性)”(suitability)とは,環境マネジメントシステムが,組織,並びに組織の運用,文化及び事
業システムにどのように合っているかを意味している。“妥当(性)”(adequacy)とは,この規格の要求事
項を満たし,十分なレベルで実施されているかどうかを意味している。“有効(性)”(effectiveness)とは,
望ましい結果を達成しているかどうかを意味している。
A.10 改善
A.10.1 一般
組織は,改善のための処置をとるときに,環境パフォーマンスの分析及び評価からの結果,並びに順守
評価,内部監査及びマネジメントレビューからの結果を考慮することが望ましい。
改善の例には,是正処置,継続的改善,現状を打破する変更,革新及び組織再編が含まれる。
A.10.2 不適合及び是正処置
環境マネジメントシステムの主要な目的の一つは,予防的なツールとして働くことである。予防処置の
概念は,この規格では,4.1(組織及びその状況の理解)及び6.1(リスク及び機会への取組み)に包含さ
れている。
A.10.3 継続的改善
継続的改善を支える処置の度合い,範囲及び期間は,組織によって決定される。環境パフォーマンスは,
環境マネジメントシステムを全体として適用することによって,又は環境マネジメントシステムの一つ若
しくは複数の要素を改善することによって,向上させることができる。

――――― [JIS Q 14001 pdf 35] ―――――

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