JIS Q 14044:2010 環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―要求事項及び指針 | ページ 9

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
表B.7−ライフサイクルの段階に対する結果として得られた領域指標(GWP100)の体系化
単位 CO2換算kg
地球温暖化係数 物質の生産 製造プロセス 使用の段階 その他 GWPの合計
(GWP100)の原因物質
CO2 500 250 1800 200 2750
CO 25 100 150 25 300
CH4 750 50 100 150 1050
N2O 1500 100 150 50 1800
CF4 1900 250 − − 2150
その他 200 150 120 80 550
合計 4875 900 2 320 505 8600
表B.8−ライフサイクルの各段階ごとの比率で表された領域指標の構造
単位 %
GWP100 物質の生産 製造プロセス 使用の段階 その他 GWPの合計
CO2 5.8 2 20.9 2.3 31.9
CO 0.3 1.1 1.7 0.3 3.4
CH4 8.7 0.6 1.2 1.8 12.3
N2O 17.4 1.2 1.8 0.6 21
CF4 22.1 2.9 − − 25.0
その他 2.4 1.7 1.4 0.9 6.4
合計 56.7 10.4 27 5.9 100
さらに,様々な選択肢をシナリオとして調査することによって,方法論の事項についても考慮すること
ができる。例えば,配分の規則及びカットオフの選択による影響は,その結果と並行して別の前提条件を
付けた場合の結果を示したり,どの排出量が実際に発生しているかを判断したりすることによって簡単に
調べられる。
同様に,適用した場合,LCIA特性化係数の影響(例えば,GWP100対GWP500)又は正規化及び重み付け
を行うときに用いる一連のデータの選択影響は,その様々な前提条件の結果に及ぼす差異を証明すること
によって示すことができる。
B.2.8 要約すれば,特定化要素は,調査データ,情報及び知見に関して行う以降の評価のための体系化の
アプローチを提供することを目的としている。考慮すべき推奨される事柄には,特に次の事項を挙げるこ
とができる。
− 個々のインベントリデータ : 排出物,エネルギー及び材料資源,廃棄物など
− 個々のプロセス,単位プロセス又はそれらのグループ
− 個々のライフサイクルの段階
− 個々の領域指標
B.3 評価要素の例
B.3.1 一般
評価要素及び特定化要素は,同時に実施される手順である。反復手順によって,特定化要素から得られ
た結果の信頼性と安定性とを判断するため,幾つかの論点と作業とがより詳しく論じられる。

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
B.3.2 完全性点検
完全性点検は,すべての段階で得られたすべての必要な情報とデータとが用いられ,解釈に利用できる
ことを確認しようとするものである。さらに,データギャップが特定され,データ収集を完了する必要性
が評価される。特定化要素は,これらの検討事項にとって貴重な根拠となる。表B.9は,A,B二つの選
択肢の比較を含む調査の完全性点検の例を示すものである。それにもかかわらず,完全性は経験に基づく
判断にすぎず,知られている側面の主なものを忘れていないことを確認するものである。
表B.9−完全性点検の概要
単位プロセス 選択肢A 完全か・ 必要な活動 選択肢B 完全か・ 必要な活動
物質の生産 X はい X はい
エネルギー供給 X はい X いいえ 再計算
輸送 X ・ インベントリ点検 X はい
加工 X いいえ インベントリ点検 X はい
こん(梱)包 X はい − いいえ Aと比較
使用 X ・ Bと比較 X はい
使用済みの段階 X ・ Bと比較 X ・ Aと比較
X : データ入力済み
− : データ入力なし
表B.9の結果によって,幾つかの作業を行う必要があることが分かる。当初のインベントリの再計算又
は再点検を行う場合には,逆戻りすることが必要である。
例えば,廃棄物の管理方法が知られていない製品に関して,二つの起こり得る選択肢の間の比較が実施
されることがある。この比較は,廃棄物処理の段階の綿密な調査を実施するようになるか,又は設定した
目的及び調査範囲にとって,二つの選択肢の間の相違が重大ではないか,若しくは関連性がないという結
論に至る可能性もある。
この調査の基本は,要求されるインベントリパラメータ(例えば,排出物,エネルギー及び材料資源,
廃棄物),必要とされる領域指標だけでなく,要求されるライフサイクルの段階及びプロセスなどを含むチ
ェックリストを使用することである。
B.3.3 感度点検
感度分析(感度点検)は,前提条件,方法及びデータの変動が結果に及ぼす影響を判断しようとするも
のである。主に,特定された事項の中で最も重要なものの感度が点検される。感度分析の手順とは,ある
所定の前提条件,方法又はデータを使って得た結果を,変更された前提条件,方法又はデータを使って得
た結果と比較することである。
感度分析では,一般に,前提条件及びデータをある範囲(例えば,±25 %)で,変動することによって
得られる結果に及ぼす影響を点検する。両方の結果は,その後,比較される。感度は,変化の百分率,又
は結果の絶対偏差で表すことができる。これに基づいて,結果の重大な変化(例えば,10 %以上)を特定
することができる。
さらに,感度分析の実施は,目的及び調査範囲を設定するときに要求されるか,又は経験若しくは前提
条件に基づいて調査中に決定される。次に挙げる前提条件,方法又はデータの例では,感度分析が有益と
思われる。
− 配分のための規則

――――― [JIS Q 14044 pdf 42] ―――――

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
− カットオフ基準
− 境界の設定及びシステムの定義
− データに関する判断及び前提条件
− 影響領域の選択
− インベントリ結果の割り振り(分類化)
− 結果として得られた領域指標の計算(特性化)
− 正規化データ
− 重み付けデータ
− 重み付け方法
− データ品質
表B.10,表B.11及び表B.12は,LCI及びLCIAから得た既存の感度分析の結果に基づき,感度点検を
どのように行うことが可能かを示したものである。
表B.10−配分の規則に関する感度点検
無煙炭の需要 選択肢A 選択肢B 差異
質量による配分 MJ 1200 800 400
経済価値による配分 MJ 900 900 0
偏差 MJ −300 +100 400
偏差 % −25 +12.5 重大
感度 % 25 12.5
表B.10から導かれる結論は,配分は重大な影響を及ぼすということ,また,このような状況では,選択
肢Aと選択肢Bとの間に実質的な差はないということである。
表B.11−データの不確かさに関する感度点検
無煙炭の需要 物質の生産 製造プロセス 使用の段階 合計
基本ケース MJ 200 250 350 800
変更した前提条件 MJ 200 150 350 700
偏差 MJ 0 −100 0 −100
偏差 % 0 −40 0 −12.5
感度 % 0 40 0 12.5
表B.11から導かれる結論は,重大な変化が生じているということ,また,変動が結果を変えるというこ
とである。ここでの不確かさが重大な影響を及ぼす場合は,新たにデータ収集が指摘される。

――――― [JIS Q 14044 pdf 43] ―――――

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
表B.12−特性化データに関する感度点検
GWPデータのインプット 選択肢A 選択肢B 差異
/結果
CO2換算でGWP=100のス 2 800 3 200 400
コア
CO2換算でGWP=500のス 3 600 3 400 −200
コア
偏差 +800 +200 600
偏差 % +28.6 +6.25 重大
感度 % 28.6 6.25
表B.12から導かれる結論は,重大な変化が生じているということ,また,前提条件の変更が結論を変化
させる,又は結論を逆にすることさえあるということ,更に選択肢Aと選択肢Bとの差は,当初の予想よ
りも小さいということである。
B.3.4 整合性点検
整合性点検は,前提条件,方法,モデル及びデータが,製品のライフサイクルに沿って,又は幾つかの
選択肢の間で一貫しているか否かを判断しようとするものである。不整合の例としては,次のものが挙げ
られる。
a) データの出典の差異 例えば,選択肢Aが文献値であるのに対して,選択肢Bが一次データである場
合。
b) データの精度の差異 例えば,選択肢Aが非常に詳細なプロセスツリーを備え,プロセスの記述が入
手可能であるのに対して,選択肢Bが集約された一つのブラックボックスのシステムとして記述され
ている場合。
c) 技術範囲の差異 例えば,選択肢Aのデータが実験的なプロセス(例えば,パイロットプラントレベ
ルの高いプロセス効率をもつ新しい触媒)に基づいているのに対し,選択肢Bのデータが既存の量産
技術に基づいている場合。
d) 時間に関連する範囲の差 例えば,選択肢Aのデータが,最近,開発された技術を説明しているのに
対し,選択肢Bが,最近建設された工場と旧式の工場との両方を含む技術構成によって記述されてい
る場合。
e) データ年齢の差異 例えば,選択肢Aのデータが,5年前の一次データであるのに対し,選択肢Bが,
最近,収集されたデータである場合。
f) 地理的範囲の差異 例えば,選択肢Aのデータが,代表的な欧州の技術構成であるのに対し,選択肢
Bが,高いレベルの環境保護の方針をもつ欧州連合の加盟国のうちの1国,又は単一の工場を記述し
ている場合。
これらの不整合の幾つかは,目的及び調査範囲の設定に従って調整してもよい。その他のすべての場合,
重大な相違点が存在しているため,結論を出し,かつ,提言を行う前に,これらの妥当性及び影響を考慮
する必要がある。
LCI調査で行う整合性点検の結果の例を,表B.13に示す。

――――― [JIS Q 14044 pdf 44] ―――――

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
表B.13−整合性点検の結果
点検 選択肢A 選択肢B AとBとを比較 処置
データの出典 文献 OK 一次 OK 整合 特になし
データの精度 良好 OK 劣る 目的及び調 不整合 Bを再度調べる
査範囲が満
たされない
データ年齢 2年 OK 3年 OK 整合 特になし
技術範囲 最新 OK パイロット OK 不整合 調査目標のため
プラント 処置なし
時間に関連する範囲 最近 OK 実際 OK 整合 特になし
地理的範囲 欧州 OK 米国 OK 整合 特になし

――――― [JIS Q 14044 pdf 45] ―――――

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  • ISO 14044:2006(IDT)

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