JIS Q 14063:2007 環境マネジメント―環境コミュニケーション―指針及びその事例 | ページ 2

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Q 14063 : 2007 (ISO 14063 : 2006)
− 事業支援及び株主の信頼を高める。
環境コミュニケーションは,環境マネジメントシステム(EMS)を実施しているか否かにかかわらず,
あらゆる組織が対処すべき重要問題の一つである。環境コミュニケーションは,組織及び経営層の問題で
あるばかりでなく,組織の価値にも関係する。コミュニケーションプロセスを確実に成功させるためには,
組織が自己を社会の責任あるパートナとみなして,利害関係者の環境への期待に対応することが重要であ
る。

1 適用範囲

  この規格は,組織に対し,内部及び外部環境コミュニケーションについての一般的な原則,方針,戦略
及び活動についての手引を提供する。この規格は,実証され,かつ,確立されたコミュニケーションの進
め方で,環境コミュニケーションのもつ特定の条件に適応しているものを利用する。この規格は,規模,
種類,場所,組織構成,活動,製品及びサービスにかかわらず,また,環境マネジメントシステムを実施
しているか否かにかかわらず,あらゆる組織に適用可能である。
この規格は,認証若しくは登録を目的とするための,又はその他の何らかの環境マネジメントシステム
の適合性要求事項確立のための,要求事項として使用することを意図したものではない。この規格は,JIS
Q 14000ファミリー規格の他の規格と組み合わせて使用することも,単独で使用することもできる。
注記1 JIS Q 14000ファミリー規格との対照表を,附属書Aに記載する。
注記2 製品ラベル及び宣言についての特定の環境コミュニケーションツール及び指針については,
JIS Q 14021,JIS Q 14024,ISO 14020及びISO 14025を参照。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14063:2006,Environmental management−Environmental communication−Guidelines and
examples (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していること
を示す。

2 用語及び定義

  この規格で用いる用語及び定義は,次による。
2.1
環境コミュニケーション(environmental communication)
環境に関する課題,側面及びパフォーマンスについて理解の共有を促進するために,情報を提供及び入
手し,並びに内部及び外部の利害関係者との対話にかかわる,組織が実行するプロセス。
2.2
環境コミュニケーション方針(environmental communication policy)
トップマネジメントによって正式に表明された,環境コミュニケーションについての組織の全体的な意
図及び方向付け。
注記 環境コミュニケーション方針は,組織内の独立した方針となることもあれば,その他の方針の
一部となることもある。
2.3
環境コミュニケーション戦略(environmental communication strategy)

――――― [JIS Q 14063 pdf 6] ―――――

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Q 14063 : 2007 (ISO 14063 : 2006)
環境コミュニケーション方針を実施し,環境コミュニケーション目的及び目標を設定するための組織の
枠組み。
2.4
組織(organization)
法人か否か,公的か私的かを問わず,独自の機能及び管理体制をもつ,企業,会社,事業所,官公庁若
しくは協会,又はその一部若しくは結合体。
注記 複数の事業単位をもつ組織の場合には,単一の事業単位を一つの組織と定義してもよい。
(JIS Q 14001:2004,3.16)
2.5
利害関係者(interested party)
組織の環境パフォーマンスに関心をもつか又はその影響を受ける人又はグループ。
(JIS Q 14001:2004,3.13)
2.6
ターゲットグループ(target group)
組織の環境コミュニケーション活動の対象として選ばれた,単独又は複数の利害関係者。
2.7
環境コミュニケーション目的(environmental communication objective)
組織がその環境コミュニケーション戦略の一部として達成を目指して自ら設定する,環境コミュニケー
ション方針と整合する全般的な環境コミュニケーションの到達点。
2.8
環境コミュニケーション目標(environmental communication target)
環境コミュニケーション目的から導かれ,その目的を達成するために目的に合わせて設定される詳細な
パフォーマンス要求事項で,組織に適用されるもの。

3 環境コミュニケーションの原則

3.1 一般

  組織は,その環境コミュニケーションに,次の原則を適用することが不可欠である。

3.2 原則

3.2.1  透明性(transparency)
環境コミュニケーションに用いるプロセス,手順,方法,データ源及び決めごとを,要求される情報の
守秘性を考慮に入れながら,すべての利害関係者が使用できるようにする。環境コミュニケーションにお
ける自らの役割を利害関係者に通知する。
3.2.2 適切性(appropriateness)
環境コミュニケーションにおいて提供される情報を,利害関係者の関心及びニーズを満たす様式,言葉
並びに媒体を使用して,利害関係者が十分に参加できるように,利害関係者にとって適切なものとする。
3.2.3 信ぴょう(憑)性(credibility)
環境コミュニケーションは,誠実,かつ,公正に実行する。また,偽りなく,正確で,実体を示し,か
つ,利害関係者へ誤解を与えることのない情報を提供する。一般に承認された,再現可能な方法及び指標
を用いて情報及びデータを作成する。
3.2.4 対応性(responsiveness)

――――― [JIS Q 14063 pdf 7] ―――――

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Q 14063 : 2007 (ISO 14063 : 2006)
環境コミュニケーションは,利害関係者のニーズを広く受け入れることを確実にする。利害関係者の質
問及び懸念には,的確,かつ,迅速に対応する。利害関係者に,その質問及び懸念がどのように取り扱わ
れたかを知らせる。
3.2.5 明りょう(瞭)性(clarity)
環境コミュニケーションの進め方及び用いる言葉は,できる限りあいまいさをなくすために,利害関係
者にとって理解しやすいものであることを確実にする。

4 環境コミュニケーション方針

4.1 経営層のコミットメント

  組織のトップマネジメントは,環境コミュニケーション方針を定め,その方針に対するコミットメント
を表明し,推進するとよい。その方針は,箇条3の原則に整合し,更に,次の事項を明記するとよい。
a) 利害関係者との対話にかかわるというコミットメント
b) 環境パフォーマンスについての情報を開示するというコミットメント
c) 組織における内部及び外部環境コミュニケーションの意義
d) 方針を実施し,必要な資源を提供するというコミットメント
e) 重要な環境課題に対応するというコミットメント
環境コミュニケーション方針は,組織のコミュニケーション方針若しくは環境方針の一部を構成するも
のでも,それに統合されたものでもよく,又は独立した一つの方針としてもよい。

4.2 方針の策定

  組織内の環境マネジメント担当者が方針を策定するときには,コミュニケーション担当者と連絡を取り
合い,方針が,組織の他の原則,方針及び価値に整合し,矛盾しないものとなるようにするとよい。その
結果,すべての階層の管理者は,方針を実施し,方針の作成及び修正のためのインプットを提供するとよ
い。
環境コミュニケーション方針は,詳細である必要はないが,組織が環境課題,環境側面及びそれに伴う
影響,並びに環境パフォーマンスについてのコミュニケーションを重視していることを利害関係者に対し
て伝えるものであるとよい。環境コミュニケーション方針を策定するときは,組織のビジョン,使命,価
値及び文化が,基本的役割を果たすとよい。組織は,適宜,地方,地域及び/又は国家の文化的特性を環
境コミュニケーション活動に反映するように,方針においてコミットメントするとよい。
環境コミュニケーション方針の策定において,考慮するとよい重要要因には,次の事項を含む。
− 組織の事業部門,及びその製品又はサービスの構成
− 組織の規模
− 組織のインフラストラクチャー
− 企業統治
− 市場及びブランド戦略
− 環境マネジメントシステムの存在
− 環境側面及び環境影響の考慮
− 安全衛生及びその他の持続可能性への取組みのような,関連する側面との相互作用
− 環境情報の開示についての法的要求事項
− 地方,地域,国家及び国際的な倫理/行動の自主的規範

――――― [JIS Q 14063 pdf 8] ―――――

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Q 14063 : 2007 (ISO 14063 : 2006)
− 利害関係者の期待
− 一般の人々の“知る権利”
方針は,適宜,内部及び外部両方の利害関係者に伝達するとよい。

5 環境コミュニケーション戦略

5.1 一般考慮事項

  組織の経営層は,組織の環境コミュニケーション方針を実施するための戦略を策定するとよい。戦略に
は,環境コミュニケーションの目的,利害関係者の特定,組織が計画するコミュニケーションの時期及び
内容の明確化,並びに適切な資源の配分についての経営層のコミットメントを含めるとよい。組織は,最
善,かつ,現実的に利害関係者の期待を満たすことができるように,その資源を考慮に入れ,何ができる
かを明らかにするとよい。
一般に,環境コミュニケーションは組織の環境活動の一部であるという事実を考慮し,その他のマネジ
メントシステム,方針,戦略又は関連の活動の要素と整合させるとよい。
実践の手引1−環境コミュニケーション戦略の策定
環境コミュニケーション戦略を策定するときは,次のような問いを役立てることができる。
− 組織は,なぜ環境コミュニケーションを行っているのか,また,その目的は何か。
− 組織の重要な環境課題及び環境影響は何か。
− 対象とすべき主要な課題,伝えるべきメッセージ,並びにコミュニケーションの技法,進め方,
ツール及びチャネルで使用できるものは何か。
− 戦略を実施するためにどのくらいの時間を必要とするか。
− 戦略が,環境管理者,利害関係者,環境課題を担当する個人,並びに組織の内部及び外部のコミ
ュニケーションを担当する個人をどのように参画させ,協調させようとしているか。
− 戦略上の地方,地域,国家及び国際的境界をどこに置くか。
戦略は,立案した後,トップマネジメントによって承認を受け,組織の環境コミュニケーション活動の
基礎として用いるとよい。

5.2 環境コミュニケーション目的の設定

  組織は,環境目的を設定するとよい。その目的は,効果的な環境コミュニケーション戦略の基礎を提供
することができるので,有用である。環境コミュニケーション目的を設定するとき,組織は,外部及び内
部の利害関係者の見解を考慮に入れて,環境コミュニケーション方針に確実に整合させるとよい。また,
箇条3の環境コミュニケーションの原則に確実に整合させるとよい。環境コミュニケーション活動の目的
を設定するに当たって,組織は,定めた目的が更なる説明を要しないような方法で表現されることを確実
にし,組織の優先順位及び望まれる成果を考慮するとよい。
実践の手引2−目的を設定するための優先順位
目的を設定するための優先考慮事項には,次の事項を含めてもよい。
− 組織の特定の活動,製品及びサービスに関係する環境課題
− 適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項の順守
− 環境課題に関する公共政策への影響
− 組織の環境活動,環境側面,環境影響及び環境パフォーマンスについての情報提供,並びに利害

――――― [JIS Q 14063 pdf 9] ―――――

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Q 14063 : 2007 (ISO 14063 : 2006)
関係者の理解の促進
− 環境情報に関する利害関係者の期待への合致
− 環境事項についての継続的対話の確立
− 内部及び/又は外部での対立の最小化
− 組織の信ぴょう(憑)性及び評判の改善
− 組織の製品及びサービスの認知度及び環境イメージの改善
− 環境上の革新及び創造性の促進
目的とその目標との関係の例を,6.1.3の実践の手引5に示す。

5.3 利害関係者の特定

  環境コミュニケーション戦略を策定し,目的を設定するとき,組織は,その活動,製品及びサービスに
関心を示している内部並びに外部の利害関係者を特定するとよい。さらに,環境コミュニケーション戦略
の目的全般を達成するために,組織がコミュニケーションを行うことを望むその他の潜在的利害関係者も
特定するとよい。
その結果,より具体的な環境コミュニケーション活動のためのターゲットグループを特定する(6.1.4参
照)。
実践の手引3−利害関係者の例
組織によって考慮され得る利害関係者の例には,次のようなものがある。
− 過去,現在及び将来の従業員並びにその代表者
− 顧客及び消費者
− 供給者,請負者,卸売業者及び流通業者
− 競合者
− 株主
− 銀行及び金融業界/投資業界
− 保険会社
− 格付機関
− 公共団体
− 立法機関
− 規制/監督機関
− 政治家及びオピニオンリーダ
− 近隣の人々及び地域社会
− サプライチェーン組織に関連する団体
− 教育機関,学者及び研究者
− 環境課題に取り組む専門家
− メディア機関
− 非政府組織

5.4 資源に関する課題の検討

  組織の環境コミュニケーション活動は,利用可能な資源に依存する。環境コミュニケーション戦略には,
人的,技術的及び財務的な資源の配分,定められた責任及び権限,並びに定められた活動を含めるとよい。
従業員の経験及び教育訓練の必要性を考慮するとよい。

――――― [JIS Q 14063 pdf 10] ―――――

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