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番号 用語 定義 対応英語(参考)
3308 粒成長 加熱中に粉体及び焼結体を構成する粒子が成長する現象。 grain growth
3309 常圧焼結 大気圧の雰囲気下での焼結法。 pressureless sintering
3310 反応焼結 reaction sintering
特定の原料を組み合わせることによって,加熱中に化学反
応と焼結とを同時に行わせる焼結法。
注記 窒化けい素(Si3N4)ではSi粉末の加圧成形体を窒素
を含む非酸化性雰囲気下において加熱し,窒化させ
ながら焼結をさせる。
3311 ホットプレス hot pressing
カーボン,アルミナなどの耐熱型内に粉末を充し,加圧
下で加熱し,形状付与と焼結を同時に行う焼結法。
3312 HIP(ヒップ) hot isostatic pressing
高温下で圧力媒体を介して等方的に加圧し,粉体・粉末成
(HIP)
形体又は予備焼結体の緻密化を促進する装置又は操作。熱
間静水圧プレス又は熱間等方圧焼結ともいう。
3313 ガス圧焼結 加圧したガス雰囲気下で焼結する方法。 gas pressure sintering
注記 窒化けい素又はサイアロン系の焼結に用いられる。
3314 雰囲気焼結 焼成時の雰囲気を調整した焼結法。 controlled-atmospheric
sintering
注記 アルミナの焼結を水素雰囲気で行い,高密度化を達
成する。
3315 還元焼成 reduction firing
還元雰囲気又は低酸素分圧に制御しながら焼成する方法。
注記 雰囲気焼結の一種で,材料が酸化しないように焼成
する目的で行う。
3316 自己燃焼焼結 self combustion
発熱を伴う化学反応を利用して,化合物を構成する元素の
sintering
混合圧粉体(ガスを反応源とするものも含む。)から直接
緻密な焼結体を得る方法。
3317 低温焼成法 low-temperature firing
特定の材料を通常焼結する温度よりも低温で焼結させる
方法。
注記 液相を生成する焼結助剤を添加する方法,原料粉体
の活性を高め,低温で焼結させる方法などがある。
3318 相分離 phase separation
ガラスをガラス転移点よりやや高い温度に加熱したとき,
組成の異なる2種類のガラス相に分離する現象。
注記 ほうけい酸塩ガラスから多孔質ガラスを作るのに利
用する。
3319 超急冷法 溶湯状態の金属,酸化物などを毎秒105106 K程度の速い
splat cooling
冷却速度で急冷凝固させる方法。
注記 結晶の核生成及び成長速度よりも速くガラス転移温
度以下に冷却させることによって,アモルファス材
料を得ることができる。リボン,線,粉末などの製
造に適用。
3320 同時焼成 co-firing,
セラミックスと塗布された金属電極などとを同時に焼成
する方法。 co-fire metallization
注記 セラミック基板,積層セラミックコンデンサなどの
製造に用いられる。Cuなどの卑金属を用いた場合,
低温で同時焼成を行う必要がある。
3321 固相焼結 solid state sintering
固体粉末の圧密集合体を溶融点以下の温度で加熱して焼
き固める過程で,固相状態だけで物質移動が起こり焼結す
る方法。
注記 加熱中に溶融物が生成して緻密化する液相焼結と区
別される。粉体のもつ表面エネルギーが駆動力とな
って焼結が進む。炭化けい素の焼結は,この代表例
である。
――――― [JIS R 1600 pdf 31] ―――――
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R 1600 : 2011
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3322 ひけ a) urn-off
a) 施ゆう(釉)のうわぐすりが薄過ぎたり,焼き過ぎた
りして素地が露出している欠点。 b) low-hole
注記 製品の縁部に生じやすい。
b) 乾燥,焼成,冷却などの過程で外部が早く固まり,内
部に収縮による空隙又は亀裂が生じた欠点。引け巣。
3323 ボイド 素地又は焼結体の内部に生じる大きな空隙。 void
注記 加圧時の圧力伝ぱ(播)のむら,鋳込み成形時の気
泡の巻込みなどの原因で生じる。個々の構成粒子間
の非接触部による気孔(pore)と区別される。
3324 電鋳 electrocast
調合原料を電気炉の高熱によって完全に溶融し,鋳型に注
入して所定形状にすること。
注記 溶融アルミナ及びマグネシアがこの方法で製造され
る。
3325 アーク炉 (electric) rc furnace
炭素又は黒鉛質電極間のアーク(弧状)放電によって生じ
る高熱を直接又は間接に利用する電気炉。
注記 密閉及び解放その他種々の形式のものがある。
2 000 ℃以上の高融点セラミックスの溶融に用いら
れる。
3326 高周波誘導炉 高周波電流を利用した炉。 high-frequency
注記 加熱炉,溶解炉などがある。高周波であるため2次induction furnace
側が環路を作らなくても誘導作用が大きくて速やか
に加熱できる。通常は,円筒形るつぼの周囲に1次
線輪を巻き,2次側はるつぼ内の被熱物(多くは金
属)が成り,その間で誘起された電流で被熱物自ら
が熱せられる。
3327 マイクロ波加熱 マイクロ波を用いて加熱する方法。 microwave heating
注記 波長が1 mm1 mの領域の電波をマイクロ波とい
い,この電界の中に絶縁物(誘電体)を置くと誘電
体構成分子は分極を起こし,交番電界であるので分
子は回転又は振動し,摩擦熱によって発熱する。物
質自体が発熱体となり内部も外部も一様に加熱で
き,加熱が速く効率も良いので素地の乾燥や焼結に
用いられている。
3328 プラズマ焼結 plasma sintering
直接又は高周波によるアーク放電によって被熱物を包む
気体を電離して高温のプラズマを作り(プラズマトーチと
いう。),この中で圧粉体を焼結すること。
注記 比較的雰囲気が自由に得られ,また,加熱時間が短
く粒成長の少ない焼結体が得られる。
3329 放電プラズマ焼結 型枠とその中に充された粉体との間にパルス状の直流 spark plasma sintering
電流を通電し,そのとき発生する熱及び加圧により焼結す
る手法。
注記 SPS法とも呼ばれる。ホットプレス,HIPとともに
緻密焼結の手法として注目されている。パルス通電
焼結法(PECS),パルス通電加圧焼結法(PECPS),
FAST法とも呼ばれる。
3330 黒鉛化 非晶質の炭素材を六方晶の黒鉛結晶にする工程。 graphitization
注記 工業的には,炭素質焼結体を通電加熱によって
2 500 ℃以上に加熱して行う。
――――― [JIS R 1600 pdf 32] ―――――
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R 1600 : 2011
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3331* 高純度処理 黒鉛の純度を高めるための処理,又は方法をいう。 high purity treatment
注記 約2 000 ℃以上の加熱下に置かれた被処理物にハロ
ゲンガスを接触させ,黒鉛中の不純物を低沸点のハ
ロゲン化合物にして蒸発させ,高純度化する熱化学
的方法。
4) 単結晶
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3401 水熱合成法 hydrothermal synthesis
高温高圧の水に目的化合物を溶解し,温度勾配の元で,種
子結晶の表面に結晶を成長させる結晶育成方法。
注記 大型単結晶の育成に当たっては,高温高圧水で満た
された加圧容器の上下に温度勾配をつけ,下部で原
料を溶解し,上部の種子結晶上に新しい結晶を析出
成長させる。水熱育成法ともいう。
3402 引上げ法 crystal pulling method
るつぼ中で融解した原料融液に種子結晶を浸して,回転さ
せながら,僅かな温度勾配の下で,徐々に引き上げて単結
晶を成長させる結晶育成方法。
注記 大形のSi単結晶の育成に用いられている。チョクラ
ルスキ法,又はCZ(シーゼット)法ともいう。
3403 フラックス法 flux method
無機塩を溶媒として,原料を高温で溶解し,飽和状態から
徐冷することで結晶を析出させる結晶育成方法。
注記 用いる無機塩をフラックスと呼び,原料中にフラッ
クス成分が固溶しない系を選択する必要がある。通
常は微細な単結晶が得られる。
3404 ブリッジマン法 Bridgman method
高温で融解した原料に温度勾配をつけて,低温部から結晶
を成長させる結晶育成方法。
注記 るつぼ中で原料を融解し,るつぼの端から徐々に固
化させるか,温度勾配をつけた電気炉中をるつぼを
徐々に移動させて結晶を成長させる。
3405 ベルヌーイ法 Verneuil method
酸水素炎の倒立バーナー中に原料粉末を一定量ずつ落下
させ,半溶融状態にして種子結晶上に堆積させる結晶育成
方法。
注記 種子結晶のほかに,耐火支持棒上に生成した核を用
いることもある。
3406 浮遊帯溶融法 floating zone melting
多結晶棒の一部分を加熱し融解した帯状の部分を移動さ
せる結晶育成方法。 method
注記 単結晶の育成と同時に,不純物を融液中に集めるこ
とで高純度化も可能である。浮遊帯の英語名
(Floating Zone)からFZ(エフゼット)法とも呼ば
れる。
3407 ブール boule
ベルヌーイ法又は引上げ法で作った円柱状の人工単結晶。
火炎加水分解で作った光ファイバ母材も指す。
――――― [JIS R 1600 pdf 33] ―――――
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R 1600 : 2011
5) 成膜・塗膜
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3501 CVD(シーブイディ chemical vapor
気化した原料から化学反応を伴って粉末又は固体薄膜を
ー)法 作製する方法の総称。 deposition
注記 化学気相成長法ともいう。気化した原料にエネルギ
ーを与える方法によって,熱CVD,プラズマCVD,
光CVDなどに分類される。また,反応部の圧力に
よって,減圧CVD,大気圧CVDなどとも分類され
る。
3502 PVD(ピーブイディ physical vapor
原料を気化したのち固体化する方法の中で,物理的状態の
ー)法 変化を利用する製膜方法の総称。 deposition
注記 物理気相成長法ともいう。スパッタリング法,真空
蒸着法,PLD法などがある。化学反応を伴う方法で
もこれらの装置を用いるときはPVD法に分類する
ことも多い。
3503 蒸着法 vapor deposition
減圧下で原料物質を加熱蒸発させ,基板上に凝縮する製膜
方法。
注記 蒸発の方法によって,真空蒸着,EB(エレクトロン
ビーム)蒸着,又は高真空で微量の蒸着をする場合
はMBE(分子線ビーム蒸着)などと呼ぶ。
3504 スパッタリング 1010−1Paの雰囲気中で,プラズマ状態を発生させ,気相
sputtering
中に存在するガスをイオン化し,ターゲットに衝突させ,
飛び出した分子又は原子を基板上に堆積させる薄膜形成
法。
注記 ターゲット表面を清浄化する場合にも用いられる。
イオン化させるガスはスパッタガスと呼ばれ,Ar,
Krなどの不活性ガスを用いることが多い。プラズマ
の発生方式で,DCスパッタ,RFスパッタ,ECRス
パッタなどに分類される。
3505 メタライズ法 metallizing
金属を主成分とする薄い層を材料表面に形成し,これを加
熱して金属被膜とする方法。
注記 メタライズ膜形成,電極形成,配線形成,接着,気
密封着などに応用される。皮膜形成の方法として,
高融点金属法,金属酸化物法,活性金属法などがあ
る。メタライジングともいう。
3506 溶射 thermal spraying
棒状又は粉末状の金属又はセラミックスを高温の火炎中
に送り込み,これを溶融状態の微小液滴として噴射し,目
的物に衝突させ,その表面に被覆層を形成する方法。
3507 イオンプレーティ ion plating
真空容器内の低圧ガスに電界をかけてプラズマを発生さ
ング せ,これによって蒸発源からの蒸発粒子をイオン化して基
板表面に蒸着させる薄膜形成法。付着力が通常の蒸着法よ
り強いことに特長がある。
3508 イオン注入法 ion implantation
イオン化された粒子を電場で加速してターゲットに打ち
込むことによってターゲットの格子中に新たな元素を加
える方法。主として表面を改質するために用いられる手
法。
注記 通常,イオン注入によって導入された欠陥を高速熱
処理によって注入層を活性化させるプロセスが必要
とされる。近年では,素子の小型化に対応し,10 nm
以下の極浅領域へのイオン注入が着目されている。
――――― [JIS R 1600 pdf 34] ―――――
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R 1600 : 2011
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3509 ディッピング dipping
基板を溶液又はスラリに浸し,引き上げてから,乾燥・焼
成し,被膜を形成する方法。厚膜及び薄膜が形成できる。
3510 スピンコーティン spin coating
基板に塗布液を滴下し,スピンコータによって高速回転
グ し,遠心力によって塗膜を均一な薄膜にする方法。簡便な
薄膜形成法であり,膜厚を回転速度塗膜の性質によって精
度よく制御できる。ゾル−ゲル法コーティングなどに用い
られる。
3511 ゾル−ゲル法コー sol-gel coating
ゾル−ゲル法によるセラミックスを薄膜化又は被覆する
ティング 方法。前駆体溶液を基板や被塗布物にディップコーティン
グ又はスピンコーティングによって塗膜し,加熱処理する
ことによってセラミックス薄膜の形成を行う方法。
3512 電気泳動法 electrophoretic
微粒子の懸濁液又はコロイドに直流電流を加え,粒子を移
deposition
動させる方法。この方法を用いてガラス又はセラミックス
のコロイド溶液から基板上にガラス若しくはセラミック
スの薄膜を形成することができる。
3513 厚膜法 thick film processing
広義には,ペースト(インク)状にした粉体を基板上に印
刷又は塗布(ディッピング)後,乾燥,焼成して,所定厚
さ(約 数 及び所定形状をもった膜の形成方
法。狭義には,スクリーン印刷法によって,セラミック基
板上に機能素子パターンを作り,これを焼成して電子回路
基板を作る方法。
注記 一般には10 上を厚膜とすることが多い。
3514 スクリーン印刷法 screen printing
謄写版と同じ原理によって,所定のスクリーンパターン
を,厚膜ペースト(インク)を用いてグリーンシート又は
焼結セラミック板上に転写する方法。IC基板の回路配線,
コンデンサ及び圧電体の電極又は機能素子の形成に用い
る。
3515 厚膜印刷法 thick film printing
スクリーン印刷法を用いて,厚膜ペーストをグリーンシー
ト又は焼結セラミック板上に印刷してパターンを形成す
る方法。厚膜印刷によって形成された回路を,厚膜回路と
いう。
3516 印刷積層法 printing lamination
スクリーン印刷法によって,基板上に性質の異なる厚膜ペ
ーストを交互に繰り返し印刷することによって積層体を
作る方法。厚膜回路の形成に用いる。
3517 カバーコート cover coat
セラミック基板上に実装された機能素子及び配線の劣化,
機能低下の防止のために,これらの表面に,印刷法,ディ
ッピングなどによって形成した,緻密なセラミックス又は
樹脂の被覆膜。
6) 加工
番号 用語 定義 対応英語(参考)
3601 切削加工 cutting
バイトなどの切削工具を工作物と相対運動をさせて,切り
くずを出しなから行う除去加工。
注記 強制切り込み加工の一種で,旋盤加工,フライス盤
加工及びボール盤加工に細分される。セラミックス
では,主に,成形体加工のときに使われる。
――――― [JIS R 1600 pdf 35] ―――――
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JIS R 1600:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 20507:2003(MOD)
JIS R 1600:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.060 : セラミックス > 81.060.30 : ニューセラミックス