JIS R 3255:1997 ガラスを基板とした薄膜の付着性試験方法 | ページ 2

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図4 針荷重と信号出力との関係を示す典型的な例
参考 A点,C点がそれぞれ臨界損傷,完全損傷の発生に対応する。B点近辺の荷重がこの膜の付着力を代表す
ることが多い。試料はガラス基板上の膜厚300nmのTiN膜である。
信号出力は,(加振電圧−センサ出力)を積分したもので摩擦応答信号を与える。
7.3 付着性試験 マイクロスクラッチ法による薄膜の付着性試験は,次による。
(1) 試験条件 試験条件は,次による。
(a) 試験は,温度23±5℃,湿度65%以下で,ちりの少ない環境の下で行う。
(b) 試験片及び圧子針の表面は,適切な溶剤を用いて洗浄する。
(c) 半球状圧子針の先端曲率半径は,5100
(d) カンチレバーの弾性コンプライアンスは,13N/mmとする。
(e) 針荷重負荷速度は,220mN/sとする。
(f) カートリッジに加える微小振動の周波数は,30Hz程度とし,振幅は,5100
(g) スクラッチ速度は,520 一
(2) 標準試験片による校正 標準試験片による校正は,次による。
(a) 半球状圧子針を交換したときは,標準試験片を用いて使用頻度の高い試験条件の下で試験を行い,
標準試験片の損傷状態と臨界荷重の値との参照データをとっておく。
(b) 実試験を行う前に,(a)で行ったのと同じ条件で標準試験片による付着力試験を行い,圧子針の摩耗
状態を調べる。試験結果が(a)の参照データと大きく異なるときは,圧子針を交換する。
(c) 実試験終了後,(b)と同じ条件で標準試験片による付着力試験を行い,実試験の間に圧子針に大きな
損傷又は摩耗が生じていないことを確認する。
(3) 試験操作手順 試験操作手順は,次による。
(a) 試験条件を設定する。
(b) 試験片を試験台に固定し,試験を開始する。
(c) 試験中は,計測制御部を介して圧子針先の振動状態をセンサ出力信号を基に監視すると同時に連続
的に自動記録させる。
(d) センサ出力信号に大きな変動が現れたら,圧子針を試験片から離し試験を終了する。
(e) 試験は,試験片表面の試験箇所を変えて同じ条件で2回以上行う。
(f) 記録したセンサ信号を基に,試験片の損傷状態を顕微鏡で確認し,付着力を決定する。

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7.4 付着力の表示 付着力は,試験条件と臨界損傷荷重の値,完全損傷荷重の値,又はそれらに基づい
て算出したせん断応力[式(1)参照]をもって表示する。この場合,試験条件と共に,標準試験片の付着力
の値を100とした場合の相対値も表示することが望ましい。
また,単純な損傷状態でない場合には,付着力の判定基準も付記する。
8. マイクロインデンテーション試験方法
8.1 測定原理 測定原理を示す模式図を図5に示す。試験片を圧子針押込み方向に対して角度 けて設
置する。試験片に先端の曲率半径が一定のルビー又はダイヤモンド製圧子針を押し付けて荷重を加える。
押込み深さの増加に伴って針荷重も増加する。圧子針と試験片の接触領域に作用する応力が臨界値に達す
ると,接触部の山側の縁に沿って破壊が進行し,応力の増加に伴って逐次薄膜のはく離が圧子針と試験片
間の接触部全域に伝搬する。
図5 マイクロインデンテーション試験方法の
測定原理の模式図
典型的な針荷重と押込み深さの関係を表す曲線を,図6に示す。

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図6 針荷重と押込み深さとの関係を示す典型的な例
参考 A点C点がそれぞれ臨界損傷,完全損傷の発生に対応する。B点近辺の荷重がこの膜の付着力を表すこと
が多い。
薄膜のはく離現象は,針荷重の変動としてとらえることができる。単層膜の場合,最初の針荷重の異常
変動は臨界損傷に,2番目の針荷重変動は完全損傷に起因することが多い。
付着力は,臨界損傷荷重の値と完全損傷荷重の値,又は式(2)によって計算した接触領域に生じる平均せ
ん断応力によって表示する。
1 v
1( 2v) os 3 sin W
2 8
2

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                                    2 2(R      )
ここに, 押込み部域に発生した平均せん断応力 (Pa)
R : 圧子針先端の曲率半径 (m)
滿 ガラス基板のポアソン比
燿 試験片の圧子押込み方向に対する傾斜角 (°)
W : 臨界損傷荷重又は完全損傷荷重 (N)
臨界損傷荷重又は完全損傷荷重を与える押込み深さ (m)
8.2 測定装置 測定装置は,次の(1)傾斜試料台,(2)圧子針,(3)圧子針駆動部,(4)針荷重検知部,(5)押
込み深さ検知部及び(6)制御測定部から構成する。
装置構成及びパラメータの一例を図7に示す。

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図7 マイクロインデンテーション試験方法の
装置構成及びパラメータの一例
(1) 傾斜試料台 傾斜角 歟 じて適宜選択が可能であるが,通常 燿 30°の傾斜試料台を使用する。
試料は,両面粘着テープによって固定する。
(2) 圧子針 圧子針の材料と先端半径は試料に応じて適宜選択するが,通常 先端形状が半球状で,曲率半
径が5 ビー製のものを使用する。
(3) 圧子針駆動部 圧子針駆動部は,粗調駆動部と精密駆動部とからなり,粗調駆動は0.51 源
精度で制御可能なステッピングモーターによって行い,精密駆動には0.1100nm/sの範囲で押込み速
度を精密に制御できるアクチュエータを用いる。
(4) 針荷重検知部 針荷重検知には,測定分解能が9.8×10−8N以上のデジタル式はかりを用いる。
(5) 押込み深さ検知部 押込み深さの検知には,測定分解能が4nm以上の非接触型変位計を用いる。
(6) 制御測定部 圧子針駆動部の制御,針荷重及び押込み深さのデータ収集,データ解析などは,パーソ
ナルコンピュータによって行う。
8.3 付着性試験方法 マイクロインデンテーション試験による薄膜の付着性試験は,次による。
(1) 試験条件 試験条件は,次による。
(a) 試験は,温度23±5℃,湿度65%以下で,ちりの少ない環境の下で行う。
(b) 試験片及び圧子針の表面は,適切な溶剤を用いて洗浄する。
(c) 半球状圧子針の先端曲率半径は,0.1100
(d) 圧子針の材料は,ルビー又はダイヤモンドとする。
(e) 圧子針の押込み速度は,0.1100nm/sとする。
(f) 針荷重の測定分解能は,9.8×10−8N以上とする。
(g) 圧子針の押込み深さの測定分解能は,10nm以上とする。
(h) 圧子針の押込み深さの測定には,非接触型変位計を用いる。
(2) 標準試験片による校正 標準試験片による校正は,7.3(2)による。
(3) 試験操作手順 試験操作手順は,次による。
(a) 圧子針先端部及び試験片の表面を適切な溶剤を用いて洗浄する。
(b) 試験片を傾斜試料台に両面粘着テープを用いて固定する。

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(c) 圧子針を一定の押込み速度で試験片に押し付ける。
(d) 針荷重出力と押込み深さを監視すると同時に連続的に自動記録させる。
(e) 針荷重に異常変動が現れた後,圧子針を試験片から離し試験を終了する。
8.4 付着力の表示 付着力の表示は,7.4による。
9. 報告 測定結果は,次の項目について報告する。
(1) 成膜方法
(2) 試験方法の名称
(3) 測定年月日
(4) 測定場所
(5) 測定時の温度
(6) 付着力の値
(7) 圧子針の材料及び先端の曲率半径
(8) その他必要な事項(例えば,試料の保管環境)
原案作成委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 金 原 粲 金沢工業大学工学部
(委員) 富 田 育 男 通商産業省生活産業局
岡 林 哲 夫 工業技術院標準部
加 藤 英 男 財団法人日本規格協会
藤 井 兼 栄 工業技術院大阪工業技術研究所
馬 場 茂 成蹊大学工学部計測理数工学科
岩 田 誠 一 株式会社日立製作所中央研究所
水 橋 衛 株式会社旭硝子総研
生 水 利 明 オリンパス光学工業株式会社
辻 修 株式会社島津製作所試験計測事業部
木 村 文 人 株式会社ニコン眼鏡事業部眼鏡技術部
角 俊 雄 日本板硝子テクノリサーチ株式会社筑波事業所
高 橋 善 和 日本真空技術株式会社筑波超材料研究所有機材料部
塚 本 雄 二 日本電気株式会社機能エレクトロニクス研究所記憶研究部
篠 倉 恒 樹 株式会社富士電機総合研究所電力技術開発研究所
岩 澤 光 洋 株式会社レスカ営業部
山 口 洋 一 HOYA株式会社R&Dセンター
(事務局) 森 川 武 社団法人ニューガラスフォーラム

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