JIS T 14971:2012 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用 | ページ 2

                                                                                              3
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
− 医療機器の殺菌
− 人体から採取した検体の体外試験法による医療目的のための情報提供
薬学,免疫学,又は新陳代謝の手段によって体内又は体表において意図したその主機能を達成すること
はないが,それらの手段によって機能の実現を補助するものである。
[JIS Q 13485:2005 定義3.7]
注記1 医療機器規制国際整合化会議[Global Harmonization Task Force (GHTF)]によって定義された。
参考文献[38]を参照する。
注記2 国又は地域によって医療機器とみなされる場合もあるが,整合した取組みがまだ存在しない
製品として次がある。
− 身体障害又は障害者のための補助器具
− 動物の疾病及び傷害の治療又は診断のための機器
− 医療機器の附属品(注記3参照)
− 消毒剤
− 動物及び人の組織に由来する機器で,上記の定義を満たす場合もあるが,異なる法規制
の対象となる機器
注記3 医療機器の意図する目的を達成するために,その医療機器と組み合わせて使用することを,
製造業者が指定した附属品は,この規格の対象とする。
2.10
客観的証拠(objective evidence)
あるものの存在又は真実を裏付けるデータ。
[JIS Q 9000:2006 定義3.8.1]
2.11
製造後(post-production)
医療機器のライフサイクルのうち,設計を完了し,製造した後の段階。
例 輸送,保管,据付,製品使用,保守,修理,製品変更,使用停止及び廃棄
2.12
手順(procedure)
活動又はプロセスを実行するために規定された方法。
[JIS Q 9000:2006 定義3.4.5]
2.13
プロセス(process)
インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動。
[JIS Q 9000:2006 定義3.4.1]
2.14
記録(record)
達成した結果を記述した,又は実施した活動の証拠を提供する文書。
[JIS Q 9000:2006 定義3.7.6]
2.15
残留リスク(residual risk)
リスクコントロール手段を講じた後にも残るリスク。

――――― [JIS T 14971 pdf 6] ―――――

4
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
注記1 ISO/IEC Guide 51:1999,定義3.9に基づく。
注記2 ISO/IEC Guide 51:1999,定義3.9は,“リスクコントロール手段”ではなく“防護手段”とい
う用語を用いている。しかしこの規格では,6.2に規定するとおり,“防護手段”はリスクを
コントロールするための選択肢の一つである。
2.16
リスク(risk)
危害の発生確率とその危害の重大さとの組合せ。
[ISO/IEC Guide 51:1999 定義3.2]
2.17
リスク分析(risk analysis)
利用可能な情報を体系的に用いてハザードを特定し,リスクを推定すること。
[ISO/IEC Guide 51:1999 定義3.10]
注記 リスク分析は,危険状態及び危害を生じる可能性のある様々な一連の事象の検討を含む。附属
書Eを参照する。
2.18
リスクアセスメント(risk assessment)
リスク分析及びリスク評価からなる全てのプロセス。
[ISO/IEC Guide 51:1999 定義3.12]
2.19
リスクコントロール(risk control)
規定したレベルまでリスクを低減するか又はそのレベルでリスクを維持するという決定に到達し,かつ,
そのための手段を実施するプロセス。
2.20
リスク推定(risk estimation)
危害の発生確率とその危害の重大さに対して重み付けをするために用いるプロセス。
2.21
リスク評価(risk evaluation)
判断基準に照らして推定したリスクが受容できるかを判断するプロセス。
2.22
リスクマネジメント(risk management)
リスクの分析,評価,コントロール及び監視に対して,管理方針,手順及び実施を体系的に適用するこ
と。
2.23
リスクマネジメントファイル(risk management file)
リスクマネジメントによって作成した記録及び他の文書のまとまり。
2.24
安全(safety)
受容できないリスクがないこと。
[ISO/IEC Guide 51:1999 定義3.1]
2.25

――――― [JIS T 14971 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
重大さ(severity)
ハザードから生じる可能性がある結果(危害)に対する尺度。
2.26
トップマネジメント(top management)
最高位で製造業者(組織)を指揮し,管理する個人又はグループ。
注記 JIS Q 9000:2006 定義3.2.7に基づく。
2.27
誤使用(use error)
製造業者が意図する又は使用者が予期する医療機器の動き(反応など)と異なる結果を招く行為又は行
為の省略。
注記1 誤使用には,うっかりミス(slips,不注意による間違い),過失(lapses,記憶に起因する間
違い),誤り(mistakes,手順の無視,間違った知識,無知などに基づく間違い)を含む。
注記2 IEC 62366:2007 Annex B及びD.1.3を参照する。
注記3 予期しない患者の物理的な反応は,誤使用とはみなさない。
[IEC 62366:2007 定義3.21]
2.28
検証(verification)
規定した要求事項を満たしたことを客観的証拠の提供によって確認すること。
注記1 “検証された”という用語は,対応する状態を示す場合に用いる。
注記2 確認作業の例には次がある。
− 別の方法での計算の実施
− 新たな設計仕様と実証済みの類似設計仕様との比較
− 試験及び実証
− 発行前の文書のレビュー
[JIS Q 9000:2006 定義3.8.4]

3 リスクマネジメントの一般要求事項

3.1 リスクマネジメントプロセス

  製造業者は,ライフサイクルを通して医療機器の関連するハザードを特定し,関連するリスクの推定及
び評価を行い,これらのリスクをコントロールし,そのコントロールの有効性を監視する一連のプロセス
を確立し,維持する。このプロセスは,次の全ての要素を含め文書化する。
− リスク分析
− リスク評価
− リスクコントロール
− 製造及び製造後の情報
文書化した製品の設計・開発のプロセスがある場合には,JIS Q 13485:2005 [8]の7.に記載されたように,
リスクマネジメントプロセスの該当する部分を取り入れる。
注記1 複雑な医療機器及びシステムにおいて,特に早い段階でのハザード及び危険状態の特定を可
能にするために文書化した品質マネジメントシステムプロセスは,安全性を確保するために
体系的に使用してもよい。

――――― [JIS T 14971 pdf 8] ―――――

6
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
注記2 リスクマネジメントプロセスの図表の例を図1に示す。定義したライフサイクル段階によっ
てリスクマネジメントの各要素の重要度は変化する。リスクマネジメント活動は,医療機器
によって必要な場合繰返し又は分割した複数段階で実施してもよい。附属書Bに,リスクマ
ネジメントプロセスの各段階の更に詳細な概要を示す。
適合性は,適切な文書の調査によって確認する。

3.2 経営者の責任

  トップマネジメントがリスクマネジメントプロセスを遂行する責任として,次を確保する。
− 十分な経営資源
− リスクマネジメントの資格をもつ要員(3.3参照)
トップマネジメントは,次を実施する。
− リスクの受容可能性についての判断基準を決定するための方針を明確化し,文書化する。判断基準が
適用できる国又は地域の規制及び関連のある国際規格に基づいており,かつ,一般的に受け入れられ
ている最新の状況及び既知である利害関係者の懸念など,利用可能な情報を考慮に入れていることを,
この方針によって確実にする。
− リスクマネジメントプロセスの継続的な有効性を保証するため,あらかじめ計画した間隔で,リスク
マネジメントプロセスの適切性をレビューし,あらゆる決定及び講じた措置を文書化する。製造業者
が正式な品質マネジメントシステムをもつ場合には,このレビューを品質マネジメントシステムのレ
ビューの一環としてもよい。
注記 上記による文書は,製造業者の品質マネジメントシステムによって作成した文書の中に含めて
もよい。また,これらの文書は,リスクマネジメントファイルにおいて参照することができる。
適合性は,適切な文書の調査によって確認する。

3.3 要員の資格認定

  リスクマネジメント作業を実施する人は,割り当てられた作業に適切な知識及び経験をもたなければな
らない。その知識及び経験には,必要に応じて,特定の医療機器(又は類似の医療機器)及びその使用,
関連技術又はリスクマネジメント技術についての知識及び経験を含める。適切な資格認定についての記録
を維持する。
注記 リスクマネジメント作業は,幾つかの部門の代表がそれぞれ専門知識を提供することによって
実施することができる。
適合性は,適切な記録の調査によって確認する。

3.4 リスクマネジメント計画

  リスクマネジメント活動を計画する。検討対象となる特定の医療機器について,製造業者は,リスクマ
ネジメントプロセスに従ってリスクマネジメント計画を確立し,文書化する。リスクマネジメント計画は,
リスクマネジメントファイルの一部とする。
この計画には,少なくとも次を含めなければならない。
a) 計画したリスクマネジメント活動の範囲,医療機器の特定及び説明,並びにライフサイクルの各段階
で適用する計画の要素
b) 責任及び権限の割当て
c) リスクマネジメント活動のレビューについての要求事項

――――― [JIS T 14971 pdf 9] ―――――

                                                                                              7
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
d) リスクの受容可能性についての判断基準(受容できるリスクを判断するための製造業者の方針に基づ
くもので,危害の発生確率が推定不可能な場合にはリスクを受容するための判断基準も含む。)
e) 検証の活動
f) 関連のある製造及び製造後情報の収集並びにレビューに関連する活動
注記1 リスクマネジメント計画を策定するときの指針については,附属書Fを参照する。
注記2 必ずしも全ての部分の計画を同時に作成する必要はない。計画又はその一部を継続して策定
することができる。
注記3 リスクの受容可能性についての判断基準は,リスクマネジメントプロセスを本質的に有効に
するために極めて重要である。製造業者は,各々のリスクマネジメント計画に対して,適切
なリスクの受容可能性判断基準を選択することが望ましい。
リスクの受容可能性についての判断基準として,次を含めてもよい。
− 図D.4及び図D.5の危害の発生確率と危害の重大さとのマトリクスに示すように,どの組合せが受容
できるか,又は受容できないかを示す。
− さらにマトリクスを細分化(例えば,“無視できる”,“リスクの最小化によって受容できる”)して,
リスクを現実的にできるだけ低くしてから受容できるかできないかを決定する(D.8参照)。
上記のいずれを選択しても,リスクの受容可能性についての判断基準を決定するための製造業者の方針
によって決定し,その結果,適切な国家又は地方の規制及び関連国際規格に基づいていて,一般に受け入
れられた最先端で,かつ,知られている利害関係者に関係のある入手可能な情報を考慮に入れることが望
ましい(3.2参照)。そのような判断基準を確立するときの指針としてD.4が参考になる。
医療機器のライフサイクルにおいて計画を変更した場合は,リスクマネジメントファイルにその変更を
記録する。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

3.5 リスクマネジメントファイル

  対象とする特定の医療機器について,製造業者はリスクマネジメントファイルを作成し,維持する。こ
の規格に含む他の箇条の要求事項に加え,リスクマネジメントファイルは,特定した各ハザードについて,
次の活動に対してのトレーサビリティをもたなければならない。
− リスク分析
− リスク評価
− リスクコントロール手段の実施及び検証
− あらゆる残留リスクの受容可能性の評価
注記1 リスクマネジメントファイルを構成する記録及び他の文書は,例えば,製造業者の品質マネ
ジメントシステムが要求する他の文書及びファイルの一部とすることができる。リスクマネ
ジメントファイルには,必ずしも全ての記録及び他の文書を含める必要はない。ただし,少
なくとも,要求する全ての文書に対する参照又は指定先を含めることが望ましい。製造業者
は,リスクマネジメントファイルで参照した情報を適時集めて整理できるようにしておくこ
とが望ましい。

――――― [JIS T 14971 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS T 14971:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14971:2007(IDT)

JIS T 14971:2012の国際規格 ICS 分類一覧