JIS T 14971:2012 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用 | ページ 3

8
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
注記2 リスクマネジメントファイルは,あらゆる形式又はあらゆる種類の媒体で作成することがで
きる。
リスク分析
− 意図する使用及び医療機器の安全に関する特質 リ
の明確化 ス

− ハザードの特定 ア
− 個々の危険状態に対するリスク推定 セ




リスク評価
リスクコントロール


− リスクコントロール手段の選択 ク

− リスクコントロール手段の実施 ネ
− 残留リスクの評価 ジ

− リスク/効用 分析 ン
− リスクコントロール手段から生じるリスク ト
− リスクコントロールの完了
残留リスクの全体的な受容可能性の評価
リスクマネジメント報告書
製造及び製造後の情報
図1−リスクマネジメントプロセスの流れ

4 リスク分析

4.1 リスク分析プロセス

  4.24.4に規定したリスク分析を医療機器に対し実施する。計画したリスク分析の実施及びその分析結
果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
注記1 類似の医療機器についてのリスク分析又はその他の関連する情報を用いることができる場合

――――― [JIS T 14971 pdf 11] ―――――

                                                                                              9
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
は,そのリスク分析又は情報を新規の分析の出発点として使用してもよい。関連の程度は,
医療機器間の差異及びそれらが新しいハザードを生じるか,又は出力,特性,性能若しくは
効果に対して大きな違いをもたらすかどうかに依存する。既存の分析をどの程度使用するか
は,危険状態を発生させるような変更の影響を体系的に評価することが望ましい。
注記2 リスク分析手法の例を附属書Gに示す。
注記3 体外診断用医療機器のリスク分析手法についての追加指針を附属書Hに示す。
注記4 毒性学的なハザードのためのリスク分析手法についての追加指針を附属書Iに示す。
リスク分析の実施及びその結果の文書には,4.24.4で要求した記録に加え,少なくとも次を含めなけ
ればならない。
a) リスク分析を行った医療機器の説明及び特定
b) リスク分析を行った人及び組織の特定
c) リスク分析の適用範囲及び行った日付
注記5 リスク分析の適用範囲は,例えば,製造業者が全くか又はほとんど経験がない新しい医療機
器の開発においては非常に広くなる。製造業者が既存の医療機器に関する変更の影響の分析
情報を多くもつ場合は,限定することができる。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

4.2 意図する使用及び医療機器の安全に関する特質の明確化

  分析対象とする個別の医療機器について,製造業者は,意図する使用及び合理的に予見できる誤った使
用を文書化する。製造業者は,医療機器の安全に影響する定性的及び定量的特質,並びに該当する場合に
は,それらを決めた限度値を特定し,文書化する。この文書は,リスクマネジメントファイルとして維持
する。
注記1 ここで誤った使用とは,正しくない又は不適切な医療機器の使用を意味している。
注記2 附属書Cは,使用に関連する事項など,医療機器の安全に影響する特質を特定するときの有
効な指針として役立つ質問事項を含む。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

4.3 ハザードの特定

  製造業者は,正常状態及び故障状態の両方における医療機器についての既知及び予見可能なハザードを
まとめる。
この文書は,リスクマネジメントファイルの一部として維持する。
注記 E.2及びH.2.4に記載しているハザードの例は,製造業者がハザードの特定を開始するための指
針として利用できる。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

4.4 個々の危険状態に対するリスクの推定

  危険状態を起こすような合理的に予見できる一連の事象又は事象の組合せを検討し,その結果起こる危
険状態を記録する。
注記1 過去に認識されなかった危険状態を特定するため,その状況を扱う体系的な手法を用いるこ
とができる(附属書G参照)。
注記2 危険状態の例をE.4及びH.2.4.5に示す。

――――― [JIS T 14971 pdf 12] ―――――

10
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
注記3 うっかりミス(slips),過失(lapses)及び誤り(mistakes)によっても危険状態は引き起こさ
れる。
各々の危険状態に対して,利用可能な情報又はデータを用いて関連するリスクを推定する。危害の発生
確率が推定できない危険状態に対しては,リスク評価及びリスクコントロールに用いるために,起こる可
能性のある結果をリストする。これらの活動の結果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
危害の発生確率又は危害の重大さの定量的又は定性的な分類に用いた手法は,リスクマネジメントファ
イルに記録する。
注記4 リスク推定には,発生確率及びその結果の分析を含む。適用分野によっては,リスク推定プ
ロセスのある特定の要素だけを考慮すればよい。例えば,ある場合にはハザード特定及びそ
の結果の初期分析だけでよいであろう。D.3も参照する。
注記5 リスク推定は,定量的又は定性的に行ってもよい。系統的な故障の結果生じるリスクも含め,
リスク推定の方法を附属書Dに示す。体外診断用医療機器のためのリスク推定に有益な情報
を附属書Hに示す。
注記6 リスク推定のための情報又はデータは,例えば,次によって得ることができる。
a) 発行済みの規格
b) 科学的データ
c) 公表された事故報告を含め,既に使用している類似の医療機器の市場データ
d) 標準的な使用者によるユーザビリティの評価
e) 臨床での情報(使用方法,評価の結果,経験など)
f) 適切な調査結果
g) 専門家の意見
h) 外部機関による品質調査
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

5 リスク評価

  製造業者は,特定した各危険状態について,リスクマネジメント計画で定義した判断基準を用い,リス
ク低減が必要かどうかを決定する。リスク低減が必要でない場合は,この危険状態には,6.26.6は適用
しない(すなわち,6.7に進む。)。このリスク評価の結果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
注記1 リスクの受容可能性を判断するための指針をD.4に示す。
注記2 医療機器の設計基準の一部として関連のある規格を適用することは,リスクコントロール活
動の一環となり,6.36.6に適合する場合もある。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

6 リスクコントロール

6.1 リスクの低減

  リスクの低減が必要な場合には,6.26.7に規定したリスクコントロール活動を行う。

6.2 リスクコントロール手段の選択

  製造業者は,リスクを受容可能なレベルまで低減するための適切なリスクコントロール手段を特定する。
製造業者は,次の優先順位に従って,一つ以上のリスクコントロール手段を用いる。

――――― [JIS T 14971 pdf 13] ―――――

                                                                                             11
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
a) 設計による本質的な安全
b) 医療機器自体又は製造工程における防護手段
c) 安全に関する情報
注記1 手段b)又はc)を実施する場合は,リスクは受容可能なレベルにあると判断する前に,合理的
に実施可能なリスクコントロール手段であり,かつ,リスク低減を最大にする手段を選択す
るというプロセスを適用することができる。
注記2 リスクコントロール手段は,危害の重大さ若しくは危害の発生確率又はその両者を減少させ
ることができる。
注記3 医療機器についての規格には,医療機器の本質的な安全,防護手段及び安全に関する情報を
規定した(安全)規格に加えて,リスクマネジメントプロセスの要素を取り込んだ規格(例
えば,電磁両立性,ユーザビリティ,生体適合性など)がある。リスクコントロール手段の
選択の一部として,関連のある規格を適用することが望ましい。
注記4 危害の発生確率が推定できないリスクについては,D.3.2.3を参照する。
注記5 安全に関する情報の指針を附属書Jに示す。
選択したリスクコントロール手段は,リスクマネジメントファイルに記録する。
リスクコントロール手段を選択するときに,必要とするリスク低減が現実的でないと判断した場合は,
製造業者は,残留リスクについてリスク/効用 分析を実施する(6.5に進む)。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

6.3 リスクコントロール手段の実施

  製造業者は,6.2で選択したリスクコントロール手段を実施する。
各リスクコントロール手段の実施を検証し,その結果をリスクマネジメントファイルに記録する。
リスクコントロール手段の有効性を検証し,その結果をリスクマネジメントファイルに記録する。
注記 有効性の検証に,妥当性の確認活動を含めることができる。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

6.4 残留リスクの評価

  リスクコントロール手段の実施後に残る全ての残留リスクは,リスクマネジメント計画で定義した判断
基準を用いて評価する。この評価の結果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
残留リスクがこれらの判断基準に適合しない場合は,更にリスクコントロール手段を適用する(6.2参照)。
残留リスクを受容できると判断した場合,開示する残留リスク,及び附属文書に記載する必要がある情
報を製造業者は決定する。
注記 残留リスクをどのように開示するかの指針を附属書Jに示す。
適合性は,リスクマネジメントファイル及び附属文書の調査によって確認する。

6.5 リスク/効用 分析

  リスクマネジメント計画で確立した判断基準に照らし残留リスクが受容できないと判断し,かつ,それ
以上のリスクコントロールも現実的ではない場合,製造業者は,意図する使用の医学的効用が残留リスク
を上回るか否かを判断するためにデータ及び文献を収集し,レビューしてもよい。この証拠から,医学的
効用が残留リスクを上回るという結論が裏付けられない場合は,そのリスクは依然として受容できない。
医学的効用が残留リスクを上回る場合は,6.6に進む。

――――― [JIS T 14971 pdf 14] ―――――

12
T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
医学的効用が上回ることが実証されたリスクについて,製造業者は,残留リスクを開示するために必要
な安全性に関する情報はどれかを決定する。
この評価の結果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
注記 D.6も参照する。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

6.6 リスクコントロール手段によって発生したリスク

  採用したリスクコントロール手段の結果として,次の点についてレビューする。
a) 新たなハザード又は危険状態が発生しないか
b) 既に特定した危険状態について推定したリスクが,変わらないかどうか
新たに発生,又は増加した全てのリスクには,4.46.5を適用する。
このレビューの結果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

6.7 リスクコントロールの完了

  製造業者は,特定した全ての危険状態から発生するリスクを検討したことを確認する。この活動の結果
は,リスクマネジメントファイルに記録する。
適合性は,リスクマネジメントファイルの調査によって確認する。

7 残留リスクの全体的な受容可能性の評価

  全てのリスクコントロール手段が完了し,かつ,検証した後,製造業者は,医療機器の残留リスクを全
体的に見渡して受容できるかどうかをリスクマネジメント計画で確立した判断基準を用いて判定する。
注記1 全体的な残留リスク評価の指針については,D.7を参照。
リスクマネジメント計画で確立した判断基準を用いて全体的な残留リスクを受容できないと判断した場
合は,製造業者は,意図する使用の医学的効用が全体的な残留リスクを上回るかどうかを判断するために
データ及び文献を収集し,レビューしてもよい。
この証拠から,医学的効用が全体的な残留リスクを上回るという結論が裏付けられる場合は,その全体
的な残留リスクは受容可能と判断できる。そうでない場合は,全体的な残留リスクは受容できないものと
して残る。
全体的な残留リスクを受容できると判断した場合,製造業者は,全体的な残留リスクを開示するために
附属文書に記載する必要のある情報を決定する。
注記2 残留リスクをどのように開示するかの指針を,附属書Jに示す。
全体的な残留リスクの評価結果は,リスクマネジメントファイルに記録する。
適合性は,リスクマネジメントファイル及び附属文書の調査によって確認する。

8 リスクマネジメント報告書

  製造業者は,医療機器の市場への出荷に先立ってリスクマネジメントプロセスをレビューする。このレ
ビューでは少なくとも次を確認する。
− リスクマネジメント計画が適切に実施されている。
− 全体的な残留リスクが受容可能である。
− 関連する製造及び製造後情報を入手する適切な方法が定められている。
このレビューの結果は,リスクマネジメント報告書に記録し,リスクマネジメントファイルに含めなけ

――――― [JIS T 14971 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS T 14971:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14971:2007(IDT)

JIS T 14971:2012の国際規格 ICS 分類一覧