JIS T 14971:2012 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用 | ページ 6

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T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
附属書B
(参考)
医療機器についてのリスクマネジメントプロセスの概要
図B.1は,この規格の使用者に対し,リスクマネジメントプロセスの概要を示すための図である。図B.1
に示すとおり,個々のリスクについてプロセスは反復的であり,かつ,リスクコントロール手段が新たな
ハザードを発生した場合,又は新たな情報が得られた場合に初期のステップに戻ることを示している。

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T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
開始
意図する使用
特質の明確化(4.2)

ス 既知又は予見できる

分 ハザードの特定(4.3)

各ハザードについての
リスクの推定(4.4)

ス いいえ リスク低減は

評 必要か(箇条5)

はい
適切なリスクコントロール手段
を特定し,リスクコントロールの
要求事項を記載する(6.2)
リスク低減は いいえ
可能か(6.2)
はい
リ 適切な手段を実行し,記録し,
ス かつ,検証する(6.3)



ト 残留リスクは受
ロ 容できるか(6.4)
いいえ
ー はい 医学的効用は
ル はい 残留リスクを上回るか
新たなハザード
(箇条7)
はい
又は危険状態が発生しないか, いいえ
又は既に特定したリスクの評価
に影響しないか
(6.6)
いいえ
いいえ 全ての特定
したハザードが検討されたか
(6.7)
はい
全残
体留 全体として いいえ 医学的効用は いいえ
的リ
なス の残留リスクは受容できるか 残留リスクを上回るか
評ク (箇条7) (箇条7)
価の はい はい
リスクマネジメント報告書を
作成する(箇条8)
製造及び製造後情報を
製 レビューする(箇条9)




情及 リスクの

報 再評価が必要か 受容不可
はい いいえ
(箇条9)
図B.1−医療機器に適用するリスクマネジメント活動の概要

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T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
附属書C
(参考)
安全に影響する医療機器の特質を明確化するために使用できる質問事項
C.1 一般
4.2は,製造業者に対し,安全に影響する医療機器の特質を特定することを要求している。これらの特質
の検討は,4.3で要求する医療機器におけるハザードを特定するための重要なステップである。これを行う
一つの方法は,製造業者,意図する使用者,意図する使用,合理的に予見できる誤使用,及び最終廃棄に
関する一連の質問を行うことである。全ての関係者(例えば,使用者,保守担当者,患者など)の観点か
らこれらの質問をすることによって,ハザードがどこに存在するか一層明確にすることができる。C.2の
質問は,安全に影響する医療機器の全ての特質を読者が特定するための助けとなる。対外診断用医療機器
による患者に対するリスクを推定するための検討しなければならない項目は,H.2.5.4に示してある。
このリストは網羅的なものではなく,また,全ての医療機器を代表したものでもない。そのため,個別
の医療機器に適用される質問事項を追加,及び関連しない質問事項を省くことが,読者に推奨される。ま
た,各質問事項を単独で検討するだけではなく,互いに関連づけて検討するとよい。
C.2 質問
C.2.1 意図する使用は何か,及び医療機器はどのように使用されるか
考慮することが望ましい要因としては,次がある。
− 次のいずれかにおいて医療機器はどのような役割を果たすか
− 疾病の診断,予防,監視,治療又は緩和
− 損傷又は身体障害に対する補償
− 解剖学的構造の代替,又は修復若しくは受胎調節
− 適用範囲は何か(例えば,患者の母集団)。
− 医療機器は,生命を維持するためのものか又は支援するためのものか
− 医療機器が故障した場合,医療的に特別な措置を必要とするか
C.2.2 医療機器は埋込みを意図しているか
考慮することが望ましい要因には,埋め込む場所,患者母集団の特性,年齢,体重,身体的能力,埋込
み機器の性能の経時変化,埋込み機器の予測寿命,埋込んだ後の取り外し可能性などがある。
C.2.3 医療機器は,患者又はその他の人に接触することを意図しているか
考慮することが望ましい要因には,意図した接触の状態,すなわち,体表面接触,侵襲的接触又は埋込
み及びそれぞれについて接触の期間,頻度などがある。
C.2.4 どのような物質若しくは部品が医療機器に組み込まれているか,又は医療機器と共に使われるか,
若しくは接触するか
考慮することが望ましい要因としては,次がある。
− 関連する物質の適合性
− 細胞又は体液との適合性
− 安全に関係する特性が既知であるかどうか
− 動物由来物質を使って製造された部品か

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T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
注記 附属書I及びISO 22442シリーズ規格[19]を参照する。
C.2.5 患者にエネルギーを与えるか,又は患者からエネルギーを取り出すか
考慮することが望ましい要因としては次がある。
− 伝達されるエネルギーの種類
− エネルギーの制御,質,量,強度及び期間
− 現在使われている類似機器より高いレベルのエネルギーを与えるかどうか。
C.2.6 患者に投与又は患者から採取する物質はあるか
考慮することが望ましい要因としては,次がある。
− 物質が投与されるか又は採取されるか。
− その物質は単一物質なのか又は一連の物質群か。
− 最大及び最小投与・採取速度並びにその制御方法
C.2.7 医療機器は,生体物質を処理して再利用,注入又は移植するためのものか
考慮することが望ましい要因には,処理方法及び処理される物質の種類などがある(例えば,自動輸液
装置,透析装置,血液成分処理装置又は細胞療法処理装置など)。
C.2.8 医療機器は,滅菌されて供給されるのか若しくは使用者が滅菌することを意図するのか,又は他の
微生物制御法が適用できるのか
考慮することが望ましい要因としては,次がある。
− 医療機器は,単回使用又は再利用を意図した包装であるかどうか。
− 使用期限
− 再利用回数の制限
− 滅菌方式
− 製造業者が意図しないその他の滅菌方式の影響
C.2.9 医療機器は,使用者が定期的に洗浄及び消毒することを意図しているか
考慮することが望ましい要因には,使用する洗浄剤又は消毒剤の種類及び洗浄回数の制限などがある。
医療機器の設計は,定期的な洗浄及び消毒の効果に影響を与える可能性がある。さらに,洗浄剤及び消毒
剤が医療機器の安全又は性能に与える影響を考慮することが望ましい。
C.2.10 医療機器は,患者の環境を変えることを意図しているか
考慮することが望ましい要因としては,次がある。
− 温度
− 湿度
− 雰囲気ガスの組成
− 圧力
− 照明
C.2.11 測定をするか
考慮することが望ましい要因には,測定するパラメータ,測定確度,測定精度などがある。
C.2.12 医療機器は,解釈機能をもっているか
考慮することが望ましい要因には,入力したデータ又は収集したデータから医療機器が結果を表示する
かどうか,使われるアルゴリズム,信頼性の限界などがある。意図せずにデータ又はアルゴリズムを使用
しないか,特に注意をすることが望ましい。
C.2.13 医療機器は,他の医療機器,薬剤又はその他の医療技術との併用を意図するか

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T 14971 : 2012 (ISO 14971 : 2007)
考慮することが望ましい要因には,一緒に使用する他の医療機器,薬剤又は他の医療技術の特定と,そ
れらとの相互作用に関連して引き起こされる潜在的な問題の特定,及び患者がその治療に適しているかの
特定などがある。
C.2.14 好ましくないエネルギー又は物質を排出するか
エネルギーに関連して考慮することが望ましい要因には,騒音及び振動,熱,放射線(電離放射線,非
電離放射線,及び紫外線,可視光線又は赤外線),接触温度,漏れ電流,電磁場などがある。
製品の中に残留した場合に好ましくない生理的影響を及ぼすような物質として,製造工程に使われる物
質,清掃のために使われる物質,検査のために使われる物質などを考慮することが望ましい。
その他の物質に関連するものは,化学的排出物,廃棄物,及び体液などがある。
C.2.15 医療機器は,環境的影響を受けやすいか
考慮することが望ましい要因には,使用・輸送・保管などの環境がある。これらには,照明,温度,湿
度,振動,こぼれ,電力及び冷却の供給変化の受けやすさ並びに電磁干渉などがある。
C.2.16 医療機器は,環境に影響を及ぼすか
考慮することが望ましい要因には,次がある。
− 電源及び冷却の供給への影響
− 有害物質の排出
− 電磁妨害の発生
C.2.17 医療機器に関連する必須の消耗品及び附属品が存在するか
考慮することが望ましい要因には,消耗品及び附属品についての仕様,使用者がそれらを選ぶときの制
限条件などがある。
C.2.18 保守又は校正を必要とするか
考慮することが望ましい要因としては,次がある。
− 保守又は校正は,操作者,使用者又は専門家によって実施されるのかどうか。
− 保守又は校正を適切に実施するには,特別な物質又は装置が必要か
C.2.19 医療機器は,ソフトウェアを含んでいるか
考慮することが望ましい要因には,操作者若しくは使用者又は専門家によるソフトウェアのインストー
ル,確認,修正又は交換を意図するかどうかなどがある。
C.2.20 医療機器には,使用期限に関する制約があるか
考慮することが望ましい要因には,期限が切れた場合のその医療機器の廃棄についてのラベリング,表
示器などがある。
注記 ラベリングの定義は,JIS Q 13485を参照する。
C.2.21 長期間使用した場合又は使用しなかった場合の影響はどうか
考慮することが望ましい要因には,人間工学的影響及び蓄積効果などがある。例えば,生理食塩水用の
ポンプの長期的な腐食,機械的疲労,締付けベルト又は取付け具の緩み,振動の影響,ラベルの摩耗又は
脱落,材料の長期的劣化などがある。
C.2.22 医療機器は,どのような機械的力を受けるか
考慮することが望ましい要因には,医療機器が受ける力は使用者によって制御されるか,又は使用者以
外の人との相互作用によって制御されるものであるかなどがある。
C.2.23 何が医療機器の寿命を決めるか
考慮することが望ましい要因には,老朽化,電池の消耗などがある。

――――― [JIS T 14971 pdf 30] ―――――

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