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T 82304-1 : 2018 (IEC 82304-1 : 2016)
c) Tネットワークを変更すると,新たなリスクが生じて追加の分析が必要となる可能性がある。
d) Tネットワークの変更には,次が含まれる。
1) Tネットワークの構成変更
2) Tネットワークに対する構成要素(ハードウェア及び/又はソフトウェアプラットフォーム,又は
ソフトウェアアプリケーション)の追加
3) Tネットワークの構成要素の削除
4) Tネットワークのハードウェア及び/又はソフトウェアプラットフォーム,又はソフトウェアアプ
リケーションの更新
5) Tネットワークのハードウェア及び/又はソフトウェアプラットフォーム,又はソフトウェアアプ
リケーションのアップグレード
注記 IEC 80001-1:2010は,ヘルスソフトウェアの製造業者,IT技術の提供者及び責任部門が,ITネ
ットワークの変更に関わるリスクに対応するための要求事項を規定している。
8 ヘルスソフトウェア製品のための市販後の活動
8.1 一般
箇条1に規定するとおり,この規格は,ヘルスソフトウェアの全てのライフサイクルを対象としている。
そのライフサイクル期間中,ヘルスソフトウェアは,ソフトウェア保守を受け,最後は使用停止及び廃棄
されることになる。4.2は,製品を市場に投入する前に実装しバリデーションを行う製品要求事項を規定す
る。その製品要求事項には,ヘルスソフトウェア製品の使用停止及び廃棄も含める。この規格を規制目的
に使用する場合は,製品の設計及び開発に関わる市販後の活動だけに適用する。
8.2 ソフトウェア保守
製造業者が,ソフトウェア保守が関連する又は必要であると判断した場合,例えば,検出したエラーが
安全及び/又はセキュリティに影響を与える可能性がある場合,製造業者は,この規格に適合してヘルス
ソフトウェア製品の設計変更を行う(箇条5参照)。
注記1 保守には,附属文書の変更も含まれる。例えば,ヘルスソフトウェアが実行されるプラット
フォームについての記載。
注記2 ソフトウェア保守が,安全及び/又はセキュリティへ影響を与えるエラーによる場合は,規
制上の要求事項が発生することがある。
8.3 再バリデーション
製造業者は,ソフトウェア保守によって影響を受けたヘルスソフトウェア製品について,変更の範囲を
考慮して確実に再バリデーションを実施する。製造業者は,それに応じてバリデーション計画を更新する。
製造業者は,ヘルスソフトウェアの変更したバージョンが,サポートを表明しているハードウェア及び
ソフトウェアプラットフォームで機能することを確実にする。
8.4 ヘルスソフトウェア製品の市販後コミュニケーション
製造業者は,製造業者が気付いたセキュリティぜい(脆)弱性及びヘルスソフトウェア製品の使用に影
響を与える規制要求事項の変更について,ヘルスソフトウェア製品のユーザ及び影響を受ける責任部門に
対して情報提供を行う。
ソフトウェア保守においては,製造業者は,ヘルスソフトウェア製品の更新版が入手可能であることを
ユーザ及び責任部門に情報提供し,必要に応じて,次の情報も提供する。
a) 新しい機能
――――― [JIS T 82304-1 pdf 16] ―――――
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T 82304-1 : 2018 (IEC 82304-1 : 2016)
b) 修正したエラー又は故障
c) 変更したソフトウェアの安全及び/又はセキュリティ上の影響
d) ヘルスソフトウェアの識別についての更新(7.1参照)
e) 附属文書の更新(7.2参照)
ユーザ又は責任部門がヘルスソフトウェアの変更版をインストールするかどうかは,変更の安全及び/
又はセキュリティ上の影響に基づいて決定するのがよい。変更したヘルスソフトウェア製品が安全及び/
又はセキュリティに良い影響を及ぼす場合は,製造業者は,ユーザ及び責任部門に対して早めの更新を促
してもよい。
8.5 ヘルスソフトウェア製品の使用停止及び廃棄
ユーザ又は責任部門は,ヘルスソフトウェア製品の製品寿命が尽きたときには,安全に使用停止及び廃
棄ができるようにする。これには,必要に応じて,セキュリティ及びプライバシーにつながる個人情報及
び健康関連情報の保護を含める。ヘルスソフトウェアは,この機能を4.2で特定する製品要求事項に整合
するように提供する。
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T 82304-1 : 2018 (IEC 82304-1 : 2016)
附属書A
(参考)
根拠
A.1 一般
ヘルスソフトウェアは,製造業者が特に健康目的用を意図するソフトウェアである。これには,患者の
診断,治療若しくはモニタリング,又は疾病,傷害,身体障害の補助若しくは緩和を目的とするアプリケ
ーションを含む。
この規格の開発の初期段階では,(ハードウェアである)医療機器の一部であるソフトウェアを“医療機
器ソフトウェア”,そのものが医療機器であるソフトウェアを“ソフトウェア医療機器”という用語で表し
ていた。それぞれの定義は,“医療機器ソフトウェア”は,医療機器のハードウェアに組み込むことを意図
するソフトウェア,“ソフトウェア医療機器”は,そのものが医療機器であることを意図するソフトウェア
である。この二つのサブカテゴリ,すなわち,医療機器のハードウェアに組み込むことを意図するソフト
ウェアとソフトウェア医療機器であることを意図するソフトウェアとを合わせたものを“医療ソフトウェ
ア”と定義した。
ヘルスソフトウェアは,3.6に“個人の健康を管理,維持若しくは改善するために,又は医療(care)を
提供するために使用することを意図するソフトウェア”と定義しており,これは“医療ソフトウェア”全
体を含み,それより広い概念である。医療ソフトウェアは,各国の法規制によって多様に定義される“医
療機器”という用語と密接に関連する。この規格の目的に対しては,ヘルスソフトウェアという用語がよ
り適切であると考えた。より広い範囲を扱うことで,この規格は,健康に関連するソフトウェア製品全て
について,それが医療機器として規制されるかどうかにかかわらず,安全,セキュリティ及び性能に対し
て共通のアプローチをすることができる。
国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)は,SaMD WG/N10FINAL : “医療機器としてのソフトウェ
ア(SaMD) : 主要な定義[Software as a Medical Device (SaMD): Key Definitions]”という文書を発行してい
る。ヘルスソフトウェアが医療目的であり,かつ,専用のハードウェアでの動作を意図していない場合は,
SaMD(医療機器としてのソフトウェア)と全く同じ意味である。
この規格は,ヘルスソフトウェア製品,すなわち,単体の製品として入手できるヘルスソフトウェアだ
けに対する要求事項を規定することに注意が必要である。専用のハードウェアで動作することを意図する
ヘルスソフトウェアは,“組込み”ソフトウェアと呼ばれることもあるが,それは装置の一部であり,そ
れ自身は製品ではないと考えられる(A.2も参照)。
ヘルスソフトウェアは,健康,健康管理及びヘルスケアのリソース管理を扱うアプリケーションを含ん
でいる。表A.1に,この規格が取り扱うソフトウェア製品の例を示す。現存する規格において,ヘルスソ
フトウェアが対象範囲に含まれているかどうかについては,ヘルスソフトウェアの規格の状況を示す
ISO/TR 17791に特定されている。単体の健康用アプリケーションに対して,安全及びセキュリティを参照
する規格は見当たらない。この規格の目標は,その空隙を埋めることにある。
各国の法規制においては,どのヘルスソフトウェア製品が医療機器規制対象となり,どれがならないか,
ならない場合にはどの規制を適用するかについて,それぞれ判断を下す必要がある。ヘルスソフトウェア
であるソフトウェア単独の製品を,この規格を適用して規制対象として市場に出荷しようとしている製造
業者は,どの法体系が適用されるのかを調査することが望ましい。
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T 82304-1 : 2018 (IEC 82304-1 : 2016)
表A.1−この規格の範囲内及び範囲外のソフトウェアの例
範囲内 範囲外
− 健康用途のソフトウェア単独の製品 − 実行可能でないソフトウェア。例えば,基準値の一覧
− 特別なセンサ又は検出器a) を使わない機器で動作す など。
るモバイルアプリケーション − 個人の健康を扱わないソフトウェア
− 検査情報ソフトウェア − 医事会計用ソフトウェア
− 放射線科情報ソフトウェア − 病院の機器保守スケジュール管理ソフトウェア
− フィットネスセンターの個人用ソフトウェア − 疫学研究用ソフトウェア
− 受胎調節ソフトウェア − 看護師訓練用ソフトウェア
− コンピュータ支援診断ソフトウェア − 医療従事者の自己教育ソフトウェア
− 医用画像解析ソフトウェア − 介護施設の電子日誌
− 個人の診断,治療及び健康管理を目的とする臨床診断
支援ソフトウェア 次の機器を制御するソフトウェア又はそのアップデート
も適用範囲外である。
− フィードバック機能付き個人向けストレス緩和ソフ
トウェア − JIS T 0601規格群,JIS T 60601規格群又はJIS T 80601
− バリデーション療法の訓練計画ソフトウェア 規格群の対象である医用電気機器又は医用電気シス
− アルツハイマー患者の活動刺激ソフトウェア テム
− JIS C 1010規格群の対象であるIVD機器
− 電子カルテシステムを含む,電子健康記録システム
− 病院情報システム − ISO 14708規格群の対象である体内植込み機器
− 外部組織によって提供されるサービスとしてのヘル
スソフトウェア
注a) カメラ,マイク又はその他の,スマートフォン又はタブレットに一般的に用いられている機能は,特別なセン
サ又は検出器とはみなさない。
A.2 ヘルスソフトウェア製品の要求事項
この規格は,単体製品として入手できるヘルスソフトウェアだけに対する要求事項を規定することに注
意することが必要である。図A.1にヘルスソフトウェアの適用領域及び関連する規格(この規格及びJIS T
2304:2017)の適用範囲を示す。
JIS T 2304の ヘルスソフトウェア
適用範囲
医療機器に その他の健康用
ハードウェアに
組み込む
組み込む
専用ハードウェア ソフトウェア
ソフトウェア
この規格の
適用範囲
汎用
コンピューティング 医療機器である その他の健康用
プラットフォーム ソフトウェア ソフトウェア
単独の製品 単独の製品
医療機器への使用 その他の健康用途に使用
図A.1−ヘルスソフトウェアの適用領域及び関連規格の適用範囲
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T 82304-1 : 2018 (IEC 82304-1 : 2016)
ヘルスソフトウェアは,通常ハードウェア的にもソフトウェア的にも様々なプラットフォーム上で動作
する。例えば,固定機器又はモバイル機器,仮想マシン,オフライン,ネットワーク接続,又はインター
ネットのクラウドサービスである。これらのプラットフォームは,多くの場合,製造業者の影響外にあり,
管理外である。したがって,この規格は,製造業者及び責任部門に,多様な使用方法及び頻繁に変わるプ
ラットフォームに起因するハザードを適切に対処するために必要な考慮,タスク及び文書化を行うことを
注意喚起することも意図している。
専用のハードウェアで動作することを意図するヘルスソフトウェアは,装置の一部とみなされ,“組込
み”ソフトウェアとも呼ばれる。そのようなソフトウェアは,それ自体では製品として考えることはでき
ない。医療機器として規制される製品に含まれるソフトウェア及び医療機器として規制されない装置の一
部であるソフトウェアにおいても,また,同様である。
A.3 特定の箇条及び細分箇条に対する根拠
注記 このA.3の箇条番号又は細分箇条番号に付した“†”は,対応する要求事項に対する根拠であ
ることを示し,かつ,要求事項の文章でないことを容易に識別できるようにしたものである。
3.6† ヘルスソフトウェアの定義
ISO/TR 17791:2013によれば,ヘルスソフトウェアは,基本的にはソフトウェアシステム,ソフトウェ
アアイテム及びソフトウェアユニットによって構成される(JIS T 2304:2017の3.30,3.25及び3.28を参照)。
また,ヘルスソフトウェアには,関連する符号化方式,推論エンジン,診療情報のデータモデルであるア
ーキタイプ(archetype),及び臨床医学の概念を表現するオントロジー(ontology)も含める。さらに,ヘ
ルスソフトウェアは,全ての健康関連部門(全ての公的及び私的組織又は企業,消費者を含む。)に採用
され,利益をもたらし,適用されるソフトウェアであり,市販品の場合も非市販品の場合もある。
3.6のヘルスソフトウェアの定義は,ISO/TR 17791:2013の2.6での同じ用語の定義と矛盾するものでは
ない。
箇条4† ヘルスソフトウェア製品の要求事項
製品の製品要求事項をその意図する使用に基づいて確立し,最終製品のバリデーションを行うための合
否判断基準を顧客要求事項又は製品要求事項に基づいて定めることは,一般的に行われる方法である。シ
ステム要求事項の定義から最終製品のバリデーションまでの段階が製品開発のプロセスである。図A.2に
開発プロセスを示した。実際のプロセスは,いろいろなスキームに基づいて行うことができる。例えば,
ウォータフォールモデル又は反復型開発モデルである。この規格は,特定のプロセススキームを要求しな
いし,優先もしない。
――――― [JIS T 82304-1 pdf 20] ―――――
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JIS T 82304-1:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 82304-1:2016(IDT)
JIS T 82304-1:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.240 : 情報技術(IT)の応用 > 35.240.80 : ヘルスケア技術へのITの応用
JIS T 82304-1:2018の関連規格と引用規格一覧
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