16
X 5721-1991 (ISO 8571-1 : 1988)
アクセス制御リストは,ファイルの恒久的特性とし,ファイルが存在する限り保持し,アクセスを伴う
動作有効期間が確立されるごとに,このリストについてのアクセス検査を行う。アクセス許可は,動作有
効期間が存続している間有効とする。
9.5 コミットメント この規格群では,誤り回復プロトコルとして,広範囲にわたる通信又はシステム
の障害の場合にも,要求されたデータ転送を正常に行うための機構を定める。しかし,分散応用における
群又は一連の動作の実行については,一連の動作全体が終了して終了を確認するか,又はロールバックし
て動作の結果が残らないようにする必要がある。
ISO 9804のCCRは,ある条件のもとで,この作用を行うための機構を規定する。応用は,CCRとFTAM
とを結び付けて構築でき,ファイル転送の場合にこれを行えるよう規則を定義する。これは,FTAMプロ
トコルが許しているはん(汎)用的なアソシエーションの共用の特別な場合とする。
10. FTAMを支援するサービス提供者
10.1 ACSE−応用コンテキスト及びFTAM環境 ACSE制御機能は,ファイルプロトコルを行うのに必
要な応用アソシエーション及び関連する応用コンテキストを確立する。アソシエーション及びコンテキス
トに必要な条件は,FTAM動作有効期間のインスタンスを初期化及び終了するサービスプリミティブによ
って表現する。
ファイルプロトコルは,新たなアソシエーションの確立によってこれらの条件が満足されるように規定
する。初期のACSE制御規格では,アソシエーションの確立及び解放だけを規定する。しかし,将来の
ACSE機能では,すでに存在する応用アソシエーションをFTAM環境を提供するために再使用することが
できる。このような機構は,FTAM動作有効期間を開始及び終了する有効な方法となる。
応用アソシエーションの性質は,名前をもつ応用コンテキストを定める。一般に,この名前は,応用の
種々の側面を識別する。FTAMもその一つである。しかし,一つのアクティビティとしてファイルを転送
する場合に使用するため,特定の応用コンテキスト名をJIS X 5724に定義する。
ファイルプロトコルは,いつでも,一つのアソシエーションでは一つのファイルアクティビティだけが
進行するように操作を行う。複数のファイルアクティビティが必要な場合には,複数のアソシエーション
を確立しなければならない。ファイルアクティビティが終了すると,他のファイルアクティビティを開始
するか,アソシエーション及びアソシエーションを支援するコネクションを解放するか,又は応用コンテ
キストを変更して他種のサービスを行うかは,局所的な管理によって決定する。
10.2 プレゼンテーションサービス FTAMプロトコルの制御情報及びファイルデータは,JIS X 5601で
定義されているプレゼンテーションサービスを用いて,相互に通信する。
応用にとって情報の意味は,符号化方式とは関係なく,抽象構文の概念によって表現する。基本的側面
は,抽象構文の仕様の一部としてデータ型の定義によって記述する。応用の仕様では,この側面だけを参
照する。
プレゼンテーションサービスは,応用エンティティにとって意味のある情報の表現を管理する。通信す
る情報の表現に関連する要素として,次の三つの表現がある。開放型システム間で通信する情報を表現す
る転送構文,及び通信する二つの実システム内で使用するそれぞれの情報の表現の三つとする。これらの
すべての情報表現は,確立したプレゼンテーションコンテキストに対応する一つの共通抽象構文を表す。
しかし,プレゼンテーションエンティティは,これらの表現のうち転送構文及び自システム内の局所的な
表現の二つだけを知っていればよい。プレゼンテーションエンティティ間で規定するプロトコルは,転送
構文だけに関係する。
――――― [JIS X 5721 pdf 16] ―――――
17
X 5721-1991 (ISO 8571-1 : 1988)
ある応用にとっては,転送される情報のある部分だけが意味があり,他は意味のある部分を転送するた
めの取決めに過ぎない。意味のある側面及び意味のない側面の区別は,応用の性質に依存し,応用が異な
れば,区別も異なってよい。
例えば,テキストメッセージを転送する応用は,メッセージを形成する一連の語句に関与しているが,
印刷されたページでのメッセージの正確な配置には関係していない。一方,植字のためのテキストを転送
する応用は,テキストの配置の細部に関係している。非テキスト転送でも同様のことが考えられる。
応用にとって意味のある転送という側面を,抽象構文によって表現する。応用から見ると,それぞれの
抽象構文は,単一のプレゼンテーションコンテキストに対応しており,一つ以上のプレゼンテーションコ
ンテキストを同時に使用してよい。プレゼンテーションコンテキストを確立するとき,プレゼンテーショ
ンエンティティの間で適切な転送構文を折衝する。抽象構文の定義に明示されていない表現上の細部の折
衝は,プレゼンテーションサービス提供者が行う。プレゼンテーションエンティティが行う変換は,抽象
構文で定義したデータ型のすべての意味が失われない範囲で実行される。
プレゼンテーションコンテキストの集合は,FTAM動作有効期間を初期化するときに確立し,アクティ
ビティを行うには,これだけで十分としてもよい。広範囲にわたるファイルの型を処理する必要がある場
合には,プレゼンテーションサービスのコンテキスト管理ファシリティに要求を行い,各ファイルについ
て必要なプレゼンテーションコンテキストを提供するようファイルオープンを行うときに定義したコンテ
キスト集合を変更する。
個々のデータ要素を通信する場合,応用は,転送するプレゼンテーションデータ値,データ値の属する
データ型及びこれから引き出される抽象構文を,プレゼンテーションサービスへ提供する。そのプレゼン
テーションコンテキストについて折衝した転送構文を使用する。FTAM応用プロトコルの選択は,この特
定のプロトコルの制御情報(FTAMPCI抽象構文)の表現に必要な抽象データ型の使用を意味する。JIS X
5604は,抽象構文からプロトコル制御情報の転送構文を確立するための規則を規定する。これは,すべて
のFTAM実装で支援しなければならない。更に,他の規格又は企業特有の転送構文でFTAMを実装しても
よい。
10.3 セションサービス FTAMアクティビティを支援するプレゼンテーション層のエンティティは,そ
れ自体,JIS X 5201で定義されているセションサービスを経由して通信を行う。セションサービスは通信
会話を構造化する手段を提供し,通信会話はプレゼンテーションエンティティによって応用エンティティ
に渡す。
プレゼンテーションサービスは,下位のセションサービスを使って,ファイルチェックポイント及び回
復を支援するため,同期点挿入及び再同期サービスを提供する。これらのサービスによって,ファイル利
用者データの流れに対してチェックポイントを挿入し,誤り後のセション接続の解除を行い,データ転送
再開前のセション同期点機構の再同期を行う。
また,セション層の規格に従い,FTAMプロトコルでは,どちらのエンティティが同期点を出すことが
できるかを制御するセショントークンの管理を行わなければならない。
――――― [JIS X 5721 pdf 17] ―――――
18
X 5721-1991 (ISO 8571-1 : 1988)
第2章 仮想ファイルストアの一般概念
11. 仮想ファイルストア
11.1 ファイルストアモデルの必要性 実ファイルストアを実装する方法は,既存の実システムによって
大幅に異なる。実システムが違えば,データ格納域及びこの格納域をアクセスする方法を記述する様式が
様々に異なる。ファイルの転送,アクセス及び管理のサービス,プロトコル及び手順を開放型システム間
相互接続環境で使用するには,ファイル及びファイル属性の記述に使用する共通モデルを必要とする。こ
のモデルを“仮想ファイルストア”という。
このファイルストアの定義によって,様式及び仕様の相違を開放型システムから実開放型システムへの
写像機能に吸収することができ,特定の実開放型システムは,相互に理解できる条件に基づき他の異なる
実開放型システムと相互作用を行うことができる。実システムの細部を外部接続の利用者から遮へいする
ことで,既存の実システムを変更する必要性及び開放型システム間相互接続の初期経費を引き下げること
ができる。
同様に,ファイルサービスを使用する方法における著しい多様性にも対処できる。起動側の役割を果た
すファイルプロトコル実装は,利用者(人),委託されたファイル要求の待ち行列を処理するサブシステム
又は利用者が作成した応用プログラムによって直接起動してよい。応答側のためのファイルプロトコル実
装は,実ファイルストアに直接アクセスするか,又は利用者が作成した応用プログラムとインタフェース
をもつかしてよい。いずれの場合にも,同じファイルプロトコルを使用する。
仮想ファイルストアで会話を表現することによって,複雑さの異なる多くの実システムの相互接続が可
能となる。ファイルサービス定義における幾つかの任意選択機能単位の定義及び仮想ファイルストア定義
における幾つかの任意選択属性グループの定義によって,より単純な実開放型システムが,より高度なシ
ステムと相互に作用するという形の作業を可能とする。例えば,複雑なコンピュータシステムは,インテ
リジェント端末の補助格納域又はユニットレコード周辺装置と通信することができる。この方法は,同じ
種類のデータ格納域間の様式の相違を隠すだけでなく,型又は機能の程度の差をも解決する。しかし,こ
の規格群で定義する中のどの属性が実際に支援されているか適合性宣言をする必要があり,それによって
利用者は,安全保護,並行処理制御などの必要な機能が実ファイルストアによって支援されていることを
確認する。
11.2 仮想ファイルストア定義の写像 ファイルサービス及びファイルプロトコルを使用するため,実装
においては,仮想ファイルストア定義の要素を,使用する実格納域システムに関連付けなければならない。
この規格群を使用する実装者は,次の(a)と(b)との間に写像を設定する(図6参照)。
(a) 開放型システム間相互接続環境の仮想ファイルストアで定義した動作,ファイルアクセスデータ単位
及びファイル属性,並びにアクティビティ属性
(b) 実システム環境における資源
応用エンティティがプロトコルメッセージを受信すると,これらのメッセージは,そのエンティティが
仮想ファイルストア構成要素及び動作と,情報格納域に関連する実システム環境のこれらの側面との間に
設定した対応関係を考慮して解釈する。したがって,写像は,実開放型システムの設計者が設定した対応
関係の集合とする。
――――― [JIS X 5721 pdf 18] ―――――
19
X 5721-1991 (ISO 8571-1 : 1988)
図6 実システムと開放型システムとの間の写像
11.3 仮想ファイルストアの形式 仮想ファイルストアの定義は,ファイルに格納された情報を記述する
スキーマを形成する。この記述では,ファイルは,次の情報をもつ実体とする。
(a) ファイルをあいまいさなしに参照するための単一のファイル名
(b) 課金情報,履歴などのファイルの性質を表す他のファイル属性
(c) ファイルに対して実行できる動作を表すファイル属性
(d) ファイルに格納するデータの論理構造及び大きさを表すファイル属性
(e) このファイルの内容を形成するファイルアクセスデータ単位
これらを,許可を受けた起動側が観察できるファイルのすべての側面とする。単一のファイルのこれら
の側面に対して,二つの参照者が同じ照会を行った場合には,照会の間に変更が行われていなければ,参
照者はファイルの性質についての同じ情報を入手する。これらの特性をファイル属性という。認証,デー
タ転送任意選択,累積経費などについての,ファイルと特定の起動側との関係を記述するアクティビティ
属性がある。進行中の各アクティビティごとに,これらのアクティビティ属性は独立した値の集合をもつ。
この集合は,関連するファイルストアのFTAM動作有効期間が初期化されたときに作成し,FTAM動作有
効期間が存在する間維持し,遅くともFTAM動作有効期間を最終的に解放するときまでに破棄する。
――――― [JIS X 5721 pdf 19] ―――――
20
X 5721-1991 (ISO 8571-1 : 1988)
あるファイルの属性は,ファイルコンテンツの構造に制約を加える。この構造は,ファイルの寿命があ
る間保存する。しかし,ファイルをアクセスするすべての利用者が,ファイルのすべての詳細情報を必要
とするとは限らない。例えば,要約報告を作成するため,複雑な階層ファイルをフラットファイルとみな
してアクセスする必要があるが,すべての場合にファイルの最小構造単位を個別にアクセスする必要性は
なくてよい。永続的なファイルアクセス構造を記述するために,ファイル作成及びファイル管理で使用す
るファイル属性に加えて,読み出しデータ転送が要求された場合に,アクセスコンテキストがファイルア
クセスデータ単位から転送されるべきファイル構造情報及び利用者データの部分集合を示す。
11.4 属性動的特性 ファイル属性は,実際に格納されるファイルの状態を反映する。起動側がこの特定
の通信から入手した属性についての情報を反映したとき,起動側と応答側との間の通信は,これらのファ
イル属性の不完全な共用像を作り上げる。ファイル属性ごとに,そのファイル属性についての情報を表す
アクティブ属性があり,FTAMサービスプリミティブのパラメタ経由で起動側に送られる。
これとは独立して,確立されたFTAM動作有効期間そのものを記述する現属性がある。この属性には,
起動側の識別及び場所の記述,並びに確立された各種の動作有効期間の開始時の折衝結果を含む。
アクティブ属性と現属性とを一緒にしてアクティビティ属性という。これらのアクティビティ属性は,
ファイルプロトコル機械の操作を決定する。
11.5 ファイルストアスキーマ 仮想ファイルストアの形式についての規定は,各種の概念及び概念の相
互関係の特徴を関連付けるスキーマの形で表現することができる。このスキーマを図式的に図7に示す。
図7 仮想ファイルストアスキーマ
――――― [JIS X 5721 pdf 20] ―――――
次のページ PDF 21
JIS X 5721:1991の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8571-1:1988(MOD)
JIS X 5721:1991の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.100 : 開放型システム間相互接続(OSI) > 35.100.70 : アプリケーション層
JIS X 5721:1991の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISX5003:1987
- 開放型システム間相互接続の基本参照モデル
- JISX5201:1997
- 開放型システム間相互接続―セションサービス定義
- JISX5601:1995
- 開放型システム間相互接続 ― プレゼンテーションサービス定義
- JISX5603:1990
- 開放型システム間相互接続の抽象構文記法1(ASN.1)仕様
- JISX5604:1990
- 開放型システム間相互接続の抽象構文記法1(ASN.1)の基本符号化規則仕様
- JISX5701:1991
- 開放型システム間相互接続―アソシエーション制御サービス要素のサービス定義
- JISX5722:1991
- 開放型システム間相互接続―ファイルの転送,アクセス及び管理(FTAM)―第2部 仮想ファイルストア定義
- JISX5723:1991
- 開放型システム間相互接続―ファイルの転送,アクセス及び管理(FTAM)―第3部 ファイルサービス定義
- JISX5724:1991
- 開放型システム間相互接続―ファイルの転送,アクセス及び管理(FTAM)―第4部 ファイルプロトコル仕様