JIS Z 8500:2002 人間工学―設計のための基本人体測定項目 | ページ 2

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
Z 8500 : 2002

人間工学−設計のための基本人体測定項目

Ergonomics−Basic human body measurements for technological design

序文

 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 7250, Ergonomics−Basic human body
measurements for technological designを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧表
をその説明を付けて,附属書2(参考)に示す。
人間の福利は,衣服,作業場,交通機関,家庭,リクリエーション活動など様々な要素と人体との幾何学
的関係に大きく依存している。人間とその環境との間の調和を確保するには,作業場と家庭の環境の設計
を最適化するために,人体の大きさと形を数量化する必要がある。
この規格は,人体測定を用いて集団を定義するうえでの整合性を確保するために,国内又は国際的な規則
や協定とともに使ってもよい。この規格を様々な分野で適用する際に,分野固有の追加項目を基本項目に
加えてもよい。

1. 適用範囲

 この規格は,集団を比較するための基礎として使うことができる人体寸法項目について規
定する。
この規格に定められた基本測定項目は,集団を定義したり,人々が働き,生活する場の幾何学的な設計
にその知識を利用する必要のある,人間工学の専門家のための指針として役立つことを意図して定める。
この項目リストは,人体寸法項目をどのように測るかの指針として役立つことを意図するものではなく,
人間工学の専門家と設計者に設計業務上の問題を解決するために適用できる解剖学と人体測定の基礎と,
測定原理に関する情報を提供する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 7250 : 1996 Basic human body measurements for technological design (MOD)

2. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
備考1. 用語及び定義で,仮名の後の丸括弧内の漢字は常用漢字表にない漢字で,参考のために示す
ものであり,用語の一部ではない(以下,同様とする。)。
2. 用語の対応英語を参考として示す。

2.1 集団

 (population group)ある共通の環境にいる,又は共通の活動をする人々。

2.2 人体測定用語

a) 正中面(正中矢状面)(midsagittal plane) 人体を左右両半に分ける鉛直平面。“せいちゅうめん(せ
いちゅうしじょうめん)”と読む。

――――― [JIS Z 8500 pdf 6] ―――――

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b) 矢状面 (sagittal plane) 正中面に平行なすべての面。“しじょうめん”と読む。
c) 正中線 (midsagittal line)正中面と体表面との交線。“せいちゅうせん”と読む。
正中面に直角で人体を前部と後部とに分ける鉛直平面。“ぜんとう
d) 前頭面(前額面) (frontal plane)
めん(ぜんがくめん)”と読む。
e) 遠位 (distal) 四し(肢)について体幹から遠い部位。
f) 近位 (proximal) 四し(肢)について体幹に近い部位。
g) とう(橈)側 (radial)上し(肢)についてとう(橈)骨がある側(親指側)。“とうそく”と読む。
h) 尺側 (ulnar) 上し(肢)について尺骨がある側(小指側)。“しゃくそく”と読む。
i) けい(脛)側 (tibial)下し(肢)についてけい(脛)骨がある側(親指側)。“けいそく”と読む。
j) ひ(腓)側 (fibular)下し(肢)についてひ(腓)骨がある側(小指側)。“ひそく”と読む。
k) 大たい(腿)二頭筋 (biceps femoris) 大たい(腿)の後面にある大きな筋の一つ。
l) 三角筋 (deltiod muscle)上腕の肩の外側面にある大きな筋。
m) 殿溝 (gluteal fold) でん(臀)部と大たい(腿)後面の境界にある,皮膚のしわ。
n) 握り軸 (grip axis) こぶしを握ったときのこぶしの軸。手に握った棒の長軸とする。
o) 外側の (lateral)身体の中心線から遠い方。
p) 内側の (medial) 身体の中心線に近い方。
q) 耳眼面 (Frankfurt plane) 左右の耳珠点と左の眼か(窩)点との3点で決められる面。

3. 測定点

 人体寸法を測定する際の測定点は,表1及び図1による。
備考1. 測定点の用語の読み方を括弧書きで示す。
2. 測定点の対応英語を参考として示す。
3. 表1の測定点と図1の人体図とを対応させるため,測定点の番号を図1に示す。
表1 測定点
番号 測定点 定義 参照図 対応英語(参考)
1 頭頂点 頭頂部の,正中面における最高点。 図1のa),b) vertex
(とうちょうて
ん)
2 後頭点 図1のa)
み(眉)間点から最も遠い位置にある後頭部の, opistocranion
(こうとうてん) 正中線上の点。
3 耳珠点 図1のa)
耳珠[耳の孔の前,外側にある突出]の上の付け tragion
(じしゅてん) 根の点。
4 側頭点 図1のa)
側頭部において最も外側にある点。左右の側頭点 euryon
(そくとうてん) は,同じ前頭面内にある。
5 ヌカーレ 図1のa)
正中線上で,うなじの筋の間で触れることができ nuchale
る後頭骨の最下方の点。
6 み(眉)間点 図1のa)
み(眉)間が正中線上で最も前方に突き出してい glabella
(みけんてん) る点。
7 鼻あん(鞍)点 正中線上で鼻根部の最も陥凹した点。 図1のa) sellion
(びあんてん)
8 口点 図1のa)
口裂[上唇と下唇とに囲まれた空間]が正中線に stomion
(こうてん) よって切られる点。
9 おとがい点 図1のa)
下あご(顎)の下縁のうち,正中線上で最も下方 gnathion
(おとがいてん) にある点。

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番号 測定点 定義 参照図 対応英語(参考)
10 外眼角点 眼の外側部で上下の眼けん(瞼)縁(まぶたの縁) 図1のa) ectocanthion
(がいがんかくて が接する点。
ん)
11 眼か(窩)点 図1のa)
眼か(窩)[眼球が入っている頭骨の穴]の下縁 orbitale
(がんかてん) のうち,最も下方にある点。
12 けいつい(頚椎) 図1のb)
第七けいつい(頚椎)のきょく(棘)突起[せき cervicale
点 (脊)柱を構成する個々の骨の後ろ側から出てい
(けいついてん) る突起]の先端の点
13 胸骨中点 図1のb)
左右の第四胸ろく(肋)関節[胸骨とろっ(肋) mesosternale
(きょうこつちゅ 骨との間の関節]を結ぶ直線と正中線との前胸壁
うてん) 面上での交点。
14 肩峰点 図1のb)
肩甲骨の肩峰[肩甲骨の背側面にある棚状の隆起 acromion
(けんぽうてん) の先端が扁平な大きな突起となっている部分]の
外側縁のうち,最も外側に突き出している点。
15 前えきか(腋窩) 図1のb)
えきか(腋窩)(わきの下)前縁の大胸筋付着部 anterior armpit point
点 の最下端の点。
(ぜんえきかて
ん)
16 腸骨りょう(稜) 図1のb)
腸骨りょう(稜)[骨盤の上縁に沿って伸びてい iliocristale
点 る骨の高まり]のうち,最も外側に突き出してい
(ちょうこつりょ る点。
うてん)
17 腸きょく(棘)点 図1のb)
上前腸骨きょく(棘)[腸骨りょう(稜)の前端 iliospinale anterius
(ちょうきょくて にある突起]の最も下縁の点。
ん)
18 とう(橈)骨点 図1のb)
とう(橈)骨頭[とう(橈)骨の近位端の円盤形 radiale
(とうこつてん) の部分]の外側近位端の点。
19 とう(橈)骨けい 図1のb),c)
とう(橈)骨のけい(茎)状突起[とう(橈)骨 stylion
(茎)突点 遠位端の先端がとがった部分]の最遠位端の点。
(とうこつけいと
つてん)
20 尺骨けい(茎)突 図1のb),c)
尺骨のけい(茎)状突起[尺骨の遠位のふくらみ stylion ulnare
点 から細く突き出た部分]の最遠位端の点。
(しゃっこつけい
とつてん)
21 とう(橈)側中手 図1のc)
第二中手骨の骨頭[中手骨の遠位端にあるふくら metacarpale radiale
点 んだ部分]のうち,最もとう(橈)側に突き出し
(とうそくちゅう ている点。
しゅてん)
22 尺側中手点 図1のc)
第五中手骨の骨頭[中手骨の遠位端にあるふくら metacarpale ulnare
(しゃくそくちゅ んだ部分]のうち,最も尺側に突き出している点。
うしゅてん)
23 指節点 図1のc)
背側[手の甲側]における手指の基節骨の近位端 phalangion
(しせつてん) の点。指節点は各指にあり,第一指第五指指節
点と呼ぶ。
24 指せん(尖)点 図1のb),c) dactylion
手の第三指の先端のうち,最も遠位にある点。
(しせんてん)
25 転子点 図1のb)
大たい(腿)骨の大転子[大たい(腿)骨の上方 trochanterion
(てんしてん) 外側にある大きな突起]の最上縁の点。

――――― [JIS Z 8500 pdf 8] ―――――

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番号 測定点 定義 参照図 対応英語(参考)
26 けい(脛)骨点 図1のb)
けい(脛)骨の内側顆[けい(脛)骨の上部内側 tibiale
(けいこつてん) 部にあるふくらんだ部分]の上縁で最も高い(近
位にある)点。
27 内果点 図1のb)
けい(脛)骨の内果[けい(脛)骨の下端部内側 sphyrion
(ないかてん) のふくらみ。いわゆる,内くるぶし]の最下端の
点。
28 外果点 図1のb)
ひ(腓)骨の外果[ひ(腓)骨の下端部外側のふ sphyrion fibulare
(がいかてん) くらみ。いわゆる,外くるぶし]の最下端の点。
29 しょう(踵)点 図1のd)
しょう(踵)骨[かかとの骨]のうち,最も後方 pternion
(しょうてん) に突き出している点。
30 足せん(尖)点 図1のd)
しょう(踵)点から最も遠い位置にある足指の先 acropodion
(そくせんてん) 端の点。
31 けい(脛)側中足 図1のd)
第一中足骨の骨頭のうち,最もけい(脛)側に突 metatarsale tibiale
点 き出している点。
(けいそくちゅう
そくてん)
32 ひ(腓)側中足点 図1のd)
第五中足骨の骨頭のうち,最もひ(腓)側に突き metatarsale fibulare
(ひそくちゅうそ 出している点。
くてん)

――――― [JIS Z 8500 pdf 9] ―――――

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図1 測定点

――――― [JIS Z 8500 pdf 10] ―――――

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