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Z 8515 : 2002 (ISO 9241-5 : 1998)
Guidance on the work environment
3. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 観視角 (angle of view) 視線と表示面との交点において,表示面の法線と視線とのなす角 (JIS Z
8513) 。
3.2 人体寸法測定 (anthropometry) 人体寸法の研究及び計測。
3.3 ひじ掛け (armrest) 前腕を支えるもの。
3.4 背もたれ (back rest) 背腰を支えるためのいすの部材。
3.5 キャスター (castor)床面上で適度な移動をしやすくするために家具の底部に取り付けられる車輪
付の部品。
3.6 設計基準姿勢 (design reference posture) ワークステーション設計のために,相対的な位置及び寸法
を定義するために規定した姿勢。
3.7 偏位 (deviation) 中位からのずれ。
3.8 動的姿勢 (dynamic posture) 変化する体の位置。
参考 体の部位又は装備(ワークステーションなど)との関連によって,手足又はその他の体の部位
の相対的な動きを伴う。
3.9 伸展 (extension) 二つの隣り合う骨のなす内角を大きくする動き。
参考 手の伸展は手の背面方向への動きである。手の背面は手の甲である。
3.10 屈曲 (flexion) 二つの隣り合う骨のなす内角を小さくする動き。
参考 手の屈曲はたなごころ方向への動きである。たなごころは手の平である。
3.11 光沢 (gloss) 表面の反射方向特性によって,反射されたもののハイライトが表面に載っているよう
に見える外観の状態。 (CIE Publ.17.4 : 1987 ; IEC 60845-04-73)
3.12 光沢度 (gloss unit)表面の光沢を定量化するための尺度。
3.13 せき(脊)柱後湾 (kyphosis) 胸つい(椎)の後方に凸状の湾曲。
3.14 対象ユーザー群 (intended user population)
設計する製品やワークステーションの対象者群。 例 年齢45歳から65歳までの東南アジア系の男女作業者。参考 上記の例のように,製品設計をする場合,通常は,設計する製品を使用すると考えられる対象
者群を特定する必要がある。この規格ではそれを“特定ユーザー群” (spcified user population) と
し,その特定されたユーザー群を,製品を使用する“対象ユーザー群” (intended user population)
としている。もし,特定しなければ,すべての人が対象ユーザー群となる。
水平線と視軸(凝視点と瞳孔の中心を結んだ線)のなす角。
3.15 視線角 (line-of-sight angle)
3.16 せき(脊)柱前湾 (lordosis)せき(脊)柱の前方に凸状の湾曲。
3.17 腰部 (lumbar)
胸部と骨盤との間の背の部位。
3.18 しつか(膝窩) (popliteal)ひざの裏側。
3.19 姿勢 (posture)作業場又はその構成要素に対し,体又は互いに関連する体の部位の全体的な位置。
3.20 基準面 (reference plane) 足を支えるために設定された面。
備考 指示がない場合は,基準面は床面とする。支持面の高さを計算するために,床面より高い面又
は低い面を基準面として使ってもよい。
3.21 静的姿勢 (static posture) 筋肉が収縮したまま,動かず,長時間じっとしている体の位置。
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Z 8515 : 2002 (ISO 9241-5 : 1998)
装置を操作したり,仕事をしているときに,人に要求される特有の行動
3.22 タスク分析 (task analysis)
を決める要素を見つけ出す分析手法。
参考 タスク分析は,法的な要求事項に基づいた作業場の危険評価ではない。
3.23 作業場 (workplace)
仕事をするために一人に割り当てられたワークステーションの装備された場。
3.24 作業空間 (work space) 仕事をするために一人又は複数の人に割り当てられた空間。
3.25 作業面 (worksurface) 装置や仕事の用具を使う面。
中央処理装置の有無は問わず,ディスプレイ装置を構成する集
3.26 ワークステーション (workstation)
合体。キーボード,入力装置,操作者と機械のインターフェイスを決定するソフトウエア,オプションの
附属品,周辺の装置及び作業環境を含む。
4. 指針とする原則
4.1 一般的な配慮
作業場の設計に先立って,対象とする作業の分析を行うのがよい。その分析には,
行われる様々な作業及び補助作業並びに関連する装置の使用に関する情報を得ることが望ましい。また,
その分析は,ディスプレイの配置,装置の配置及び作業の補助器具に関して,ユーザーの作業中の様々な
情報源に対して,相対的な優先度を明確にするのがよい。
参考 多くのデータ入力作業では,ディスプレイを見ることより原稿を見ることの方が,優先度が高
い。
タスク分析は,次の事柄に考慮することが望ましい。
a) 主要な仕事及びそれらの相互関係 頻度,重要性,視対象の位置,すべての関連する装置の使用時間・
使用方法及びそれらの相互関係(JIS Z 8512参照)。
b) 手の位置と働き VDT装置及び資料との位置関係によって,姿勢,手の届く範囲及び装置の扱いに及
ぼす影響,その頻度,使用時間及び動きの複雑さ。
VDT作業場の設計と選択は,次の五つの相互関連する原則を適用する。
はん(汎)用性及び柔軟性
適合性
姿勢変化
ユーザーへの情報
保守性及び適応性
この記述は,5.で書かれた要求事項及び推奨事項を基本とする一般的な原則及び指針を規定する。
4.2 はん(汎)用性及び柔軟性
ワークステーションは,対象ユーザーがある範囲の作業を快適に,か
つ,効率的にできるようにすることが望ましい。さらに,ワークステーションの設計は,ユーザーの特徴
(例 : キーボードの習熟度,人体寸法のばらつき及びユーザーの好み)を考慮に入れてワークステーショ
ンで実行される作業の範囲に対して適切であることが望ましい。また,長時間VDT作業をするなど使用
時間に依存するが,より重要なことは,良いワークステーションの設計を遵守することとする。
4.3 適合性
家具及び装置の選択並びに設計は,要求される作業の範囲及びユーザーのニーズとの間に
適合性を必要とする。
参考1. 適合性の考え方は,家具及び装置(いす,作業面,表示装置,入力装置など。)がユーザー個々
の要求にどの程度適応するかによる。
2. 良い適合性とは,ワークステーションを幾人かで共有する人及び障害者のように特殊なニー
ズのある対象ユーザーに必要とされている。
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Z 8515 : 2002 (ISO 9241-5 : 1998)
3. 適合性は,特定の使用(又はそのユーザー)のために家具を作ることによってなされたり,
寸法及び形状のある一定の範囲又はその調整及び組合せによって与えられる。
4. 特殊な状況を除いて,ワークステーションは個々のユーザーに合わせてカスタムメイドされ
ることがないため,良い適合性を確保する何らかの代替方法が必要となる。
ユーザー及び作業の要求事項をワークステーションがどの程度満たすことができるかを,最も重要視す
ることが望ましい。
4.4 姿勢変化
作業場の構成,作業及び家具は,自発的な姿勢変化を促すものがよい。
参考 ユーザーが取る姿勢及び姿勢変化の必要性は,明らかに作業の構成及び作業要求によってとり
わけ影響される。
4.5 ユーザーへの情報
家具及び他の装置(例えば,表示装置の支持具)の調節の理由及び方法をユー
ザーに伝えることが望ましい。
快適で効率的な作業場にするのに特定の技術が要求されるもの,例えば,いす又は作業面の高さを調節
したり,適切な視距離を見付けることには,十分なユーザーへの情報及び習熟のためのトレーニングをす
ることが望ましい。家具の設計においては,そのようなトレーニング及び情報の必要性を最小にすること
が望ましい。
ユーザーが作業場の設計と機能について熟知し,作業場を適切に使用できると確信できるように,上記
の要因についての指導とトレーニングをすることが望ましい。特に調節のメカニズム及び個々のユーザ
ー・作業に合わせて家具の調節が必要なとき,どのように判断したらよいかをユーザーがよく分かるよう
にトレーニングすることが望ましい。
4.6 保守性及び適応性
作業場の設計に加えて,作業を能率よく行うための要求条件は,メンテナンス,
アクセスのしやすさ及び要求の変化に対する作業場の適応力をも考慮に入れることが望ましい。
ワークステーションの設計者は,メンテナンスが簡単にでき,進行中の作業の中断が最小となるように
考慮することが望ましい。
また,変化する要求や環境に応じて,家具や設備が簡単に適応できるワークステーションを設計するこ
とが望ましい。
5. 設計の要求事項及び推奨事項
5.1 一般
この箇条は,快適で効率的な操作を容易にするようなVDTワークステーションの構成のため
の要求事項及び推奨事項を含む。5.2から5.7は,作業を効率よく達成するための要求事項,体のクリアラ
ンス,受け入れやすく好ましい姿勢及び快適性の面から,個々のユーザーに適応させるための要因を明ら
かにする。
参考 クリアランスは,ゆとりのためのすき間である。
適切なワークステーションの配置を決定する主な要因は,座面・作業面,視線角,作業面・キーボード
の高さ,ひざ(膝)のクリアランス,前腕の傾き及びひじの高さとする。
家具,装置及び作業環境は,座位姿勢又は立位姿勢及びその二つの姿勢を交互に取って使用するように
設計してもよい。ワークステーションは,複数の作業(画面を見る,キーボード入力,キーボード以外の
入力装置を使う,筆記など)を支援する必要があり,それを果たすための機能を考慮に入れて設計するこ
とが望ましい。作業の構成,仕事の内容及び家具の設計はユーザーの動きを促すのがよいということをこ
の規格の考え方とする。すなわち,長時間の静的座位姿勢は最小限にとどめ,多少とも連続的,かつ,自
発的な姿勢の調節ができるものとする。
――――― [JIS Z 8515 pdf 8] ―――――
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Z 8515 : 2002 (ISO 9241-5 : 1998)
5.2 姿勢
5.2.1 設計基準姿勢
人体寸法を参照して快適さ及び作業効率に関する受容可能な要求条件を明確にす
るためには,人体寸法測定値を詳細に示すための設計基準姿勢を規定する。
参考 ただし,短時間の作業に対して快適な姿勢が,直ちに最適な姿勢又は求めようとしている姿勢
とはならないことが経験的に知られている。
関連する人体寸法測定値を参照する場合,次の設計基準姿勢を使うことが望ましい(附属書A参照)。
a) 大たい(腿)はほぼ水平に,下たい(腿)は鉛直に,座面高は,ユーザーのしつか(膝窩)高又はそ
れより少し低い位置
参考 前腕と大たい(腿)の距離は体格及び体形によって決まり,人によって大きな開きがある。ま
た,多くの人にとっては,図1で示した距離よりも小さい。
b) 上腕は鉛直で,前腕は水平
c) 偏位又は伸展のない手首
d) 背骨は直立
e) 足の裏は下たい(腿)と直角
f) 上体のひねりはない
g) 視線角は水平から下方60°の範囲
参考1. リラックスして座った状態での視線は,水平からおよそ35°下に傾いている(図1参照)。
2. 最も重要なディスプレイの最適位置は,視線の水平垂直±15°以内である。
3. ある種の照明器具が使われている場合,この位置に画面を置くとグレアの問題が起こる可能
性がある。
4. グレアは,視野の中に輝度が高い光源又は反射物などがあり,これらからのぎらぎらした光
が目に入ることによって対象が見えにくくなったり,まぶしくて不快を感じたりする状態で
ある。
5. 立位姿勢時,視線の傾きはおよそ30°である(図2参照)。
設計基準姿勢は,図1及び図2にて示す。
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Z 8515 : 2002 (ISO 9241-5 : 1998)
1 : 水平
この姿勢は設計のためのもので,座位作業の最適姿勢ではない。
図1 座位の設計基準姿勢
――――― [JIS Z 8515 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8515:2002の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-5:1998(IDT)
JIS Z 8515:2002の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8515:2002の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8512:1995
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―仕事の要求事項についての指針
- JISZ8513:1994
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―視覚表示装置の要求事項