JIS Z 8767:2006 臨界ベンチュリノズル(CFVN)による気体流量の測定方法 | ページ 2

2
Z 8767 : 2006 (ISO/DIS 9300 : 2003)
ISO 5167-2:2003,Measurement of fluid flow by means of pressure differential devices inserted in circular
cross-section conduits running full−Part 2: Orifice plates
ISO 6976:1995,Natural gas−Calculation of calorific values, density, relative density and Wobbe index from
composition
ISO/TR 5168:1998,Measurement of fluid flow−Evaluation of uncertainties

3. 定義

 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 圧力測定(pressure measurement)
3.1.1 壁面圧力孔(wall pressure tapping) 管路の内面壁にあけられた孔で,孔の周りには段差がなく,そ
の中の圧力がその位置における管路内の静圧に等しくなるようにあけられたもの。
3.1.2 気体の静圧力(static pressure of a gas) p1 壁面圧力孔に圧力計を接続して測定する流れる気体の実
際の圧力。
参考 この規格では,静圧力の絶対値だけを用いる。
3.1.3 気体のよどみ点圧力(stagnation pressure of a gas) po 気体の流れが,等エントロピー過程によって
停止した場合に達するはずである仮想の気体圧力。
参考 この規格では,よどみ点圧力の絶対値だけを用いる。
3.2 温度測定(temperature measurement)
3.2.1 気体の静温度(static temperature of a gas) T1 流れる気体の実際の温度。
参考 この規格では,静温度の絶対値だけを用いる。
3.2.2 気体のよどみ点温度(stagnation temperature of a gas) To 気体の流れが,等エントロピー過程によっ
て停止した場合に達するはずである仮想の気体温度。
参考 この規格では,よどみ点温度の絶対値だけを用いる。
3.3 ベンチュリノズル(Venturi nozzles)
3.3.1 ベンチュリノズル(Venturi nozzles) 流量測定のために設備に設置された収縮管部と拡大管部とを
もつ絞り機構。
3.3.2 普通加工ベンチュリノズル(normally machined Venturi nozzles) 旋盤によって加工され,指定の表
面粗さを達成するために研磨されたベンチュリノズル。
3.3.3 精密加工ベンチュリノズル(accurately machined Venturi nozzles) 超精密旋盤によって,研磨を行
わずに指定の表面粗さが達成されたベンチュリノズル。
3.3.4 スロート(throat) ベンチュリノズルの直径が最小となる断面。
3.3.5 臨界ベンチュリノズル[critical flow Venturi nozzle(CFVN) ] スロートにおける流速が臨界に達した
状態で用いるのに適した形状のベンチュリノズルで,臨界状態で用いるもの。
3.4 流量(flow)
3.4.1 質量流量(mass flow-rate) qm CFVNを単位時間当たりに通過する気体の質量。
参考 この規格では,“流量”とは,必ず質量流量を意味する。
3.4.2 スロートレイノルズ数(throat Reynolds number) Red 気体流量と入り口よどみ点とにおける粘性率
から計算される無次元数。特性長さは,よどみ点状態におけるスロート直径とする。スロートレイノルズ
数は,次の式による。
4qm
Red
d o

――――― [JIS Z 8767 pdf 6] ―――――

                                                                                              3
Z 8767 : 2006 (ISO/DIS 9300 : 2003)
3.4.3 断熱指数(isentropic exponent)κ 断熱可逆過程(等エントロピー過程)における圧力変化に伴う密
度変化の比。
dp c2
p d S
p
ここに, p : 気体の静圧力の絶対値
気体の密度
c : 局所音速
S : (添え字)“等エントロピー過程”であることを示す。
理想気体(1)では, 熱比 死 地 例えば,単原子気体では5/3,二原子気体では7/5,三原子気
体では9/7となる。
注(1) 理想気体では,分子間力及び分子の体積の影響が無視できるが,実在気体では,気体の振舞い
を記述するうえで,分子間力及び分子の体積の影響が無視できなくなる。
3.4.4 流出係数(discharge coefficient) Cd 非粘性気体の一次元等エントロピー流れで発生するはずである
理想的な流量と,同じ上流側条件で実際に発生する流量との比として定義される無次元量。この係数は,
粘性及び壁面の曲がりの影響を補正する。この規格で指定するノズル形状及び設置条件では,この係数は
スロートレイノルズ数だけの関数である。
3.4.5 臨界流量(critical flow) m 対象とするベンチュリノズルが,これに与えられた上流側条件で達成可
能な最大流量。臨界流量が発生した場合,スロートの流速は,その位置における音波の速度,すなわち微
小圧力の乱れが伝ぱ(播)する速度である局所音速に等しくなる。
3.4.6 臨界流れ関数(critical flow function) C* ベンチュリノズルの入り口とスロートとの間の熱力学的特
性の関係を,一次元等エントロピー流れで求めた無次元数。気体の特性とよどみ点状態(5.2参照)との関
数である。
3.4.7 実在気体臨界流れ係数(real gas critical flow coefficient) CR 臨界流れ関数を別の形で表したもので,
混合ガスでの使用に適したもの。臨界流れ関数と次の関係がある。
R
C C*Z1/2
参考 流れ関数との違いに注意する。
3.4.8 臨界圧力比(critical pressure ratio) r* ノズルを流れる質量流量が最大値に達したときの,ノズルス
ロートにおける静圧力のよどみ点圧力に対する比。
3.4.9 背圧比(back-pressure ratio) ノズル出口における静圧のノズル上流側よどみ点圧力に対する比。
3.4.10 ノズルの上流側マッハ数(Mach number) Ma1 ベンチュリノズルの上流側静圧を測定するための壁
面圧力孔の位置における軸方向平均流速の,よどみ点における音速に対する比。
3.4.11 圧縮係数(compressibility factor) Z 取扱う気体の振舞いがどれだけ理想気体の状態方程式からずれ
ているかを表す数値的な関数。温度と圧力との関数であって,次の式で定義する。
pM
Z
RT
3.5 不確かさ(uncertainty)
3.5.1 不確かさ(uncertainty) 約95%の信頼度において測定値が合理的に分布すると予想される範囲。

4. 記号

 この規格で用いる記号を,表 1に示す。

――――― [JIS Z 8767 pdf 7] ―――――

4
Z 8767 : 2006 (ISO/DIS 9300 : 2003)
表 1 記号
記号 量 次元 (2) SI 単位
A2 ベンチュリノズルの出口の断面積 L2 m2
A* ベンチュリノズルのスロート断面積 L2 m2
Cd 流出係数 無次元
CR 実在気体の一次元流れにおける臨界流れ係数 無次元
C* 実在気体の一次元流れにおける臨界流れ関数 無次元
C* i 完全気体の一次元等エントロピー流れにおける臨界流れ関数 無次元
D 上流側配管の直径 L m
d ベンチュリノズルのスロート直径 L m
M 分子量 M kg mol-1
Ma1 ノズルの上流側マッハ数 無次元
P1 ノズル入り口における気体の絶対静圧力 ML-1T-2 Pa
P2 ノズル出口における気体の絶対静圧力 ML-1T-2 Pa
po ノズル入り口における気体の絶対よどみ点圧力 ML-1T-2 Pa
P* ノズルのスロートにおける気体の絶対静圧力 ML-1T-2 Pa
完全気体の一次元等エントロピー流れを仮定したときのスロートにおける
P*i ML-1T-2 Pa
絶対静圧力
完全気体の一次元等エントロピー流れを仮定したときのノズル出口におけ
(p2/po) i 無次元
る静圧力と入り口よどみ点圧力との比
qm 質量流量 MT-1 kg・s-1
qmi 非粘性気体の一次元等エントロピー流れを仮定したときの質量流量 MT-1 kg・s-1
R 普遍気体定数(R=8.314 51) M L2 T-2儀 1 J・mol-1K-1
Red スロートレイノルズ数 無次元
rc 入り口側絞り半径 L m
r* 臨界圧力比 p*/po 無次元
U' 相対不確かさ 無次元
T1 ノズル入り口における気体の絶対静温度 儀 K
To ノズル入り口における気体の絶対よどみ点温度 儀 K
T* ノズルスロートにおける絶対静温度 儀 K
スロートにおける局所音速,スロートにおける臨界流速 LT-1 m・s-1
Z 圧縮係数 無次元
戀 直径比 d/D 無次元
最 比熱比 無次元
絶対不確かさ (3) (3)
断熱指数 無次元
よどみ点における気体の動粘度 ML-1T-1 Pa・s
ノズルスロートにおける気体の動粘度 ML-1T-1 Pa・s
ノズル入り口における気体の密度 ML-3 kg・m-3
ノズルスロートにおける気体の密度 ML-3 kg・m-3

注(2) = 質量, L = 長さ, T = 時間,
(3) 次元及びSI単位は,対応する量のものとする。

5. 基礎式

5.1 状態方程式

 実在気体の振舞いは,次の式で表す。
P RM (1)

5.2 理想状態での流量

 理想状態の流量は,次の条件下で求める。

――――― [JIS Z 8767 pdf 8] ―――――

                                                                                              5
Z 8767 : 2006 (ISO/DIS 9300 : 2003)
a) 流れは,一次元である。
b) 流れは,等エントロピーである。
c) 気体は,完全(すなわちZ = 1,かつ, 柿 である。
この条件下では,臨界流量は次の式で求める。
A* C*i po
qmi 1 (2)
R/ M To
又は
12
qmi A*C*i Poo (3)
ここに,
1 /2
1/ 2 2
C*i (4)
1

5.3 実際の状態における流量

 実際の状態における臨界流量は,次の式となる。
A* Cd C* po
qm 12 (5)
R/ M To
又は
1
qm A*CdCR Po o (6)
後者は,
C R C*Z1o 2

(pdf 一覧ページ番号 )

  から導かれる。ここに,Zoは,入り口側よどみ点状態における圧縮係数である。
Zo poM oRTo (8)
ここで,気体が完全でないため,C* 及びCRはC*iに等しくないことに注意することが望ましい。また,
流れは一次元でなく粘性の影響によって境界層が発生するため,Cdは1より小さくなる。

5.4 臨界質量束

 臨界質量束は,理想状態での流量に対してはqmi /A*となり,実際の状態における流量
に対してはqm /(A* Cd)となる。

6. 適用

 それぞれの対象について,CFVNの使用が適しているか,又は他の測定方法が適しているかを
評価することが望ましい。ベンチュリノズルの流れの重要な特徴は,そのベンチュリノズルが臨界状態に
保たれている限り,その流量が下流側圧力に依存しないことである(9.5参照)。
その他の特徴の幾つかを,次に示す。
CFVNの使用で必要となる測定値は,上流側の気体圧力及び温度又は密度だけである。その理由は,ス
ロートにおける状態が熱力学的に導かれるためである。
CFVNのスロートにおける流速がその上流側よどみ点状態によって決まる最大値となるため,設置条件
の影響は,旋回流によるものを除き最小となる。CFVNの使用に当たっては,その入り口側に旋回流があ
ってはならない。
CFVNと亜音速絞り流量計との大きな違いは,CFVNの流量が上流側よどみ点圧力に直接比例し,亜音
速ノズルのように差圧の平方根には比例しないことである。
CFVNの最大流量範囲は,一般に,流れが臨界に達する入り口側圧力以上の範囲で,どれだけ高い圧力
をノズルの入り口側に与えることができるかによって決まる。
CFVNは,試験,校正及び流量制御に最もよく用いられる。

――――― [JIS Z 8767 pdf 9] ―――――

6
Z 8767 : 2006 (ISO/DIS 9300 : 2003)

7. 標準臨界ベンチュリノズル(CFVN)

7.1 一般要求事項

7.1.1  検査 CFVNを検査し,この規格の要求事項に適合していることを確認しなければならない。
7.1.2 材質 CFVNの材質は,使用状況に適したものでなければならない。要求事項の幾つかを,次に示
す。
a) この規格で要求する条件を満たす仕上げができることが望ましい。材質によっては,ピット,欠陥,
その他の不均一性によって適していない場合がある。
b) 材質は,必要であれば表面処理を行うことによって,使用中に腐食が起こらないようにしなければな
らない。
c) 材質は,寸法が安定し,使用時における温度がスロート直径測定時と異なる場合には,既知で再現性
のある膨張係数をもち,スロート直径の補正が適切に行えるものが望ましい。
7.1.3 スロート及び入り口の表面仕上げ スロートと円すい(錐)ディフューザとの接点までのトロイダ
ル部分は,その幾何平均表面粗さRaが,普通加工ベンチュリノズルの場合は15×10-6 dを,精密加工ベン
チュリノズルの場合は0.04 上げを行う。
スロートと円すい(錐)ディフューザとの接点までのトロイダル部分は,ほこりなどのいかなる汚れも
付着していてはならない。
普通加工CFVNでは,スロート部直径のステップ(段差)が,スロート直径の10%を超えないトロイダ
ルスロートCFVNを使用することができる(参考文献の[10]参照)。
7.1.4 円すい(錐)ディフューザ 用いるCFVNの円すい(錐)ディフューザは,段差,不連続性,凹
凸及び偏心が,局所直径の1%を超えないことを確認しなければならない。円すい(錐)ディフューザの
幾何平均表面粗さRaは,10-4 dを超えてはならない。

7.2 形状

7.2.1  一般 標準CFVNには,次の二つの形状がある。すなわち,トロイダルスロートベンチュリノズ
ル及びシリンドリカルスロートベンチュリノズルである。精密加工ベンチュリノズルは,前者として設計
しなければならない。
7.2.2 トロイダルスロートベンチュリノズル
7.2.2.1 CFVNは,図1に適合しなければならない。

――――― [JIS Z 8767 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS Z 8767:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/DIS 9300:2003(IDT)

JIS Z 8767:2006の国際規格 ICS 分類一覧