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Z 8819-2 : 2019 (ISO 9276-2 : 2014)
4.1 モーメント表記法によるモーメントの定義
分布密度のk-次モーメント[1]は,式(1)の積分によって定義する。
xmax
Mk,r xkqr (xd) x (1)
xmin
ここに, Mk,r : モーメント
k : 粒子径xのべき指数
r : 分布密度の測定基準
r=0の場合のq0(x)は個数基準分布密度となり,r=3の場合のq3(x)は体積又は質量基準分布密度となる。
積分の上下限が最大粒子径(xmax)及び最小粒子径(xmin)の場合,式(1)は完全モーメントを表す。
特別な場合として,M0,rは,次の式(2)のように常に1になる。
xmax xmax
0
M,0r x qr (xd) x qr (xd) xQr (xmax )
Qr (xmin )1 (2)
xmin xmin
ここに,積算分布は,次の式(3)による。
xi
Qr (xi) qr (xd) x (3)
xmin
次の式(4)のように,式(1)の積分範囲が,粒子が存在する範囲内に含まれる任意の二つの粒子径xi−1とxi
との間の場合を不完全モーメントという。
xi
xkqr (xd) x (4)
Mk,r (xi 1 , xi )
xi 1
ここに,xmin注記 式(4)は,“粒子が存在する範囲内に含まれる任意の二つの粒子径xi−1とxiとの間”で与えられ
る不完全モーメントの定義になるが,この規格で扱う他のモーメントは全て完全モーメントに
なる。
式(1)及び式(4)で表されるモーメントのほかに,分布密度qr(x)の,いわゆるk-次の中心モーメントmk,r
−
Ex
k,rまわりのモーメントという[式(11)参照]。
を求めることができる。これを,重み付き平均粒子径
k-次の中心モーメントは,次の式(5)の定義による。
xmax
mk,r (x x,1r ) kqr (xd) x
(pdf 一覧ページ番号 )
xmin
4.2 モーメント表記法による平均粒子径の定義
4.2.0 一般
全ての平均粒子径は,次の式(6)によって定義する。
xk,r kM
k,r (6)
下付添字のk及びrに用いた数値に応じて,定義される平均粒子径が異なる。式(6)で求められる平均粒
子径は,かなり異なる可能性があるので,下付添字のk及びrを常に明記することが望ましい。
平均粒子径には,算術平均粒子径及び重み付き平均粒子径の二つのグループがある。
――――― [JIS Z 8819-2 pdf 6] ―――――
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Z 8819-2 : 2019 (ISO 9276-2 : 2014)
−
Ex
4.2.1 モーメント表記法による平均粒子径 k,rに関する用語
表1に,平均粒子径の用語を示す。
−
Ex
表1−平均粒子径 k,rに関する用語
記号 用語
−
Ex
1,0
個数基準算術平均長さ径(個数平均径)
−
Ex
2,0
個数基準算術平均面積径(平均面積径)
−
Ex
3,0
個数基準算術平均体積径(平均体積径)
−
Ex
1,1
重み付き長さ基準平均径(長さ平均径)
−
Ex
1,2
重み付き面積基準平均径(体面積平均径),ザウター径
−
Ex
1,3
重み付き体積基準平均径(体積平均径)
4.2.2 算術平均粒子径
算術平均粒子径は,個数基準分布密度q0(x)から求められ,次の式(7)の定義による。
xk0, kM
k0, (7)
顕微鏡(画像法)による個々の粒子の計数は,個数基準の分布(r=0)から平均を求める代表的な例に
なる。
算術平均粒子径には,次のものがある[2]。
個数基準算術平均長さ径(個数平均径) : x0,1M0,1 (8)
個数基準算術平均面積径(平均面積径,又は平均表面積径[6]) : x0,2
2 M0,2 (9)
個数基準算術平均体積径(平均体積径[6]) : x0,3
3M0,3 (10)
4.2.3 重み付き平均粒子径
重み付き平均粒子径は,次の式(11)の定義による。
xk,r kM
k,r(11)
ふるい分け前後におけるふるいのひょう量(ふるい分け法)は,質量基準の分布(r=3)から平均を求
める代表例になる。重み付き平均粒子径は,分布qr(x)の粒子径軸(横軸)上の重心を表している。式(12)
式(15)で与えられる重み付き平均粒子径がよく用いられる。
個数基準分布密度q0(x)の重み付き平均粒子径は,個数基準算術平均長さ径[式(8)]に等しく,次による。
−
Ex
1,0=M1,0 (12)
個数基準算術平均長さ径(個数平均径[6]) :
長さ基準分布密度q1(x)の重み付き平均粒子径は,次による。
−
Ex
1,1=M1,1 (13)
重み付き長さ基準平均径(長さ平均径[6]) :
面積基準分布密度q2(x)の重み付き平均粒子径は,次による。
−
Ex
1,2=M1,2 (14)
重み付き面積基準平均径(体面積平均径[6]) :
体積基準分布密度q3(x)の重み付き平均粒子径は,次による。
−
Ex
1,3=M1,3 (15)
重み付き体積基準平均径(体積平均径[6]) :
4.2.4 幾何平均粒子径
n個の数値の和をnで除して計算される算術平均の代わりに,幾何平均は,n個の積のn乗根として与え
られる。対数値による計算では,n個の対数値の和をnで除すと幾何平均の対数が求まる。算術平均は幾
何平均より大きく,その差は分布幅が広がるに従って大きくなる。
式(6)でkを0に近づけた極限は,幾何平均粒子径を与える(モーメント比表記法におけるp=qに対す
る導出[3]を参照)。
r-基準分布の幾何平均粒子径は,連続分布に対して次の式(16)の定義による。
――――― [JIS Z 8819-2 pdf 7] ―――――
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Z 8819-2 : 2019 (ISO 9276-2 : 2014)
xmax
x,0r exp (ln x) qr (xd) x (16)
xgeo ,r
xmin
また,対数による表現は,次の式(17)による。
xmax
ln x,0rln xgeo ,r (17)
(ln x) r (xd) x
xmin
ヒストグラムのデータの場合,r-基準分布の幾何平均粒子径は,次の式(18)のように求められる。
m m
x,0r exp (ln xi ) qr,iΔxi
exp (ln xi )ΔQr,i (18)
xgeo ,r
i 1 i 1
−
Ex
i : 粒子径区間iの中点
ここに,
ΔQr,i : 粒子径区間幅Δxiに含まれる相対粒子量
注記 粒子径分布が対数正規分布で近似できる場合(ISO 9276-5),幾何平均粒子径は分布の中央値(中
位径)と一致する。
4.2.5 調和平均粒子径
n個の数値の逆数を算術平均した値の逆数を,調和平均と呼ぶ[7]。調和平均は幾何平均より小さく,標
本の分散が大きいほど両者の差が大きくなる。r-基準分布の調和平均粒子径は,次の式(19)で与えられる。
1 1
xhar ,r
xmax
(pdf 一覧ページ番号 )
1 M ,1r
qr (xd) x
x
xmin
ヒストグラムからは,次の式(20)のように求めることができる。
1 1
xhar ,rm m
(pdf 一覧ページ番号 )
1 1
qr,iΔxi ΔQr,i
i 1xi xi
i 1
4.3 粒子径分布からのモーメント及び平均粒子径の計算
4.3.1 個数又は体積基準分布からのMk,r及び平均粒子径の計算
実際の操作では,測定データは個数基準分布密度q0(x)又は体積基準分布密度q3(x)で与えられることが多
い。4.2で定義された各平均粒子径は,式(21)によって求めることができる[1]。
Mk r0, Mk r 3,3
xk,r kM
k,r k k (21)
Mr0, Mr 3,3
式(21)から次の関係が導かれる。
M 3,1
x0,2 M0,2 kM (22)
3,3
1
x0,3 3M0,3 3 (23)
M 3,3
――――― [JIS Z 8819-2 pdf 8] ―――――
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M0,2 M 3,1
x1,1M1,1 (24)
M0,1 M 3,2
M0,3 1
x2,1M2,1 (25)
M0,2 M 3,1
M0,4
x3,1M3,1 (26)
M0,3
式(21)式(26)によると,平均粒子径を計算する場合,次のモーメントが必要になる。
個数基準分布密度q0(x) : M1,0,M2,0,M3,0,M4,0
体積基準分布密度q3(x) : M1,3,M−1,3,M−2,3,M−3,3
式(21)は,任意の測定基準の平均粒子径又はモーメントが,個数基準の二つのモーメントの比として表
されることを示している。この比がモーメント比表記法の主な関係として用いられる。
4.3.2 ヒストグラムで与えられた粒子径分布からのMk,rの計算
分布密度がヒストグラムで与えられる場合,粒子径区間Δxi=xi−xi−1で分布密度は一定になる。したが
って,式(1)は,次の式(27)のように書き換えられる。
xmax m
Mk,r xkqr (xd) x (xi ) kqr,iΔxi
(pdf 一覧ページ番号 )
xmin i 1
ここに,
ΔQr,i
qr,i (28)
xi xi1
式(28)によって,式(29)となる。
xmax m
k
Mk,r xkqr (xd) x (29)
xi ΔQr,i
xmin i1
−
Ex
ikは,各粒子径区間における算術平均として与えることができる。
粒子径区間における近似的な平均
k
k xi xi 1
xi (30)
2
算術平均のほかに,幾何平均又は積分平均のような平均があるが,これらに特別な優位性があるわけで
はない。全ての粒子径分布に対して優位性のある粒子径区間における平均の設定方法がないことは,幾つ
かの研究によって示されている[8]。
ヒストグラムは元々離散的だが,これに基づくモーメント及び平均径の計算値の不確かさは2 %6 %に
なる。ただし,これは,粒子径区間幅,及び各粒子径区間幅に入る粒子量の不確かさに依存する。より多
くの粒子径区間に対する測定によって測定結果の粒子径分解能を向上させる方法は,ISO 9276-3に規定さ
れている。
次のモーメントM1,0,M2,0,M3,0,M4,0,M1,3,M−1,3,M−2,3及びM−3,3は,式(31)式(38)で求めることが
できる。
m m
1 1
M0,1 xiq,0iΔxi xiΔQ,0i (31)
i1 i1
――――― [JIS Z 8819-2 pdf 9] ―――――
8
Z 8819-2 : 2019 (ISO 9276-2 : 2014)
m m
2 2
M0,2 xi q,0iΔxi (32)
xi ΔQ,0i
i1 i1
m m
3 3
M0,3 xi q,0iΔxi xi ΔQ,0i (33)
i1 i1
m m
4 4
M0,4 xi q,0iΔxi (34)
xi ΔQ,0i
i1 i1
m m
1 1
M3,1 xiq,3iΔxi (35)
xiΔQ,3i
i1 i1
m m
1 1
M 1,3 1
q,3iΔxi 1
ΔQ,3i (36)
i1xi i1 xi
m m
1 1
M 2,3 2
q,3iΔxi 2
ΔQ,3i (37)
i1xi i1xi
m m
1 1
M 3,3 3
q,3iΔxi 3
ΔQ,3i (38)
i1xi i1xi
4.4 粒子径分布の分散及び標準偏差
粒子径分布の広がりは標準偏差srを平方した分散で表される。分布qr(x)の分散sr2は,次の式(39)によっ
て定義される。
xmax
sr2 (x x,1r ) 2 qr (xd) x
(pdf 一覧ページ番号 )
xmin
モーメントを用いると,分散は,次の式(40)で求めることができる[3]。
sr2m,2r M,2r (M,1r ) 2
(pdf 一覧ページ番号 )
ヒストグラムの場合には,次の式(41)による。
2 2
m m m m
2 1 2 1
sr2 xi qr,iΔxi xiqr,iΔxi xi ΔQr,i xiΔQr,i (41)
i 1 i 1 i 1 i 1
sr2の計算例を,附属書Aに示す。
対数正規分布qr(x)に対して,標準偏差sは,次の式(42)で求めることができる。
s=ln(x84,r/x50,r)=ln(x50,r/x16,r) (42)
ここに, xp,r : r-基準分布のp-パーセンタイル値
幾何標準偏差sgは,次の式(43)による。
sg=exp(s) (43)
したがって,次の式(44)の関係が得られる。
――――― [JIS Z 8819-2 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8819-2:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9276-2:2014(IDT)
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