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Z 8831-3 : 2010 (ISO 15901-3 : 2007)
記号 意味 単位
d0 d0=(ds+da)/2,吸着質ガス分子と吸着材表面原子との間の距離 nm
E 吸着ポテンシャル Jmol−1
E0 特性吸着エネルギー(characteristic adsorption energy) Jmol−1
εff ガス−ガス間のレナード・ジョーンズ(Lennard-Jones)ポテンシャルパラメータ K
εsf ガス−固体間のレナード・ジョーンズポテンシャルパラメータ K
kB ボルツマン定数(1.380 650 5×10−23) JK−1
L 原子核間細孔径 nm
ma 吸着したガス(吸着物)の質量 g
me 電子の質量 kg
ms 試料質量 g
NA アボガドロ数(6.022 141 5×1023) mol−1
Na 単分子層の単位面積(m2)当たりの原子数 m−2
Ns 吸着材の単位面積(m2)当たりの原子数 m−2
na 吸着材単位質量当たりの吸着量 molg−1
nm 吸着材単位質量当たりの単分子層吸着量 molg−1
p 吸着した状態の吸着質と平衡にある吸着質ガスの圧力 Pa
P0 吸着質ガスの飽和蒸気圧 Pa
p/p0 吸着質ガスの相対圧a) 1
R 気体定数(ガス定数)(8.314 472) Jmol−1K−1
最 ガス密度 gcm−3
柿 STP標準状態(273.15 K,101 325.02 Pa)のガス密度 gcm−3
液体密度 gcm−3
相互作用エネルギーがゼロとなる2分子間の距離 nm
ガス−ガス間レナード・ジョーンズポテンシャルの距離パラメータ nm
ガス−固体間レナード・ジョーンズポテンシャルの距離パラメータ nm
T 温度 K
Tcr 臨界温度 K
t 吸着層の統計的厚さb) nm
Va 吸着材単位質量当たりの吸着質の液体相当体積 cm3g−1
Vg 吸着材単位質量当たりの吸着質の標準状態(273.15 K,101 325.02 Pa)換算体積 cm3g−1
Vmicro ミクロ細孔容積 cm3g−1
W 細孔径(スリット型細孔) nm
愀 吸着質ガスの反磁性磁化率 cm3
吸着材の反磁性磁化率 cm3
注記 物性定数については,適宜丸めた値を用いても差し支えない。
注a) 現在,一般に無次元と決められている次元1のすべての量に対して,SI単位は1である[JIS Z
8202-0(参考文献[43]参照)]。
b) 記号tは一般的に時間を表すために使用されているのに対し,ガス吸着による細孔径分布解析で
の一般的慣習として,tは液体状の吸着層の統計的厚さを表現するために使用されている。した
がって,この規格における記号tのすべては,時間ではなく統計的厚さに対応する。
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Z 8831-3 : 2010 (ISO 15901-3 : 2007)
5 原理
5.1 概要
この測定方法は,一定の低温下でのガスの吸着及び脱着(脱離ともいう。)の測定,並びにそれによって
得られる吸着等温線の初期低圧部分におけるデータの評価に基づくものである。用いる気体は,固体表面
に物理吸着するものであり,特に77.4 Kにおける窒素,77.4 K及び87.3 Kにおけるアルゴン,並びに195
K及び273.15 Kにおける二酸化炭素がよく用いられる。ガス分子の大きさの違いによる細孔への拡散性が
異なること及び測定温度が違うことで,異なる測定結果が得られる可能性がある。ミクロ細孔では,分子
と細孔壁との相互作用ポテンシャルが,相対する壁との相互作用ポテンシャルと重なり合う(図1参照)
ので,物理吸着力は広い細孔及び外表面のそれよりも強い。その結果,ミクロ細孔は,非常に低い相対圧
(p/p0<0.01)において吸着質で充てんされる(この現象は,特に“ミクロ細孔フィリング”又は“ミクロ
ポアフィリング”と呼ばれる。)。ミクロ細孔の典型的な部分は,吸着等温線の原点付近での大きくて急激
な立ち上がり,及びその後の平たん部(プラトー)に続く折れ曲がりである。ミクロ細孔は,ミクロ細孔
容積及びミクロ細孔径分布で評価される。細孔径が分子直径に近いので,細孔径を評価する上でガスの選
択は重要である。
注記 対応国際規格では,吸着温度に77 K,77.35 K及び77.4 Kというように種々の値を用いている。
この規格では,変更しないでそのまま記載した。
X軸 : 細孔壁間の距離
Y軸 : ポテンシャル・エネルギー
図1−無限に長いスリット状細孔における流体と表面との間の強調化された
相互作用ポテンシャルの細孔径依存性(参考文献[8]参照)
ゼオライト,分子ふるい炭素などのようなミクロ細孔性物質の細孔径及び細孔容量の解析は,困難であ
る。なぜならば,0.51 nmの細孔への充てんは相対圧10−710−5で起こり,この場合,拡散速度及び吸
着平衡が非常に遅いからである。87.3 Kでのアルゴンは,77.4 Kにおける窒素に比較してかなり高い相対
圧になってから0.51 nmのミクロ細孔を充てんする。このように,窒素吸着に比較して高い細孔充てん
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圧及び高い温度は,拡散及び平衡過程を促進させる。したがって,ミクロ細孔性物質の細孔解析には液体
アルゴン温度(87.3 K)でのアルゴンを吸着質として用いると有利である。しかしながら,77.4 Kにおけ
る窒素吸着の場合と同様に,ほとんどの狭いミクロ細孔を充てんするには,アルゴンの場合でもそれに必
要な絶対圧力は非常に低い。このような低い圧力では,拡散障害というよく知られた問題が生じる。すな
わち,このような条件では窒素分子又はアルゴン分子でも,活性炭素繊維,分子ふるい炭素などに存在す
る最も狭い細孔に入りにくくなる。このため,誤った吸着等温線が得られる可能性があり,細孔容積など
を過小評価することになる。これらの問題を解決する一つの可能性は(少なくともミクロ細孔性炭素材料
に対しては),273.15 Kにおける二酸化炭素の使用にある。この温度での二酸化炭素の飽和蒸気圧は,約
3.48 MPaである。すなわち,ミクロ細孔フィリングを検知するために必要な低い相対圧を達成するための,
ターボ分子ポンプレベルの高真空状態を必要としない。101 325 Pa(1 atm)までの二酸化炭素吸着で,約
1.5 nmまでの最も小さなミクロ細孔を検出できる。このような比較的高い温度及び圧力では,大きな拡散
障害はなく,低温での窒素及びアルゴンによる実験に比べ,平衡に速く到達する。
5.2 測定方法
吸脱着等温線を求めるために必要とされる実験データは,圧力をステップ状に順次変化させる逐次方式
又は圧力を連続的に変化させる方式によって,平衡圧を観測する容量法又は平衡状態における質量を測定
する質量法によって得ることができる。吸脱着平衡は長い時間を要するので,平衡値測定を確実にする逐
次方式が推奨される。
容量法は,校正された体積及び圧力の測定に基づく(JIS Z 8830の図5を参照)。一般的な気体の状態方
程式を適用して,導入されたガスの量及び接続部分を含む試料容器中のフリースペースを充てんするガス
の量の差として,吸着量を計算する。平衡に到達したかどうかは,フリースペース中の圧力をモニターす
ることによって判断できる。ミクロ細孔への物理吸着は,メソ細孔への吸着現象より実質的に低い相対圧
で起きるので(5.1参照),測定が広い圧力範囲にわたる。よって,圧力測定には特に十分な注意が必要で
ある。その結果,平衡圧を十分な精度で測定するために,二つ以上の圧力変換器を備える必要がある。十
分な精度で10−7≦p/p0≦1の相対圧範囲で窒素及びアルゴンのようなガスを用いて,それらの沸点で吸着
を研究するためには,0.133 kPa(1 Torr),1.33 kPa(10 Torr)及び133 kPa(1 000 Torr)という異なる最大
圧力測定可能な圧力変換器を組み合わせて用いることが望まれる。さらに,試料セル及びマニフォールド
を可能な限り高真空で排気するために,適切な高真空用排気システムを必要とする。必要な高真空状態は,
ターボ分子ポンプを使って達成できる。約13 Pa以下のガス圧(77 Kでの窒素ガス及び87 Kでのアルゴン
でp/p0<10−5)に対しては,クヌーセン効果による試料バルブの細管に沿った圧力差を考慮に入れなけれ
ばならない(熱遷移補正)。
注記 単位“Torr”の使用については,用途が限定されている。
質量法測定では,吸着した質量は直接測定する(JIS Z 8830の図6を参照)が,圧力に依存する浮力の
補正が必要である。平衡に到達しているか否かは,質量指示計をモニターすることで判断できる。0.1100
Paの圧力範囲では,気体流は測定に対して深刻な影響を及ぼす。試料は温度測定端子と直接接触していな
いので,試料の正しい温度を実験的に確認することが必要である。
6 測定手順
6.1 試料のサンプリング
試料のサンプリングは,ISO 3165及びISO 8213に従って実施する。試験のための試料はロットを代表
するものとし,適切な量の採取が望ましい。サンプリングにおける2番目の試料を用いた繰返し測定が望
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ましい。
6.2 試料前処理
物理吸着物質を取り除くために,昇温下1 Pa以下の真空下で脱ガスすることが望ましい。この工程中,
不可逆的な表面構造変化を避けることが望ましい。脱ガス処理での最高温度は,熱質量分析(JIS Z 8830
の図3を参照)によって決定できる。それ以外の方法としては,脱ガスの時間及び温度を変化させて吸着
測定を繰り返すことが望ましい(JIS Z 8830の図4を参照)。また,試料から物質が排出される温度は示差
走査熱量法によって決定でき,排出ガスも分析可能である。
替わりの方法としては,高純度の不活性ガス(例えば,ヘリウム又は窒素)流通下で加熱脱ガスする方
法がある。脱ガスの完了は,1530分間の試料の質量変化又は試料セル内の圧力変化がないことで示され
る。以上の処理で得られる乾燥試料の質量を測定する。
6.3 吸着量測定
吸着量は,JIS Z 8830又はJIS Z 8831-2に従って測定する。
7 装置性能の検証
装置の校正及び性能を確認するため,認証標準物質又は測定者が選んだ特定の標準物質(機関内標準物
質)を用いて定期的に試験測定をすることが望ましい。機関内標準物質は,認証標準物質にトレーサブル
でなければならない。
注記 認証標準物質は,国家標準機関によって提供され,現在,ドイツBAM及び米国NISTから入手
可能である。
Bundesanstalt fr Materialforschung und-prfung (BAM)
Division I. 1 Inorganic Chemical Analysis; Reference Materials
Branch Adlershof,Richard-Willsttter-Strae 11,D-12489 Berlin,Germany
Standard Reference Materials Program
National Institute of Standards and Technology (NIST)
100 Bureau Drive,Stop 2322
Gaithersburg,MD 20899-2322,USA
上記の情報は,この規格の利用者に便宜を与えるためのものであり,それらの製品をJIS(ISO)
が保証するものではない。もし,同じ結果を与えるならば同等の製品を使うことができる。
8 装置校正
個々の構成要素の校正は,製造業者の推奨に従って行うことが望ましい。一般に,圧力変換器及び温度
センサの校正は,校正証明書を添付した圧力計及び温度計と対照することによって行う。マニフォールド
容積の校正は,一定温度で既知の体積をもつトレース可能な空間又は固体を用い,適切な圧力と温度との
関係を測定することによって行う。サンプル容器の校正は,一般に,JIS Z 8831-2の9.3.4に規定するフリ
ースペースの測定によって行う。
9 ミクロ細孔容積の評価
9.1 ミクロ細孔容積評価法の一般原理
Vg=f(p/p0)又はma=f(p/p0) Tで示される吸着等温線は,均等目盛(図2参照),望ましくは対数目盛(図3
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参照)の相対圧に対してプロットすることで得られる。
図2−ゼオライトへの87.3 Kアルゴン吸着等温線のリニアプロット
図3−ゼオライトへの87.3 Kアルゴン吸着等温線の片対数プロット
外部表面積又はメソ細孔の容積が無視できる場合,ミクロ細孔が発達した試料の吸着等温線は,ラング
ミュア型(IUPACのI型,JIS Z 8830の図1を参照)を示す。平たん部の吸着量は,ミクロ細孔容積に相
当する。マクロ細孔がある場合には,相対圧1付近で吸着量の急激な増加が見られる。
平たん部での吸着量は,吸着容量の尺度である。細孔容積を得るには,吸着質の密度がその吸着温度で
液体の密度と等しいと仮定する。その場合の細孔容積は,式(1)で計算する。
Va ma 1 ms (1)
――――― [JIS Z 8831-3 pdf 10] ―――――
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JIS Z 8831-3:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15901-3:2007(IDT)
JIS Z 8831-3:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 19 : 試験 > 19.120 : 粒度分析.ふるい分け
JIS Z 8831-3:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8830:2013
- ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法
- JISZ8831-2:2010
- 粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性―第2部:ガス吸着によるメソ細孔及びマクロ細孔の測定方法