JIS Z 8837:2018 体積置換による密度の測定―ガスピクノメータ法による骨格密度 | ページ 2

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Z 8837 : 2018 (ISO 12154 : 2014)
の固定体積試料室を用いるか,又は体積低減用インサートを試料室に入れるかのいずれかとする。このよ
うに試料室容積を変えることの理由は,ピクノメータ法の測定精度が,試料室容積に対する試料が占める
体積の割合に依存するからである。
装置構成1
Vs
装置構成2
Vs
1 バルブ1,ガス入口弁 4 参照室
2 バルブ2,遮断弁 5 試料室
3 バルブ3,ガス出口弁 6 圧力センサ
注記 圧力センサは,絶対圧力センサ又はゲージ圧力センサのいずれであってもよい。
図1−ガスピクノメータにおける2種類の測定部の構成

6.2 試料の前処理及び試料質量の測定

  ピクノメータで正確な測定結果を得るための最初のステップは,試料の調製とする。試料の真の質量を
得るため,かつ,水蒸気による影響を排除するため,水分を除去しなければならない。次の手順によって
行うことが望ましいが,幾つかの材料に対しては改良が必要である。
サンプリングは,JIS Z 8833に従って行う。試料からの大気ガスの除去は,所定時間の真空排気,所定
時間のガスパージ,繰返しパルスパージ,又はそれらの組合せによって行うことができる。湿った試料の
場合は,事前に乾燥することが望ましい。
熱に敏感な材料の場合は,デシケータ中での長時間放置,凍結乾燥などによって乾燥することができる。
低融点の材料の場合は,パージ処理で乾燥させることができる。この場合,パージ処理及び測定が完了す
るまで,試料及び容器のひょう(秤)量はしない。
注記 骨格密度の複数回の測定結果が,使用するピクノメータの再現性範囲内である場合,脱ガス処
理が完全であると考えることができる。
各前処理工程において,乾燥試料を大気中の水分に暴露しないように配慮する。このとき,可能な限り

――――― [JIS Z 8837 pdf 6] ―――――

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迅速にひょう量し,遅滞なく試料を試料室に導入する。
試料室は,試料を導入又は取り出す場合を除き,蓋をすることが望ましい。正確な分析結果を得るため
に,試料室は,無じん(塵),かつ,できる限り乾燥状態にする。
試料質量msの測定では,試料質量の少なくとも0.1 %が測定可能な電子天びんを使用する。
− 空の試料容器(試料カップ)をひょう量する。
− 試料容器へ試料を入れる。試料容器を満たすためにできる限り大量の試料を使用する(A.1を参照)。
試料は,少なくとも試料容器の3分の2以上でなければならない。
− 試料を入れた試料容器を乾燥器内に置く。試料の加熱時間は,材料とその許容温度とに依存する。こ
れは,他の試験によって確認することができる。乾燥器から試料容器を取り出して,乾燥剤を入れた
デシケータに移し,室温付近まで冷却する。次の手順では,試料の空気暴露を最小限に抑える。
− 試料入り容器をひょう量し,質量を記録する。試料質量を求めるために,試料入り容器の質量から空
試料容器の質量を減じる。
− 試料の入った容器を試料室に入れ,慎重に密閉する。
ミクロ多孔質材料では,JIS Z 8830 [6]及びJIS Z 8831-3 [7]の規定に従って調製することが望ましい。
なお,炭素,ゼオライト,又は金属有機構造体(metal organic framework, MOF)のようなミクロ多孔質
材料は容易に大気中の不純物を吸着し,多くの場合,大気中の水分に対して高い親和性をもっている。汚
染物質は,試料質量に対して大きな割合を占める。それゆえ,試料質量を正確に求めることが困難となり,
不純物が徐々にパージされることで安定した体積測定値を得るために長時間の繰返し測定が必要となる。
このような材料のための推奨手順は,真空乾燥器からあらかじめひょう量したピクノメータの試料容器
に試料を直接移し,試料が室温以上であっても測定を開始することである。試料が冷却され熱平衡になる
までに十分に長い時間測定する。測定後,すぐに試料をひょう量する。可能であれば,窒素又は乾燥空気
によって置換した試料をひょう量する。試料密度の計算にはこの質量を使用する。

6.3 試料の骨格体積の決定

6.3.1  ガスピクノメータ法による測定
ガスピクノメータによる測定は,取扱説明書(操作マニュアル)に従って実行することが望ましい。代
表的な最新の自動ガスピクノメータでは,単一の試料に対して自動的に複数回の測定を実行することがで
きる。繰返し測定では,通常,雰囲気ガスが完全に除去されたこと,及び試料と分析用ガスとの間で適当
な熱平衡にあることを確認する。試料の骨格体積は,最低5回の測定で決定されることが望ましい。骨格
体積の測定値の平均及び標準偏差は,標準的な統計手法によって計算する。
最初,全バルブは,両方の室が同じ圧力paの状態で閉める。バルブ1を開けると,試料室(装置構成1)
又は参照室(装置構成2)は,加圧された圧力p1(>pa)で測定ガスによって満たされる。このバルブを
閉め,試料室(装置構成1)又は参照室(装置構成2)内の圧力p1を正確に測定する。測定ガスが第2室
内に膨張するようにバルブ2を開け,両方の室内の新しい平衡圧力p2を再度正確に測定する。最後にバル
ブ3が開けられ,ガスは大気又は真空へ排気される。そして,連続した複数の体積測定の結果が,あらか
じめユーザが決めた許容範囲内に入るまでこのサイクルを繰り返す。
6.3.2.2及び6.3.2.3に規定したように,試料の骨格体積は,試料室及び参照室に対する既知の校正された
容積Vcell及びVref並びにガス膨張ステップ前後の圧力p1及びp2の読みを用いて計算する。最終的に骨格密
度は,試料質量を骨格体積で除して求める(6.4参照)。

――――― [JIS Z 8837 pdf 7] ―――――

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6.3.2 試料の骨格体積の計算
6.3.2.1 一般事項
試料体積の算出で用いられる過剰ガス圧力piは,測定開始時のガスピクノメータ内の初期ガス圧力pa
を超えた値である。このことは,ここで用いられる全ての圧力値は初期圧と絶対圧との差であることを意
味している。各測定又は校正操作の最初において圧力センサをゼロにするオプションが付いていないガス
ピクノメータの場合は,このことを明記しておく。ゼロとした後,圧力の読みは圧力増加量を直接表す。
6.3.2.2 装置構成1におけるVsの算出
試料の骨格体積Vsは,図1の装置構成1によるガスピクノメータを用いる場合,式(1)によって算出する。
p2
Vs Vcell Vref (1)
p1 p2
6.3.2.3 装置構成2におけるVsの算出
図1の装置構成2によるガスピクノメータを用いる場合,骨格体積Vsは,式(2)によって算出する。
p1 p2
Vs Vcell Vref (2)
p2

6.4 骨格密度の算出

  骨格密度は,式(3)によって算出する。
ms
s (3)
Vs

6.5 校正手順

6.5.1  一般事項
校正は,ガスピクノメータの試料室容積Vcell及び参照室容積Vrefの正確な値を決める操作である。ガス
ピクノメータの校正は,測定温度を変更した場合,試料室,配管,接続部品,試料容器などを変更した場
合に必要である。校正は,取扱説明書に従って行うことが望ましい。校正手順は,二つの容積を校正する
のが望ましいので,二つの独立した膨張試験(校正ステップA及びB)からなる。校正ステップAは,圧
力pA1及びpA2の測定を含む空の試料室を用いた膨張試験である。この結果は,試料室容積Vcellと参照室容
積Vrefとの関係を与える。
校正ステップBは,圧力pB1及びpB2の測定を含む試料室内の校正標準試料(体積Vcal)を用いた膨張試
験である。
注記 標準試料は,ステンレス,チタン,窒化けい素などの高品位な材料(一次又はトレーサブルな
二次標準のいずれかとして認定された機関から入手可能であるような)でできた十分な大きさ
の認証校正球であってもよい。一般的にはこのような球は,市販のガスピクノメータの標準附
属品である校正キットとして供給される。
二つの校正ステップの結果から試料室容積及び参照室容積を得る。ここで,用いられた全ての圧力は,
校正手順の最初の時点におけるガスピクノメータ内の初期ガス圧paを超える過剰ガス圧力(6.3.2.1参照)
であることに注意する。
6.5.2 装置構成1の校正
校正ステップA(空のピクノメータを用いた気体膨張試験であり,試験での読みは,pA1及びpA2である。)
試料室容積と参照室容積との関係は,式(4)による。
pA 2
Vcell Vref (4)
pA1 pA 2

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校正ステップB(試料室内における体積Vcalの校正標準試料を用いた膨張試験であり,試験での読みは,
pB1及びpB2である。)
試料室容積,参照室容積及び校正標準試料の体積の関係は,式(5)による。
pB 2
VcellVcal Vref (5)
pB1 pB 2
式(4)及び式(5)から,校正標準試料の体積並びに校正ステップA及びBでの圧力値を用いて,試料室容
積及び参照室容積は,式(6)及び式(7)によって求める。
試料室容積の計算の場合,
pA 2 pB1 pB 2
Vcell Vcal (6)
pA 2pB1 pA1 pB 2
参照室容積の計算の場合,
pA1 pA 2 pB1 pB 2
Vref Vcal (7)
pA 2pB1 pA1 pB 2
6.5.3 装置構成2の校正
校正ステップA(空のピクノメータを用いた気体膨張試験であり,試験での読みは,pA1及びpA2である。)
試料室容積と参照室容積との関係は,式(8)による。
pA1 pA 2
Vcell Vref (8)
pA 2
校正ステップB(試料室内における体積Vcalの校正標準試料を用いた膨張試験であり,試験での読みは,
pB1及びpB2である。)
試料室容積,参照室容積及び校正標準試料の体積の関係は,式(9)による。
pB1 pB 2
VcellVcal Vref (9)
pB 2
式(8)及び式(9)から,校正標準試料の体積並びに校正ステップA及びBでの圧力値を用いて,試料室容
積及び参照室容積は,式(10)及び式(11)によって求める。
試料室容積の計算の場合,
pB 2 pA1 pA 2
Vcell Vcal (10)
pA1 pB 2 pA 2pB1
参照室容積の計算の場合,
pA 2pB 2
Vref Vcal (11)
pA1 pB 2 pA 2pB1

7 測定記録

  試験報告は,次の事項を記録する。
a) 試験日
b) 日本工業規格(日本産業規格)の番号JIS(JIS Z 8837),及びこの規格以外の方法によった場合は,その旨
c) 試料及び試料調製の詳細
d) ピクノメータの型式及びその製造業者,試料室容積及び膨張室容積,試料質量,試料体積並びに温度
e) 不確かさ[測定の不確かさの表示に関するガイド(GUM)[4]に従った繰返し測定に対する合成標準偏
差]を含めた試料の骨格密度

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附属書A
(参考)
測定結果に影響する項目
A.1 不適切な試料質量
試料質量に関して操作者が犯す最も一般的な誤りは,あまりにも少量の試料を使用することである。自
動ピクノメータの試料室及び膨張室の容積は,試料が試料容器内にほぼ満たされている場合に,最大精度
が得られる大きさとなっている。簡単にいえば,試料容器に収容できる試料の最大量を常に使用すること
が望ましい。試料質量が限られている場合は,試料と一緒に校正された鋼球を入れ,測定結果から鋼球体
積を差し引くことで試料体積を求めるとよい。
市販のガスピクノメータはサイズの異なる複数の試料容器(試料カップ)を備えており,試料質量によ
って使い分けることができる。
A.2 温度の影響及び圧力安定性
ガスピクノメータは圧力を測定するため,一定,かつ,等しい温度にする。ピクノメータの装置構成部
品,測定ガス及び試料間の熱平衡は,装置の安定性において重要である。試料室又は参照室と導入ガスと
の温度が異なる場合,機器が再び熱平衡に達するまで不安定な動作になることが予想される。試料が試料
室と熱平衡状態にない場合,機器の出力結果はガスの膨張及びそれに伴う圧力変化によって値がずれるこ
ととなる。
ピクノメータが絶対圧力計の代わりにゲージ圧力計を備えている場合,大気圧p0は測定中に変化しては
ならない。したがって,測定中の大気圧p0の変化が圧力測定の精度と比較して小さいことを確認すること
が重要である[1]。
A.3 湿度及び吸着ガスの影響
体積測定結果に影響を受けないのは,基本的に蒸気圧がゼロを示す試料だけである。揮発成分を含む試
料は,ガスピクノメータの試料室内でガスを放出する。その結果,数回繰り返される測定において,密度
又は体積が変化することになる。また,試料物質の細孔内の大気ガスの存在は体積の決定に影響を与える
こととなる。通常,液体の水が関与する体積は,試料体積と比較すると僅かであるが,気化した水は,そ
の蒸気圧によって大きく影響を与える。装置が実際に測定するのは圧力であるため,系内の圧力に影響す
るいかなる測定条件も体積及び密度の両方の結果に影響を与える。水又は吸着ガスを取り除くときに,乾
燥不足又は脱ガス不足であった試料では,試料体積が増加し,密度が減少することとなる。分析終了時に
試料質量が減少していれば,新たに乾燥又は脱ガスした試料質量を求め,密度計算に使用することが望ま
しい。
湿度に依存して測定対象物質が膨潤又は収縮する場合は,ガスピクノメータによる密度測定は不可能で
ある。
A.4 漏れ(リーク)
試料片が試料容器の蓋のシール面に残っている場合,漏れが生じる可能性がある。このような微少の漏
れは,機器の既定回数のガス導入及び膨張試験を行っても見つけることは難しい。しかし,要求した分析

――――― [JIS Z 8837 pdf 10] ―――――

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JIS Z 8837:2018の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 12154:2014(IDT)

JIS Z 8837:2018の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8837:2018の関連規格と引用規格一覧