JIS Z 8850:2018 エアロゾル粒子の個数濃度―凝縮粒子計数器の校正 | ページ 2

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
に含まれなければならず,その方法はこの規格で規定している。
この規格の対象者は,次のとおりである。
− 環境計測,自動車排ガス計測などを目的とした,内部校正プログラムをもつCPCのユーザ
− 自社製品の性能の適合性評価及び再評価を行うCPC製造業者
− 粒子数濃度計測の設備をもちCPC校正サービスを提供する,国家計量標準機関などの研究所

1 適用範囲

  この規格は,粒子数濃度範囲1 cm-3105 cm-3のCPCの検出効率及びその不確かさの決定方法について
規定する。一般的に検出効率は,粒子数濃度,粒径,及び粒子の組成に依存する。この規格で規定した方
法が対象とする粒径範囲はおおむね5 nm1 000 nmである。
この方式は検出効率が相対的に一定な大粒径範囲で適応できるCPCの校正係数(プラトー効率)を決定
する用途,及び検出下限に近い小粒径における検出効率の低下特性を明らかにする用途に使用できる。こ
れらの変数に関しては,附属書Aに詳細に記載している。
ここに規定した方法は,吸入流量がおおむね0.1 L/min5 L/minのCPCに適している。
この規格は,CPCの校正の不確かさを見積もる方法についても規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 27891:2015,Aerosol particle number concentration−Calibration of condensation particle counters
(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
ISO 15900,Determination of particle size distribution−Differential electrical mobility analysis for aerosol
particles

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
エアロゾル(aerosol)
ガス中に固体又は液体の粒子が分散した系。
3.2
両極電荷調整装置(bipolar charger)
装置内で粒子を正負両極のイオンに暴露することで,粒径に対する帯電分布に対し平衡かつ既知の状態
を得る粒子電荷調整装置。
注記 正負両極の気体イオンからなる,電荷量濃度の十分に高い電気的中性な雲に,十分長い時間エ
アロゾル粒子を暴露することによって,エアロゾル粒子に正味の電荷量がほぼ0の平衡帯電状
態がもたらされる。

――――― [JIS Z 8850 pdf 6] ―――――

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
3.3
校正(calibration)
指定の条件下において,第一段階で,測定標準によって提供される測定不確かさを伴う量の値と,付随
した測定不確かさを伴う当該の指示値との関係を確立し,第二段階で,この情報を用いて指示値から測定
結果を得るための関係を確立する操作(TS Z 0032参照)。
注記1 校正は,表明(statement),校正関数,校正線図,校正曲線又は校正表で表してもよい。場合
によっては,付随した測定不確かさを伴う表示値の加算,又は倍数の補正で構成してもよい。
注記2 校正は,“自己校正(self-calibration)”と呼ばれる測定システムの調整(verification),又は校
正の検証と混同しないことが望ましい。
注記3 上記の定義の第一段階だけを校正と認識していることが多い。
3.4
校正エアロゾル(calibration aerosol)
電荷調整及び粒径分級がなされ,校正測定のために粒子数濃度が調整された,分流器から供給されるエ
アロゾル。
3.5
校正粒子材質(calibration particle material)
校正エアロゾル粒子の材質。
3.6
電荷量濃度(charge concentration)
単位体積当たりの正味の電荷量。
注記1 電荷量濃度は,FCAEの測定量である。
*
注記2 FCAEの測定結果は,電荷量濃度CQ(単位fC/cm3),電荷数濃度 C(単位cm-3),又は電流
N
IFCAE(単位fA)によって表示される。電気素量eとFCAE入口体積流量qFCAEとを用いると,
これらの表示値は次の式によって関連付けられる。
CN* CQ e IFCAE qFCAE
例 電荷量濃度1 fC/cm3は電荷数濃度6 241 cm-3に相当する。また,1 L/minのFCAE入口体積流量の
場合,測定電流は16.67 fAになる。
3.7
電荷調整(charge conditioning)
試料エアロゾルの帯電分布をある定常状態へ調整する処置。
3.8
変動係数,CV(coefficient of variation)
標準偏差を算術平均で除した比。
3.9
同時通過誤差(coincidence error)
2個以上の粒子が同時に検出領域に存在すること,又は信号処理に有限の時間を要することによって生
じる誤差。
注記 同時通過誤差は,粒子数濃度,検出領域での流速,及び検出領域の大きさに関係する。

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
3.10
凝縮粒子計数器,CPC(condensation particle counter)
エアロゾルの粒子数濃度を計測する装置(ISO 15900:2009における定義を変更)。
注記1 検出される粒子の粒径は,通常,数100 nmより小さく,数nmより大きい。
注記2 CPCは,凝縮核計数器(condensation nucleus counter, CNC)と呼ばれる場合もある。
注記3 この規格では,参照装置として使用されるCPCを参照CPCという。
注記4 この規格では,校正されるCPCを被験CPCという。
3.11
検出効率,η(detection efficiency)
装置入口の実際の濃度に対する装置から報告される濃度の比。
3.12
微分型電気移動度分級器,DEMC(differential electrical mobility classifier)
電気移動度に基づいてエアロゾル粒子を分級し,分級されたエアロゾル粒子を装置出口から排出する分
級器(ISO 15900:2009における定義を変更)。
注記 DEMCは,電場中で個々のエアロゾル粒子に働く空気動力学的抵抗力と静電気力とをバランス
させることによって,エアロゾル粒子を分級する。分級された粒子は,DEMCの物理的寸法及
び操作条件によって決定される狭い電気移動度範囲に存在することになる。それらのエアロゾ
ル粒子は,電荷数によって,異なった粒径をもつ。
3.13
微分型移動度分析装置,DMAS(differential mobility analyzing system)
前処理装置,電荷調整装置,DEMC,流量計,粒子検出器,装置を接続する配管系,コンピュータ及び
粒径分布算出ソフトウェアによって構成される,サブミクロン領域のエアロゾル粒子の粒径分布を測定す
るシステム(ISO 15900:2009における定義を変更)。
3.14
拡散損失(diffusion loss)
熱的(ブラウン)拡散輸送,及び乱流拡散輸送による粒子数濃度の減少。
3.15
電流計(electrometer)
おおむね1フェムトアンペア(fA)より大きな電流を測る装置。
3.16
相当径,d(equivalent particle diameter)
規定された条件下で対象とする粒子と厳密に同じ挙動を示す,規定された性状をもった球形粒子の粒径。
注記 この規格において,粒径は常に電気移動度相当径を示す。電気移動度相当径は,静止した空気
中の均一な電界において,同じ電気移動度,又は同じ終端移動速度で運動する帯電球形粒子の
粒径として定義される。
3.17
ファラデーカップ式エアロゾル電流計,FCAE(Faraday-cup aerosol electrometer)
エアロゾルの電荷量濃度を測定するために設計された電流計(ISO 15900:2009における定義を変更)。
注記 FCAEは,検出部を内包し電気的に接地された導電性カップ,検出部と電流計回路とを接続す
る電気配線,及び流量計によって構成される。カップは,帯電エアロゾル粒子を捕集するフィ

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
ルタ材を含んだ検出部を覆うガード電極でもある。
3.18
流量(flow rate)
流路の横断面を単位時間当たりに通過する流体の体積又は質量(いずれかを特定)。
注記 気体流量を正確に示すには,気体が実際におかれていた温度及び圧力の情報,又は参照する標
準状態の温度及び圧力の情報が不可欠である。
3.19
GSD
この規格においては,幾何標準偏差の略称。
3.20
層流(laminar flow)
時間的及び空間的に不規則な動き,又は乱れた渦流のない流れ。
3.21
プラトー効率下限粒径,dmin,ref(lower limit of the plateau efficiency)
参照CPCを被験CPCの校正に適応できる粒径の下限。
注記 この粒径下限は,参照CPC自体に依存するとともに,校正条件及び粒子性状にも影響される。
3.22
単分散エアロゾル(monodisperse aerosol)
狭い粒径分布をもったエアロゾル。
注記1 単分散性は,粒径分布のGSDによって定量化することができる。
注記2 この規格においては,GSDが1.15以下の場合を単分散と定義する。
3.23
粒子(particle)
物理的境界をもった小さな物体。
注記 粒子の相は,固相,液相,固相と液相との中間,又は固相と液相との混合状態のいずれもあり
得る。
3.24
粒子電荷調整装置(particle charge conditioner)
電荷調整に用いる装置。
3.25
粒子数濃度,C(particle number concentration)
キャリアガス単位体積当たりの粒子数。
注記 粒子数濃度を正確に示すには,気体が実際に置かれていた温度及び圧力の情報,又は参照する
標準状態の温度及び圧力の情報が不可欠である。
3.26
粒子性状(particle type)
粒子材質の化学組成(特に,表面の化学組成),物理的な形状,形態(例えば,強凝集体又は弱凝集体)
などの粒子特性。
注記1 小粒径におけるCPCの検出効率は,作動液及び粒子の化学的親和性に依存している(附属書
B参照)。

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
注記2 粒子に関する基礎理論の多くは,粒子が固体かつ球形であることを前提としている。粒子が
非球形であると,DEMCによる粒径選択,多価帯電粒子の比率,及び粒子表面への作動液の
凝縮に影響を与える。
3.27
プラトー効率(plateau efficiency)
検出効率が粒径に依存しない粒径範囲におけるCPCの平均検出効率。
3.28
一次エアロゾル(primary aerosol)
校正設備の一次粒子発生源で発生及び調整されたエアロゾル。
3.29
単一粒子計数モード(single particle counting mode)
粒子数又は粒子数濃度を測定する装置(例えば,CPC)において,検出された粒子を一つずつ計数する
ことによって測定結果を得る測定方式。
3.30
粒径分布(particle size distribution)
粒径の関数として表された粒子濃度の分布。
注記1 この規格では,この用語は“粒径によって分けられた粒子数濃度”の意味で用いられる。
注記2 粒径分布解析結果の表記には,JIS Z 8819-1:1999が適用できる。
3.31
乱流(turbulent flow)
時間的若しくは空間的に不規則な動き,又は乱れた渦流を伴う流れ。
3.32
単極電荷調整装置(unipolar charger)
装置内の正又は負電荷のイオンに暴露させることによって,エアロゾル粒子を定常的な荷電状態に到達
させる装置。

4 記号

  この規格で用いる主な記号を,次に示す。単位は参考文献[15]を参照。
記号 定義 単位 参照先
CN DEMCから排出される粒子の個数濃度の総量 cm-3 6.3.5 e)
7.3.5 c)
CN(dp) DEMCから排出される粒径dのp価粒子の粒子数濃度 cm-3 6.3.3 c)
7.3.3 c)
CN* 電荷数濃度 cm-3 3.6の注記2
CN,CPC 被験CPCの粒子数濃度指示値 cm-3 5.1
CN,CPC,i 粒子を計測するとき,被験CPCがi番目に計測する粒子数濃度の指示 cm-3 6.3.5 b)
値 7.3.5 b)
CN,CPC,ref,i粒子を計測するとき,参照CPCがi番目に計測する粒子数濃度の指示 cm-3 7.3.5 b)

CN,FCAE,i FCAEがi番目に計測する校正エアロゾルの換算粒子数濃度 cm-3 6.3.5 d)
CN,ref 参照装置の粒子数濃度指示値 cm-3 5.1
CQ 粒子を計測するとき,FCAEが計測する電荷量濃度指示値 C cm-3 3.6の注記2

――――― [JIS Z 8850 pdf 10] ―――――

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