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A 1405-2 : 2007 (ISO 10534-2 : 1998)
2. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
2.1 懿 垂直入射の平面波の入射音響パ
垂直入射吸音率 (sound absorption coefficient at normal incidence),
ワーと,そのうち試験体の表面から入って戻らない音響パワーとの比。
2.2 垂直入射音圧反射率 (sound pressure reflection coefficient at normal incidence),r : 垂直に入射する平面
波について,基準面における入射波に対する反射波の圧力振幅の複素数比。
2.3 基準面 (reference plane) 音圧反射率r,インピーダンスZ又はアドミタンスGを算出する音響管の
横断面をいい,通常,試験体の表面が平らであれば,その面とする。
備考 基準面の座標は, x 0 とする。
2.4 表面の垂直入射比音響インピーダンス (normal surface impedance),Z : 基準面における,ある周波
数の複素粒子速度の垂直成分)0(v と複素音圧 )0(p との比。
2.5 表面の垂直入射比音響アドミタンス (normal surface admittance),G : 表面の垂直入射比音響インピ
ーダンスZの逆数。
2.6 波長定数 (wave number),k : 次の式で定義される変数。
k c 2 f c
ここに, 角振動数 (rad/s)
f : 周波数 (l/s)
c : 音速 (m/s)
備考 一般に,波長定数は複素数で,次による。
k k'jk"
ここに, 'k : 実数部( k' 2 ,単位はrad/m)
波長 (m)
k :
" 虚数部,すなわち,減衰定数で,単位はネーパ毎メー
トル (Np/m)
2.7 2。
複素音圧 (complex sound pressure),p : 音圧波形のフーリエ変換の /1
2.8 S : 二つのマイクロホン位置の複素音圧 1p及び 2pから求める
クロススペクトル (cross spectrum),12
*1
積 p 2p 。
注* 複素共役を意味する。
*1
2.9 S : マイクロホン位置1の複素音圧 1pから求める積 p 1p
パワースペクトル (power spectrum),11 。
注* 複素共役を意味する。
2.10 伝達関数 (transfer function),H : マイクロホン位置1から位置2への伝達関数は,次の複素数比に
12
よって定義する。
又は 1
p2 p1 S12 S11 , S22S21 (S12 S21 )
S11 ) (S22
2.11 補正係数 (calibration factor), H : マイクロホン相互の振幅及び位相の不一致を補正する係数。
c
備考 7.5.2を参照。
3. 測定原理
試験体は,まっすぐで剛,かつ,滑らかで気密な音響管の一端に取り付ける。音源(ラン
ダム,疑似ランダム系列又はチャープ信号)によって管内に平面波を励起し,試験体に近い二つの位置で
音圧を測定する。二つのマイクロホン信号の複素音圧伝達関数を求め,それを用いて試験体の垂直入射複
素音圧反射率(附属書D参照),垂直入射吸音率及び比音響インピーダンスの計算を行う。
参考 瞬時周波数が時間とともに直線的に変化する信号を,チャープ信号という。
これらの量は,周波数(その周波数分解能は,デジタル周波数分析システムのサンプリング周波数及び
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レコード長によって定まる。)の関数として測定される。測定可能な周波数範囲は,管径及びマイクロホン
位置の間隔に依存する。測定可能な周波数範囲は,管径及び間隔を変えることによって拡張できる。
この測定は,次の二つの手法の中の一つを使って実行可能である。
手法1 : 2マイクロホン法(固定位置の二つのマイクロホンを使用)
手法2 : 1マイクロホン法(一つのマイクロホンを逐次二つの位置で使用)
手法1は,マイクロホン間の振幅及び位相の不一致を最小にするため,試験前又は試験中の補正処理を
必要とする。しかし,その補正処理は,迅速性,高精度性及び実施の容易性を兼ね備えたものであり,手
法1は,一般の試験目的に対して推奨される。
手法2は,特殊な信号生成及び処理手順が必要であり,一般により多くの時間を要する。しかし,マイ
クロホン間の位相ミスマッチを排除でき,あらゆる周波数に対して最適なマイクロホン位置の選択が可能
である。手法2は周波数調整形共振器及び/又は測定精度の評価のための手法として推奨され,その要件
の詳細は,附属書Bによる。
4. 試験装置
4.1 音響管の構造
試験装置は,通常,一端に試験体ホルダを,他端に音源をもつ1本の管である。マ
イクロホン挿入口は,通常,管の壁に沿って二つ又は三つの位置に設定する。ただし,マイクロホンの管
中心への据付け,プローブマイクロホンの利用などの変更は可能である。
この音響管は,そのテストセクション部分において,一様な横断面(直径又は断面寸法の変化は,±0.2 %
以下)をもち,穴又はスリット(マイクロホン位置を除く。)がなく,剛で滑らかで非多孔性の壁からなる
まっすぐな管とする。この壁は,適用周波数範囲において,音響信号によって振動を起こさず,また,振
動共振を生じないように,十分に重く厚いものとする。金属壁の場合,円管に対しては直径のおよそ5 %
の厚さが推奨される。方形管の場合,角部は壁板の変形を防ぐため十分に剛とし,壁板の厚さは管の断面
寸法の約10 %を上まわることが望ましい。コンクリート製の管の場合,その壁面は,気密を確保するた
めに滑らかな接着剤仕上げによる密封が必要である。木製の管の壁面についても同様であり,いずれも鋼
又は鉛シートの外部被覆によって補強し,制振しなければならない。
原理的には,管の横断面の形は任意であるが,円形又は方形(方形の場合は,なるべく正方形)の横断
面が推奨される。
方形管が板材で構成される場合には,(例えば,接着剤,又は上塗りを用いた密封処理によって)空気漏
れがないことが必要である。管は,外部の騒音又は振動に対して音響及び振動絶縁しておかなければなら
ない。
4.2 適用周波数範囲
適用周波数範囲は,次による。
fl f fu (1)
ここに, lf : 下限周波数
f : 適用周波数
uf : 上限周波数
lfは,信号処理装置の精度によって制限される。
ufは,非軸方向平面波を発生させないよう設定する。
ufに対する条件は, ufの単位を (Hz) として次による。
円管については,内径をd (m) として,
d .058u; fu d .058c (2)
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また,方形管については,最大断面寸法をd (m) として,
d 5.0u; fu d .050c (3)
c (m/s) は,式 (5) によって与えられる音速,また,u c fu である。
マイクロホン間隔s (m) は,次を満足するように選ぶものとする。
fu s .045c (4)
下限周波数はマイクロホン間隔及び分析システムの精度に依存する。一般的な指針として,マイクロホ
ン間隔は,式 (4) の要件を満たしたうえで,測定下限周波数の波長の5 %を上まわる必要がある。マイク
ロホン間隔をより大きくとれば,測定精度は向上する。
4.3 音響管の長さ
管は,音源・試験体間における平面波発達に十分な長さを確保しなければならない。
マイクロホンによる測定点は,その平面波音場内にとる必要がある。
スピーカは,一般に,軸方向平面波のほかに高次モード波を発生させる。この高次モード波は,第一高
次モード波の下限周波数以下の周波数領域において,管直径(又は方形管の最大断面寸法)の約3倍以下
の伝搬距離内で消滅する。そのため,マイクロホンは音源から前記の距離以上離して設置すること,それ
ができない場合でも,直径(又は最大断面寸法)の1倍以上離して設置することが望ましい。また,試験
体は,その近接音場にじょう(擾)乱を引き起こす。その影響を避けるためのマイクロホン・試験体間の
最小間隔として,試験体の断面方向の構造的変化性状によって次が推奨される。
一様構造 : 直径(又は最大断面寸法)の1/2倍
半一様構造 : 直径(又は最大断面寸法)の1倍
強非対称構造 : 直径(又は最大断面寸法)の2倍
4.4 マイクロホン
各々の位置のマイクロホンには,同じタイプのものを用いる。側壁取付形マイクロ
ホンとする場合には,マイクロホンは, u c fu よりも小さい直径のものを用いる。さらに,マイクロ
ホンの直径は,マイクロホン間隔の20 %未満であることが望ましい。
側壁取付けの場合,圧力形マイクロホンを用いることが推奨される。管内設置のマイクロホンの場合は,
自由音場形マイクロホンを用いることが望ましい。
4.5 マイクロホンの位置
側壁取付形マイクロホンが用いられる場合,マイクロホンのダイヤフラム面
を管の内部表面と同じ高さにそろえて取り付けるものとする。図1に示すように,管の内部表面に対して,
マイクロホン・ダイヤフラムのわずかな後退が必要になることが多い。その場合,その後退距離は,きん
(僅)少で,かつ,両マイクロホンについて同じにしなければならない。マイクロホン・グリッドは,マイ
クロホン・ハウジングとしっかり密封する。また,マイクロホンとその取付け穴との間はシール材でふさ
(塞)がなければならない。
単一のマイクロホンを用いて壁面の二つの位置で,順次,測定する場合には,使用していないマイクロ
ホン取付け口について,空気漏れの防止及び管内表面の平滑性の確保が必要である。
側面通気形マイクロホンを用いる場合には,その圧力開放口が,マイクロホン取付装置によってふさが
れないように十分留意する。すべての固定マイクロホン位置について,その位置測定は±0.2 mmより高精
度で行わなければならない。また,それらの間隔s(図2参照)は,記録する必要がある。移動マイクロ
ホンを用いる場合には,その位置測定は±0.5 mmより高精度で行わなければならない。
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図 1 代表的なマイクロホン取付け例
図 2 マイクロホン位置と距離
4.6 マイクロホンの音響中心
マイクロホン音響中心の測定,又はマイクロホンの音響的な中心と幾何
学的な中心との違いに関連する誤差を最小限にする方法については,附属書AのA.2.2を参照する。
4.7 試験体ホルダ
試験体ホルダには,音響管と一体形のもの及び分離形のユニット(測定中は管の一
端に堅固に固定)とがある。試験体ホルダは,背後空気層をもった試験体を設置する場合,必要空気層厚
を確保するために十分な長さが必要である。
試験体ホルダが分離形ユニットの場合,その内部寸法は,音響管の内部寸法と±0.2 %の範囲内で一致
しなければならない。管の組立てにおいては,弾力性ガスケットを挿入することなく密着させる必要があ
る(密封には,ワセリンが望ましい。)。
方形管については,音響管に試験体ホルダを一体化すること及び管の試験体の取付部分を着脱可能なカ
バーとしてアクセスが容易な構成にすることが望ましい。管とこの着脱可能カバーとの間の接触面は丁寧
に仕上げなければならない。さらに,わずかな漏えいも避けるために,密封剤(ワセリン)の使用が推奨
される。
円管については,試験体ホルダの前側及び背後側の両端末から試験体にアクセス可能にすることが望ま
しい。それによって,試験体前面の位置及び平面性を確認し,背面の位置を検査することができる。
一般に方形管については,試験体を(軸方向に管に押し込むのではなく)管に側面から取り付けること
が望ましい。それによって,管に対する試験体の取付状態及び位置を確認し,試験体前面の位置及び平面
性を確認して,表面に関して基準面の位置を正確に再調整することができる。側面からの挿入は,軟らか
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い材料の圧縮も防止する。
試験体ホルダの背板は,多くの測定で剛端として機能するように剛とし,管にしっかりと固定しなけれ
ばならない。厚さ20 mm以上の金属板が望ましい。
試験によっては,試験体の背後に空気層を設けて圧力解放終端条件を与える必要がある。これについて
は,附属書Cに説明がある。
4.8 信号処理装置
信号処理システムは,増幅器及び2チャンネル高速フーリエ変換 (FFT) 分析システ
ムによって構成する。このシステムは,二つのマイクロホン位置の音圧を測定して,それらの間の伝達関
数 Hを計算するのに必要である。分析システム及び適合性をもつ音源信号(4.10参照)の発生器も必要
12
である。
分析システムのダイナミックレンジは,65 dBより大きいものが必要である。信号処理装置の非線形性,
分解能,不安定性及び温度影響に起因する伝達関数 Hの誤差は,0.2
12 dB未満である必要がある。
1マイクロホン法を用いる場合,分析システムは発振器信号及び逐次的に測定される二つのマイクロホ
ン信号から伝達関数 Hの計算が可能なものでなければならない。
12
4.9 スピーカ
コーン形スピーカ(又は音響管への伝送要素としてのホーンをもつ高周波用圧力室形ス
ピーカ)を,試験体ホルダに対して管の反対側の端末に取り付ける。スピーカ膜の表面が,音響管の断面
積の少なくとも2/3を覆うものとする。スピーカ軸は,管と同軸とするか,傾けるか又はエルボを用いる
かして管に接続する。
スピーカは,マイクロホンへの空気音クロストークを防止するために遮音性が高い箱で囲うものとする。
音響管の固体伝搬音励振を避けるために,音響管とスピーカ・ボックス及びスピーカ枠との間に[なるべ
くなら音響管と音響伝達要素(ホーンなど)との間にも]弾性的振動絶縁を施すものとする。
4.10 信号発生器
信号発生器は,必要な周波数範囲で平たんなスペクトル密度の定常信号を発生し,必
要に応じて次の一つ以上を発生させることができるものであること : ランダム,疑似ランダム,周期的疑
似ランダム又はチャープ信号励振。
1マイクロホン法の場合には,確定的な信号が推奨される。この方法には周期的疑似ランダム系列が適
しているが,特殊な信号処理が必要となる。この処理では,まず,高速アダマール変換を用いたM系列相
関によってインパルス応答を求め,次に,このインパルス応答をフーリエ変換して周波数応答を得る。
純音の発生器及び周波数表示装置は,管の校正(附属書A参照)のために必要である。周波数表示装置
は,不確かさが±2 %未満のものとする。
4.11 スピーカ側の終端条件
音響管においては,常に空気柱共振が起こる。その抑制のため,スピーカ
の近くの音響管部分には,有効な吸音材料を用いて長さ200 mm以上の内ば(貼)りを施さなければなら
ない。
4.12 温度計及び気圧計
音響管内の温度は,測定の間,±1 Kの許容差で一定に保たなければならない。
温度検出器は,±0.5 Kを上回る精度が必要である。
大気圧の測定は,許容誤差±0.5 kPaで行わなければならない。
5. 予備試験及び測定
試験装置は,その典型例を図3に示すように組み立て,使用前に一連の試験を行
い,確認する必要がある。それは,誤差要因の排除及び最小必要条件の確保に役立つ。この確認としては,
(1)各試験の前又は後の確認,及び(2)定期的な校正試験確認の2種類に分けて考えることができる。い
ずれの場合でも,スピーカは,温度の安定化のため,測定前に少なくとも10分間の暖機が必要である。
各試験前後の確認には,マイクロホン応答の安定性,温度測定及びSN比の試験が含まれる。
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