JIS B 0108-2:1999 往復動内燃機関―用語―第2部:機関保全用語 | ページ 2

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5.4 冷却・潤滑不良

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
5.4.1 5.13 オーバーヒート 過熱
冷却水の異常に高温な機関の状態,又は overheating
燃焼又は排気による機関部品の過熱。
5.4.2 5.16 ペーパロック 蒸気閉そく
気化器や燃料噴射装置内で,燃料が部分 vapor lock
的に蒸発して燃料供給を妨げる現象。
5.4.3 5.17 過熱ペーパロック 燃料系統で周囲温度が高いために燃料 vapor lock due to
が沸騰することによって起こる不安定 overbeating of fuel in
な機関運転。 the fuel system
5.4.4 5.8 静水ロック 燃料室内にたまった液体のために機関 bydrostatic lock
が回転できない現象。
5.4.5 5.5 二次損傷 他の部品の故障が原因で起こる損傷。 consequential damage
5.4.6 − パーコレーション 気化器までの燃料管内で過熱燃料の気 percolation
化のために,燃料管内圧力の上昇,燃料
供給の増加が起こり燃空比が異常に上
昇する現象。更には運転不調におちい
る。

5.5 その他

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
5.5.1 5.3 低温燃料フィルタつ燃料温度が低いとき,ろう状の結晶の形
フィルタ閉そcold fuel filter clogging,
まり く
成のため燃料フィルタの燃料通路が詰 plugging
まること。

6. 機関部品の不具合

6.1 整備不良・設定不適当

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.1.1 6.24 ノズルあとだれ 噴射装置の機能不全による燃料の燃焼 Nozzle dribble
室への滴下。
6.1.2 6.32 シャフトミスアライ 軸心ずれ,
二つの結合された組立品。例えば,機関 shaft misalignment
メント 偏心
と発電機の軸間方向又は軸線方向のず
れ。

――――― [JIS B 0108-2 pdf 6] ―――――

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6.2 摩擦・摩耗
番号 ISO番号 用語 定義 参考
慣用語 対応英語
6.2.1 6.2 初期なじみ 二つの接触する部品間で,初期の運転で bedding-in pattern
つられる転写形の滑らかな摩耗による
当たり模様。
6.2.2 6.36 歯当たり模様 歯当たり
歯車の歯と歯との接触による当たり模 toeing pattern
様。
6.2.3 6.16 光沢模様 二つの部品間の軽い摩擦で磨かれたた glaze
めに生じた局所的で滑らかな表面状態。
例えば,長期間運転した機関のライナ表
面に生ずる。
6.2.4 6.23 混合摩擦 二つの部品間で,潤滑油油膜が破壊して mixed friction
金属接触が起きて液体摩擦と固体摩擦
が混合した状態。
6.2.5 6.1 摩滅 固い異物の進入により,摩耗又は磨き作 abrasion
用によって表面物質が除去されること。
6.2.6 6.39 摩耗率 運転時間当たりの摩耗の量。 wear rate
6.2.7 6.38 蛇行状模様 波状でトンネル形状の溝又はこん跡か vermiculated pattern
らなる摩耗による当たり模様。
6.2.8 6.30 かじり 表面に運動方向にひっかき傷の形で出 score
るすじ状の損傷。

6.3 表面異物付着

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.3.1 6.21 ラッカリング 潤滑油が重合して部品(ピストン,排気 lacquering,
弁など)表面に薄い膜を作る現象。 (varnishing)
6.3.2 6.25 ピストンチャーリンラッカリングと類似した過程で,それよ piston charring
グ り高温度で起こる硬くて黒いピストン
への堆積物。
6.3.3 6.7 不燃堆積物 不燃カーボン堆積物を含む燃焼生成物 combustion residue
からなる固形堆積物。
6.3.4 6.3 不燃カーボン堆積物不完全燃焼の結果,部品に付着したカー carbon residue
ボンの堆積物。
6.3.5 6.5 炭化被膜 チャード
炭化した層状の燃焼生成物で覆われた cbarred,
表面部分。 burnt

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6.4 フレッチング・焼き付き

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.4.1 6.27 リング動作不良 リング渋り
ピストンリング溝に装着されたピスト ring gumming
ンリングが,燃焼生成物の堆積のため動
きにくくなる現象。
6.4.2 6.29 リングスティック リング焼付け
ピストンリング溝に装着されたピスト ring sticking
ンリングが,粘着成分の堆積のため固着
して動かなくなる現象。
6.4.3 6.14 フレッチング 二つの接触表面間の微小な動きによっ fretting rust
て生ずる腐蝕,又はそれによって生じた fretting
堆積物。
6.4.4 6.31 焼付き 通常相対運動する2表面間で接触してい seizure
る部品同士の相対動きができなくなる
ほど破壊的な表面損傷。
6.4.5 6.28 リングスカッフィンシリンダライナ表面における,ピストン ring scuffing
グ リングの部分的焼付き。

6.5 ピッチング

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.5.1 6.26 ピッチング 機械的又は化学的に物質構造が弱くな pitting
り,表面に局所的に生ずる微小な点状の
欠陥。
6.5.2 6.9 点食 化学作用のために,微小な点状の穴から corrosive pitting
なる摩耗。
6.5.3 6.37 弁シートピッチングシリンダヘッドの弁シートと吸気弁又
弁座ピッチンvalve seat pitting

は排気弁との間での高頻度の繰り返し
衝突による,弁シートの損傷。

6.6 疲労・破壊

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.6.1 6.22 低サイクル疲労 塑性域に及ぶ周期荷重による金属破壊。 low-cycle fatigue
(LCF)
6.6.2 6.19 高サイクル疲労 弾性域の周期荷重による金属破壊。 high-cycle fatigue
(HCF)
6.6.3 6.12 疲労亀裂 長期の繰り返し荷重の後,生ずる部品の fatigue crack
亀裂。
6.6.4 6.13 疲労破壊 疲労亀裂の進展による部品の破壊。 fatigue fracture
6.6.5 6.15 摩擦疲労破壊 摩擦で助長された疲労破壊。 frictional fatigue fracture

6.7 クラック

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.7.1 6.33 表面クラック 表面の小さな傷,又は亀裂。 表面亀裂 surface crack
6.7.2 6.17 ヘアラインクラック微細でほとんど見えない毛髪状の表面 hairline crack
クラック。
6.7.3 6.6 チッピング 剥離
局部的に高い圧力のために生じた粒子 chipping
による表面損傷。

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6.8 腐食

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.8.1 6.4 キャビテーションコ エロージョン
液体中で,局所的な圧力脈動によって生 cavitation corrosion,
ロージョン ずる気泡(空気の気泡も含む)の形成及 (erosion)
び崩壊の繰り返しのため,部品の表面が
腐食・滅失すること。
6.8.2 6.11 電気腐食 二つの異なった金属の介在する液体へ electrolytic corrosion
の電気分解作用で生ずる腐食。
6.8.3 6.10 露点腐食 燃焼室又は排気ダクト内で,表面温度が dewpoint corrosion
低いところに燃焼生成物が凝縮して生
ずる腐食。
6.8.4 6.8 接触腐食 接触している金属表面に閉じこめられ contact corrosion
た異物の助けによる化学反応で生ずる
金属表面の損傷。

6.9 熱負荷過大

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
6.9.1 6.20 ホットスポット 燃焼ガス又は排気に,さらされることに hot spot
よって生ずる局所的な加熱。
6.9.2 6.18 熱変色 過熱による部品の色の変化。 heat discoloration
6.9.3 6.35 熱疲労 熱サイクルによる金属破壊。 thermal fatigue
6.9.4 6.34 熱クラック 熱応力によって作動部品表面に生ずる, thermal cracking
不規則で深いクラック。平軸受ジャーナ
ルでは,しばしば変色を伴う。

7. 潤滑油・冷却液の劣化

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
7.1 7.1 劣化油 添加剤を消耗し,潤滑性と清浄性が失わ depleted oil,
れた油。 (degraded oil)
7.2 7.2 オイルスラッジ 劣化油中の泥状の不溶物及び/又は長 oil sludge
期間の使用で油に吸収された物質。
7.3 − 劣化冷却液 防食用添加剤を消耗した冷却水。 degraded coolant
7.4 − オイルダイリューシ 潤滑油希釈
燃料の混入によって,機関の潤滑油の粘 oil dilution
ョン 度が低下すること。

8. 修理手順

  番号  ISO番号       用語                    定義                           参考
慣用語 対応英語
8.1 8.2 仕上げ 腐食,摩耗によるへこみ,溝又は表面の to dress out
損傷を埋めるための機械的処置。
8.2 8.1 グレーズバスティンピストンリングとシリンダライナとの glaze-busting
グ 初期なじみ中に,潤滑面での潤滑油保持
をよくするためシリンダライナ表面に
施す処置。

――――― [JIS B 0108-2 pdf 9] ―――――

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JIS B 0108-2原案作成委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) ○ 古 林 誠 元横浜国立大学
(主査) ○ 駒 田 秀 朗 株式会社ゼクセルSE燃料噴射事業部
(幹事) ○ 桶 谷 敏 行 株式会社新潟鐵工所原動機事業部
○ 常世田 哲 郎 株式会社新潟鐵工所原動機事業部
(委員) 阿 部 静 郎 社団法人陸用内燃機関協会技術部
○ 今 井 清 日本内燃機関連合会(内燃機関国際整合化推進本委員会委員長)
○ 大 嶋 清 治 工業技術院標準部
○ 岡 山 透 財団法人日本海事協会機関部
○ 小 郷 一 郎 財団法人日本船舶標準協会標準部
鎌 田 実 東京大学工学部
○ 鈴 木 良 治 社団法人陸用内燃機関協会技術部
染 谷 常 雄 武蔵工業大学工学部
○ 橋 本 繁 晴 財団法人日本規格協会技術部
○ 本 間 清 工業技術院標準部
丸 山 倉 平 日本内燃機関連合会
○ 井 上 新 二 社団法人火力原子力発電技術協会調査局
久保田 亘 石油連盟技術環境部
古 志 秀 人 石油連盟技術環境部
今 野 勉 石油連盟技術環境部
鈴 木 教 太 電気事業連合会公務部
高 木 一 電気事業連合会公務部
○ 伊 達 真 也 三菱自動車工業株式会社トラック・バス開発本部
千 葉 広 社団法人日本船主協会海務部
保 科 幸 雄 社団法人日本内燃力発電設備協会技術部
○ 三 浦 耕 市 三菱自動車工業株式会社トラック・バス開発本部
山 脇 真 社団法人日本船主協会海務部
○ 赤 城 二 郎 コマツコンポーネント事業部
○ 明 坂 恭 典 三菱重工業株式会社横浜製作所原動機技術部
○ 糸 井 正 明 コマツコンポーネント事業部
○ 今 橋 武 株式会社ディーゼルユナイテッド
○ 岡 野 幸 雄 ダイハツディーゼル株式会社技術第一部
○ 小 島 克 己 社団法人日本自動車部品工業会技術部
斉 藤 朝 彦 阪神内燃機工業株式会社技術開発部
○ 四 方 光 夫 ヤンマーディーゼル株式会社技術研究所
○ 中 垣 彊 イズミ工業株式会社テクニカルセンター
○ 長 門 正 彦 三井造船株式会社ディーゼル事業部
○ 中 村 陽 一 川崎重工業株式会社原動機事業部
○ 花 房 真 三井造船株式会社ディーゼル事業部
○ 比 原 幸 雄 三菱重工業株式会社技術本部
○ 松 本 信 幸 株式会社ディーゼルユナイテッド
○ 森 内 敏 久 いすゞ自動車株式会社産業エンジン設計部
(関係者) ○ 中 林 賢 司 工業技術院標準部
○ 三 塚 隆 正 財団法人日本規格協会技術部
○ 川 元 満 生 株式会社新潟鐵工所原動機事業部
(事務局) ○ 青 木 千 明 日本内燃機関連合会
備考 ○印の付いている者は,分科会委員を兼ねる。

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  • ISO/DIS 2710-2:1996(MOD)

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