JIS B 0160:2015 歯車―歯面の摩耗及び損傷―用語 | ページ 20

94
B 0160 : 2015
2.8.4.7
端部折損(tooth end breakage)
片当たりなどのために,歯の端部に荷重が集中してかかるようなとき,円筒歯車又はかさ歯車の歯の端
部に発生する折損。
図78−端部折損の例 [1]
図78は,歯の折損が全て右側に集中し,左側は健全な端部の折損の例である。歯の右側端部に過大な荷
重がかかったために,歯の端面側から亀裂が入って折れたものである。

――――― [JIS B 0160 pdf 96] ―――――

                                                                                             95
B 0160 : 2015
2.8.4.8
じん(靱)性不足部折損(shock breakage)
歯の衝撃値が低い場合,短時間で破壊しなくとも,繰返し荷重を受けることによって発生する歯の折損。
亀裂の発生及び進展する領域は歯のじん(靱)性が不足した部分であり,歯先又はピッチ点周辺で見ら
れることが多い。
a)
強制破断領域
疲労破壊領域
亀裂発生起点
疲労破壊領域
強制破断領域
b)
図79−じん(靱)性不足部折損の例 [1]
図79は,まがりばかさ歯車の大歯車で,高周波焼き入れによって歯全体が硬化されている。使用時間が
経つにつれ図79 a)(スケッチ図)に示すような亀裂が発生し,振動も増加したもの。亀裂は歯先近くに発
生しており,曲げ応力とは無関係と思われる。
亀裂の進展状態を調べるため,亀裂のある部分を歯たけ方向に切り出し,強制的に断ち割ったのが図79
b) である。割った面を開いて示してあるので,破面の状態は上下で対称的になっている。下側が歯先部で,
上側が歯元部に相当する。中央部が亀裂発生起点で,そこから上下の方向に疲労亀裂が進んでいる。上端
と下端は強制的に分割した面で,運転中はまだ健全であった部分である。

――――― [JIS B 0160 pdf 97] ―――――

96
B 0160 : 2015
2.8.4.9
過大な残留応力に起因する折損(breakage caused by abnormal residual stress)
異常に高い残留応力によって比較的短い運転の後に亀裂が顕在化し,歯の折損及び歯車本体の破損に至
る損傷。
焼割れを見逃し,運転中に歯の折損などの形で出る場合もあり,熱処理不良の場合が多い。
図80−過大な残留応力に起因する折損の例 [1]
図80では2枚の歯の一部が折損している例である。歯の手前が作用歯面である。歯は,通常の曲げ疲労
における破断面と異なった様相を示している。例えば,亀裂の発生が,必ずしも歯元応力の最大位置から
とは限らないこと,歯底などに不自然な亀裂が散在していることなどである。
参考文献
[1] 歯車損傷図鑑(2006) 日本機械学会編

――――― [JIS B 0160 pdf 98] ―――――

                                                                                                                                          97
B 0160 : 2015
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS B 0160:2015 歯車−歯面の摩耗及び損傷−用語 ISO 10825:1995,Gears−Wear and damage to gear teeth−Terminology
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及びその
国際 内容 術的差異の理由及び今後
規格 の対策
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
1 適用範囲 − JISとほぼ同じ 追加 原因及び対策を追加している。 利用者への利便性のため
追加した。
2 用語及び 2.1 一般 − − 追加 概要説明で技術的差異はない。 利用者への利便性のため
定義 追加した。
2.2 運転前欠陥 − − 追加 損傷の発生原因を重要視した。 国内の実情に合わせた。
2.3 摩耗 1 規定用語はJISと 変更 国内の実情に合わせた。
新しい知見を加え,それを示す特徴ある図に置き換
ほぼ同じ えた。焼け,凝着摩耗,トロコイド干渉摩耗などを
追加した。
2.4 スカッフィング 2 スカッフィングだ 変更 国内の実情に合わせた。
新しい知見を加え,それを示す特徴ある図に置き換
けを規定 えた。油膜の切れる原因によって分類した。初期ス
カッフィング,高温スカッフィング,低温スカッフ
ィング,疲労スカッフィングなどを追加した。
2.5 永久変形 3 規定用語はJISと 変更 国内の実情に合わせた。
新しい知見を加え,それを示す特徴ある図に置き換
ほぼ同じ えた。歯の倒れ,ピットの発生による歯面の圧壊,
溶融,異物のかみ込み損傷,乗り上げなどを追加し
た。
2.6 表面疲労 4 規定用語はJISと 変更 国内の実情に合わせた。
新しい知見を加え,それを示す特徴ある図に置き換
ほぼ同じ えた。接触端部ピッチング,フロスティングなどを
追加した。
B0
2.7 亀裂及び欠け 5 規定用語はJISと 変更 国内の実情に合わせた。
新しい知見を加え,それを示す特徴ある図に置き換
16
ほぼ同じ えた。ピッチ点付近疲労亀裂,ピッチング起点疲労
0 : 2
亀裂,スポーリング起点疲労亀裂,熱割れなどを追
0
加した。
15
8

――――― [JIS B 0160 pdf 99] ―――――

    98
B 0160 : 2015
B0
8
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価及びその
国際
1
内容 術的差異の理由及び今後
60
規格 の対策
: 2
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
0
及び題名 番号 の評価
15
2 用語及び 2.8 折損 6 規定用語はJISと 変更 国内の実情に合わせた。
新しい知見を加え,それを示す特徴ある図に置き換
定義(続き) ほぼ同じ えた。せん断折損,塑性流動破断,表面疲労起点折
損,歯底・リム折損,端部折損などを追加した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 10825:1995,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD 国際規格を修正している。

JIS B 0160:2015の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10825:1995(MOD)

JIS B 0160:2015の国際規格 ICS 分類一覧