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B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
図3−内部起点疲労の進展(A.3.15フレーキング及びA.3.25ピーリング参照)
5.1.3 表面起点疲労 (surface initiated fatigue)
表面起点疲労は,いろいろ要因のある中で,とりわけ表面きずに起因する。表面きずは,潤滑不足及び
ある程度の割合の滑りによって起こる転がり接触金属表面の損傷をいい,次の損傷を形成させる。
− 微小き裂(図4参照)
− 微小スポーリング(図5参照)
− 微小スポーリング[灰色に変色(グレーステイニング)](図6参照)
異物又は取扱いのどちらかによる軌道面の圧こんは,表面起点疲労を起こす可能性がある(5.5.3及び
5.5.4参照)。塑性変形による圧こんが原因の表面起点疲労をA.2.6.1及びA.2.6.3に示す。
――――― [JIS B 1562 pdf 6] ―――――
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注記 ISO 281:1990/Amd.2:2000には,材料,潤滑,環境,異物及び軸受荷重のような軸受寿命に影響
があると知られる表面に関係した計算パラメータが含まれている。
図4−うろこ状の微小き裂 図5−微小スポーリング
図6−微小スポーリング[重度の灰色に変色(グレーステイニング)した領域]
5.2 摩耗 (wear)
5.2.1 一般定義
摩耗とは,滑り接触面又は滑りを伴った転がり接触面の表面の凹凸の相互作用によって,徐々に材料が
除去されることである。
5.2.2 アブレシブ摩耗 (abrasive wear) particle wear, three body wear]
アブレシブ摩耗は,不十分な潤滑又は異物の侵入の結果生じる。表面は光沢がなくなり(図7参照),そ
の度合いはアブレシブ摩耗粉の粗さや性質によって異なる。転走面及び保持器から材料が摩耗するにつれ
て,摩耗粉は徐々に増加し,最終的には摩耗が加速度的に進み,軸受が故障する。
――――― [JIS B 1562 pdf 7] ―――――
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図7−中央つば付き複列円筒ころ軸受の内輪軌道のアブレシブ摩耗
5.2.3 凝着摩耗 (adhesive wear) smearing, skidding, galling]
凝着摩耗は,摩擦熱を伴い,一方の表面の小部分が他方の表面へ移ることであり,時には表面の焼戻し
又は再硬化が生じる。凝着摩耗は,接触部のき裂及びフレーキングを起こす可能性がある局部応力集中を
発生させる。
スミアリング(スキッディング)は,負荷の小さい転動体が負荷圏に再突入する際の急激な加速によっ
て,転動体と軌道との間に発生することがある(図8参照)。スミアリングはまた,回転速度に対し荷重が
非常に小さい場合にも転動体と軌道との間に起こる。
スミアリングは,不十分な潤滑によって,つば面ところ端面との間で発生することがある(図9参照)。
また,総転動体軸受(保持器なし)では,潤滑及び回転条件によって転動体間の接触部で発生することが
ある。
軌道輪が,軸受座すなわち軸受が取り付けられる軸又はハウジングに対して回転した場合,軌道輪端面
とアキシアル方向の支持部との接触域にスミアリングが起こり,図10に示すような軌道輪の破壊の原因に
もなる。この種の損傷は,一般に軌道輪がすきまばめで組み込まれ,軌道輪に対してラジアル回転荷重の
場合に起こる。ラジアル荷重がかかることによって二つの部品は一点で接触し,微小直径差のために円周
方向にわずかな差異を生じ,結果として微小速度差を生じる。軸受座に対して微小速度差を生じる軌道輪
の転がり運動をクリープという。
クリープが起こると,軌道輪と軸受座の接触域がロール作用を受け,そのロール作用で軌道輪の表面に
光沢をもたらす(A.2.4.7参照)。クリープ時のロール作用は,必ずしも軌道輪と軸受座の滑りを伴う必要
はなく,そのときは,他の損傷[例えば,スクラッチング,フレッチング(コロージョン)及び摩耗]も
現れてくる。ある荷重条件下では,軌道輪と軸受座のしめしろが不十分な場合フレッチング(コロージョ
ン)が顕著になる(A.2.4.5参照)。
――――― [JIS B 1562 pdf 8] ―――――
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図8−軌道面のスミアリング 図9−ころ端面のスミアリング 図10−軌道輪側面のスミアリング
(軌道輪は破壊もしている。)
5.3 腐食 (corrosion)
5.3.1 一般定義
腐食とは,金属表面の化学反応である。
5.3.2 湿分腐食 (moisture corrosion) oxidation, rust]
転がり軸受に使用している鋼は,水分又は酸に触れると表面酸化を起こす。それによって点食が発生し,
表面フレーキングの原因となる(図11参照)。
特定の湿分腐食の形成は,潤滑剤中の水分又は劣化した潤滑剤と軸受部品が反応することによって,転
動体と軌道輪の接触域に見られる。更に進むと玉又はころピッチ間隔で接触域に黒ずんだ変色が発生し,
点食に至る(図12及び図13参照)。
図11−ころ軸受外輪の腐食
――――― [JIS B 1562 pdf 9] ―――――
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図12−玉軸受の内外輪軌道面の腐食 図13−軌道面の腐食
5.3.3 摩擦腐食 (frictional corrosion) tribocorrosion, tribo-oxidation]
5.3.3.1 一般定義
摩擦腐食とは,ある摩擦条件下で相対する二面間の微小な相対運動によって起こる化学反応である。こ
れらの微小運動によって,材料表面が酸化され,粉末状のさび及び/又は相対する二面のすり減りが見ら
れる。
5.3.3.2 フレッチング(コロージョン)(fretting corrosion) fretting rust]
は,負荷されているはめあい面に加わる微小往復運動によって発生す
フレッチング(コロージョン)1)
る。表面が酸化してこすりとられ,粉末状のさび(酸化鉄)に発展する。
はめあい面は,光沢をもつようになるか,黒ずんだ赤色に変色する(図14参照)。しめしろが少ないか
又は表面粗さが粗すぎるような不適切なはめあいに,荷重及び/又は振動を伴うと,故障に進展する。
注1) SO 15243では,フレッチングコロージョンとは,化学反応による腐食と定義しているが,日
本ではフレッチングとし,“接触する2面間が,相対的な繰返し微小滑りを生じて摩耗する現
象。”としている(JIS B 0104参照)。
図14−内輪内径のフレッチング(コロージョン)
5.3.3.3 擬似ブリネル圧こん (false brinelling) vibration corrosion]
擬似ブリネル圧こんは,周期的な振動下で微小運動及び/又は弾性接触によって,転動体と軌道との接
触域に発生する。振動,潤滑及び荷重条件によって,軌道に浅いくぼみを形成しながら腐食と摩耗が起こ
る。
静止している軸受の場合,くぼみは転動体ピッチ間隔で現れ,しばしば赤色に変色するか光沢をもつよ
うになる(図15参照)。
回転中の振動による擬似ブリネル圧こんは,細かいフルーチング(すだれ模様)になる(図16参照)。
これらは,電気的に発生したものとは異なる(5.4.3及び図19参照)。振動によるフルーチング(すだれ模
――――― [JIS B 1562 pdf 10] ―――――
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JIS B 1562:2009の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15243:2004(IDT)
JIS B 1562:2009の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.100 : 軸受 > 21.100.20 : 転がり軸受
JIS B 1562:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0104:1991
- 転がり軸受用語