JIS B 1562:2009 転がり軸受―損傷及び故障―用語,特性及び原因 | ページ 8

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B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.7.3 内輪の疲労破壊
故障原因
しめしろ過大。
[しめしろ過大(例えば周辺部品の寸法不良)によ
る引張応力が,疲労破壊を発生させる。]
指定寸法に作られていない周辺部品。
(き裂は,軌道表面下の疲労き裂から始まる。)
対策
周辺部品の寸法を確認する。
組込み方法を見直す。
可能ならば,より小さいしめしろを選定する。
しまりばめが必要なら,軌道輪材料を見直し,より
適切な材料を選定する。
A.2.7.4 熱き裂
故障原因
軌道輪端面とその周辺部品間での滑り。
(滑りによる高い摩擦熱及び熱き裂が発生する。)
対策
使用条件にあった軸受を選定する。
適切なはめあい又はアキシアル方向の固定方法など
を見直す。
A.2.7.5 保持器破損,リベット及び柱のき裂,破壊及び変形
故障原因
保持器に作用する過大荷重。
(過大荷重は,潤滑不良,玉詰まり,高加速度又は
軸受の傾きによって発生する。)
対策
適切な潤滑を選定する。
保持器にかかる過大荷重の原因を回避する。
適切な保持器形式及び/又は軸受を選定する。

――――― [JIS B 1562 pdf 36] ―――――

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B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.7.6 黄銅製もみ抜き保持器のリベットの破壊
故障原因
振動による疲労破壊。
対策
振動を低減する。
適切な保持器形式及び/又は材質の選定(例えば,
一体形保持器)。
A.3 用語及び定義
この規格に使用される用語をより理解しやすくするため,用語の定義を次に示す。
A.3.1
バニッシング (burnishing)
転がり軸受部品の機械加工面をより滑らかにさせる作用。
A.3.2
チャタリング (chattering)
軌道面における円周方向の周期的な高密度の凹凸。
A.3.3
へき開フレーキング (cleavage flaking)
フロスチング (A.3.19) 参照。
A.3.4
腐食 (corrosion)
金属表面の化学反応(5.3.1参照)。
A.3.5
き裂 (crack)
完全には分離していない材料のひび割れ。
A.3.6
クレータ (cratering)
接触面の電流通過による噴火口のようなくぼみ(5.4参照)。
A.3.7
クリープ (creep)
軌道輪の取付面に対する転がり運動。軌道輪がすきまばめで組まれ,軌道輪に対し回転荷重が作用する
ときに発生する。
注記 クリープにおける転がりでは,軸(又はハウジング)に対する内輪(又は外輪)の回転速度に
わずかの差が生じる。クリープは,必ずではないがしばしば軌道輪と座面との接触面に滑りを
伴う。

――――― [JIS B 1562 pdf 37] ―――――

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B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.3.8
損傷 (damage)
軸受製造後に発生する,軸受機能を損なう原因となる軸受部品の変化。
A.3.9
欠陥 (defect)
軸受製造業者での,軸受部品の製造中又は組立中の,材料又は製品の不良。
A.3.10
変色 (discolouration)
熱又は化学反応によって起こる外観の変化。
A.3.11
電食 (electrical erosion)
電流通過によって起こる材料脱離(5.4参照)。
A.3.12
エローディング (eroding)
電食による材料脱離(A.3.11参照)。
A.3.13
故障 (failure)
軸受の設計性能を妨げる欠陥又は損傷。
注記 使用中に起こる軸受の外観変化は,必ずしも軸受の故障を意味するとは限らない。
A.3.14
疲労 (fatigue)
転動体と軌道間の接触部に発生する繰返し応力によって起こる材料組織の変化(5.1.1参照)。
A.3.15
フレーキング (flaking)
軸受の軌道面又は転動面が,転がり疲れによってうろこ状にはがれる現象(5.1.2参照)。
A.3.16
フル−チング (fluting)
狭い等間隔の溝(5.3.3.3及び5.4.3参照)。
A.3.17
破壊 (fracture)
き裂の進展によって完全に分離する現象(5.6.1参照)。
A.3.18
フレッチング (fretting) 又はフレッチング(コロージョン)(fretting corrosion)
接触する2面間での相対的な繰返し微小滑りによる酸化及び変色(5.3.3.2参照)。
A.3.19
フロスチング (frosting)
凝着摩耗の特殊形態。転動体によって軸受軌道が細長く引きはがされたような状態。
注記 フロスチングの発生領域は一方向に滑らかであるが,他の方向には,粗くなっている。

――――― [JIS B 1562 pdf 38] ―――――

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B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.3.20
ゴーリング (galling)
凝着摩耗の一種(5.2.3参照)。
A.3.21
グレージング (glazing)
バニッシング (A.3.1) 参照。
A.3.22
グレーステイニング (grey staining)
微小スポーリング (A.3.24) 参照。
A.3.23
ジャミング (jamming)
正常な動きを阻害する軸受部品間での詰まり。
A.3.24
微小スポーリング (microspalling)
表層に発生するスポーリング。
A.3.25
ピーリング (peeling)
重度のフレーキング又はスポーリング。
注記 ピーリングは,表面の微小スポーリングとして使用されることもある。
A.3.26
ピッチング (pitting)
材料脱離によって表面に生じるくぼみ。
A.3.27
塑性変形 (plastic deformation)
材料の降伏点を超えると発生する永久変形(5.5.1参照)。
A.3.28
プレッシャーポリシング (pressure polishing)
表面を滑らかにする微小摩耗(なじみ)。
A.3.29
スコーリング (scoring)
重度のスクラッチング[スクラッチング (A.3.30) 参照]。
注記 スコーリングは,スミアリングの表現としても使用されることがある。
A.3.30
スクラッチング (scratching)
鋭利なエッジ部,ざらざらした凹凸面,一表面に埋没又は二表面の間に入った硬い異物によって形成さ
れる細かい線状こん。
A.3.31
スカッフィング (scuffing)
凝着摩耗の一種(5.2.3参照)。

――――― [JIS B 1562 pdf 39] ―――――

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B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.3.32
焼付き (seizing)
重度のスミアリング。これは,潤滑不良及び過大荷重による接触面での温度上昇によって発生し,材料
硬さの低下,再焼入れ,き裂,摩擦溶着,更にひどい場合には,ジャミングを引き起こす。
A.3.33
スキッディング (skidding)
急激な荷重変動のもとで発生する,高速滑り及び油膜切れによって起こる銀白色の表面損傷。
A.3.34
スミアリング (smearing)
凝着摩耗の一種(5.2.3参照)。
A.3.35
スポーリング (spalling)
フレーキングの進行した状態。
A.3.36
表面きず (surface distress)
表面起点疲労を発生させるきず(5.1.3参照)。
A.3.37
ウォッシュボーディング (washboarding)
フルーチング (A.3.16) 参照。
A.3.38
摩耗 (wear)
滑り接触面又は転がり/滑り接触面の凹凸の相互作用によって,徐々に材料がすり減ること(5.2.1参照)。

――――― [JIS B 1562 pdf 40] ―――――

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JIS B 1562:2009の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15243:2004(IDT)

JIS B 1562:2009の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 1562:2009の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0104:1991
転がり軸受用語