JIS B 1603:1995 インボリュートスプライン―歯面合わせ―一般事項,諸元及び検査

JIS B 1603:1995 規格概要

この規格 B1603は、歯面合わせで使用するねじれのないインボリュートスプラインで,モジュール0.25~10,圧力角30゜,及37.5゜及び45゜のものについて規定。

JISB1603 規格全文情報

規格番号
JIS B1603 
規格名称
インボリュートスプライン―歯面合わせ―一般事項,諸元及び検査
規格名称英語訳
Straight cylindrical involute splines -- side fit -- Generalities, dimensions and inspection
制定年月日
1995年3月1日
最新改正日
2015年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 4156:1981(MOD), ISO 4156:1981/AMENDMENT 1:1992(MOD)
国際規格分類

ICS

21.200
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
機械要素(ねじを除く) 2021
改訂:履歴
1995-03-01 制定日, 2001-09-20 確認日, 2005-07-20 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
ページ
JIS B 1603:1995 PDF [102]
令和2年10月20日,産業標準化法第17条又は第18条の規定に基づく確認公示に際し,産業標準化法の
用語に合わせ,規格中“日本工業規格(日本産業規格)”を“日本産業規格”に改めた。
日本産業規格 JIS
B1603-1995

インボリュートスプライン−歯面合わせ−一般事項,諸元及び検査

Straight cylindrical involute splines- side fit−Generalities, dimensions and inspection

日本産業規格としてのまえがき
この規格は,1981年に第1版として発行されたISO 4156 Straight cylindrical involute splines−Metric module,
dimensions and inspection 及び1992年に発行されたISO 4156 AMENDMENT 1 Straight
side fit−Generalities,
side fit−Generalities,
cylindrical involute splines−Metric module, dimensions and inspection Amendment 1:
Section three: Inspectionを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本産業規格
である。更に,従来から運用してきた旧JIS D 2001の規定内容から,必要最小限の事項をまとめて附属書
として規定した。
なお,この規格の中で側線又は下線(点線)を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。
第1章 一般事項
1. 適用範囲 この規格は,歯面合わせで使用するねじれのないインポリュートスプライン(以下,スプ
ラインという。)で,モジュールO.2510,圧力角30°,37.5°及び45°のものについて規定する。(コン
ピュータによるデータ処理のために,37°30'の代わりに“37.5°”と表記する。)
許容限界寸法,公差,加工誤差及びそれらかスプラインのはめあいに与える影響について明確にし,更
にそれらの値を表に示した。長さ寸法は,ミリメートルの単位で,角度寸法は,度の単位で表示する。
参考 この規格か参照している規格を,次に示す。
ISO 3 Preferred numbers−Series of preferred numbers
JIS Z 8601-1954(標準数)が,この国際規格と同等である。
General,
ISO/R286 ISO system of limits and fits−Part 1 : tolerances and deviations
JIS B 0401-1986(寸法公差及びはめあい)が,この国際規格と同等である。
ISO 286 ISO system of limits and fits
JIS B 0401-1986(寸法公差及びはめあい)が,この国際規格と同等である。
ISO 1328 Parallel involute gears−ISO system of accuracy
Inspection of plain workpieces
ISO/R1938 ISO system of limits and fits−Part 2 :
(taper lock and trilock)
ISO 3670 Blanks for plug gauges and handles and ring gauges−Design and
general dimensions
2. 用語の定義

――――― [JIS B 1603 pdf 1] ―――――

           2
B1603-1995
2.1 円筒軸の外周に等間隔に設けた歯を,円筒側の内周に同じように設
スプライン継手 (spline joint)
けた歯溝とかみ合わせることによってトルクを伝達する,同軸上の機械要素の結合体。
2.2 歯又は歯溝の歯形がインポリュート曲線であるスプ
インポリュートスプライン (involute spline)
ライン継手の,いすれか方の要素。
2.3 円筒の内面に歯溝か形成されているスプライン。
スプライン穴 (internal spline)
2.4 円筒の外面に歯溝か形成されているスプライン。
スプライン軸 (external spline)
2.5 歯又は歯溝の歯底円とインポリュート歯面とを結ぶ凹曲面の部分。この曲面は複雑
隅肉部 (fillet)
であり,一定の半径で正しく表現することはできない(図12参照)。
2.6 相対するインポリュート歯面が,歯底円(Dei又はDie)に,一
丸底スプライン (fillet root spline)
つの隅肉曲面で結ばれる歯又は歯溝をもつスプライン(図13参照)。
2.7 相対するインポリュート歯面か,歯底円(Dei又はDie)に,それ
平底スプライン (flat root spline)
ぞれ別の隅肉曲面で結ばれる歯又は歯溝をもつスプライン(図12参照)。
2.8 モジュール (module) , m ミリメートル単位で表した円ピンチを円周率 瀰地 又はピンチ
円径を歯数で除した値)。
2.9 スプライン寸法を定義する基準となる円。また,圧力角か呼びの値となる
ピッチ円 (pitch circle)
円でもある。
2.10 ピッチ円径 (pitch diameter) , D ピノチ円の直径。歯数にモジュールを乗じた値に等しい(図12
参照)。
2.11 ピッチ点 (pitch point)ピッチ円とスプライン歯形曲線との交点(参考図1参照)。
p 隣り合った歯の左(又は右)歯面上のピンチ点間の,ピンチ円上の円
2.12 円ピッチ (circular pitch) ,
弧長さ。円周率 瀰 ジュールを乗した値(図12参照)。
2.13 圧力角 (pressure angle) ,a 歯面の一点において,その半径線と歯形への接線とのなす鋭角。
2.14 基準圧力角 (standard pressure angle) ,aD ピンチ点における圧力角(参考図1参照)。
2.15 基礎円 (base circle) インポリュートスプラインの歯形を形成するインポリュート曲線群の基礎と
なっている円。
2.16 基礎円径 (base diameter) ,Db 基礎円の直径。
Pb 隣り合った対応する歯面の間の基礎円上の円弧長さ。
2.17 基礎円ピッチ (base pitch) ,
2.18 大径円 (major circle) スプラインの最も外側の面を通る円。スプライン軸では歯先円,スプライン
穴では歯底円に当たる。
2.19 大径 (major diameter) , Dee(軸), Dei(穴) 太径円の直径(図12参照)。
2.20 小径円 (minor circle) スプラインの最も内側の面を通る円。スプライン軸では歯底円,スプライン
穴では歯先円に当たる。
2.21 小径 (minor diameter) , Die(軸),Dii(穴) 小径円の直径(図12参照)。
2.22 歯形限界円 (form circle) 歯形かインポリュート曲線であるべき限界点を通る円。この円は,歯先
円(又は面取りの起点)と相まって歯形を保証する限界点を決める。この円は,スプライン穴の大径の近
辺,及びスプライン軸の小径の近辺に位置する。
2.23 歯形限界径 (form diameter) , DFe(軸),DFi(穴) 歯形限界円の直径(図12参照)。
2.24 かみ合い歯たけ (depth of engagement) スプライン穴の小径円からスプライン軸の大径円までの
半径方向の距離で,隅の逃げ及び面取り部を除いた値(参考図2参照)。

――――― [JIS B 1603 pdf 2] ―――――

                                                                                             3
B1603-1995
2.25 ピッチ円上の基準歯溝幅又は基準歯厚 [basic (circular) pace width or tooth thickness at the pitch
diameter] ,E又はS 圧力角30°,37.5°及び45°のスプラインでは,円ピンチの半分(図12参照)。
参考 以下,特に断りかない限り基準歯溝幅及び基準歯厚は,ピッチ円上の円弧.長さである。
2.26 実歯満幅 (actual space width) 限界値EmaxとEminとの間にあり,ピッチ円上で実際に測定される任
意の一つの歯溝の円弧幅(図12参照)。
2.27 有効歯満幅 (effective space width) , EV 一対のスプラインの全はめあい長さにわたり,ガタもなく,
干渉もないはめあいか得られる仮想の完全なスプライン軸のピッチ円上の歯厚に等しい,スプライン穴の
歯溝の幅。スプライン穴の最小有効歯溝幅(EVmin, 常に基準歯溝幅Eに等しい。)は,必ず表1に示す基
準寸法である。はめあいの変化は,スプライン軸の歯厚を調整することによって得られる(図12参照)。
2.28 実歯厚 (actual tooth thickness)限界値SmaxとSminとの間にあり,ピッチ円上で実際に測定される
任意の一枚の歯の円弧歯厚(図12参照)。
2.29 有効歯厚 (effective tooth thickness) ,SV 一対のスプラインの全はめあい長さにわたり,ガタもな
く,干渉もないはめあいか得られる仮想の完全なスプライン穴のピッチ円上の歯溝幅に等しい,スプライ
ン軸の歯厚。はめあいの変化は,このSVの値を調整することによって得られる(図12参照)。
cv スプライン穴の有効歯溝幅から相手の
2.30 有効すきま(すきま又はしめしろ) (effctive clearance) ,
スプライン軸の有効歯厚を差し引いた値(参考図2参照)。
c スプライン穴の実歯溝幅から
2.31 計算上のすきま(すきま又はしめしろ) (theoretical clearance) ,
相手のスプライン軸の実歯厚を差し引いた値。この値は各種の誤差の影響かあるので,はめあい等級と直
接には対応しない(参考図2参照)。
2.32 半径方向のすきま (form clearance) , cF 相手側とのかみ合い歯たけを超えた,インポリュート形
状部分の半径方向の寸法。これによって,小径円(スプライン穴),大径円(スプライン軸)及び穴·軸の
各ピッチ円の偏心か許容される(図12参照)。
ピンチ円上で測定される任意の二つの歯又は歯溝の,理
2.33 全累積ピッチ誤差 (total index variation)
論上の位置からのすれの最大値(図9参照)。
理論歯形曲線に垂直な方向に測った歯形の正側(凸側)及び負
2.34 全歯形誤差 (total profile variation)
側(凹側)の,理論上の歯形からの最大誤差の絶対値の和(図18参照)。
平行度及びアライメント誤差を含めて,歯すじか,理論上の方
2.35 全歯すじ誤差 (total lead variation)
向(データム軸直線に平行)から両側に外れた最大誤差の絶対値の和(図1参照)。
備考 ねしれのないスプラインのリードは無限大である。
2.36 平行度 (parallelism variation)スプラインのある一つの歯すじの,他の任意の歯すじに対する誤差
(図1参照)。
2.37 アライメント誤差 (alignment variation)テータム軸直線に対する有効スプラインの軸線の誤差
(図1参照)。
参考 有効スプラインの軸線とは,有効歯厚又は有効歯満幅から決まる仮想軸線をいう。
2.38 真円度 (out-of-roundness) スプラインの真円形状からの誤差。
2.39 総合誤差 (effctive variation)相手要素とはめあうときの,一方のスプライン要素の各種の誤差の
総合値。
2.40 総合誤差の許容値 (variation allowance) , ‰ プラインの有効すきまを設定する際に,歯厚·歯溝幅
に許容することかできる総合誤差。
T 加工上許容することができる実歯厚及び実歯溝幅の公差。
2.41 加エ公差 (machining tolerance) ,

――――― [JIS B 1603 pdf 3] ―――――

           4
B1603-1995
2.42 全公差 (total tolerance) , (T+ 加工公差と総合誤差の許容値との和。スプライン穴の全公差は,
最大実歯溝幅と最小有効歯溝幅との差である。スプライン軸の全公差は,最大有効歯厚と最小実歯厚との
差である。
2.43 結合長さ (length of engagement) , gr 相手スプラインと接触している軸方向の長さ(図17参照)。
gw 滑動時に相手スプラインと接触するスプラインの最大軸方向
2.44 滑動長さ (active spline length) ,
長さ。滑動スプラインでは,滑動長さは,結合長さより長い(図17参照)。
2.45 基準寸法 (basic dimension) 理論的に正確な大きさ,形状又は位置を示す数値。この数値と全公差
によって許容することができる誤差が求まる。
2.46 参考寸法 (auxiliary dimension)生産の便宜及び寸法の調整をするための参考として与える,公差
のない寸法。
参考図1 参考図2

――――― [JIS B 1603 pdf 4] ―――――

                                                                                             5
B1603-1995
図1 全歯すじ誤差
3. 記号
3.1 一般記号 スプラインのいろいろな用語及び寸法を表すのに用いる一般記号を,次に示す(図11
15参照)。
備考 コンピュータによるデータ処理 (EDP) では,接続する印刷装置の制約があるので,いつも記号
を論理的に正しい形で表すことはできない。このため,EDP用の記号を [ ] 内に示す。(例え
ば,基礎円径の記号Dbは,DBのように印字してもよい。)
cV: 有効すきま(すきま又はしめしろ)
cF: 半径方向のすきま
D: ピッチ円径
Db[DB] : 基礎円径
dci: ピンの接触円径(スプライン穴の) dce: ピンの接触円径(スプライン軸の)
DFi [DFI] : 歯形限界径(スプライン穴の) DFe [DFE] : 歯形限界径(スプライン軸の)
Dii [DII] : 小径(スプライン穴の) Dee [DEE] : 大径(スプライン軸の)
Dei [DEI] : 大径(スプライン穴の) Die [DIE] : 小径(スプライン軸の)
DRi [DRI] : スプライン穴の測定用ピン径 DRe [DRE] : スプライン軸の測定用ピン径
合誤差の許容値

inv a: インポリュートa(=tana-a·
Ki [KI] : スプライン穴の変化係数 Ke [KE] : スプライン軸の変化係数
g: スプライン長さ
gw: 滑動長さ
gr: 結合長さ
T: 加工公差

――――― [JIS B 1603 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS B 1603:1995の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 4156:1981(MOD)
  • ISO 4156:1981/AMENDMENT 1:1992(MOD)

JIS B 1603:1995の国際規格 ICS 分類一覧