JIS B 3651:2002 産業オートメーションシステム及びその統合―製造自動化プログラミング環境(MAPLE)―第1部:機能的体系 | ページ 2

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特に多数のツールやアプリケーションプログラムを利用する場合に,これらのツールの機能や入出力に対
する要件をまとめた製造用ソフトウェアツール辞書も提供する。MAPLEの製造用データマネージャが,
実際のデータの取扱いを行う。

3.1 MAPLEエンジン

 MAPLEエンジンは,次の機能を提供する。
a) 環境の初期化。
b) MAPLEと外部とのMAPLEインタフェースの提供。
図1 MAPLEの機能的体系及びインタフェース
c) ソフトウェアツールリンカ,製造用データマネージャ,データ変換器や辞書マネージャ及びMAPLE
とともに用いるその他のソフトウェアツールやアプリケーションプログラムが提供するサービスに対
する外部からの要求の受付け。
d) ソフトウェアツールリンカを介して,又は実行マネージャに対して直接に渡す外部からの要求の解釈
及び実行。
e) 製造用アプリケーションプログラム,又は製造用ソフトウェアツールを介した状態情報の,要求に応
じた利用者への提供。
f) 実行マネージャからのコマンドの受取り,及びMAPLEインタフェースを介した外部の製造用ソフト
ウェアツール及びアプリケーションプログラムへの引渡し。
g) 実行マネージャと,MAPLEインタフェースで接続した製造用ソフトウェアツール,又はアプリケー
ションプログラムの間でのデータの受渡し。
h) 外部要求の取扱い。
この目的のためにMAPLEエンジンはすべてのアプリケーションプログラム及びソフトウェアツールに
対して唯一のインタフェースを提供する。MAPLEへの外部要求は,MAPLEエンジンが解釈し動作を決定
する。単一のソフトウェアツール,又はアプリケーションプログラムが外部要求を実行する場合,この要

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求を実行マネージャに渡す。外部要求が複雑な場合,ソフトウェアツールリンカに要求を満足する動作の
タスクリストの生成を要求する。実行マネージャがタスクリストを実行する。MAPLEエンジンは,外部
要求に対して,実行の成功失敗にかかわる状態情報,要求に対する情報及びデータ,又は動作を提供する。

3.2 辞書マネージャ

 辞書マネージャは,次の機能を用いて製造用データ辞書及び製造用ソフトウェア
ツール辞書を操作する。
a) 辞書への項目の追加。
b) 辞書からの項目の削除。
c) 辞書内の項目の編集。
d) 辞書内の項目の検索。
製造用データ辞書,又は製造用ソフトウェアツール辞書にかかわるすべての処理は,辞書マネージャだ
けが行う。処理は,二つの辞書のうちのどちらかの項目に対する追加,削除,編集及び検索から成る。処
理要求は,利用者から実行マネージャを経由して辞書マネージャに渡る。製造用データマネージャを介し
た要求は,製造用データベースの参照を必要とする場合がある。MAPLE外部のデータ変換器は,入出力
ファイルの形式情報を必要とする場合がある。また,ソフトウェアツールリンカは,製造用ソフトウェア
ツールの能力及び要求に関する情報,並びに入出力形式に関する情報を必要とする場合もある。実行マネ
ージャは,辞書マネージャを起動し,要求の発信者と辞書マネージャとの間のデータを交換することです
べての要求を処理する。辞書マネージャと製造用データ辞書及び製造用ソフトウェアツール辞書の間のイ
ンタフェースは,4.9及び4.10で述べる。

3.3 製造用データマネージャ

 製造用データマネージャの機能は次のとおりである。
a) 製造用データベース内のデータの参照(選択,追加,削除及び変更)。
b) 製造用データベースに関連する情報の提供。
c) 製造用データベースに対するアクセス制御(セキュリティ)。
d) 製造用データベースの完全性の維持。
e) 製造用データベースの保守(データベースの新規作成など)。
生産システムに含まれる種類の異なる装置のプログラミング及び制御には,大量の製造用データが必要
である。製品指向データ,製造指向データ,操作指向データ及び管理指向データを含むこれらのデータは,
一般に複雑なデータ構造をもつ。その結果,多くの企業で使われる製造用データベースも,(分散データベ
ースなどの)複雑な物理的構成をもち,情報の利用や管理に高度で特殊な技術が必要となる。
製造用データマネージャは,実行マネージャを介して送られた要求に応答して,製造用データベースを
参照する手段を提供する。製造用データベース内のデータに対する参照は,MAPLEエンジン,ソフトウ
ェアツールリンカ及びデータ変換器が要求する。製造用データマネージャは,実行マネージャへ送られた
要求に従って,製造用データ辞書の中から必要な情報を参照する。製造用データマネージャは,データベ
ースマネージャに標準的に備わるデータベースの完全性の維持をはじめ,利用者のアクセス権限の制御や
セキュリティ管理などの機能を含み,製造用データベースに関連する情報も提供する。MAPLEとそれを
用いるアプリケーションプログラムは,すべての製造用データベースに対する参照(選択,追加,削除及
び更新)を製造用データマネージャを介して実行する。

3.4 データ変換器

 データ変換器は,MAPLE外部のソフトウェアツールであり,この規格の規定外であ
る。データ変換器は,実行マネージャが呼び出し,データを一つのデータモデルから他のデータモデルに
変換する。このタスクを実現するために,データ変換器は実行マネージャを介して要求を送り,製造用デ
ータ辞書に収められている入出力双方のデータモデルを参照する。

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ソフトウェアツールリンカは,変換が必要な場合,実行マネージャを介してデータ変換器を呼び出す。
データの変換機構が利用するフォーマットは,製造用データ辞書内に存在するため,データ変換器と辞書
マネージャとの間で実行マネージャを介した双方向通信によって,必要なフォーマット情報を入手する。
この処理は,実行マネージャが制御する。データ変換の次の段階は,変換データの読込み及び出力である。
実行マネージャは,変換データの集合を一時的な記憶空間,又は製造用データベースの中に置く。後者の
場合,製造用データマネージャも呼び出す。
データ変換に用いる方式は,処理系に依存する。ソフトウェアツールリンカは,二つのデータ形式を渡
し,データ変換器の作成者は,要求した変換を達成する手段を選択することができる。
データ変換器の特殊な場合が,選択的にデータ変換を行う製造用ソフトウェアツールであるデータ選択
機構である。

3.5 ソフトウェアツールリンカ

 ソフトウェアツールリンカは,MAPLEエンジンからの要求に応えて動
作し,他の適切な製造用ソフトウェアツールを選択し,適切な順序で実行する。ソフトウェアツールリン
カは,複数の製造用ソフトウェアツールから一つの仮想的な製造用ソフトウェアツールを生成する。生成
した製造用ソフトウェアツールによって,利用者は,既に開発し製造用ソフトウェアツール辞書に登録し
てある製造用ソフトウェアツールを組み合わせて,新しい製造用ソフトウェアツールを作り上げることが
できる。
ソフトウェアツールリンカは,次の機能を提供する。
a) MAPLEエンジンからの要求の解析,及び要求機能の決定。
b) 辞書マネージャの使用によるソフトウェアツール辞書の検索,及び要求機能の実現に必要な製造用ソ
フトウェアツールの決定。
c) MAPLEエンジンの要求実現に必要な動作のタスクリストの実行マネージャへの提供。
d) タスク記述は,使用ツールの名称,ツールに与えるコマンド及びデータの収納先と出力先を含む。
e) MAPLEエンジンとの連接プロセスの状態情報の提供。

3.6 実行マネージャ

 実行マネージャは,MAPLEエンジンが要求するタスク及びソフトウェアツールリ
ンカが生成するタスクリストを実行する。その機能は次のとおりである。
a) MAPLE内部の構成要素及びソフトウェアツールリンカからのタスクリストの受取り。
b) MAPLE内部の構成要素からの要求タスクごとに,要求機能達成のために必要な製造用ソフトウェア
ツールに対する制御コマンドの生成。
c) ソフトウェアツールリンカが生成するタスクリストに対する要求機能を達成するために必要な製造用
ソフトウェアツールに対して,適切な順序での制御コマンドの生成。
MAPLE外部のソフトウェアツールが対象になっている場合,制御コマンドをMAPLEエンジン及び
MAPLEインタフェースを介して送る。
d) 実行中のツールからの実行状態に関する情報の受取り。
MAPLE外部のソフトウェアツールが対象になっている場合,状態情報をMAPLEインタフェース及
びMAPLEエンジンを介して送る。
e) 実行タスク,又はタスクリストに対応した実行状態情報の提供。
f) 連続実行中の製造用ソフトウェアツール間で必要な途中結果の記憶領域の確保。
データ及び関連するデータモデルの途中結果の記憶領域は,実行マネージャの内部,又は製造用デ
ータベース及び製造用データ辞書に確保する。
g) 製造用ソフトウェアツール及び実行マネージャが確保した途中結果の記憶領域間のデータ転送管理。

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MAPLE外部のソフトウェアツールが対象になっている場合,データはMAPLEエンジン及び
MAPLEインタフェースを介して送る。
h) 外部要求完了のための実行タスクのスタック管理。
タスクを複数の部分タスクに分割する場合,タスクが完了する時点ですべての部分タスクが完了し
ていなければならない。例えば,データ変換器を呼び出す単一のタスクは,データ変換器を介して辞
書マネージャから情報を受け取る複数の部分タスクから成る。

3.7 製造用データ辞書

 製造用データ辞書は,機械可読な形式のデータスキーマを集積したデータベー
スであり,製造用データベース内のデータに関する情報,及び製造用ソフトウェアツールの連接時の途中
結果に関する情報を提供する。製造用データ辞書は,データの読み込み方法及び解釈の方法も含む。
辞書の各項目は,データ形式及びデータの意味の二つの情報を含む。データ形式は,製造用データマネ
ージャが最も必要とする情報であり,データの意味は,データ変換器,ソフトウェアツールリンカ及びそ
の他の製造用ソフトウェアツール並びに製造用アプリケーションプログラムが必要とする情報である。製
造用データ辞書の一つの重要な表の各レコードは,一つの製造用データエンティティを表現する。製造用
データ辞書は,表の構造及び製造用データベースの表間の関連を記述するための複数の表も含む。
製造用データ辞書の操作は,辞書マネージャとのインタフェースを介して行う。辞書マネージャは,挿
入,削除,更新,検索及び参照の各コマンドを実行するために,辞書を読み,書き及び編集する。製造用
データ辞書の応答は,辞書の内容情報及び辞書の操作に伴う状態情報から成る。

3.8 製造用ソフトウェアツール辞書

 製造用ソフトウェアツール辞書は,機械可読な形式の製造用ソフ
トウェアツールの識別子(ファイル名),その機能の情報及び入出力データに対する要求事項を集積するデ
ータベースである。製造用ソフトウェアツール辞書は,辞書マネージャを介してソフトウェアツールリン
カが利用する。ソフトウェアツールリンカは,製造用ソフトウェアツールに関する情報が必要な場合,製
造用ソフトウェアツール辞書を参照する。
製造用ソフトウェアツール辞書は,機能に関する記述及びソフトウェアツール並びに製造用アプリケー
ションプログラムの入出力データに関する記述を含む。辞書の要素は,MAPLEが用意するソフトウェア
ツールであり,辞書マネージャ,データ変換器及びソフトウェアツールリンカも含む。
製造用ソフトウェアツール辞書の保守及び更新は,辞書マネージャを介して行う。辞書マネージャは,
製造用ソフトウェアツール辞書の特定の項目を挿入,削除,変更,検索及び参照する場合,辞書の対応す
る複数の項目を読み書きする。製造用ソフトウェアツール辞書は,要求情報とともに状態情報を提供する。
MAPLEを有効に利用するためには,生産システムで利用するすべてのアプリケーションプログラム及
びソフトウェアツールを,利用者からの要求,又は適切なアプリケーションプログラムによって,製造用
ソフトウェアツール辞書に登録する必要がある。辞書マネージャ,ソフトウェアツールリンカ,実行マネ
ージャ,変換器,製造用データマネージャなどのMAPLEの構成要素も同様に登録する必要がある。これ
によって,例えば,アプリケーションプログラムが辞書マネージャを呼び出すことができる。

4. インタフェース

(1) 注(1) この箇条は参考である。
ここでは,MAPLEの構成要素,製造用データベース,製造用アプリケーションプログラム及び製造用
ソフトウェアツール間のインタフェースについて記述する。図1は,これらのインタフェース及び記述す
る箇条,又は細分した箇条を示す。図2は,インタフェースを介した制御及びデータの流れを示す。

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4.1 MAPLEインタフェース

 このインタフェースは,MAPLEと外部要素を接続する三つのインタフェ
ースの一つである。これは,製造用アプリケーションプログラムを介して,MAPLEと,製造用ソフトウ
ェアツール,製造用アプリケーションプログラム及びMAPLEの利用者とのインタフェースを実現する。
既存の製造用ソフトウェアツール及び製造用アプリケーションプログラムは,MAPLEインタフェース
を介してMAPLEエンジンと通信を行うためのインタフェース層を必要とする。新しく開発した製造用ソ
フトウェアツール及び製造用アプリケーションプログラムは,MAPLEインタフェースに適合している場
合,MAPLE互換であり,特にインタフェース層を必要としない。

4.1.1 MAPLEエンジンと,製造用アプリケーションプログラム及び製造用ソフトウェアツール間の制御

制御情報は,次の要素から成る。
a) 製造用アプリケーションプログラムからの初期化要求。
b) MAPLEエンジンからの初期化要求に対する完了状態応答。
c) 製造用アプリケーションプログラム,製造用ソフトウェアツール,又はMAPLEの利用者からの,製
造用アプリケーションプログラムを介したMAPLEエンジンに対する機能提供要求。
この機能は,次によって実現する。
1) ソフトウェアツールリンカ
2) 製造用データマネージャ
3) 辞書マネージャ
d) 要求に対してMAPLEエンジンが提供する状態情報。
e) 製造用ソフトウェアツール及び製造用アプリケーションプログラムに対してMAPLEエンジンが生成
するプログラム制御命令。
制御命令は,次を含む。
1) 初期化 (initialize)
2) 動作待ち (idle)
3) 起動 (initiate)
4) 実行 (run)
5) 実行完了 (complete)
6) 終了 (terminate)
f) 要求したプログラムの制御に関して,MAPLEエンジンが受け取る状態情報。
4.1.2 MAPLEエンジンから製造用アプリケーションプログラム及び製造用ソフトウェアツールへのデ
ータ転送 データは,次から提供する。
a) 製造用データベース
b) データ変換器
c) 製造用データ辞書
d) 製造用ソフトウェアツール辞書
e) 実行マネージャが提供する途中結果の記憶領域
f) その他の製造用ソフトウェアツール及び製造用アプリケーションプログラム
4.1.3 製造用アプリケーションプログラム及び製造用ソフトウェアツールからMAPLEエンジンへのデ
ータ転送 転送するデータを,次に示す。
a) 製造用データベースへ送るデータ
b) データ変換器へ送るデータ

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