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注記2 ISO 3534-2:2006の2.3.1では,次のように定義されている。
“連続したサンプルの統計量の値を特定の順序で打点し,その値によってプロセスの管理
を進め,変動を維持管理及び低減するための図。”
3.7
x管理図(control chart for individuals)
サンプルの個々の観測値を用いて工程を評価するための計量値管理図。
注記 ISO 3534-2:2006の2.3.15を参照。
3.8
管理限界(control limit)
工程の安定を評価するために使用する管理図上の線。
注記 ISO 3534-2:2006の2.4.2を参照。
3.9
下限規格値(lower specification limit)
品質特性がもつ,適合するとみなされる最小値を定義した規格値。
注記 ISO 22514-1:2009の2.1.13を参照。
3.10
上限規格値(upper specification limit)
品質特性がもつ,適合するとみなされる最大値を定義した規格値。
注記 ISO 22514-1:2009の2.1.12を参照。
4 記号
この規格で用いる記号は,次による。
4.1 大文字
C 工程能力指数
Ck 偏りを考慮した工程能力指数
Cs 短期工程能力指数(ISO 22514-3:2008における機械変動指数Pmに対応)
Cs,nom 基準とする短期工程能力指数
Csk 偏りを考慮した短期工程能力指数
Csk,nom 基準とする偏りを考慮した限界短期工程能力指数
Cact 実工程能力指数
Ki i番目のクラス(ヒストグラム)
U 不確かさ(測定又は工程能力指数の不確かさ)
UCL,si 標準偏差siの上部管理限界
UCL,xj 平均値
jxの上部管理限界
USL 上限規格値
R 範囲
RV,s 短期範囲値
RV,s,nom 基準とする短期範囲値
RV,sk 偏りを考慮した短期範囲値
RV,sk,nom 基準とする偏りを考慮した短期範囲値
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T 公差
Tmin 工程能力試験における最小測定可能公差
LCL,sj 標準偏差sjの下部管理限界
LCL
,xj 平均値 jxの下部管理限界
LSL 下限規格値
4.2 小文字
e 平均値のずれ
f 送り速度
i 測定用運用指数
j 測定のグループ用運用指数
k 1グループ内の測定用運用指数
m 管理図の部品グループの数
n 評価された部品の数
nmp 製造した部品の数
nK クラスの数(ヒストグラム)
nmin 必要な部品の数
r 測定器の分解能
s 標準偏差の推定量
s サンプル(グループ)の平均標準偏差
s' 偏りがある分布のサンプル標準偏差
sg 測定器の標準偏差
sact 測定システムの実標準偏差
sj サンプル(グループ)の標準偏差
tm 製造時間
ttot 全製造時間
x (50回測定の)平均値
jxの平均値
x グループ平均
xi i番目の測定値
xi,T i番目の測定値(勾配を補正)
xu,k k番目のクラス(ヒストグラム)の上限クラス限界
jx
j番目サンプル(グループ)の平均
xmax 最大値
xmin 最小値
4.3 ギリシャ文字
δXtot,T 全勾配(全ての値と関連して)
δXtot,w 工作物1個当たりの全勾配
δXtd 温度ドリフトによる勾配
δXtd,w 工作物1個当たりの温度ドリフトによる勾配
δXtd,perm工作物1個当たりの温度ドリフトによる許容勾配
δXa 工具摩耗による勾配
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δXa,exp 工具摩耗による期待勾配
Δdu 最大値と上部公差限界との距離
Δdl 最大値と下部公差限界との距離
Δdc 極値と公差限界との限界距離
ΔXk クラス幅(ヒストグラム)
ΔXK,k クラスの境界線(ヒストグラム)
ΔXc 公差限界に対する平均値の限界距離
ΔXu 平均値と上部公差限界との距離
ΔXl 平均値と下部公差限界との距離
Δvamb 周囲温度勾配
Δvamb,max最大周囲温度勾配
μ 母集団の平均
温度
amb,0 試験開始時の周囲温度
max 最高温度
min 最低温度
σ 母集団の標準偏差
σ 母集団の標準偏差の推定量
τ 温度時定数
Ψ 偏りがある分布の偏り比
5 基本事項
短期工程能力試験は,間接試験方法に分類される。したがって,工作機械試験方法通則,例えば,ISO 230-1
に規定する試験方法とは異なる受入試験方法である。
測定する特性は,1加工ユニットだけで加工したものでなければならない。同じ機能によって異なった,
しかし,似たような加工ユニットで加工する場合でも,統計分析は,加工ユニットごとに個々に行わなけ
ればならない。
6 短期工程能力試験の手順
6.1 一般
短期工程能力試験を行うときの基本的な手順は,図1による。短期工程能力試験に基づく受入れは,加
工サイクル時間が10分未満の大きなロット生産に使用する工作機械に適用することを推奨する。さらに,
測定過程において十分な短期工程能力(6.6参照)があることも工作物を測定するための必要条件である。
注記 場合によっては,機械の運転者がうまく機械加工ができ,かつ,その後の工程能力試験が首尾
よく実証できるようにするために予備調査を行う[31]。
試験及び評価を開始する前に,受渡当事者は,測定及び分析する工作物の特性,手順,試験条件及び特
性値を含む試験計画について,必要な協定を行わなければならない。6.2に示す全ての協定は,受渡当事者
間で行う。試験は,機械の暖機から開始する。その後に,必要な公差(例えば,両側公差をもった特性の
場合に公差域のゼロ値又はゼロ−限界値の片側公差の中央値)になるように加工工程の設定・調整を行う。
次に,50個の工作物を連続的に加工し,適切な測定器で測定する。その後,得られた測定値を最終段階で
――――― [JIS B 6197 pdf 8] ―――――
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統計的に評価する。
短期工程能力指数又は短期範囲値,及び該当すれば,温度ドリフトが規定された公差を超えている場合
には,その理由を調査しなければならない。これらの値は,x管理図における異常値として認識できる(6.7.3
参照)。改善が可能な場合には,改善を行い,かつ,試験を部分的又は全て繰り返して行う。
協定
暖機運転 調整
試験計画
工作機械の暖機運転又は 目標値への工程の
手順 温度ドリフト評価の分離 調整
試験条件
特性値
分析 測定 生産
要求事項 :
測定結果の統計的評価 短期工程能力の測定に 通常,50個の工作物を
用いる測定システムの 連続的に加工
適切な分解能及び不確かさ
注記 これは,加工サイクル時間が10分未満の大きなロット生産で使用する機械だけに適用することを推奨する。
図1−短期工程能力試験の基本手順
6.2 協定
実際の受入試験を行う前に,次の事項を確実にするために,受渡当事者間の協定を必要とする。
a) 機械及び適用する機械加工工程は,干渉の影響ができるだけ少なくなるようにして試験する。
b) 様々な影響因子によって満たすことができない要求事項及び統計分析によって公差の幅を狭めること
はしない。
c) 受渡当事者間の契約上の協定は,受入試験の適用範囲,手順及び評価の要因を明示することによって
行うことができる。
d) 短期工程能力試験の対象となる公差は,関連費用を考慮して決める。
附属書Bには,関係する協定事項を記載した協定書の様式について規定する。附属書Dには,参考とし
て評価書の記載例を示す。機械を評価する試験条件は,受渡当事者間で協定しなければならない。その中
には,その他として試験中の周囲温度及びその許容できる変動範囲を含んでいる。その温度の限界は,工
場現場か,空調の効いた部屋に機械を据え付けて加工を行うかどうかに依存する。正常な加工を行うため
の初期値として,次の温度条件を適用しなければならない。周囲温度,すなわち,試験中の温度変化は,
±3 ℃とし,温度勾配は,1時間当たり最大で+2 ℃又は−2 ℃以内とする。
受入試験の目的は,短期工程能力を証明することであって,他の要因に影響された長期工程能力を証明
することではない。そのため,大きめの寸法の素材を定義し,一定の品質を保証しなければならない。ロ
ットの変化によって,材料の組成及び特性が影響を受けてはならない。素材の寸法公差は,素材寸法がば
らつくことによって変化する切削抵抗(加工面に対して垂直な力)による静的変形の差を制限するために,
受渡当事者間で協定しなければならない。
素材の加工は,直接的な影響(例えば,仕上げた寸法の違い)及び工程に起因する測定機能のばらつき
による間接的な影響(例えば,機械取付面の平面度の違い)を受けることがある。したがって,素材の加
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工公差は,要求された工程の短期工程能力と互換性があるものでなければならない。さらに,機械加工工
程及び順序に依存する素材の公差を制限してもよい。
工作物は,50個連続的に加工しなければならない。許容加工時間は,1工作物当たり10分未満とし,総
加工時間は8時間を超えてはならない。特別な事情でサイクルタイムの長い工作物を加工する場合には,
少ない工作物の数量について受渡当事者間で協定してもよいが,いずれにしても工作物は,最少でも30
個未満であってはならない。サイクルタイムの短い工作物を加工する場合には,総加工時間68時間,総
工作物数50個以上を加工することとし,より大きなサンプルセットからサンプリングを行い,結果として
50個の測定値となるように協定してもよい。
さらに,受入試験を始める前に,工作機械が熱的平衡になるのを確実にするために(6.3及び7.2参照),
加工工程及び適切な暖機運転手順について,受渡当事者間で協定しなければならない。
測定器の分解能及び測定の不確かさについても考慮しなければならない。測定器の短期工程能力も証明
しなければならない。短期工程能力を評価するとき,一般に測定者の影響を含む測定器の調査が必要とな
る(6.6参照)。
短期工程能力指数Cs又はCskに代わる値として,短期範囲値RV,s又はRV,skを評価することを受渡当事者
間で協定してもよい。A.2に,標準偏差と短期範囲値との関係に関する追加情報を示す。短期範囲値は,
最大値と最小値とを考慮するだけであり,データセット内の外れ値に大きく影響を受けやすい。したがっ
て,最大値と最小値との範囲内で工程の変化を十分に表現していないことになる。その結果,短期範囲値
を使用する場合,x管理図, x s 管理図及びヒストグラムを用いた工程の評価は,特に重要になる(6.7
参照)。
注記 短期工程能力指数又は短期範囲値の定義は,経済的にも重要性が高い。高い要件への対応は,
信頼性のある生産を保証できる。一方では,この対応は,必ずしも製造コストを下げることを
意味するものではない。一般的により大きな短期工程能力指数か,又はより小さな短期範囲値
を達成するために,高いコストをかけなければならない。このコストは,追加機器(例えば,
直接測定システム,タッチプローブ)及び追加機能(例えば,測定制御,温度補償)を備えた
機械を補充若しくは配置,又はより高価な加工方法(例えば,旋削から研削)へ変更すること
によって発生する。
要求する値は,技術的側面及び経済的側面からの可能性を考慮して定めなければならない。この意味で,
全ての工程に対して一定の境界条件を設定するのは適切ではない。短期工程能力指数と要求された公差と
の間の直接の関係は,特に考慮しなければならない。短期工程能力による裏付けが,加工工程に関する統
計的な信頼を保証することになるので,安全上の理由から設計者によって設定された公差は,再考するの
が望ましい。認められている短期工程能力指数に従って短期工程能力を評価するために表1に示すしきい
(閾)値を用いることを推奨する。個々の場合に,それは他の協定を結ぶための利点となり得る。
この限界値を推奨する基礎となっているものは,工程能力に影響する要因が増加する長期工程能力に対
して,少なくともCs値1.33を達成しなければならないということである[37]。特性値の計算方法は,6.7
による。
ある工程又は工作物に関しては,受渡当事者間でCsk値を無視し,Cs値だけについて協定するのが適切
かもしれない。例えば,工程の設定が非常に複雑であるが,それが一般に問題にならない場合(6.4参照),
又は穴あけ,深座ぐり及びリーマ削りの直径のような切削工具に大きく依存する工作物を調査する場合で
はあり得る。
――――― [JIS B 6197 pdf 10] ―――――
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JIS B 6197:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 26303:2012(MOD)
JIS B 6197:2015の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 6197:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0633:2001
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―表面性状評価の方式及び手順