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B 6197 : 2015
附属書A
(参考)
統計的評価に関する追加情報
A.1 偏りがない分布と偏りがある分布との関係
偏りを考慮した短期工程能力指数Cskは,平均の位置も考慮している[図A.1 a)参照]。
a)
Cs=1.0 b1: 99.730 202 % Cs=1.33 b1: 99.993 66 % Cs=1.67 b1: 99.999 94 %
b2: 0.269 96 % b2: 0.006 % b2: 0.000 06 %
s2=0.75 s1 s3=0.6 s1
b)
記号
X1 特性値
Y1 度数
a1 偏りがない分布
a2 偏りがある分布
b1 規格に適合した推定された部品の割合
b2 規格に不適合な推定された部品の割合
図A.1−正規分布に従う特性に対して定義した短期工程能力
これに関連して,式(A.1)及び式(A.2)は,正規分布の仮定を適用している。
(正規分布の場合)短期工程能力指数は,次の式による。
s T
C (A.1)
6s
――――― [JIS B 6197 pdf 21] ―――――
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ここに, Cs : 短期工程能力指数
T : 公差
s : 50個の試験片から評価された特性値の標準偏差[式(A.3)参照]
(正規分布の場合)偏りを考慮した短期工程能力指数は,次の式による。
x LSL USL x
Csk , (A.2)
3 s 3 s min
ここに, Csk : 偏りを考慮した短期工程能力指数
x : 平均値
LSL : 下限規格値
USL : 上限規格値
s : 50個の試験片から評価された特性値の標準偏差[式(A.3)参照]
標本標準偏差s(サンプル数n)は,
n 2
xi x
s (A.3)
1
偏り比は,
x M USL LSL
Ψ ,M (A.4)
T 2
となる。
偏りを考慮した短期工程能力Cskが短期工程能力Csと同等の値となるとき,標準偏差s'[図A.1 a)参照]
と偏りを考慮しないときの標準偏差sとの関係は,次の式による。
s 1( 2Ψ) s (A.5)
正規分布の特性を仮定したとき,短期工程能力指数が1.0であることは,母集団の全ての特性値のうち
99.73 %が規定された許容範囲に含まれることを意味する(図A.1参照)。時間的及びコストの理由から,
短期工程能力の評価は少数の加工部品によって実施する(この規格では50である。)。したがって,確認さ
れる短期工程能力指数は,加工プロセスの真の短期工程能力の推定値にすぎない。流動期のバッチサイズ
が大きい生産に対して統計的に与えられる不確かさを考慮に入れるために,短期工程能力指数は,高い値
(例えば,Cs>1.33又はCs>1.67)が要求される。図A.1 b)から分かるように,6倍の標準偏差が規定され
た公差内にあることはもちろんのこと,標準偏差の8倍又は10倍にあるのが望ましいことを意味している。
分布が許容範囲の中心Mに対して偏りがある場合には,Cskは更に減少する。
――――― [JIS B 6197 pdf 22] ―――――
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A.2 標準偏差と短期範囲値RV,sとの相互関係
記号
LSL 下限規格値
n サンプル数(デフォルトはn=50)
R 測定値の範囲
σ 母集団の標準偏差
T 公差
USL 上限規格値
図A.2−正規分布における特性値間の比較
図A.2にサンプル数に依存した標準偏差と範囲との関係を示す。正規分布の信頼率99.73 %の場合,試
験片50個のサンプル数に対して,標準偏差の6倍は範囲に比べて1.33倍となる。逆に,範囲の45 %はCs
の1.67に等しいことを意味する。範囲は非正規分布に対して推奨されるので,この例は短期工程能力指数
と範囲との比を示したものにすぎない。
――――― [JIS B 6197 pdf 23] ―――――
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B 6197 : 2015
A.3 平均が公差域の中央にない場合
記号
Ψ 偏り比
T 公差域
Csk 偏りを考慮した短期工程能力指数
s 工程の標準偏差
図A.3−平均値が公差域の中央にないことによる影響(平均値の差)
通常,5個の工作物の加工に基づいて,公差限界と平均値とのかい(乖)離が次の条件式を満足してい
るか否かを試験することになっている。
ΔXk≧ .045T
この差は,両側公差の5 %に等しい。短期工程能力指数Csが1.67のとき,公差に対する6倍の標準偏差
が60 %から54 %の減少に相当する(図A.3参照)。補正のための測定値の平均がΔXkの領域外にある場
合には,6倍の標準偏差と公差との比に依存して,工程をリセットし,試験を繰り返さなければならない。
そうしない場合は,補正した工作物を測定している間,加工工程が長く中断されでもしない限り,加工さ
れた工作物が既に適合品として数えられているかもしれない。
――――― [JIS B 6197 pdf 24] ―――――
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B 6197 : 2015
A.4 測定の不確かさ及び短期工程能力指数
図A.4に示すように,測定器の標準偏差sgで表される測定の不確かさは,短期工程能力に直接影響する。
記号
C 評価された工程能力指数
Cact 実工程能力指数
sact 工程の実標準偏差
sg 測定器の標準偏差
図A.4−測定器の標準偏差による短期工程能力指数の変化
継続的な工程改善が行われたり,より小さな公差になったものについては,工程変動に関係する測定器
への要求がもはやこれ以上満たされないことは明らかである。このことは,短期工程能力に関して,部品
の公差への言及だけが要求されることを意味する。所定の測定器の標準偏差sgに対する最小測定可能公差
を決定するグラフのうちの直線がこれに関連する(図A.5参照)。
記号
C 評価された工程能力指数
s 工程の標準偏差
sg 測定器の標準偏差
Tmin 最小測定可能公差
図A.5−測定器の標準偏差及び最小測定可能公差
――――― [JIS B 6197 pdf 25] ―――――
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JIS B 6197:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 26303:2012(MOD)
JIS B 6197:2015の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 6197:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0633:2001
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―表面性状評価の方式及び手順