JIS B 8042-6:2003 ガスタービン―調達仕様―第6部:コンバインドサイクル | ページ 2

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B 8042-6 : 2003 (ISO DIS 3977-6 : 2000)

4. コンバインドサイクル用プラント特定条件

 コンバインドサイクルで,蒸気サイクルは,ガスタービ
ンの排気中の熱を利用する。排気熱の効率的かつ経済的な利用は,基本の熱力学だけでなく様々なサイク
ル構成要素に特定かつ固有の特性に大きく影響される。
したがって,購入者は,評価項目及び要求仕様を提示し,最適な蒸気サイクルとそのパラメータについ
ては,製作者の経験と実績に基づく選択に任せるようにするのが望ましい。この選択肢には,蒸気タービ
ンの形式,単圧か復圧かの選択,蒸気サイクルの構成及び蒸気タービンの背圧を含む。
購入者があるパラメータ又は特定の構成を希望する場合には,購入者は,これを明確に指定する。
サイクルの境界及び供給範囲に関して,購入者は,購入者が指定すべきデータをすべて明示する。
プラントの性能を評価するために,購入者は,比較基準条件とは異なる通常の設計条件,現地条件又は
その他の指定した条件を明確に示さなければならない。このような条件設定の必要性は,蒸気サイクルの
コールドエンドに当てはまる。例えば,実際の標準条件を適用すれば,不適切なタービンの設計,そして
結果的に蒸気タービンの設計点を外れた点での運転につながる。
ガスタービンの排気のエネルギー量は排ガスの流量,温度及び組成で決定される。これらのパラメータ
は,選択されるガスタービンの形式,負荷,燃料の種類,蒸気又は水噴射の有無,ガスタービン吸排気の
圧力損失及び周囲条件,すなわち,大気温度,気圧及び相対湿度に依存する。
蒸気側の吐出状態は,定められた又は選択された復水システム及び冷却媒体の温度によって大きく変化
する。購入者は,供給者に冷却システム及び現地条件について次の情報を提供する。
a) 直接水冷却(淡水,海水)
冷却水の分析値,許容最大冷却水循環量,冷却水入口温度範囲及び設計温度,最大許容冷却水出口温
度及び/又は最大許容冷却水温度上昇値,もしあれば混合領域の指定。
b) 冷却塔による再循環冷却(湿式又は複合式)
大気の状態及び補給水の水質分析値
c) 空気冷却
大気の状態(温度,圧力及び湿度),最低,最高及び平均の設計値

5. コンバインドサイクル比較基準条件

 比較基準条件を規定することには,利点が多い。コンバインド
サイクルプラントの基準出力,基準効率,基準熱消費率及び基準熱消費量についての(例えば,カタログ
用の)比較基準条件を表1及び表2に示す。
コンバインドサイクルの供給者は,コンバインドサイクル性能計算のために,表1に示す条件を比較基
準大気条件として使用するのが望ましい。
コンバインドサイクルの構成が決まっていないか,又は他の目的のために第三者がコンバインドサイク
ルの性能を計算する場合には,表1に加えて表2に示す装置及びサイクル各部の作動状態値を代表的な値
として使用することが望ましい。計算数値は,“比較基準条件におけるコンバインドサイクルの性能”とし
て表示するのがよい。
表1及び表2に示す値は,特定のプロジェクトの現地状態,要求条件及びサイクル最適化に対して適用
するものではない。
ボイラ・ピンチポイント,アプローチ温度などの装置設計パラメータの詳細は,サイクル全体の設計当
事者及び主要機器の供給者に委ねるのがよい。
単純比較では,外部からコンバインドサイクルプラントへ供給する燃料ガスの圧力は,コンバインドサ
イクル供給者の要求を満たしているとみなす。

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表1 比較基準周囲条件
項目 単位 条件
大気圧 kPa 101.3
周囲温度 ℃ 15
相対湿度 % 60
冷却水温度 ℃ 15
表2 比較基準の為のプロセス条件
ガスタービン吸気及び 単位 供給者が指定する値
排気圧力
ボイラ状態 単圧 復圧 三重圧
圧力損失(ガス側) kPa 2.5 3 3.3
煙突出口での排気圧力 地表で101.3 kPaと一致すること
熱損失(交換熱量に対する割合,一様分布) % 1 1 1
質量損失(ガス側)
バイパスがない場合 % 0 0 0
バイパスがある場合 % 0.5 0.5 0.5
ボイラ給水温度
(節炭器入口)
ガス燃焼(100 %CH4) ℃ 50 50 50
油燃焼(軽質油) ℃ 130 130 130
蒸気タービン
排気圧力 kPa 4.0
プロセス蒸気状態 特定のプラントごとに指定
発電機 力率 0.85
補機動力 % 2

6. 定格

6.1 全般

 非助燃コンバインドサイクルプラントの定格は,ガスタービンサイクル並びに蒸気サイクル
及びそれに関連するパラメータによる。
例えば,バイパス煙突を用いてガスタービンを単独で運転する場合には,この運転モードでのガスター
ビンの定格は,JIS B 8042の第2部の定義による。
コンバインドサイクルの定格出力,定格熱消費率及び定格蒸気発生量は,規定の現地条件による。した
がって,現地条件においてガスタービンの連続運転が可能な最大出力(ベース負荷出力)を算定の基礎と
して,全電気出力を定める。それゆえ,グリッドの負荷などの特殊な要因によって最大出力が制限される
場合又は排熱回収装置で助燃を必要とする場合若しくは許容する場合には,ガスタービンは必ずしもベー
ス負荷出力で運転しないので,それらの条件が明確にならないと定格出力が決められない。

6.2 標準定格

 供給者は,比較基準として,5.に示す比較基準条件における正味出力に基づいたコンバイ
ンドサイクルの標準定格を提示することができる。正味出力とは,主変圧器の二次側における電気出力を
いう。
正味熱利用率(net utilization rate, NUR)は,次の式によって算出する。

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Pel (QoutQin )
NUR
Qcyc
ここに,NUR : 正味熱利用率
Pel : グリッドに送る正味電気出力(kW)
Qout : プロセスに供給する全熱流量(kW)
Qin : プロセスから戻る蒸気の全熱流量(kW)
Qcyc : サイクルへ供給する,真発熱量に基づく熱流量(kW)
有効エネルギー(エクセルギー)に基づく有効効率(エクセルギー効率)は,次の式によって算出する。
Pel Eq
EE
Ef
ここに,EE : エクセルギー効率
Eq : プロセスヒートのエクセルギー量(kW)
Ef : 燃料のエクセルギー量(kW)
標準の燃料の種類及びベース負荷出力に制限されるガスタービンの運転モードは,単純サイクルに対す
るものとする。
コンバインドサイクルの蒸気側単独では, ガスタービンの標準排気条件が定義されないので,標準定格
出力は指定できない。
7. 主要装置
7.1 規格 コンバインドサイクルシステムは,幾つかの異なる装置について統合した設備である。
これらの個々の装置に適用される特定の規格は,設計,材料などを規定する必要がある。コンバインド
サイクルプラントの引合いの際には,適用する規格を指定する。
これらの規格の多くが特にコンバインドサイクルに言及していないので,基本的な要求事項をあらかじ
め決めておくことが,これらの装置特有の規格を適切に使用するのに有効である。

7.2 供給範囲

 供給範囲は,購入者の要求,すなわち,現地条件並びに蒸気サイクル及び復水装置の形
態によって大きく変化することがある。ただし,ユニットとして機能する統合された設備であることを確
保するための最小限度の供給範囲は含める。
コンバインドサイクルプラントは,次の装置を含む。ただし,これに限定されるものではない。
− ガスタービン(バイパス煙突及びバイパスダンパーを含む)及びガスタービンが駆動する発電機
− 排熱回収装置(必要であれば,排気排出物低減用触媒を含む)
− 蒸気タービン及び蒸気タービンが駆動する発電機(発電機がガスタービン発電機と共通でない場合)
− 復水装置(脱気装置を含む)
− 復水循環装置
− 給水貯蔵装置及び給水装置(脱気装置が復水装置又は排熱回収装置に組み込まれていない場合には,
脱気装置を含む)
− 制御及び保護装置
− 配管及び弁
− コンバインドサイクルプラントを適切に起動・停止するための装置
− 電気設備(変圧器,スイッチギア,その他)
− 防火装置

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供給範囲を複数の供給者で分割する場合には,次の所掌区分が考えられる。
− ガスタービン(バイパス煙突及びバイパスダンパーを含む)及び発電機
− 蒸気系統のすべて,すなわち,排熱回収装置,蒸気タービン,復水器,その他の蒸気・水系統の機
器及び制御装置(空冷式復水器を使わない場合には,冷却水装置は蒸気系統の供給範囲に含めても
含めなくてもよい。)
− 付属装置
− 土木工事
− 発電所電気設備(スイッチギヤ,変圧器,ケーブル)
この区分は,予想される段階的な建設と単純サイクルガスタービンを後にコンバインドサイクルへ拡張
する場合を考慮している。
さらに,次のような区分も考えられる。
− 復水器は蒸気系統の一部と考えるよりも,むしろ単独供給品又は冷却水装置の一部と考えてもよい。
− 蒸気タービンは,水・蒸気系統から独立させて単独の供給品目と考えてもよい。

7.3 要求事項

 装置の設計要目,材料の選択などは,特定の用途によって影響される。
コンバインドサイクルプラントの全体的な設計及び運転方法が,主要装置に対する固有の要求事項を定
める。
次に示す装置に対する要求事項は,一つの指針として意図したものであり,その用途特有のプラント構
成に合わせて変更してもよい。
7.3.1 主要装置
7.3.1.1 ガスタービン ガスタービン制御装置は,プラントの体系的制御装置の一部として容易に組み込
めるように計画する。
最低負荷は,購入者が環境上の配慮,規制及びグリッドからの要求を考慮して決定し,ガスタービンは
この最低負荷とベース負荷との間で部分負荷運転することが予測される。
7.3.1.2 排ガスバイパスダンパ 例えば,単純サイクルとコンバインドサイクルとの切替えができるよう
な,運転の柔軟性を向上させるために,排ガスバイパスダンパを使用してもよい。排ガスバイパスダンパ
は,単に,排熱回収装置のガス流路の保全作業を容易にすることだけを意図したものではない。そのよう
な保全作業のためであれば,単に流路を閉鎖するための板を取り付ければよい。
排ガスバイパスダンパは,その設計(シングルフラップ,マルチ・フラップ又はルーバ)にかかわらず,
ガスタービンに過大な背圧がかかるのを避けるために,常に十分なガス流量を確保できるものでなければ
ならない。
蒸気・水系統に緊急事態が起きた場合に単純サイクル運転に切り替えるための駆動装置は,すばやく動
作するものにする。油圧駆動装置の場合には,作動油が引火して火事になるの防ぐための十分な対策を施
す。
7.3.1.3 バイパス煙突 サイクル構成上又は購入者の要求がある場合には,バイパス煙突を設置し,周囲
の環境への影響を考慮して寸法を決定する。
バイパス煙突からの排出ガスが(例えば,主要なプラットフォーム上に流れるなどして)プラントに悪
影響を及ぼさないようにする。
煙突は,適切なドレン系統に導かれるドレン機構を備える。受渡当事者間で合意した場合には,耐候性
の煙突を供給する。

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7.3.1.4 排熱回収装置ボイラ 排熱回収装置は,その設計にかかわらず,購入者の定義した通常運転に,
制限なしに追従できるようにする。
排熱回収装置に対する保護動作は,最少限とする。可能な限り,ガスタービンの制御された運転停止動
作又は単純サイクル運転への移行動作(排ガスバイパスダンパを装備しているとき)をガスタービンの非
常停止動作に優先する。
安全弁は,各圧力レベルでの全蒸気量を排出できるように容量を決める。
流体の温度が硫酸腐食を避けるために不適切である場合には,排熱回収装置の供給者は,過度の腐食を
避けるための十分な対策を施す。
熱伝達の設計では,ガスタービンの排気における非定常で乱れのあるガスの流れ及び温度分布への適応
も考慮する。
蒸気温度を蒸気配管及び蒸気タービンの設計上の限界内に保つために必要な温度調節装置を供給する。
排気排出物低減触媒が必要な場合,触媒の適切な配置(例えば,熱交換部分で適切な温度範囲に置くこ
と)については,排熱回収装置の供給者が決定する。
7.3.1.5 煙突 煙突は,周囲の環境への影響を考慮して寸法を決める。
煙突の高さは,仕様書及び国又は地方の規制に従う。
煙突は,適切なドレン系統につながる十分なドレン機構を備える。供給者と購入者が合意した場合には,
雨除けダンパを供給する。
7.3.1.6 蒸気タービン 蒸気タービンは,ガスタービンの負荷変動及びプロセス用,NOX低減用などの抽
気蒸気の流量変動による蒸気条件の変化に追従するように設計する。
蒸気タービンは,単一又は複数圧力の蒸気取入れ口をもつ定圧又は変圧運転,再熱又は非再熱,抽気又
は無抽気などのサイクル設計要求に対応した設計をしてもよい。
蒸気タービンは,ガスタービンに指定された大気温度範囲内での,最小連続負荷から最大負荷までの運
転中に起きる最も厳しい条件で設計する。最大許容条件を超えないように,計算蒸気量と実際の蒸気量の
差を考慮するための幾らかの裕度を与える。
蒸気タービンの出力軸とガスタービンの出力軸を同じ軸心上に配列し,共通の発電機を直接又は歯車を
介して駆動してもよい。
蒸気タービンの制御装置は,プラント全体の自動化と電気系統に関する要求に従い,完全にプラントの
制御システムに統合する。
7.3.1.7 蒸気バイパス装置 すべての通常運転モード,例えば,起動,停止,蒸気タービンを使用しない
過渡運転又は蒸気量が蒸気タービンの容量限界に達する場合などのために,蒸気量制御のための十分な機
器及び対策を備えて,安全弁が作動しないようにする。
装置は,正常運転時,蒸気が蒸気タービンをバイパスすることによって,動力損失と総合効率の低下を
防ぐため,極力漏れの少ないようにする。蒸気をバイパスさせて運転する場合には,騒音,熱及び装置に
対する設計要件を考慮して,その運転時間を極力短くする。蒸気タービンを使用しない運転に対する要求
については,購入者が慎重に検討した上で指定する。
7.3.1.8 復水装置 空冷又は水冷の復水装置は,プラントの運転仕様のどの負荷においても,伝達される
すべての熱を吸収できるようにする。蒸気タービンをトリップさせることなしに,蒸気を復水器にバイパ
スさせる最悪の場合を含む。
空冷の装置の場合には,空気ファンは,経済的な運転をするため,段階的又は連続的に0100 %の速度
制御をしてもよい。寒冷時の運転で凍結しないように十分な対策を施す。

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