JIS B 8045:2006 ガスタービン―ガスタービン装置用状態監視装置に対する要求事項 | ページ 2

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4.1 一般的特徴

 安全性が極めて重要な用途(例えば,航空機用)においては,複雑な装置の状態の解
析技術は,既に高度なレベルに到達している。監視装置の導入によって故障を未然に防止できる可能性が
あるだけでなく,保全作業を効果的に行うことができるので,航空分野に比べ安全性への要求が比較的厳
しくないが,大形発電装置に適用することに対する関心がますます高くなっている。また,このような監
視装置を導入することによってガスタービン装置の経済性も改善することができる。
最近行われているプロジェクトでは,ガスタービンの運用に関して,このような監視装置を適用する必
要性を予測させる傾向がみられる。さらに,監視装置に使用する測定値は,ほとんどが制御装置で既に使
われているものである。監視装置と,ガスタービンの制御装置及びプラント全体を統制する管理装置との
統合範囲は拡大しつつある。監視装置は,全体装置のバックグラウンドで作動する装置である。
監視装置及び制御装置の統合には,有利な面及び不利な面の両面がある。
a) 制御装置及び監視装置の統合は,次の理由で有利である。
1) 制御装置は,既にサイクルの状態に関する重要な情報の提供に寄与している。
2) 監視装置は,プロセスに必要な処置を実施するのに制御装置の情報を利用できる。
3) 分散形の装置及び/又は遠隔装置は,ますます普及しつつある。
b) 不利な点としては,次の事項がある。
1) 開発過程での装置設計及び装置検証がより複雑になる。
2) 開発後の修正過程で,予期しないエラーを他の装置にもたらす可能性が増える。
既に商用化されている多くの独立装置及び統合装置が存在するが,それらは設計思想,作動理念及び性
能がそれぞれ異なっている。新しい装置が次々と実用化されているので,技術用語を分類し,定義してお
くと便利である。さらに,将来の監視装置(附属書A参照)の比較が可能なように,及び必要性に応じて
適切な装置を選択できるように,指針を作成する。
監視装置は,三つのレベルに分類され(図1,図2及び図B.1参照),複雑さ及び情報量はレベルに応じ
て増大する。ただし,レベルの境界は明確ではなく,現場での使い方に応じて範囲が重なり合うことはよ
くある。
状態監視装置は,データ収集装置及び傾向監視装置で構成する。

4.2 データ収集装置

 データ収集装置(図1)は,状態監視装置を今後の展開へ導く基本構成要素である。
データ収集装置は,装置の状態及びその作動状況の測定,データの収集,及び一部データの保管に限定さ
れる。
データ収集装置には,通常は,ガスタービン装置に関する知識とともに高いレベルの技術的知識及び経
験を必要とする。したがって,データ収集装置の使用は,経験者に限られている。

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データの記録
アナログデータの例
− t(時間),T(温度),p(圧力),dm/dt(質量流量),dv/dt(体積流量),NOx, CO, O2濃度,
d2x/dt2(加速度,例えば,振動加速度)
− オンオフ信号状態
− 熱力学的監視
− 機械監視
− 排気排出物監視
傾向監視
(図2 参照)
利用の可能性
− エラーの迅速な再生
− 状態解析
− 遠隔診断
− 比較診断
− 過渡的データ記録(記録装置)
図 1 データ収集装置

4.3 傾向監視装置

 傾向監視装置(図2)では,ガスタービン装置の性能,排気排出物及び機械特性に関
する短期的及び長期的な傾向を評価する。データ収集装置とは対照的に,傾向監視装置では熱力学的状態
変数を比較基準条件[JIS B-8042-2の3.(比較基準条件)を参照]に換算すること,及びデータを長期に
わたって保管することができる。
基準状態を比較基準条件から意図的に変更したい場合には,契約当事者間の同意が必要である。測定値
が基準状態に換算されていないときには,傾向監視装置では,通常の傾向の解析(燃料消費率の偏差の解
析など),及び予測のための外挿(窒素酸化物NOxの排出傾向など)は行わない。
傾向監視装置は,収集データ選定ロジック及び傾向算出の数学アルゴリズムを装備するとともに,実測
データの検証を行わなければならない。誤った測定値を除去し,疑わしいデータを識別して破棄する。
ガスタービン装置の熱力学的状態を基準状態へ換算するためには,次のパラメータを含むすべての関係
パラメータを収集する。
− 大気圧力
− 大気温度
− 大気湿度

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− 燃料の真発熱量
− 排気圧力損失
状態監視装置によって得られるデータを用いたサイクル解析による実際の条件での目標値と,実測値と
を比較することは有効である。
サイクルは,測定値から解析的に計算されるか,又は,データが欠落している場合には,ガスタービン
装置の製造業者の推奨するチャート若しくはテーブルを用いて経験的に計算される。サイクル解析を実施
するためには,プラントのオペレータが必ずしも認知していないデータも必要な場合がある。
このようにして,時間的に連続する設計値又は基準値からの実測値の偏差(例えば,効率の偏差)を推
定すること,運転コストに関連する値(例えば,燃料消費率)をチェックすること,及び外乱又は故障の
進展を追跡することができる。
進歩した装置では,専門家でない保全員及びオペレータに診断及び助言を与えることができる。
ガスタービンに関連する重要な事項を,次に示す。
a) データ収集装置で得られるすべての特性,並びに次の項目の中期的及び長期的な傾向監視
− 性能
− 排気排出物
− 機械的運転パラメータ
b) 得られた傾向についての解析
− 進展する欠陥要因の識別
− 故障予知
− 運転及び保全の最適化
− オンコンディションメインテナンスによる稼働率の向上

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データ収集
追加データ

− 空気の温度,圧力及び湿度
− 液体燃料及びガス燃料の真発熱量
− 潤滑油の質
データの前処理

− 測定値の比較基準条件への換算
大気条件に関連した状態量の修正
− 長期的なデータの保管
− 傾向の算定
データの利用の可能性
− 長期にわたる目標値と実データとの比較
− 時間に依存する影響変数の推定
汚れ係数
劣化係数
− 故障の影響の時間的な外挿
中期的な故障及び/又は損傷の防止
因果関係の設定(学習機能)
↓ ↑
比較基準条件への換算
換算方法は,次に基づく。
− 設計
− 類似プラントの運転経験
図 2 傾向監視装置(TMS)

4.4 装置の比較

 状態監視装置では,データ収集装置によるデータの測定,収集及び保管を行い,傾向
監視装置によって,測定データを検証すること,及び基準状態へ換算することができる。そのほかに,収
集した情報をデータバンクに保管し,短期的及び長期的な傾向を決定するために情報を引き出すことがで
きる。
データ収集装置では,オペレータは,事前に登録されたデータと現状の収集されたデータとを比較する
ことができる。値が異常かどうか,及びやがて問題となるかどうかについては,自分で決めなければなら

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ない。より進歩した装置では,傾向が解析され,パラメータが設定された制限値に到達するであろう時期
が予測される。それに応じてオペレータに警報を出すことが可能となる。
傾向監視装置がこの作業を実行しており,異常な値であるか,またプラントに損傷を与える変動又は故
障につながるような値であるかどうかを表示する。さらに,傾向監視装置には,出力として必要な予防処
置を推奨するために,経験ばかりでなく規則も必要である。
さらに,非常に高度な監視装置は,診断装置と同様な機能をもっていて,故障発生の危険性,故障の重
大さ,及び不適合を改善するためになすべき処置を提示する。この発達段階では,附属書B図B.1に表示
されているすべての機能が利用できる。

5. 状態監視装置の詳細

5.1 状態監視装置の役割

5.1.1  通常,ガスタービンプラントを対象とする状態監視装置は,次に示す項目の監視を行う。
− 熱力学的データ
− 燃焼(環境への排気排出物を含む。)
− 機械的特性(ガスタービンの振動を含む。)
状態監視装置の役割には,これらのデータを用いて,監視されたすべてのパラメータの短期的及び長期
的な傾向を求め,それらを表示し,並びに(適切な信頼度レベルで)今後の傾向を予測することが含まれ
る。
5.1.2 状態監視装置は,次の項目で構成されることが望ましい。
− 性能監視装置
− 燃焼監視装置
− 排気排出物監視装置
− 機械監視装置
− 振動監視装置
5.1.3 傾向の評価,ガスタービン装置又は構成部品の診断機能(附属書B参照)のためのデータ処理,
状況に応じた必要な処置の提示,及び緊急処置の直接実施も,状態監視装置の役割である。
これらのことは,オペレータにとって次のような利点がある。
− ガスタービン装置の状態の常時把握
− 現状に対する必要な処置についての迅速な対応
5.1.4 状態監視装置の結果によって検査又は開放点検の必要性が判断できる(オンコンディションメイン
テナンス)。例えば,次に示す検査は必要になったときに実施できるようになる。
− 燃焼器の検査
− 高温ガス通路構成部品の検査
− 開放点検

5.2 性能監視装置

5.2.1  性能監視装置は,基本的に次の項目を監視する。
− 軸出力及び/又は電気出力
− ガスタービン回転速度
− 計算によるガスタービン効率及び/又はその他の性能値
− 流量(燃料,入口空気,水及び/又は蒸気,またガスタービンの排気を含む。)

――――― [JIS B 8045 pdf 10] ―――――

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JIS B 8045:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19860:2005(MOD)

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JIS B 8045:2006の関連規格と引用規格一覧