この規格ページの目次
3
B 8223 : 2015
ル船に搭載される。
3.5
用水の種類の用語
3.5.1
原水
河川水,地下水,水道水,工業用水などの,まだ給水処理をしていない水。
3.5.2
補給水
ボイラへ補給する水。軟化水,イオン交換水,蒸留水などがある。
3.5.3
軟化水
水道水,工業用水,地下水,河川水,湖沼水などの原水を,陽イオン交換樹脂を充した軟化装置で処
理した硬度CaCO3: 1 mg/L以下の水。
3.5.4
イオン交換水
陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを用いたイオン交換装置で精製した水。
3.5.5
復水
ボイラから発生した蒸気の使用箇所(蒸気タービンなど)以降の系統で凝縮した水で,サイクル内に戻
る水。
3.5.6
給水
給水ポンプによってボイラ入口[エコノマイザ(節炭器)がある場合は,エコノマイザ入口]に供給さ
れる復水と補給水との混合水。
3.5.7
ボイラ水
ボイラの内部で濃縮された水。一般には,ドラム内の水とする。
3.5.8
蒸気の過熱低減器スプレー水
蒸気の過熱を抑制・防止するために注入する冷却用の水。ボイラ給水を利用する場合が多い。
3.6
ボイラの水処理方式の種類の用語
3.6.1
アルカリ処理
ボイラ水のpHを主として水酸化ナトリウムで調節し,りん酸イオンの濃度をりん酸塩(主としてナト
リウム塩)で調節する処理方法。
3.6.2
りん酸塩処理
ボイラ水のpH及びりん酸イオンの濃度をりん酸ナトリウム塩で調節する処理方法。
――――― [JIS B 8223 pdf 6] ―――――
4
B 8223 : 2015
3.6.3
揮発性物質処理
給水だけ又は給水及びボイラ水のpHの調節にアンモニア又は揮発性のアミンを用い,溶存酸素の除去
にはヒドラジンを用い,揮発性物質だけで処理する方法。ヒドラジンなどの脱酸素剤の使用の有無,酸化
還元雰囲気の程度によって次の3種類の処理方式に区分される。
a) 還元形[AVT(R): All-volatile Treatment (Reducing)] ヒドラジンなどの脱酸素剤を添加し,積極的に還
元雰囲気とする給水処理。
b) 低酸化形[AVT(LO): All-volatile Treatment (Low Oxidizing)] ヒドラジンなどの脱酸素剤が無添加の給
水処理で,溶存酸素濃度5 μg/L未満のもの。
c) 酸化形[AVT(O): All-volatile Treatment (Oxidizing)] ヒドラジンなどの脱酸素剤が無添加の給水処理で,
溶存酸素濃度5 μg/L以上20 μg/L未満のもの。
3.6.4
酸素処理,OT(Oxygenated Treatment)
高純度水中に,酸素及びアンモニアなどのアルカリ薬品を添加し,腐食抑制を図る水処理方法。複合水
処理(CWT: Combined Water Treatment)と呼ぶこともある。
なお,高純度水中に,酸素だけを添加する水処理方法は,中性水処理(NWT: Neutral Water Treatment)
と呼ばれており,アルカリ薬品が使用できないなどの特殊な条件下だけで使用する。
3.6.5
低濃度水酸化ナトリウム処理
ボイラ水のpHを微量の水酸化ナトリウムで調節する処理方法。
4 水処理方式
ボイラ水の水処理方式は,ボイラの使用目的,構造,温度及び圧力条件に応じて選定する。具体的な水
処理方法については,附属書Aに示す。
5 給水及びボイラ水の水質に関する一般事項
5.1 給水の水質
給水の水質に関する一般事項は,次による。
a) 油脂類(ヘキサン抽出物質でJIS B 8224を参照。)は,ボイラ水のホーミング(Foaming : 泡立ち)及
びスケール付着を防止するために,ボイラに油脂類が混入しないように留意するという観点から低く
保つことが望ましい。
b) 給水配管又はドレン回収配管(復水配管)に亜鉛めっき鋼管(通称 : 白ガス管)を使用した場合,亜
鉛が溶出し給水中に含まれることがある。通常,亜鉛は,鉄に対し犠牲電極及び沈殿皮膜となり防食
作用を示すが,ボイラ内では亜鉛系スケールの原因となるため低く保つことが望ましい。
c) 給水の水質管理項目については,附属書Bに示す。
5.2 ボイラ水の水質
ボイラ水の水質に関する一般事項は,次による。
a) 原水又は軟化水を補給水とする場合は,ボイラ水中のシリカの濃度が高くなるため,シリカの含有率
の高いスケールが生成する傾向にある。ボイラ内でのシリカによるスケール化を防止するためには,
硬度成分を共存させないようにするとともに,ボイラ水中のシリカの濃度を制限し,ボイラ水の酸消
――――― [JIS B 8223 pdf 7] ―――――
5
B 8223 : 2015
費量(pH 8.3)を,この値の上限値に1/1.7を乗じた値[シリカをメタけい酸イオンの形態にするため
に必要な酸消費量(pH 8.3)対応量]を超えないようにブローによって管理する(B.14を参照)。シリ
カを高濃度で維持する場合には,シリカの析出を防止する酸消費量(pH 8.3)を維持し,硬度成分流
入によるけい酸塩スケールに注意する。給水中のシリカ濃度が高い場合には,ボイラ水のpHが上が
りにくくなるため,ブローの調整又は清缶剤を併用したり,逆浸透膜装置などのシリカを除去したり
できる水処理装置などを併用する。タービンに送気する場合には,タービンでのシリカスケールによ
るタービン効率低下を防ぐために,シリカ濃度を低く保つことが望ましい。
b) 硫酸イオンは腐食促進作用があるため,なるべく低濃度に維持することが望ましい。
c) ボイラ水中の鉄,銅及び亜鉛は,スケール,ボイラ内でのスラッジの堆積,伝熱面の汚染防止及び酸
素濃淡電池による二次腐食を防止する目的で低く保つことが望ましい。
d) ボイラ水の水質管理項目については,附属書Bに示す。
5.3 補給水の水質
補給水の水質に関する一般事項については,附属書Cに示す。
5.4 水質管理項目の測定値が管理値を逸脱した場合
水質管理項目の測定値が管理値を逸脱した場合の一般的対処方法は,附属書Dによって実施するのが望
ましい。
5.5 起動時及び停止中の場合
ボイラの起動時及び停止中の水質管理は,腐食を抑制するために,通常運転中とは異なる処置が必要で
ある。
6 丸ボイラの水質
6.1 丸ボイラの給水の水質
6.1.1 水質の管理項目及び管理値
丸ボイラの給水の水質は,常用使用圧力,伝熱面蒸発率及び補給水の種類によって区分し,表1による
ほか,次による。
a) 丸ボイラの補給水にイオン交換水を用いる場合には,表8の2 MPa以下の圧力区分の水質を適用する。
b) 船用に用いる場合には,表4の該当する圧力区分の補給水に軟化水又はイオン交換水を用いる場合の
水質を適用する。
c) 2 MPaを超える圧力で使用する炉筒煙管ボイラの場合は,表8の該当する圧力区分の給水の水質を適
用する。
表1−丸ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え2以下
分 伝熱面蒸発率 kg/(m2・h) 30以下a) 30を超えるもの −
補給水の種類 原水 軟化水
給 pH(25 ℃における) 5.89.0
水 硬度 CaCO3: mg/L 60以下 1以下
注a) 鋳鉄製ボイラで,室内加湿,食品加工,フィルム製造,病院などで直接蒸気を使用し,常時補給水
を使用する場合に適用する。
6.1.2 水質に関する留意事項
丸ボイラの給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
――――― [JIS B 8223 pdf 8] ―――――
6
B 8223 : 2015
a) 原水又は軟化水を給水として用い,ドレン(復水)を回収する場合には,給水温度の上昇が,給水系
統の腐食増大の一因となることから腐食抑制のために,アンモニア,アミンなどを添加することによ
ってpHを7以上に高めに管理する。
b) 一般に,腐食は電気化学的な反応であり,給水のpHが中性又はアルカリ性であっても水中に溶存酸
素が存在すると腐食が生じる(B.7を参照)。また,丸ボイラでは給水系統に脱気器がほとんど設置さ
れていないために,給水中の溶存酸素の濃度は一般的に高い。したがって,給水タンクなどの開放部
において給水温度を上昇させたり,膜式脱気装置などによって溶存酸素をできるだけ給水から除去す
る。
6.2 丸ボイラのボイラ水の水質
6.2.1 水質の管理項目及び管理値
丸ボイラのボイラ水の水質は,アルカリ処理方式とし,常用使用圧力,伝熱面蒸発率及び補給水の種類
によって区分し,表2によるほか,次による。
a) 丸ボイラの補給水にイオン交換水を用いる場合には,表9の2 MPa以下の圧力区分の水質を適用する。
b) 船用に用いる場合には,表5の該当する圧力区分の補給水に軟化水又はイオン交換水を用いる場合の
水質を適用する。
c) 2 MPaを超える圧力で使用する炉筒煙管ボイラの場合は,表9の該当する圧力区分のボイラ水の水質
を適用する。
表2−丸ボイラのボイラ水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え2以下
分 伝熱面蒸発率 kg/(m2・h) 30以下a) 30を超え60以下 60を超えるもの −
補給水の種類 原水 軟化水
処理方式 アルカリ処理
ボ pH(25 ℃における) 11.011.8
イ 酸消費量(pH 4.8) CaCO3: mg/L 100800 600以下
ラ
水 酸消費量(pH 8.3) CaCO3: mg/L 80600 500以下
電気伝導率(25 ℃における) mS/m 600以下 450以下 400以下 350以下
(4 500以下)
(μS/cm)(6 000以下) (4 000以下) (3 500以下)
塩化物イオン Cl: mg/L 600以下 500以下 400以下 350以下
りん酸イオンb) PO4: mg/L 2040
亜硫酸イオンc) SO3: mg/L 10以上
ヒドラジンd) N2H4: mg/L 0.11.0
注a) 鋳鉄製ボイラで,室内加湿,食品加工,フィルム製造,病院などで直接蒸気を使用し,常時補給水を使用す
る場合に適用する。
b) りん酸塩を添加する場合に適用する。
c) 亜硫酸塩を脱酸素剤として添加する場合に適用する。亜硫酸イオンの上限は規定しないが,ボイラ水の電気
伝導率が規定値の上限を超えない範囲とする。
d) ヒドラジンを脱酸素剤として給水に添加する場合に適用する。
6.2.2 水質に関する留意事項
丸ボイラのボイラ水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 原水又は軟化水を補給水とするボイラでは,硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,
ボイラ水中のりん酸イオンの濃度を十分に高く保持し,かつ,pHを11以上で管理する。また,軟化
水を給水とする丸ボイラでは,不測の硬度成分の漏えいによるカルシウム及びマグネシウムに注意す
――――― [JIS B 8223 pdf 9] ―――――
7
B 8223 : 2015
る。
b) ボイラ水のりん酸イオンは,不測の硬度成分の漏れ及び原水を補給水とする場合に対処するために,
管理値の上限付近で管理する。ただし,りん酸イオン以外に,カルボン酸塩系ポリマー(ポリアクリ
ル酸塩,ポリマレイン酸塩など),ホスホン酸塩(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸塩,ホスホノブ
タントリカルボン酸塩など)及び/又はキレート剤(エチレンジアミン四酢酸塩など)によって硬度
成分によるスケール及びスラッジの防止が可能である。これらの方法を用いる場合の保持濃度につい
ては,供給する薬剤製造業者と相談するのが望ましい。
c) 脱気器を設置するボイラにおいてヒドラジンを使用する場合には,N2H4: 0.10.5 mg/Lで管理する。
直接食品加工,室内加湿など人体が直接摂取するか,又は触れる用途に蒸気を使用する場合には,
安全性を考慮してヒドラジンに代わる脱酸素剤を使用するなどによって,蒸気中にヒドラジンが検出
されないようにする。詳細は,B.8を参照。
d) 亜硫酸塩を脱酸素剤として使用する場合,上限値を設定していないが,亜硫酸塩と酸素との反応によ
って生じる硫酸イオン及びアルカリ金属イオンの濃度の増大によってボイラ水の電気伝導率の増大を
防ぐため,脱気器を設置しないものでは,SO3: 50 mg/Lを大きく上回らない範囲とする。脱気器を使
用する場合は,SO3: 1020 mg/Lとする。ボイラ水中では,反応生成物として硫酸イオンを生じ,脱
酸素処理が不十分な場合(亜硫酸イオンが残留しない場合)は,溶存酸素による腐食を加速するので
注意する。
7 特殊循環ボイラの水質
7.1 単管式特殊循環ボイラの水質
7.1.1 水質の管理項目及び管理値
単管式特殊循環ボイラの給水の水質は,常用使用圧力によって区分し,表3によるほか,次による。
a) 単管式特殊循環ボイラの給水とは,補給水に戻り水が加わったものに薬品を添加したものをいう。具
体的には,この給水は戻り水が加わっているため,丸ボイラなどでいうボイラ水に相当している。た
だし,硬度は,戻り水の加わる前の補給水に適用する。
b) 補給水にイオン交換水を用いる場合には,表5の該当する圧力区分の補給水にイオン交換水を用いる
場合の水質を適用する。
c) 船用の補給水の場合,造水器で精製した蒸留水もイオン交換水と同様の水質を適用する。
d) 船用に用いる場合には,補給水に軟化水を用いる場合もイオン交換水を用いる場合も表3の水質を適
用する。
――――― [JIS B 8223 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS B 8223:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.060 : バーナ.ボイラ > 27.060.30 : ボイラ及び熱交換器
JIS B 8223:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0126:2018
- 火力発電用語―ボイラ及び附属装置
- JISB0127:2012
- 火力発電用語―蒸気タービン及び附属装置並びに地熱発電設備
- JISB8224:2016
- ボイラの給水及びボイラ水―試験方法
- JISK0556:1995
- 超純水中の陰イオン試験方法