JIS B 8223:2015 ボイラの給水及びボイラ水の水質 | ページ 3

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表3−単管式特殊循環ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え3以下
分 補給水の種類 軟化水
処理方式 アルカリ処理a)
給 pH(25 ℃における) 11.011.8 10.511.0
水 硬度 CaCO3: mg/L 1以下 1以下
電気伝導率(25 ℃における)mS/m 450以下 400以下
(μS/cm) (4 500以下) (4 000以下)
酸消費量(pH 4.8) CaCO3: mg/L 300800 600以下
酸消費量(pH 8.3) CaCO3: mg/L 200600 500以下
ヒドラジンb) N2H4: mg/L 0.051.00 0.051.00
塩化物イオン Cl: mg/L 600以下 400以下
りん酸イオンc) PO4: mg/L 2060 2060
注a) 給水に薬品を添加しない水処理方式を含む。
b) ヒドラジンを添加する場合に適用する。ヒドラジンの濃度は,pHがその上限を超え
ない値とするとともに,脱気器出口の溶存酸素の濃度に応じて低減することも可能
である。
c) りん酸塩を添加する場合に適用する。
7.1.2 水質に関する留意事項
給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 軟化水又はイオン交換水を補給水として用い,ドレン(復水)を回収する場合には,給水温度の上昇
が,給水系統の腐食増大の一因となることから腐食抑制のために,補給水のpHを7以上に高めて管
理する。
b) 軟化水を補給水とする単管式特殊循環ボイラでは,不測の硬度成分の漏えいによる硬度の増加及びシ
リカのスケール化を防止するために,水管内のりん酸イオンを管理値内で保持し,かつ,pHを10.5
11.8で管理する。
c) 単管式特殊循環ボイラでは,ボイラ内処理としてブロー管理だけでは硬度成分に起因するスケール障
害の防止が困難なため,補給水には必ず軟化水又はイオン交換水を使用する。
d) 給水に含まれる溶存酸素は,火力発電プラント全体の水側の金属材料の腐食を防止する目的でも管理
する必要があり,低く保つことが望ましい。
なお,単管式特殊循環ボイラでは脱気タンク(ホットウェルタンク)に戻り水を戻しているため,
溶存酸素の値は比較的低く保たれている。
e) 給水の酸消費量は,給水のpHを間接的に管理するとともに,シリカによるスケール付着を防止する
目的で管理する。軟化水を給水とする単管式特殊循環ボイラでは,給水のシリカの濃度を規定してい
ないが,ボイラ水の酸消費量(pH 8.3)の上限値に7.11を乗じた値,すなわち,圧力1 MPa以下ではSiO2:
350 mg/L,1 MPaを超え3 MPa以下ではSiO2: 300 mg/Lを超えないようにブローによって調節するこ
とが望ましい(B.14を参照)。
f) 給水のヒドラジンは,ボイラの腐食を防止する目的で管理する。給水のヒドラジンは,N2H4: 0.05 mg/L
以上と規定しているが,脱気タンク出口水又はホットウェルタンク出口水の溶存酸素の濃度に対して
当量以上の値で管理する必要がある。過剰な注入を防止するため,上限をN2H4: 1.00 mg/Lとする。
なお,蒸気を直接食品加工,人体に触れる用途などに使用する場合は,安全性を考慮して蒸気中に
ヒドラジンが検出されないようにするのがよい(B.8を参照)。

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g) 給水の塩化物イオンは,濃縮倍数の推定を行うとともに,腐食を抑制する目的で管理する。
なお,単管式特殊循環ボイラでは,全蒸発残留物の濃度の間接的管理に重点をおき,防食上の考慮
も加えて給水の塩化物イオンの濃度の上限を規定する。
h) 給水のりん酸イオンは,補給水がもち込むカルシウムによるスケール化を防止する目的で管理する。
水管内におけるカルシウムとりん酸イオンとの反応によって,カルシウムCaCO3: 1 mg当たり必要な
りん酸イオンは,PO4: 0.57 mgである。管理値は,給水のりん酸イオンの濃度をPO4: 2060 mg/Lと
しているが,不測の硬度成分の漏えいに対処するためには,上限付近の高めで管理することが望まし
い。船用で用いる場合にも,りん酸イオンは海水の混入を考慮して管理値の上限付近で管理する。

7.2 多管式特殊循環ボイラの水質

7.2.1  給水の水質
7.2.1.1 水質の管理項目及び管理値
多管式特殊循環ボイラの給水の水質は,常用使用圧力,及び補給水の種類によって区分し,表4による
ほか,次による。
a) イオン交換水を用いる場合で,常用使用圧力が3 MPaを超える場合は,表8の該当する圧力区分の補
給水にイオン交換水を用いる場合の水質を適用する。
b) 船用に用いる場合には,表4の該当する圧力区分の補給水に軟化水又はイオン交換水を用いる場合の
水質を適用する。
c) 船用の補給水の場合,造水器で精製した蒸留水もイオン交換水と同様の水質を適用する。
表4−多管式特殊循環ボイラの給水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 3以下 2以下 2を超え3以下
分 補給水の種類 軟化水 イオン交換水
給 pH(25 ℃における) 5.89.0 5.89.7
水 硬度 CaCO3: mg/L 1以下 検出せずa)
鉄 Fe: mg/L 0.3以下 0.1以下 0.1以下
ヒドラジンb) N2H4: mg/L − − 0.2以上
注a) カルシウム及びマグネシウムの試験方法(JIS B 8224参照)のうち,適用した試験
方法の定量下限値から硬度を算出したとき,その値より低い値とする。
b) ヒドラジンを添加する場合に適用する。
7.2.1.2 水質に関する留意事項
給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 軟化水又はイオン交換水を給水として用い,ドレン回収をする場合には,給水温度が上昇し,給水系
統の腐食増大の一因となることから,腐食を抑制する目的で,アルカリ,アミンなどを添加すること
によってpHを7以上に高めて管理する。
なお,船用に用いる場合には,pHは7.09.2とする。
b) 給水系統の腐食をできるだけ抑制するためには,溶存酸素を低く保つ。脱気器を設置しない場合は,
給水タンクなどの開放部において給水温度を上昇させることによって溶存酸素を低く保つ。また,常
用使用圧力1 MPaを超え3 MPa以下のボイラでは,溶存酸素による腐食及びその影響が大きくなるこ
とから,溶存酸素の上限をO: 0.5 mg/Lとするのが望ましい。
c) 硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,不測の硬度成分の漏えいによるカルシウム,
マグネシウムに注意する。

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d) 給水に鉄が多く含まれる原因としては,原水に含まれる場合,給水系統が腐食している場合,ドレン
回収を行っている場合はドレン回収系統の腐食が考えられ,除鉄装置の利用,耐食材への変更,復水
処理剤の使用など,低減するための処置を行う。
e) 給水中のシリカが高い場合には,ボイラ水のpHが上がりにくくなるため,ブローの調整,清缶剤の
使用,逆浸透膜装置などのシリカが除去できる水処理装置などを併用する。
f) ヒドラジンの濃度は,pHがその上限を超えない値とするとともに,脱気器出口の溶存酸素の濃度に応
じて低減することができる。蒸気を直接,食品加工又は人体に触れる用途などに使用する場合は,安
全性を考慮して蒸気中にヒドラジンが検出されないようにする,又はヒドラジンに代わる脱酸素剤な
どを使用する(B.8を参照)。
7.2.2 ボイラ水の水質
7.2.2.1 水質の管理項目及び管理値
多管式特殊循環ボイラのボイラ水の水質は,常用使用圧力及び補給水の種類によって区分し,表5によ
るほか,次による。
a) イオン交換水を用いる場合で,常用使用圧力が3 MPaを超える場合,又はりん酸塩処理を行う場合は,
表9の該当する圧力区分の補給水にイオン交換水を用いる場合の水質を適用する。
b) 船用に用いる場合には,表5の該当する圧力区分の補給水に軟化水又はイオン交換水を用いる場合の
水質を適用する。
c) 船用の補給水の場合,造水器で精製した蒸留水もイオン交換水と同様の水質を適用する。
表5−多管式特殊循環ボイラのボイラ水の水質の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え3以下 2以下 2を超え3以下
分 補給水の種類 軟化水 イオン交換水
処理方式 アルカリ処理a)
ボ pH(25 ℃における) 11.011.8 10.511.5 10.011.0
イ 酸消費量(pH 4.8) CaCO3: mg/L 100800 600以下 250以下 150以下

水 酸消費量(pH 8.3) CaCO3: mg/L 80600 500以下 200以下 120以下
電気伝導率(25 ℃における) mS/m 400以下 300以下 150以下 100以下
(4 000以下)
(μS/cm) (3 000以下) (1 500以下) (1 000以下)
塩化物イオン Cl: mg/L 400以下 300以下 150以下 100以下
りん酸イオンb) PO4: mg/L 2040 1030 515
亜硫酸イオンc) SO3: mg/L 10以上 1020 1020 510
ヒドラジンd) N2H4: mg/L 0.11.0 0.10.5 0.10.5 −
注a) 給水に薬品を添加しない水処理方式を含む。
b) りん酸塩を添加する場合に適用する。
c) 亜硫酸塩を添加する場合に適用する。
d) ヒドラジンを添加する場合に適用する。
7.2.2.2 水質に関する留意事項
ボイラ水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,不測の硬度成分の漏えいによるカルシウム,
及びマグネシウムに注意する。
b) ボイラ水の塩化物イオンは,ボイラ水の濃縮の程度を知るとともに,腐食を抑制する目的で管理する。
船用の場合には,ボイラ水の濃縮倍率を配慮して電気伝導率及び塩化物イオンの濃度はできる限り低

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く維持する。
c) ボイラ水のりん酸イオンは,不測の硬度成分の漏れに対処するために,管理値の上限付近で管理する。
船用で用いる場合にも,りん酸イオンは海水の混入を考慮して管理値の上限付近で管理する。
d) 亜硫酸塩を脱酸素剤として使用する場合は,亜硫酸塩と酸素との反応によって生じる硫酸イオン及び
アルカリ金属イオンの濃度の増大によってボイラ水の電気伝導率の増大を防ぐため,脱気器を設置し
ないものでは,SO3: 50 mg/Lを大きく上回らない範囲とする。脱気器を使用する場合は,SO3: 1020
mg/Lとする。ボイラ水中では,反応生成物として硫酸イオンを生じ,脱酸素処理が不十分な場合(亜
硫酸イオンが残留しない場合)は,溶存酸素による腐食を加速するので注意する。船用に亜硫酸ナト
リウムを脱酸素剤として使用する場合は連続投入とし,脱気器を設置しないものでは亜硫酸イオン濃
度上限値をSO3: 50 mg/Lとする。
e) ヒドラジンを用いて脱気器を使用する場合には,N2H4: 0.10.5 mg/Lとする。蒸気を直接食品加工又
は人体に触れる用途などに使用する場合は,安全性を考慮して蒸気中にヒドラジンが検出されないよ
うにする,又はヒドラジンに代わる脱酸素剤などを使用する(B.8を参照)。

8 水管ボイラ,循環ボイラの水質

8.1 産業用水管ボイラの水質(軟化水を使用する場合)

8.1.1  給水の水質
8.1.1.1 水質の管理項目及び管理値
軟化水を使用する水管ボイラの給水の水質は,常用使用圧力によって区分し,表6によるほか,次によ
る。
船用に用いる場合には,表4の該当する圧力区分の補給水に軟化水を用いる場合の水質を適用する。
表6−産業用水管ボイラの給水の水質(軟化水を使用する場合)の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え2以下
分 補給水の種類 軟化水
給 pH(25 ℃における) 5.89.0 5.89.0
水 硬度 CaCO3: mg/L 1以下 1以下
溶存酸素 O: μg/L − 500以下
鉄 Fe: μg/L 300以下 300以下
8.1.1.2 水質に関する留意事項
給水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 常用使用圧力2 MPa以下の水管ボイラでは,軟化水を給水として用いるが,最近,ドレンを回収した
り,給水熱交換形連続ブロー装置を設置する例が多くなっており,それに伴い給水温度が上昇し,こ
れらの給水系統の腐食増大の一因となっていることから,腐食をできるだけ抑制するためにはアンモ
ニア,アミンなどを添加することによってpHを7以上に高めに管理する。
b) 一般に,腐食は電気化学的な反応であり,給水のpHが中性又はアルカリ性であっても,水中に溶存
酸素が存在すると腐食が生じる(B.7を参照)。1 MPa以下の圧力区分のボイラでは,給水系統に脱気
器をほとんど設置しないために,給水中の溶存酸素の濃度は一般的に高い。したがって,給水タンク
などの開放部において給水温度を上昇させたり,膜式脱気装置などによって溶存酸素をできるだけ給
水から除去する。

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c) 給水中ヒドラジンの管理値を設定していないが,ヒドラジンを脱酸素剤として注入する場合は,注入
点については,給水が空気と接触しない系統のなるべく上流側に,脱気器があればその上流側に,ヒ
ドラジンを注入して注入点以降の系統の腐食を抑制することが有効である。ただし,100 ℃以下では
反応速度が遅いのでほとんど脱酸素効果が期待できないことに注意する。
8.1.2 ボイラ水の水質
8.1.2.1 水質の管理項目及び管理値
軟化水を使用する水管ボイラのボイラ水の水質は,アルカリ処理方式とし,常用使用圧力によって区分
し,表7による。
船用に用いる場合には,表5の該当する圧力区分の補給水に軟化水を用いる場合の水質を適用する。
表7−産業用水管ボイラのボイラ水の水質(軟化水を使用する場合)の管理項目及び管理値
区 常用使用圧力 MPa 1以下 1を超え2以下
分 補給水の種類 軟化水
処理方式 アルカリ処理
ボ pH(25 ℃における) 11.011.8
イ 酸消費量(pH 4.8) CaCO3: mg/L 100800 600以下

水 酸消費量(pH 8.3) CaCO3: mg/L 80600 500以下
電気伝導率(25 ℃における) mS/m 400以下 300以下
(μS/cm) (4 000以下) (3 000以下)
塩化物イオン Cl: mg/L 400以下 300以下
りん酸イオンa) PO4: mg/L 2040
亜硫酸イオンb) SO3: mg/L 10以上c) 1020
ヒドラジンd) N2H4: mg/L 0.11.0 0.10.5
注a) りん酸塩を添加する場合に適用する。
b) 亜硫酸塩を脱酸素剤として添加する場合に適用する。
c) 亜硫酸イオンの上限は規定しないが,ボイラ水の電気伝導率が規定値の上限を超え
ない範囲とする。
d) ヒドラジンを脱酸素剤として給水に添加する場合に適用する。
8.1.2.2 水質に関する留意事項
軟化水を使用する水管ボイラのボイラ水の水質については,次の事項について留意することが望ましい。
a) 軟化水を補給水とするボイラでは,硬度成分及びシリカによるスケール化を防止するために,ボイラ
水中のりん酸イオンの濃度を十分に高く保持し,かつ,pHを11以上で管理する。また,軟化水を使
用する水管ボイラでは,不測の硬度成分の漏えいによるカルシウム及びマグネシウムに注意する。
b) 塩化物イオンは,鋼面の酸化鉄の防食皮膜の安定性を阻害するため,なるべく低濃度に維持する。
c) ボイラ水のりん酸イオンは,不測の硬度成分の漏れ及び原水を補給水とする場合に対処するために,
管理値の上限付近で管理する。ただし,りん酸イオン以外に,カルボン酸塩系ポリマー(ポリアクリ
ル酸塩,ポリマレイン酸塩など),ホスホン酸塩(ヒドロキシエチリデンジホスホン酸塩,ホスホノブ
タントリカルボン酸塩など)及び/又はキレート剤(エチレンジアミン四酢酸塩など)によって硬度
スケール及びスラッジの防止が可能である。これらの方法を用いる場合の保持濃度については,供給
する薬剤製造業者と相談するのが望ましい。
d) 脱気器を設置するボイラにおいて,ヒドラジンを使用する場合には,N2H4: 0.10.5 mg/Lで管理する。
ヒドラジンの分配係数(ボイラ水中の濃度に対する蒸気中の濃度の比,揮発度ともいう。)は26 %
であり,ボイラ水中に残留したヒドラジンの一部が蒸気へ移行する。また,ヒドラジンはボイラ水中

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