JIS B 8266:2003 圧力容器の構造―特定規格 | ページ 2

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2) 取付物を直接耐圧部に溶接する場合には,その溶接継手部まで。
3) マンホール,ハンドホールなどは圧力を受けるふた板,溶接継手,ボルト・ナット及びガスケット
を含む。
b) 耐圧部に直接取り付ける取付物,安全弁などの附属品は,圧力容器の範囲ではないが,該当する規定
は満足しなければならない。

2. 引用規格

 付表1.1に掲げる規格又はその規格の一部は,この規格に引用されることによって,この
規格の一部を構成する。これらの引用規格のほか,この規格には適用しないが圧力容器の構造に関係する
規格として制定されているものを参考規格として付表1.2に掲げる。

3. 定義

 この規格に用いる主な用語の定義は,JIS B 0190による。

4. 適用条件の明確化

4.1 一般事項

 この規格を使用するに当たっては,圧力容器の使用目的,環境及び設計条件を考慮し,
圧力容器の使用者及び製作者は,次の4.2及び4.3の規定によって,それぞれの責任範囲において圧力容
器に対するこの規格の適用条件に合致することを明確にする。

4.2 圧力容器の使用者の設計仕様書

 圧力容器の使用者(使用者から委託された代理者を含む。)は,こ
の規格の適用条件を明確にするため,その責任において使用者の設計仕様書を作成し,圧力容器の製作者
に提示する。
この設計仕様書には,次の項目を含む。
a) 材料の選定,設計,工作及び試験・検査に適切な基礎資料となる計画運転条件(4),又は設計条件(4)
b) 腐食,侵食性の有無及び腐れ代の値
c) 致死的物質を取り扱うかどうかの指示
d) 圧力容器の基本形状,基本寸法など(5)
e) 疲労解析の要否(疲労解析の要否判定の結果又は経験的データなど疲労解析の要否判定の根拠となる
もの。)
f) 使用環境条件
g) その他運転経験によるデータなど参考にすべき事項
注(4) 6.1.1を決める条件,伝熱条件,内容物及びその物性値が含まれる。また,設計条件には,6.1.2
の設計圧力及び6.1.3 a) の設計温度(高温側及び低温側)を含む。
(5) 直径,長さなどの寸法,マンホール,ノズル,計測機器の取付位置及び支持の方法,その他基
本的な形状,寸法が含まれる。

4.3 圧力容器の製作者の設計図書

 圧力容器の製作者の設計図書は,次による。
a) 圧力容器の製作者は,使用者の設計仕様書が4.2の規定を満足していることを確認し,その責任にお
いて使用者の設計仕様書に基づいて,この規格に従って設計図書を作成し使用者の承認を得る。
備考 設計図書には,仕様書,図面及び設計計算書を含む。
b) 設計図書には,規格に規定する算式による肉厚算定に加えて附属書8による応力解析及び疲労解析に
よる評価を含める。ただし,6.4.2又は6.4.3の規定で免除される場合を除く。

5. 材料

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5.1 材料一般

 この規格に基づく圧力容器の耐圧部に用いる材料は,次による。
a) 規格材料 この規格に定める規格材料は,付表2.1,付表2.2,付表3.1及び付表3.2に規定するJIS
による材料とする。
b) 同等材料 付表2.1,付表2.2,付表3.1及び付表3.2による規格材料と対比した場合に,次の項目のい
ずれかを満足するものは,規格材料と同等の材料としてもよい。
1) 規格材料,化学成分及び機械的性質が同一で,板厚の許容範囲がわずかに異なるもの。
2) 規格材料,化学成分及び機械的性質が同一で,製造方法又は形状が異なるもの。
3) 規格材料,化学成分,機械的性質,試験方法及び試料採取方法が極めて近似的なもので,規格材料
及び材料の性質が極めて類似したもの。
c) 特別認定材料 JISには規定されていないが,附属書10に規定する項目による試験を行い,受渡当事
者間の協定によって,この規格の圧力容器用材料として使用することが適切と特別に認定された材料
及びISO規格など,a) に規定したJIS以外の規格による材料も受渡当事者間の協定によって,a) に
定める規格と同等以上の性質をもつことを確認し特別に認定された材料は,圧力容器の耐圧部に使用
してもよい。
d) 材料の厚さの許容差 材料の厚さの許容差は,次による。
1) 材料の厚さは,設計厚さ以上のものでなければならない。
2) 板材は,厚さの負側の規格許容差が0.3 mm又は呼び厚さの6 %のうち,小さい値以下の場合には,
使用してもよい。
3) 耐圧部に管材を用いる場合には,JIS材料規格で定めた厚さの負側の許容差を計算に入れなければ
ならない。
e) 材料の使用温度範囲 付表2.1,付表2.2,付表3.1及び付表3.2による規格材料は,それらの付表で設
計応力強さ及び許容引張応力を示した最高温度を超えて使用してはならない。一方,低温使用限界は,
鉄鋼材料については5.3.5,非鉄金属材料については5.4.1の規定による。
f) 材料の疲労特性 圧力容器の設計に当たっては,材料の疲労特性も考慮しなければならない。6.4.3に
定める疲労解析の免除規定が適用できない場合には,附属書8に設計疲労曲線が示されている材料だ
けを用いてもよい。ただし,十分な資料があり設計疲労曲線が作成できる場合には,この限りでない。
g) IS材料規格に対する検査の追加 JIS材料規格によっては,注文者の指定による非破壊検査及び特別
品質規定が規定されており,圧力容器の製作者は,この規格の5.3.4,5.3.5及び5.4.4の規定によって,
追加の検査を指定して材料を注文しなければならない。また,材料の製造業者の発行する材料証明書
は,適用材料規格の規定及び追加の検査を含めて,規定に合っていることを示さなければならない。
この材料証明書には,すべての必要な試験の結果の数値に関する証明を含む。
h) 内容物に対する材料の使用制限 腐食性物質を保有する圧力容器に使用する材料は,あらかじめ内容
物に対する耐性について考慮しておかなければならない。
i) 材料区分 この規格における材料の区分及びグループ番号は,JIS B 8285の付表1による。
j) 調質高張力鋼 JIS G 0203の3510に規定する焼入焼戻しを行うことによって,高張力鋼としての性質
を与えた鋼材のうち,引張強さの規格規定の最小値が620 N/mm2以上のものをいう。
備考 この調質高張力鋼に該当するJIS規格材料の例を,次に示す。
JIS G 3120のSQV1B, SQV2B及びSQV3B
JIS G 3127のSL5N590, SL9N520及びSL9N590
JIS G 3204のSFVQ1B SFVQ2B及びSFVQ3

――――― [JIS B 8266 pdf 7] ―――――

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JIS G 3460のSTPL690
JIS G 3464のSTBL690

5.2 圧力容器に用いる材料

5.2.1  圧力容器本体に用いる材料 圧力容器本体に用いる材料は,付表2.1による鉄鋼材料及び付表2.2
による非鉄金属材料の規格材料,5.1 b) に規定するこれらと同等の材料又は5.1 c) に規定する特別認定材
料とする。
5.2.2 取付物及び支持構造物に用いる材料 ジャケット,支持構造物,取付物などの圧力容器本体に直接
溶接される部材は,JIS B 8265の付表2.1.1及び付表2.2による規格材料,これらと同等の材料又は特別認
定材料を用いてもよいが,本体との溶接に使用する溶接材料は,圧力容器本体耐圧部の材料に適合性のあ
るもので,溶接継手部はこの規格の規定を満たさなければならない。
5.2.3 鉄鋼ボルトに用いる材料 フランジ,ボルト締めふた板及び管板を応力解析によって設計する場合
の鉄鋼ボルト材料は,付表3.1による規格材料,フランジを附属書3,附属書4,附属書5及び附属書6に
よって,並びにボルト締めふた板を附属書7によって設計する場合の鉄鋼ボルト材料は,付表3.2による
規格材料,又はいずれも5.1 b) に規定するこれらと同等の材料とする。

5.3 鉄鋼材料

5.3.1  鉄鋼材料の使用制限一般 鉄鋼材料の使用制限一般は,次による。
a) 炭素鋼鋼材又は低合金鋼材で0.35 %(溶鋼分析値)を超える炭素を含有しているものは,溶接構造に
使用してはならない。JIS規格材料で炭素含有量を規定していない材料を溶接構造に用いる場合には,
その規格に特別規定として炭素含有量0.35 %以下とすることを指定して発注し,材料証明書に炭素含
有量が記載されていなければならない。
b) 炭素含有量が0.35 %(溶鋼分析値)を超える鍛造品は,溶接構造に使用してはならない。ただし,附
属書11の2. b) 注(1)の規定による小形の非耐圧取付物の取付溶接,ねじ接合部のシール溶接又は補修
溶接だけの溶接を行う場合には,炭素含有量が0.5 %以下であればよい。炭素含有量が0.5 %を超え
るものは,いかなる溶接も行ってはならない。
c) 圧力容器に用いる材料は,キルド鋼とする。
5.3.2 鋼材の熱処理 フェライト系材料で,適用材料規格にその熱処理状態について,圧延のまま,又は
焼ならしが規定され,他に規定がない場合には,必要に応じて特別規定として焼ならし,焼ならし焼戻し,
又は熱加工制御を行ってもよい。この場合の焼ならしには,引張特性及び衝撃特性を高めるための加速冷
却及びそれに引き続いて行う焼戻しを含める。
5.3.3 試験材及び試験片の採り方 試験材及び試験片は,次の規定によって採取しなければならない。た
だし,5.3.5に従って衝撃試験を行う場合の衝撃試験片の採り方は,附属書15による。
a) 厚さの定義 5.3.3の規定において,厚さの定義は,次による。
1) 板 圧延された面に垂直に測った寸法。
2) 鍛鋼品 形状によって,次による。
2.1) 中空の鍛鋼品 内面と外面との間。(半径方向の厚さ)。
2.2) 平円盤形鍛鋼品 軸方向に測った長さ。(軸方向の長さ≦外径)。
2.3) 平らな輪形鍛鋼品 軸方向の寸法が50 mm以下の場合は軸方向寸法。軸方向の寸法が50 mmを超
える場合には,半径方向に測った寸法。(軸方向の長さが半径方向の厚さよりも小さい場合)。
2.4) 穴のない角断面の鍛鋼品 断面の小さいほうの辺の長さ。
3) 鋳鋼品 通常の形の鋳鋼品に対しては,鍛鋼品と同様とする。

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b) 鉄鋼材料の試験材及び試験片の採り方 鉄鋼材料の試験材及び試験片の採り方は,次による。ただし,
5.3.5に従って衝撃試験を行う場合の衝撃試験片の採り方は,附属書15による。
1) 鋼板 鋼板は,次による。
1.1) 試験材の採り方,試験片の数及び採取位置は,適用材料規格の規定による。
1.2) 焼ならし(加速冷却含む。),焼ならし焼戻し又は焼入焼戻しを行った鋼板又は試験材から試験片
を採取する場合には,適用材料規格に従い,かつ,熱処理端からc) 3) を満足する位置から採取し
なければならない。
1.3) 平鏡板,管板,フランジなどで突合せ溶接のためのハブを板から削り出す場合には,付図1 a) 1)
3) に示す位置から試験片を追加して採取する。
2) 鋼管 鋼管は,次による。
2.1) 試験材の採り方,試験片の数及び採取位置は,適用材料規格による。
2.2) 焼ならし(加速冷却を含む。)を行った鋼管から試験片を採取する場合には,適用材料規格に従い,
かつ,熱処理端からc) 3) を満足する位置から採取しなければならない。
3) 棒鋼及びボルト材 棒鋼及びボルト材は,次による。
3.1) 試験片に関する規定は,適用材料規格によるが,試験片は材料表面又は圧延面から少なくとも41t
のところで(ここに,tは,棒鋼の直径又は厚さ),かつ,試験片の端面は熱処理を受けた棒鋼の
端部からt以上離れていなければならない。試験片が41tの位置で採れない場合には,できるだけ
その位置に近い位置から採取する。
3.2) ボルト材に対しては,試験片は適用材料規格の規定に従って採取する。
3.3) 棒鋼又はボルト材を熱処理する場合には,試験片は熱処理端からc) 3.1) を満足する位置から採取
しなければならない。
4) 鍛鋼品 鍛鋼品は,次による。
4.1) 試験材の採り方,試験片の数及び採取位置は,適用材料規格及びJIS G 0306の4.2.2(供試材及び
試験片の採り方,その数並びに試験方法)の規定による。
4.2) 試験片の採取は,次のいずれかによる。
4.2.1) オーステナイト化温度からの冷却速度が炉冷より速い速度で熱処理された場合には,試験片は鍛
鋼品の余肉部又は余長部から主鍛造方向に平行に採取する。この場合の試験片の中心は,いずれ
も鍛鋼品又は鍛鋼材の一つの熱処理面から41T以上で,かつ,第二の熱処理面からT以上離れた
位置とする。ここに,Tは,鍛鋼品の最大熱処理厚さ(以下,同じ。)とする。
4.2.2) 熱処理前に製品に近い形状にまで成形又は機械加工するノズル,厚肉管板,フランジ,その他複
雑な形状の鍛鋼品の場合には,試験片は鍛鋼品の余肉部又は余長部から主鍛造方向に平行に採取
する。採取位置は,あらかじめ指示された高引張応力面とそれに最も近接した熱処理面との距離
のうちで最大距離以上,熱処理面から離れたところで,かつ,第二の熱処理面から前述距離の2
倍以上離れたところとする。ただし,試験片は第一の熱処理面から20 mm以上,第二の熱処理
面から40 mm以上離れていなければならない。
4.2.3) 平らなリング及び単純なリング状鍛鋼品の試験片は,次の条件を満たすように製造した別の鍛鋼

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材から採取してもよい。試験片の軸は一つの熱処理面から41T以上で,かつ,第二の熱処理面か
らT以上離れた位置とする。
4.2.3.1) 鍛鋼品と同一溶鋼で,実質的に同一鍛錬比であり,かつ,同一種類の熱間加工を行う。
4.2.3.2) 鍛鋼品と同一熱処理炉で同一条件で熱処理を行う。
4.2.3.3) 厚さは,鍛鋼品の熱処理厚さとする。
5) 鋳鋼品 鋳鋼品は,次による。
5.1) 試験材の採り方,試験片の数及び採取位置は,適用材料規格及びJIS G 0307の6.2.2(サンプリン
グ,試験片準備,機械的・化学的試験方法,その他の要求事項)の規定による。
5.2) 焼ならし(加速冷却を含む。),焼ならし焼戻し又は焼入焼戻しを行う場合には,試験片は次によ
って採取する。
5.2.1) 最大厚さが50 mm以下の鋳鋼品の場合には,試験片は適用材料規格に従って試験材から採取し
てよい。
5.2.2) 最大厚さが50 mmを超える鋳鋼品の場合には,試験片は鋳鋼品そのもの又はその余長部から採
取する。この場合,試験片の長手中心軸は一つの熱処理面から41T以上で,かつ,第二の熱処理
面からT以上離れた位置とする。ここに,Tは,鋳鋼品の最大熱処理厚さとする。
5.2.3) 最大厚さが50 mmを超える鋳鋼品で,熱処理前に鋳鋼品に近い形状にまで鋳造又は機械加工す
る大形鋳鋼品の場合には,試験片は鋳鋼品の余肉部又は余長部から採取する。採取位置は,あら
かじめ指示された高引張応力面とそれに最も近接した熱処理面との距離のうちで最大のもの以
上,熱処理面から離れたところで,かつ,第二の熱処理面から上記距離の2倍以上離れたところ
とする。ただし,試験片は熱処理面から20 mm以上,第二の熱処理面から40 mm以上離れてい
なければならない。
5.2.4) 事前に注文者の承認を得た場合には,次の条件を満たす別の鋳造試験材から試験片採取をしても
よい。試験片は,41T又はこれにできるだけ近い位置で,しかも第二の熱処理面からT以上離れ
た位置とする。
5.2.4.1) 鋳鋼品と同一溶鋼で,実質的に製品と同一鋳造法でなければならない。
5.2.4.2) 鋳鋼品と同一熱処理炉で同一条件のもとで熱処理を行う。
5.2.4.3) 鋳鋼品と同じ呼び厚さとする。
c) 試験片の熱処理 試験片の熱処理は,次による。
1) フェライト系材料を熱処理する場合には,試験片は熱処理を行った材料から採取しなければならな
い。ただし,別に規定がある場合にはこの限りでない。
2) 試験材を材料本体から切り離した後,熱処理を行う場合には,材料から切り離した試験材について
所定の熱処理を行った後,この試験材から試験片を採取する。
3) 熱処理が焼ならし(加速冷却を含む。)の場合には,試験材は次のいずれかの方法によって,材料本
体の冷却速度と同程度で,かつ,早くない速度で冷却しなければならない。
3.1) 材料又は試験材の熱処理端から,材料又は試験材の厚さ(棒材の場合は直径又は対辺距離)の少
なくとも1倍以上離れた位置から試験片を採取する。
3.2) 試験片を採取する材料端に,3.1) を満足するように材料の厚さに等しい幅をもった鋼製当て金を,

――――― [JIS B 8266 pdf 10] ―――――

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JIS B 8266:2003の国際規格 ICS 分類一覧

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規格名称