JIS B 8828-1:2013 クレーン―逸走防止装置―第1部:一般 | ページ 2

4
B 8828-1 : 2013
3.3
安全率
科学的に実証された数値を基にした厳密な安全の割合。逸走防止装置などの構造部の許容応力に対する
発生応力の割合を示す。
3.4
安定度
厳密には実証できない数値を基にした安全の度合い。逸走防止装置の逸走防止力に対する風荷重による
逸走力の割合及びクレーンの転倒支点における安定モーメントに対する風荷重による転倒モーメントの割
合を示す。

4 逸走防止装置などの備付け

4.1 逸走防止装置

  逸走防止装置は,次による。
a) クレーンの作動時及び停止時に逸走を防止するための措置を講じるものとする。逸走を防止するため
の装置を備える場合は,次の装置とする。
1) クレーン作動時の突風に対してはレールクランプ
2) クレーン停止時の暴風に対してはアンカ
b) 逸走防止装置(レールクランプ及びアンカ)を備え付けない場合は,逸走を防止するための別の措置
を講じなければならない。

4.2 転倒防止装置

  転倒防止装置の備付けは,次による。
a) クレーンの停止時の風荷重によってクレーンの一方の車輪が浮き上がる場合には,転倒防止装置を備
え付けるものとする。
b) クレーンの停止時の風荷重によってクレーンの一方の車輪が浮き上がる場合で転倒防止装置を備え付
けない場合は,転倒を防止するための別の措置を講じなければならない。

5 設計上の要求事項

5.1 一般

  逸走防止装置は,風,その他の環境条件によってクレーンにもたらされる静荷重及び動荷重に耐えるも
のでなければならない。また,JIS B 8830,JIS B 8831及びクレーン構造規格の規定(厚生労働省告示第
399号)に従うものとする。

5.2 逸走防止装置

  逸走防止装置の設計に当たっては,次の要件を満たすものとする。
a) レールクランプ
1) 式(1)によって計算して得た値の風荷重に耐える性能をもつものとする。
W35 392 4 hCA (1)
ここに, W35 : 風速35 m/sのときの風荷重(N)
h : クレーンの風を受ける面の高さ(m)
(高さが16 m未満の場合には,16)

――――― [JIS B 8828-1 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
B 8828-1 : 2013
C : 風力係数
A : 受圧面積(m2)
2) 逸走に対する安定度は,式(2)を満たすものとする。
S (Pf (2)
Tr /) W35 ≧5.1
ここに, S : 安定度
Pf : レールクランプの摩擦力(N)
Tr : 走行抵抗(N)
注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を
乗じたものである。
W35 : 風速35 m/sのときの風荷重(N)
3) レールとレールクランプシュー金物との間の摩擦係数μは,0.25を満たすものとする。
4) レールクランプ構造部及びそれをクレーン本体と連結する構造部分は,式(3)から求められる外力
PSRによって強度計算を行うものとする。
PSR W35 Tr (3)
ここに, PSR : レールクランプ構造部分などに働く力(N)
Tr : 走行抵抗(N)
注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を
乗じたものである。
W35 : 風速35 m/sのときの風荷重(N)
5) レールクランプ構造部及びそれをクレーン本体と連結する構造部分の鋼材の安全率は,次の関係を
満たすものとする。
F≧1.3(鋼材の降伏点又は耐力に対して)及び1.6(鋼材の引張強さに対して)
ここに, F : 安全率
6) アンカとは独立して風荷重に対抗できる。
注記 クレーンの走行抵抗は考慮することができる。
b) アンカ
1) 式(4)によって計算して得た値の風荷重に耐える性能をもつものとする。
W60 11804 hCA (4)
ここに, W60 : 風速60 m/sのときの風荷重(N)
h : クレーンの風を受ける面の高さ(m)
(高さが16 m未満の場合には,16)
C : 風力係数
A : 受圧面積(m2)
2) 上記の風荷重は,走行クレーンの逸走に関し最も不利となる状態で計算するものとする。
3) アンカ構造部及びクレーン本体と連結する構造部分は,式(5)から求められる外力PSAによって強度
計算を行うものとする。
PSA W60 Tr (5)
ここに, PSA : アンカに働く力(N)
W60 : 風速60 m/sのときの風荷重(N)
Tr : 走行抵抗(N)
注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を
乗じたものである。

――――― [JIS B 8828-1 pdf 7] ―――――

6
B 8828-1 : 2013
4) アンカ構造部及びクレーン本体と連結する構造部分の鋼材の安全率は,次の関係を満たすものとす
る。
F≧1.15(鋼材の降伏点又は耐力に対して)及び1.4(鋼材の引張強さに対して)
ここに, F : 安全率
5) レールクランプとは独立して風荷重に対抗できる。
注記1 クレーンの走行抵抗は考慮することができる。
注記2 摩擦によらない逸走防止機構が対象である。

5.3 転倒防止装置

  転倒防止装置の設計に当たっては,次の要件を満たすものとする。
a) 式(6)によって計算して得た値の風荷重に耐える性能をもつものとする。
W55 9804 hCA (6)
ここに, W55 : 風速55 m/sのときの風荷重(N)
h : クレーンの風を受ける面の高さ(m)
(高さが16 m未満の場合には,16)
C : 風力係数
A : 受圧面積(m2)
b) 転倒に対する安定度は,式(7)を満たすものとする。
S Ms / MW55 ≧0.1 (7)
ここに, S : 安定度
Ms : 転倒支点における安定モーメント(Nm)
MW55 : 転倒支点における風速55 m/sのときの
風荷重による転倒モーメント(Nm)
c) 転倒防止装置が必要な場合,その構造部及びクレーン本体と連結する構造部分は,式(8)から求められ
る外力Psvによって強度計算を行うものとする。
Psv (MW55 Ms /) (8)
ここに, Psv : 転倒防止装置に働く垂直方向の力(N)
Ms : 転倒支点における安定モーメント(Nm)
MW55 : 転倒支点における風速55 m/sのときの
風荷重による転倒モーメント(Nm)
L : 転倒支点から転倒防止装置までの距離(m)
また,アンカを兼用する場合は,式(9)から求められる外力Pshと上記のPsvとが同時に働くものとし
て強度計算を行うものとする。
Psh W55 Tr (9)
ここに, Psh : 転倒防止装置に働く水平方向の力(N)
W55 : 風速55 m/sのときの風荷重(N)
Tr : 走行抵抗(N)
注記 走行抵抗は車輪抵抗に車軸荷重を
乗じたものである。
d) 転倒防止装置構造部及びクレーン本体と連結する構造部分の鋼材の安全率は,次の関係を満たすもの
とする。
F≧1.15(鋼材の降伏点又は耐力に対して)及び1.4(鋼材の引張強さに対して)

――――― [JIS B 8828-1 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
B 8828-1 : 2013
ここに, F : 安全率
e) アンカなどによって逸走を防止するための措置が講じられている状態にある。
注記1 アンカと兼用することができる。
注記2 摩擦によらない転倒防止機構が対象である。

6 情報の提供

  逸走防止装置の操作,試験,保守及び修理に関する情報を,クレーンの設置・備付者に提供しなければ
ならない。

――――― [JIS B 8828-1 pdf 9] ―――――

    8
B 8828-1 : 2013
B8
2
附属書JA
82
(参考)
8-
1 : 2
JISと対応国際規格との対比表
013
JIS B 8828-1:2013 クレーン−逸走防止装置−第1部 : 一般 ISO 12210-1:1998 Cranes−Anchoring devices for in-service and out-of-service
conditions−Part 1: General
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条(V) JISと国際規格との技術的差
国際規格 ごとの評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
番号
箇条番号 内容 箇条番号 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
及び題名 の評価
3 用語及 次の用語を記載し − 追加 JISは,国際規格の中で使われJISは,規格利用者の理解徹底を
び定義 定義付けした。逸走 ている技術用語で主だったも 考慮した。ISOへの改訂提案はし
防止装置,レールク のを用語に採り上げて定義付 ない。
ランプ,アンカ,転 けした。技術的差異はない。
倒防止装置,安全率
及び安定度。
4 逸走防 逸走防止装置及び − 追加 JISは,逸走防止装置及び転倒逸走防止装置などの技術的必要
止装置な 転倒防止装置につ 防止装置についての要求事項 条件を明確にした。国際規格の見
どの備付 いて規定。 を規定した。 直しの際,提案を行う。

5 設計上 逸走防止装置はJIS 2 逸走防止装置はISO 4302 追加 JISでは,設計上の必要条件は我が国の実情に合わせ,強制法規
の要求事 B 8830(ISO 4302), 及びISO 8686-1の規定に JIS B 8830及びJIS B 8831の であるクレーン構造規格の規定
項 JIS B 8831(ISO 従う。 規定並びにクレーン構造規格 (厚生労働省告示第399号)に従
8686-1)及びクレー の規定(厚生労働省告示第399うことを追加した。ISOへの改訂
ン構造規格の規定 号)に従うものとした。 提案はしない。
(厚生労働省告示
第399号)に従う。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価 : ISO 12210-1:1998,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加·················· 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD··············· 国際規格を修正している。

JIS B 8828-1:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 12210-1:1998(MOD)

JIS B 8828-1:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8828-1:2013の関連規格と引用規格一覧