4
C 1400-0 : 2005
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
る概念に対して同一の用語があり,併記す
る。)。
141 受電点 単機については,風力発電機からのケーブルの接 network connection
続点,風力発電所については,構内の集電設備の point (for WTGS)
母線への接続点をいう。
142 定速風車 ロータ回転速度がほとんど変化しない風車。 constant speed wind
2段切替方式もある。 turbine
143 可変速風車 ロータ回転速度が変化する風車。 variable speed wind
turbine
144 沖合風車 海岸線から離れた沖合いに設置した風車。 洋上風車 off-shore wind
turbine
4.2 風況など環境条件及び資源評価
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
201 風速 空気が移動した距離とそれに要した時間の比(単 wind speed
位は通常m/s)。
202 風速度(ベクトル) 風の速度ベクトル。 wind velocity
(vector)
203 平均風速 風速の瞬間値を,規定期間内で統計的に平均した mean wind speed
もの。規定期間は,数秒から数年の場合がある。
備考 “平均風速”として,月平均風速及び年平
均風速が通常使われる。
204 瞬間風速 時々刻々に変動する風速の瞬間的な値。 instantaneous wind
speed
205 10分間平均風速 風速の10分間平均値(ある時刻の平均風速には通 10 minute average
常,正時前10分の平均値をとる。)。 wind speed
206 年平均 十分な期間にわたって集めた十分な量の測定デー annual average
タセットを平均した値であって,測定対象の期待
値を推定できるもの。平均を計算する期間は,季
節差などの非定常効果をならすため,年数は整数
とする。
207 年平均風速 年平均の用語の定義に従って平均した風速。 annual average wind
speed
208 最大風速 ある期間内(時間・日・月・年など)における最大の風 peak wind speed,
速(通常10分間の平均値をとっている。)。 maximum wind
speed
209 最大瞬間風速 特定の時間,期間の中での瞬間風速の最大値。通 maximum
常測定時間,0.1数10秒間の平均値の最大値を instantaneous
とる。 wind speed
210 極値風速 t秒間で平均した最大平均風速で,T年間(再現期 extreme wind speed
間 : T年)で経験しそうな風速。
この規格では,再現期間はT=50年及びT=1年,
並びに平均時間はt=3秒及びt=10分を用いる。
一般的には,定義がややあいまいな耐風速という
用語が用いられることがあるが,この規格では用
いない。この規格では,風車の設計には設計荷重
ケースに用いる極値風速を用いる。
――――― [JIS C 1400-0 pdf 6] ―――――
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C 1400-0 : 2005
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
211 耐風速 構造物が耐えられるよう設計された最大風速の一 survival wind speed
般名称。
この規格では,この用語は用いない。設計条件で
は,極値風速を用いる[210(極値風速)参照]。
212 基準風速 風車階級を定義するための基準となる極値風速。 reference wind
備考 基準風速Vrefの階級で設計された風車は,風 speed
車のハブ高さにおける再現期間50年の極値
的10分平均風速がVref以下の気象に耐える
ように設計されている。
213 風速分布 風速の累積分布関数であって,ある長時間内の風 wind speed
速の分布を示すもの。 distribution
通常用いられる分布関数は,レイリー分布関数
PR(V0)及びワイブル分布関数PW(V0)である。
(レイリー分布関数)
2
(V0 /2Vave )
PR (V0 )=1−exp[−
(ワイブル分布関数)
k
Pw (V0 )=1−exp[−(V0 /C)
ただし,
1
CΓ 1+
k
Vave=
π
C ,k=2の場合
2
ここに, P(V0) : 累積分布関数で,V < V0
である確率。
V0 : 風速(限界)
Vave : 風速Vの平均値
C : ワイブル関数の尺度定数
k : ワイブル関数の形状定数
Γ : ガンマ関数
C及びkは,実際のデータから評価される。レイ
リー関数は,ワイブル関数において,k=2とし,
上に定めた風速の平均値及び尺度定数の関係式を
満たす場合に一致する。分布関数は,風速がV0よ
り小さい累積確率を表す。したがって,[P(V<V1)
−P(V<V2) ]は,限界V1及びV2の間で評価すれば,
風速がこの限界内にあるのは時間にしてどの位の
割合かを示す。分布関数を微分すると,それに対
応する確率密度関数を得る。
214 ワイブル分布 213(風速分布)を参照。 Weibull distribution
215 レイリー分布 213(風速分布)を参照。 Rayleigh
distribution
216 風向 観測者から見て,風が向かってくる方向。例えば, wind direction
“北風とは北から吹く風”,“山風とは山から谷に
向かって吹く風”の意味である。
風速ベクトルの方向は,風向に対して180度反転
した方向であることに注意。
217 風向度数分布 ある地点のある期間(月・年など)における各方位別 frequency
の風向の出現度数分布。 distribution of
――――― [JIS C 1400-0 pdf 7] ―――――
6
C 1400-0 : 2005
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
wind direction
218 風配図 ある地点のある期間における各方位別の風向の出
ウィンドロー wind rose
現度数を,放射状のグラフに表したもの。 ズ
219 風速階級別風向の ある地点のある期間における風速階級に対応する frequency
出現度数分布 各方位別の風向出現度数分布。 distribution of
wind direction for
each wind force
scale
220 ウィンドプロフィ 風速の鉛直方向分布。 風速の高度分 wind profile,
ール,ウィンドシア 布
数式表現として,対数則及び指数則がよく用いら wind shear law
ー法則 れる。
(対数則)
ln(z/ z0 )
V(z)=V(zr )
ln(zr / z0 )
(指数則)
z
V(z)=V(zr)( rz ) a
ここに, V(z) : 高さzにおける風速
z : 地上高さ
zr : プロフィールを対応させ
るための基準地上高さ
z0 : 粗度長
ln : 自然対数
a : 指数則の指数
221 ウィンドシアー 風向に対して垂直な面を横切る風速の変化。 wind shear
備考 地表境界層では鉛直方向の風速変化。
222 ウィンドシアーの 220(ウィンドプロフィール,ウィンドシアー法則) wind shear exponent
指数 を参照。
223 ウィンドシアーの 220(ウィンドプロフィール,ウィンドシアー法則) logarithmic wind
対数法則 を参照。 shear law
224 ウィンドシアーの 220(ウィンドプロフィール,ウィンドシアー法則) power law for wind
指数法則 を参照。 shear
225 乱れの尺度定数 縦方向パワースペクトル密度が0.05に等しい波 turbulence scale
長。 parameter
備考 縦方向パワースペクトル密度は,JIS C
1400-1 附属書Bに規定する無次元数。
226 慣性小領域 風の乱流スペクトルの周波数間隔であって,渦が inertial sub-range
等方正になった後,次々につぶれてエネルギー散
逸が無視できるもの。
備考 風速10 m/sの場合,慣性小領域は約0.02 Hz
から2 kHzである。
227 回転サンプル風速 回転するロータのある点から見た風速度。 rotationally sampled
度 wind velocity
228 突風 風速の瞬間的な変化で,その立ち上がり時間,振 gust
幅及び継続時間で特徴付けられるもの。
229 突風率 ある測定時間の平均風速umに対する,同じ時間内
ガストファク gust factor
の最大瞬間風速umaxの比(G=umax/um)。 タ
230 乱流強度 風速の標準偏差の平均風速に対する比。 乱れの強さ turbulence intensity
――――― [JIS C 1400-0 pdf 8] ―――――
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C 1400-0 : 2005
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
この比は,指定の時間内に採取した同一の風速測
定データセットから決定する。
231 粗度長 風速の高度分布が対数則に従うとした場合,平均
粗度定数,粗 roughness length
風速が零となる外挿高さ。 度係数
232 可採風力エネルギ ある地域における風力エネルギーの利用に関して available wind
ー量 種々の制約要因を考慮した上で,エネルギーとし energy
て開発利用の可能な量。
233 年平均風力エネル ある場所における風力エネルギーの1年間の平均 annual average wind
ギー 値。 energy,
annual mean wind
energy
234 風力エネルギー分 風力エネルギーの地域的分布。 wind energy
布 distribution
235 風力エネルギー資 ある地域において理論的に算出することができる
風力エネルギ wind energy
源量 ー賦存量
風力エネルギー資源量で,種々の制約要因(土地用 resources
途,利用技術など)は考慮しないもの。
236 ウィンドアトラス 風況マップ
ある期間(月・季節・年など)の平均風速,風力エネ wind atlas,
ルギー密度(W/m2など)などの地域的分布を表す地 wind energy map
図。
4.3 構成要素
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
301 (風車)ロータ 翼車,ロータ, wind turbine rotor,
風車において,風力エネルギーを主軸の動力に変
換する部分。翼,ハブなどで構成する。 ロータシステ rotor
ム
302 翼 ロータを構成する回転翼。 羽根,ブレー blade,
ド rotor blade
303 ハブ 翼をロータ軸に固定する部分。 ロータヘッド hub
304 主軸 ロータ軸
ロータからの動力を発電機に伝達する回転軸。増 main shaft,
速機付きの風車においては,低速軸及び高速軸の rotor shaft
総称。
305 増速機 ロータの回転速度よりも発電機の回転速度が高い
ギアボック gear box
ス,ギア,歯
場合に,主軸の回転速度を増速して動力を伝達す
る装置。 車
306 発電機 機械動力(風車ロータの回転力)を受けて電力を発 generator
生する回転機。
307 誘導発電機 誘導機,IG
固定子と回転子との電磁誘導作用によって電力を induction generator,
発生する非同期機。 asynchronous
電力系統などから励磁電流を得て並列運転し発電 generator
する。
308 同期発電機 同期機,SG
定常運転状態において,同期速度で回転する交流 synchronous
発電機。励磁装置などをもち,単独運転が可能で generator
独自に発電できる。
309 多極同期発電機 低回転速度で用いるために多極化した交流発電 multi-pole
機。 synchronous
備考 ギアレス及びDCリンク方式の風車に用い generator
られており,40極80極程度の発電機が製
――――― [JIS C 1400-0 pdf 9] ―――――
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C 1400-0 : 2005
規定 参考
番号 用語 定義 慣用語 英語
造されている。
310 ナセル 水平軸風車において,タワーの上部に配置され, nacelle
動力伝達装置,発電機,制御装置などを格納する
もの,及びその内容物の総称。
311 (風車の)支持構造物タワー及び基礎からなる風車の一部分。 support structure
312 タワー 塔
風車ロータ,動力伝達装置,発電機などを地上か tower
ら適切な高さに支持するための架台。
313 基礎 タワーの荷重を地盤に伝えるための工作物。 foundation
314 電気設備 風車を電力系統に連系するために必要なすべての site electrical
電気関連設備。 facilities
315 電力系統 power network utility grid,
発電所,変電所及び負荷並びにこれらを結ぶ電線
路からなり,発電電力を負荷に送る電力設備網。 power system
316 電力変換装置 ACからDCに,DCからACに,又は周波数,若 electric power
しくは電圧が異なるACからACに変換する装置。 conversion
system
317 (風車の)集電設備 1台以上の風車から電力を集める集電システム。
パワー収集シ power collection
これにはWTGS接続点と電力系統の接続点の間をステム,送配 system
接続するすべての電気設備を含む。 電設備
318 制御装置 風車及び周囲の状態の情報を受け,風車の運転を
運転制御装 control system
制限内に保つよう調整する装置。 置,制御シス
テム
319 ピッチ制御装置 風車の回転速度及び出力を制御するため,翼のピ pitch control system
ッチ角を変化させる装置。
320 ヨー制御装置 風向とロータ軸との偏差角を任意の角度内に制御 yaw control system
する装置。
321 保護装置 保護システム protection system,
風車を設計限界以内に保つように保護する装置。
safety system
322 インチング装置 風車ロータを手動,又は自動で少しずつ回転させ inching system
る装置。
323 ブレーキ装置 風車ロータの回転速度を緩めるか,又は回転を静 brake,
止させることができる装置。 parking brake
324 機械ブレーキ ブレーキのうち,ばね,油圧など,摩擦力の作用 mechanical brake
を利用したもの。
325 空力ブレーキ ブレーキのうち,翼のフェザー,翼端ブレーキな air brake
ど,空気力の作用を利用したもの。
326 ロック装置 ピンなどを用いることによって,風車ロータ及び blocking,
ヨー機構の動きを止める装置。 locking device
327 動力伝達装置 ロータから発電機に動力を伝達する部分。 drive train
328 翼端ブレーキ 翼の先端の一部が,油圧及び過回転時の遠心力の
ティップブレ tip brake
ーキ
作用で回転することによって抗力を増加させるこ
とによって,ロータを過回転から保護するための
装置。
329 ティップベーン 性能改善,騒音低減,雷保護などのために翼端に tip vane
付加される小翼片。
330 翼端 翼の先端部分。 ブレードティ blade tip
ップ
331 翼根 ロータのハブに固定される翼の基部。 ブレードルー blade root
ト
――――― [JIS C 1400-0 pdf 10] ―――――
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JIS C 1400-0:2005の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.180 : 風力タービンエネルギーシステム
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