この規格ページの目次
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C 1400-11 : 2017 (IEC 61400-11 : 2012)
3.2
A特性音圧レベル(A-weighted sound pressure levels),LA
JIS C 1509規格群に規定する周波数重み付け特性Aで測定される音圧レベル。
注記 A特性音圧レベルは,デシベル(dB)で表す。
3.3
C特性音圧レベル(C-weighted sound pressure levels),LC
JIS C 1509規格群に規定する周波数重み付け特性Cで測定される音圧レベル。
注記 C特性音圧レベルは,デシベル(dB)で表す。
3.4
見かけのA特性音響パワーレベル(apparent A-weighted sound power level),LWA
風下方向で測定される風車の音響放射パワーと同じ値をもつロータ中心に位置する点音源のA特性音響
パワーレベル1)。LWAは,ハブ高さでのビン中心の風速ごとに表示する。
注記 音響パワーレベルは,音源の音響パワーの,基準の音響パワー(1 pW)に対する比の常用対数
の10倍。単位は,デシベル(dB)で表す。
注1) 特性音響パワーレベルは,JIS C 1509規格群に規定する周波数重み付け特性Aで測定した音
圧レベルから算出する。
3.5
高さ10 mの風速を基準とする見かけのA特性音響パワーレベル(apparent sound power level with reference to
wind speed at 10 m height),LWA, 10 m
高さ10 mにおけるビン中心ごとの風速に対応して算出した風車の見かけのA特性音響パワーレベル。
注記 高さ10 mにおける風速を基準とする見かけのA特性音響パワーレベルは,デシベル(dB)で
表す。
3.6
純音性卓越度(tonality),ΔLk
純音成分の音圧レベルとその周波数を中心とする臨界帯域におけるマスキング成分の音圧レベルとの差。
風速ビンごとに表示し,kはビン中心値とする。
注記 純音性卓越度は,デシベル(dB)で表す。
3.7
可聴指標(audibility criterion),La
ある臨界帯域内で純音が聞こえ始める音圧レベル(マスキングしきい値)とマスキングノイズの音圧レ
ベルとの差で,周波数に依存する。正常な聴力をもつ聴者を対象とした実験から求められた。
注記 可聴指標は,基準の音圧20 Paに対するデシベル(dB)で表す。
3.8
純音性可聴度(tonal audibility),ΔLa, k
純音性卓越度と可聴指標との差。風速ビンごとに表示し,kはビン中心値とする。
注記 純音性可聴度は,デシベル(dB)で表す。
3.9
基準距離(reference distance),R0
風車の基部中心から指定した各マイクロホンの位置までの公称水平距離。
注記 基準距離は,メートル(m)で表す。
――――― [JIS C 1400-11 pdf 6] ―――――
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C 1400-11 : 2017 (IEC 61400-11 : 2012)
3.10
傾斜角(inclination angle),φ
測定板の面に対して,マイクロホンとロータ中心とを結ぶ線がなす角度。
注記 傾斜角は,度(°)で表す。
3.11
最大出力(maximum power)
出力を最適化した運転モードにおける,風速ビンごとの出力曲線の最大値。
注記 最大出力は,ワット(W)で表す。
3.12
風速ビン(wind speed bin)
整数又はそれに0.5を加えた値を中心とする風速の区間。幅は0.5 m/sとし,下端値以上,上端値未満の
風速の範囲。
3.13
ビン中心(値)(bin centre)
風速ビンの中心(の値)。
3.14
高さzの風速(measured wind speed at height z),Vz, m
風況観測塔上に設置した風速計によって,高さzの位置で測定される風速。
注記 高さzの風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.15
高さzの基準化風速(normalised wind speed at height z),Vz, n
基準大気条件において,高さzの値に補正した風速。
注記 高さzの基準化風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.16
ナセル風速計によるハブ高さの風速(measured nacelle wind speed at hub height),Vnac, m
ナセル風速計によって測定した,ハブ高さにおける風速。
注記 ナセル風速計によるハブ高さの風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.17
ナセル風速計によるハブ高さの基準化風速(normalised nacelle wind speed at hub height),Vnac, n
ナセル風速計による測定値から推定した,ハブ高さにおける基準化風速。
注記 ナセル風速計によるハブ高さの基準化風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.18
ハブ高さの基準化風速(normalised wind speed at hub height),VH, n
基準大気条件における値に補正したハブ高さの風速。
注記 ハブ高さの基準化風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.19
暗騒音測定時のハブ高さの基準化風速(normalised wind speed at hub height during background noise
measurements),VB, n
暗騒音を測定している間のハブ高さにおける基準化風速。
注記 暗騒音測定時のハブ高さの基準化風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
――――― [JIS C 1400-11 pdf 7] ―――――
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C 1400-11 : 2017 (IEC 61400-11 : 2012)
3.20
高さ10 mの風速(wind speed at 10 m height),V10
高さ10 mの風速を基準とする見かけのA特性音響パワーレベル及びスペクトルの報告に必要な,高さ
10 mにおける風速。
注記 高さ10 mの風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.21
出力曲線による基準化風速(normalised wind speed derived from power curve),VP, n
出力曲線から求める,基準大気条件に基準化された風速。
注記 出力曲線による基準化風速は,メートル/秒(m/s)で表す。
3.22
基準粗度長(reference roughness length),z0ref
風速を基準の気象条件における値に変換するために用いる粗度長。0.05 mとする。
注記 基準粗度長は,メートル(m)で表す。
4 記号及び単位
次に,この規格で用いる記号及び単位を定義する。
D ロータ直径(水平軸)又は赤道直径(垂直軸) (m)
H 風車近傍の地表面からロータ中心までの高さ(水平軸)又はロータ赤道面までの高さ (m)
(垂直軸)
LA又は A特性音圧レベル又はC特性音圧レベル (dB)
LC
LAeq 時間平均A特性音圧レベル (dB)
Lpn, j, kk番目の風速ビンにおいて,j番目の測定時間におけるスペクトルの臨界帯域内のマス (dB)
キング成分の音圧レベル
(dB)
Lpn, avg, j, k k番目の風速ビンにおいて,j番目の測定時間におけるスペクトルのマスキング成分の
解析帯域内の平均音圧レベル
Lpt, j, kk番目の風速ビンにおいて,j番目の測定時間におけるスペクトルの純音成分又は複数 (dB)
の純音成分の音圧レベル
LWA, k 見かけのA特性音響パワーレベル。kは風速ビンの中心値 (dB)
log10 10を底とする対数(常用対数) (−)
Pm 実測電力 (W)
Pn 基準化電力 (W)
R1 ロータ中心から測定点までの直線距離 (m)
R0 基準距離 (m)
S0 基準面積,S0=1(m2) (m2)
TC 大気温度 (℃)
TK 絶対大気温度 (K)
uA タイプA不確かさ (−)
uB タイプB不確かさ (−)
VH ハブ高さHでの風速 (m/s)
――――― [JIS C 1400-11 pdf 8] ―――――
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C 1400-11 : 2017 (IEC 61400-11 : 2012)
VP 出力曲線から求める風速 (m/s)
Vz 高さzでの風速 (m/s)
Vnac ナセル風速計による風速 (m/s)
f 純音の周波数 (Hz)
fc スペクトルの局所最大値の周波数 (Hz)
p 大気圧 (Pa)
z0 粗度長 (m)
z0ref 基準粗度長,z0ref=0.05(m) (m)
z 風速計の測定点高さ (m)
κ 基準化風速と実測風速との比 (−)
k番目の風速ビンにおいて,j番目の測定時間におけるスペクトルの純音性卓越度
ΔLtn, j, k (dB)
φ 傾斜角 (°)
5 方法の概要
この規格は,風車の音響放射の測定,解析及び報告に関する手順を規定する。音響パラメータ及び非音
響パラメータの測定の精度及び一貫性を確保するために,測定器及び校正の要件を明確に規定する。さら
に,風車の騒音放射を決定する要因である大気の条件を表すために必要な非音響パラメータの測定方法に
ついても規定する。測定及び報告するパラメータについて,それらを求めるためのデータ処理法とともに
規定する。
この規格で規定する方法を適用することによって,各風車のハブ高さ及び高さ10 mのビン中心風速に
おける見かけのA特性音響パワーレベル,スペクトル及び純音性可聴度が得られる。純音性可聴度が含ま
れているのは,風車音に純音成分が含まれているかどうかを示すためである。得られた純音性卓越度は,
他の距離における純音性卓越度を示すものではない。指向特性に関する情報を得るために,任意に測定位
置を追加して測定を行ってもよい。
この規格で示す方法は,全ての風速に適用できる。表示される風速範囲は,風車によって異なる。最小
値としては,最大出力の85 %となる風速の0.8倍1.3倍の範囲のハブ高さにおける風速を風速ビン中心
値に丸めた範囲とする。具体的には,高さ10 mの風速で約6 m/s10 m/sとなるが,これは風車の形式に
よって異なる。風速の範囲は,各国で要求される範囲などに拡大してもよい。
測定は,地形の影響,気象条件又は風雑音の影響をできるだけ避けるため,風車に近い位置で行う。測
定対象の風車の大きさを考慮するために,風車の大きさに基づく基準距離R0を用いる。
マイクロホンで生じる風雑音を抑えるとともに地表面の種類の違いによる影響を最小化するために,測
定は地表面に置いた測定板上に取り付けたマイクロホンを用いて行う。
音圧レベル,音圧スペクトル,風速,電力,ロータ回転速度,及びピッチ角(測定される場合)の測定
は短時間で同期させ,かつ,広い範囲のハブ高さにおける風速で行う。ビン中心風速における音圧レベル
及びスペクトルから,見かけのA特性音響パワーレベル及びスペクトルを算出する。
この規格には,次の内容に関する附属書がある。
− 風車の騒音放射に関わるその他の特徴及びその定量化[附属書A(参考)]
− 乱流強度の評価[附属書B(参考)]
− 測定の不確かさの評価[附属書C(参考)]
− 見かけの粗度長[附属書D(参考)]
――――― [JIS C 1400-11 pdf 9] ―――――
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C 1400-11 : 2017 (IEC 61400-11 : 2012)
− 2次ウィンドスクリーンの特性評価[附属書E(参考)]
− 小形風車[附属書F(規定)]
6 測定器
6.1 音響測定器
6.1.1 一般
この規格に規定する音響パラメータの測定には,6.1.26.1.7に規定する次の測定器を用いる。
6.1.2 時間平均A特性音圧レベルの測定に用いる測定器
JIS C 1509規格群のクラス1のサウンドレベルメータ(騒音計)の要件を満たしている測定器を用いる。
マイクロホンの振動膜の直径は,13 mm以下とする。
6.1.3 A特性1/3オクターブバンドスペクトルの分析に用いる測定器
6.1.2のクラス1のサウンドレベルメータの要件に加えて,少なくとも中心周波数が20 Hz10 kHzの1/3
オクターブバンドの周波数範囲に対して周波数特性が一定である測定器を用いる。フィルタは,JIS C 1514
に規定するクラス1フィルタの要件を満たすものを用いる。
中心周波数が20 Hz10 kHzの1/3オクターブバンドの全てにわたって時間平均A特性音圧レベルも同
期して分析できるものを用いる。
6.1.4 狭帯域スペクトルの分析に用いる測定器
20 Hz11 200 Hzの周波数範囲でJIS C 1509規格群のクラス1のサウンドレベルメータの要件を満たし
ている測定器を用いる。
6.1.5 測定板及びウィンドスクリーン付きのマイクロホン
マイクロホンは,図1及び図2に示すように,マイクロホンの振動膜を硬い平板の中心に,平板に直交
させ,マイクロホンの軸を風車に向けて取り付ける。測定板は,直径1.0 m以上の円形で,厚さ12.0 mm
以上の合板又は硬い樹脂合板若しくは厚さ2.5 mm以上の金属板など,音響的に剛な材料を用いる。
例外的に分割した板を用いる場合には,各板は同一平面上にそれぞれの板が同一平面になるように配置
し,隙間は1 mm未満になるように配慮する。さらに,図1 a)に示すように分割線は測定板の中心から外
れ,マイクロホンの軸に平行となるように配慮する。
地表面上に設置するマイクロホンには,主ウィンドスクリーン及び必要に応じて2次ウィンドスクリー
ンを装着する。主ウィンドスクリーンは,図2に示すように,マイクロホンの振動膜を中心とする直径約
90 mmの半球で,通気性をもつ発砲材料で作られたものを用いる。
強風時に低周波数域で十分な信号対雑音比を得る必要がある場合には,2次ウィンドスクリーンを用い
てもよい。
2次ウィンドスクリーンを用いる場合には,その周波数特性への影響を文書化し,それに従って1/3オ
クターブバンドごとに補正する。2次ウィンドスクリーンの校正方法,設計の注意点及び挿入損失に関す
る必要条件は,附属書Eを参照する。
――――― [JIS C 1400-11 pdf 10] ―――――
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- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.180 : 風力タービンエネルギーシステム
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