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C 1400-12-1 : 2010 (IEC 61400-12-1 : 2005)
J.2.4 自由フィールド比較計測
自由フィールド比較計測の場合,カップ形風速計及び風洞校正済みの三次元超音波風速計は,G.2に示
すように(マストの)先端に取り付けられる。ブームに垂直な比較的小さい方位区分における10分間平均
計測値だけを容認する。一定の乱流強度の範囲(例えば,0.040.14)をカバーする十分なデータベースを
収集する。
J.3 風洞及び試験所と自由フィールドとの比較に基づくクラスS1カップ形風速計の評価方法
J.3.1 異なる平均気流角度に対する乱流気流下での角度応答
J.3.1.1 平均気流0°
乱流下の角度応答は,異なる平均流の入射角度に対して計算する。一例として,まず平均水平気流(平
均流の入射角0°)の平たんな地形状態を考える。乱流は,乱流強度によって記載される。
u
TI (J.1)
U
ここに, 痿 水平風速の標準偏差
U : 水平平均風速
乱流中のカップ形風速計の角度応答特性は,乱流の鉛直成分に依存する。風速の鉛直成分の標準偏差は,
水平成分の標準偏差より小さい(等級分類の目的のためには関係式, 0.8 田 いる。)。
気流の角度(下方向からを正とする)の出現確率を異なる乱流強度に対して求める(図J.4参照)。
水平乱流強度の影響
0.40
0.35
TI 15 % ()
0.30 TI 10 % ()
TI 5 % ()
0.25
確 0.20
率
0.15
(−)
0.10
0.05
0.00
0.05 20
15 10 5 0 5 10 15 20
角度 (°)
図J.4−風速の水平及び鉛直成分の標準偏差の比を一定と仮定した鉛直風速成分の分布
次の段階として,図J.4に与えられている確率に,角度特性と図J.5の理想コサイン分布との差を,すべ
ての角度に対して乗じる[図J.5 a) 参照]。こうすると特定の乱流強度に対する等級分類した風速計と,
理想風速計の偏差の代表値が得られる(例えば,図J.4でTI=0.15に対して0.8 %)。この偏差をTI=0.2
までの全乱流強度範囲についてプロットする[図J.5 b) 参照]。
――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 76] ―――――
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実測及び理想応答間の差と確率
0.25
0.23
0.20 差 ()
応 0.18 確率 ()
答
差 0.15
(−)0.13
0.10
応 0.08
答
確 0.05
率 0.03
(−)
0.00
0.03
0.05 30
25 20 15 10 5 0 5 10 15 20 25 30
角度 (°)
a)
コサイン応答率 (−)
1.001
1.000
0.999
コサイン応答率 (−)
0.998
0.997
0.996
0.995
0.994
0.993
0.992
0.991
0.990
0.989
0 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
水平乱流強度 (%)
b)
図J.5−コサイン応答に関する全偏差の計算
J.3.1.2 平均気流−20°+20°
複雑な地形において平均流が0°と異なる場合,気流入射角度の確率は,図J.6に示すように平均流の入
射角度で最大値をもつ。
――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 77] ―――――
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平均流の影響
0.14
懿
Alpha−5°
5 (degrees)
0.12 0°
懿 0 (degrees)
Alpha
懿
Alpha 10°
10(degrees)
0.10
0.08
確
率 0.06
(−)
0.04
0.02
0.00
0.02
30 25 20 15 10 5 0 5 10 15 20 25 30
角度 (°)
図J.6−流入気流の三つの異なる平均(入射)角度に対する確率分布
−20°と+20°(5°ステップで)との間の平均流の入射角度及び鉛直風速の変化する乱流強度変動に対
して,風速計の応答を計算する。また,理想のコサイン応答からの偏差を報告する(図J.7参照)。
一定乱流強度に対する平均流の入射角度の影響
一定乱流強度に対する平均流の入射角の影響
1.005
コサイン応答率 (), 0 degrees
0°
degrees
コサイン応答率 (), 10
−10°
1.000 degrees
コサイン応答率 (), +10
+10°
0.995
0.990
0.985
0.980
0.975
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
乱流強度 (%)
図J.7−流入気流の三つの異なる平均角度に対してコサイン応答からの
全偏差と水平乱流強度との関係
これらの結果から,風速計がクラス1の風速計である平均流の入射角度及び乱流強度の範囲を決定する
ことができる。この範囲内で,等級分類したカップ形風速計の理想のコサイン応答からの偏差は1 %未満
である。
――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 78] ―――――
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J.3.2 非定常気流条件による動力学的効果
カップ形風速計の角度特性によって引き起こされる非定常気流条件による上記の効果に加えて,風速計
によっては,空気力学的オーバスピード効果としばしば呼ばれる一種の動力学的効果をもつ傾向がある。
この効果は,フィールド試験によってクラス分けする。
30 mの高さのフィールド比較を行う。等級分類対象のカップ形風速計は,校正済みの超音波風速計と比
較する。(カップ形風速計と超音波風速計との間の差の傾きとして表現される)乱流強度に関係したオーバ
スピード効果を計測し,報告する(図J.8参照)。
1.05
カ 散布データ
ッ ビン平均化
プ 1.04
形
風
速 1.03
計
と
1.02
超
音
波 1.01
風
速
計 1.00
と
の
測 0.99
定
値
の 0.98
比
率
0.97
0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14
シグマWと超音波風速計との測定値の比率
図J.8−傾斜基準を満たさない風速計の例
クラス1風速計は,乱流強度範囲0.2(20 %)に対して,傾きは0.05を下回る(1 %未満のオーバスピー
ド効果に対応)。
J.3.3 ベアリングの摩擦
風洞による風速計の校正は,しばしば屋内の雰囲気温度で行われるが,一方,風速計は,広範囲の温度
において運転される。そのような温度変化における風速計の出力の偏差を調査する。クラス1の風速計は,
運転される温度範囲内で1 %以上偏差しない。
上記の手続きに対応する偏差は正負両方の値をとり得るが,クラス1の風速計においては,出力曲線計
測の運転影響パラメータ範囲内における全偏差は1 %以内である。
J.4 風洞及び試験所試験並びにカップ形風速計モデリングに基づく評価方法
J.4.1 方法の記載
この方法は,すべての影響パラメータ範囲に対する応答を決めるために,風洞及び試験所におけるカッ
プ形風速計の基本特性の計測並びにカップ形風速計モデル及び人工的な風データによるシミュレーション
――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 79] ―――――
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に基づいている。
J.4.2 カップ形風速計モデリング
カップ形風速計の実測基本性能(通常の認定校正,角度特性,トルク係数対速度比及び摩擦)と,多少
の物理特性(ロータ慣性,一つのカップの面積及びカップの中心までの半径)を使えば,いかなる入力風
に対する応答も,全基本特性に適合した適切なカップ形風速計モデルによって導出することができる。
カップ形風速計の応答は,駆動トルク微分方程式から計算できる。ここに,ロータトルクは,空力トル
クと摩擦トルクとの和である。
d
I QA Qf (J.2)
dt
空力トルクQAは,次の気流入射角及びスカラ量をもつ瞬間風速ベクトルU (u,v,w) の関数である。
w
= arctan , U = u2+v2+w2 (J.3)
u2+v2
等価水平風速は,角度特性に気流入射角及び風速ベクトルのスカラ量を適用することによって得ること
ができる。
Ueq=F ,U (J.4)
空力トルクは,式(J.5)で表現できる。
1 2
Q=
A ARUeq CQA (J.5)
2
ここに, 大気密度
A : 一つのカップのカップ面積
R : カップまでの半径
Ueq : 等価水平風速
Ut : 風速のしきい値(摩擦の影響を差し引いたとき,校正オ
フセットの残りとして計算される。摩擦がゼロの場合,
風速のしきい値は校正オフセットに等しい。)
CQA : 一般化された空力ロータトルク係数
一般化された空力ロータトルク係数は,風洞トルク計測から導かれる。この場合のUeqは,風洞風速に
等しい。
QA
CQA=CQA (J.6)
1ARU 2
eq
2
一般化された空力ロータトルク係数は,速度比の関数である。
R
(J.7)
Ueq Ut
摩擦トルクは,摩擦計測から得られるように温度と角速度との関数である。
Q=
f Qf T, (J.8)
J.4.3 影響パラメータ範囲の変化及び等級の決定
影響パラメータ範囲は,人工的な三次元風を発生する乱流モデルを用いて変動させることができる。カ
ップ形風速計モデルをそのような人工風に10分間さらせば,カップ形風速計の応答が導かれる。同一の風
データの風速の定義に対して導出する実際の値との偏差を全影響パラメータ範囲に対して決定すれば,そ
――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 80] ―――――
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- IEC 61400-12-1:2005(IDT)
JIS C 1400-12-1:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.180 : 風力タービンエネルギーシステム
JIS C 1400-12-1:2010の関連規格と引用規格一覧
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