JIS C 1400-12-1:2010 風車―第12-1部:発電用風車の性能試験方法 | ページ 2

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C 1400-12-1 : 2010 (IEC 61400-12-1 : 2005)

1 適用範囲

  この規格は,単一の風車の出力性能特性を計測する手順を規定し,かつ,電力系統に接続されるすべて
の形式及び規模の風車の試験に適用する。さらに,この規格は電力系統又はバッテリバンクのいずれかに
接続される場合の小形風車(JIS C 1400-2:2010で規定されている。)の出力性能特性を決定するのに用い
られる手順を記載する。
この手順は,特定場所の特定風車の性能評価に用いることが可能であるが,同様にその方法論は,異な
る風車モデル間又は異なる風車設定の間の一般的な比較をするのに用いることも可能である。
風車出力性能特性は,計測される出力曲線及び推定年間発電量(AEP)によって決定する。実測出力曲
線は,試験サイトにおいて一定の風速域及び変化する風及び大気条件のもとで統計的に有意なデータベー
スを作成するために十分な期間にわたり風速及び出力の同時計測を行うことによって得られる。AEPは,
100 %の利用可能率を仮定し,実測出力曲線を基準風速頻度分布に適用することによって計算する。
この規格は,実測出力曲線及びそれから得られる年間発電量を,各種の不確かさの発生源及びそれらの
合計の効果の評価によって補足する試験方法を規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 61400-12-1:2005,Wind turbines−Part 12-1: Power performance measurements of electricity
producing wind turbines(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS C 1111:2006 交流入力トランスデューサ
注記 対応国際規格 : IEC 60688:1992,Electrical measuring transducers for converting a.c. electrical
quantities to analogue or digital signals並びにAmendment 1:1997及びAmendment 2:2001(MOD)
JIS C 1400-2:2010 風車−第2部 : 小形風車の設計要件
注記 対応国際規格 : IEC 61400-2,Wind turbines−Part 2: Design requirements for small wind turbines
(IDT)
JIS C 1731-1:1998 計器用変成器−(標準用及び一般計測用)第1部 : 変流器
注記 対応国際規格 : IEC 60044-1:1996,Instrument transformers−Part 1: Current transformers並びに
Amendment 1:2000及びAmendment 2:2002 1)(MOD)
JIS C 1731-2:1998 計器用変成器−(標準用及び一般計測用)第2部 : 計器用変圧器
注記 対応国際規格 : IEC 60044-2:1997,Instrument transformers−Part 2: Inductive voltage transformers
(MOD)
JIS W 0201:1990 標準大気
注記 対応国際規格 : ISO 2533:1975,Standard atmosphere(IDT)
IEC 60044-5:2004,Instrument transformers−Part 5: Capacitor voltage transformers
ISO/IEC Guide 98-3:2008,Uncertainty of measurement−Part 3: Guide to the expression of uncertainty in
measurement (GUM:1995)
注1) dition 1並びにそのAmendment 1及び2を含んだ統合版のEdition 1.2:2003が存在する。

――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 6] ―――――

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C 1400-12-1 : 2010 (IEC 61400-12-1 : 2005)

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
精度(accuracy)
計測結果と計測対象の真値との間の一致の度合い。
3.2
年間発電量(annual energy production)
風車の1年間の発電量推定値。この推定値は,実測した出力曲線とハブ高さとにおける基準風速出現頻
度分布をもとに,100 %の利用可能率を仮定して計算する。
3.3
複雑な地形(complex terrain)
地形が変化に富み又は障害物が存在し,それらによって風がゆがめられやすい試験サイト周囲の地形形
状。
3.4
データセット(data set)
ある期間に連続的に採取されたデータの集合。
3.5
距離定数(distance constant)
風速のステップ入力に対して,最終値の63 %を指示するのに必要な大気の移動長さとして定義される風
速計の応答時間の指標。
3.6
外挿出力曲線(extrapolated power curve)
実測された出力曲線を,実測された風速の最大値からカットアウト風速までの出力を外挿して得られる
出力曲線。
3.7
気流のゆが(歪)み(flow distortion)
障害物,地形変化,ほかの風車などに起因する気流の変化。計測される風速は自由気流風速から偏り,
有意の不確かさを伴う。
3.8
(風車の)ハブ高さ[hub height(wind turbines)]
タワーに取付けされた風車の受風面積中心の地上高さ。
注記 垂直軸風車の場合には,赤道面の高さ。
3.9
実測出力曲線(measured power curve)
正式な計測手続きによって計測し,補正し,そして正規化された風車の正味出力を計測風速の関数とし
て表示した表及びグラフ。
3.10
計測期間(measurement period)
統計的に意味があるデータベースを収録するのに必要な性能試験の期間。

――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 7] ―――――

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3.11
計測方位区分(measurement sector)
実測出力曲線に用いるデータを分離選択する風向の方位区分。
3.12
ビンの方法(method of bins)
風速の区間(ビン)ごとに試験データを分類するデータ処理方法。
注記 ビンごとにデータセット又はサンプル数及び総和を記録し,平均値を計算する。
3.13
正味有効電力(net active electric power)
電力系統に送電される,風車の電力の測定値。
3.14
障害物(obstacles)
建物及び樹木のように風を遮へい(蔽)し,気流にゆがみを発生させる物体。
3.15
ピッチ角(pitch angle)
ブレードがある半径方向位置(通常は,ブレード半径の100 %位置)における,翼弦とロータ回転面と
のなす角度。
3.16
出力係数(power coefficient)
ロータ受風面積を単位時間に通過する自由気流から採取可能な動力に対する風車の正味出力の割合。
3.17
出力性能(power performance)
風車の電力又はエネルギーを生み出す能力を表す尺度。
3.18
定格出力(rated power)
通常,製造業者によって指定される構成部品,装置及び設備を仕様条件下で運転した場合に得られる出
力の値。
注記 通常運転条件下で風車が供給するよう設計された最大連続出力。
3.19
標準不確かさ(standard uncertainty)
標準偏差で表した計測結果の不確かさ。
3.20
受風面積(swept area)
水平軸風車の場合,ロータ軸に直角な面への回転ロータの投影面積。ティータリングロータの場合,ロ
ータは低速シャフトに直角のままであると仮定する。垂直軸風車の場合は,垂直面への回転ロータの投影
面積。
3.21
試験サイト(test site)
試験対象の風車及びその周辺を含む場所。

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C 1400-12-1 : 2010 (IEC 61400-12-1 : 2005)
3.22
計測の不確かさ(uncertainty in measurement)
計測の結果に付随した,合理的に計測量に結び付けられ得る値のばらつきを特徴付けるパラメータ。

4 記号及び単位

  A          風車ロータの受風面積                                                (m2)
AEP 年間発電量 (Wh)
B 気圧 (Pa)
B10 min 10分間平均計測大気圧 (Pa)
c パラメータに関する感度係数(偏微分)
cB,i ビンiにおける気圧の感度係数 (W/Pa)
cd,i ビンiにおけるデータ取得システムの感度係数
ck,i ビンiにおける要素kの感度係数
cm,i ビンiにおける大気密度補正の感度係数 (Wm3/kg)
cT,i ビンiにおける気温の感度係数 (W/K)
cV,i ビンiにおける風速の感度係数 (Ws/m)
Ch ピトー管圧力係数
CP,i ビンiにおける出力係数
CQA 一般化した空力トルク係数
CT スラスト係数
d マストの直径 (m)
D ロータ直径 (m)
De 等価ロータ直径 (m)
Dn 隣接した運転中の風車のロータ直径 (m)
fi ある風速間隔における風速の相対発生回数
F (V) 風速のレイリー累積確率分布関数
h 障害物の高さ−零面変位 (m)
H 風車のハブ高さ (m)
I カップ形風速計ロータの慣性 (kgm2)
k クラス番号
kb 閉そく(塞)補正係数
kc 風洞校正係数
kf ほかの風洞に対する風洞補正係数(不確かさ評価にだけ用いる。)
kρ 密度に関する湿度補正
KB,t 気圧計の感度
KB,s 気圧計の表示値
KB,d 気圧サンプリング
KT,t 温度トランスデューサ
KT,s 温度トランスデューサ表示値
KT,d 温度トランスデューササンプリング

――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 9] ―――――

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C 1400-12-1 : 2010 (IEC 61400-12-1 : 2005)
Kp,t 圧力トランスデューサ感度
Kp,s 圧力トランスデューサ表示値
Kp,d 圧力トランスデューササンプリング変換
L 三脚マストの脚間距離 (m)
L 風車と気象観測マストとの間の距離 (m)
Le 風車又は気象観測マストと障害物との間の距離 (m)
Ln 風車又は気象観測マストと隣接運転風車との距離 (m)
lh 障害物の高さ (m)
lw 障害物の幅 (m)
M 各ビンにおける不確かさ要素の数
MA カテゴリA不確かさ要素の数
MB カテゴリB不確かさ要素の数
N ビン数
Nh 1年間の時間数=8 760 (h)
Ni 風速ビンiにおける10分間データセット数
Nj 風向ビンjにおける10分間データセット数
n サンプリング間隔内のサンプル数
n 風速鉛直分布のべき指数
P0 障害物の透過率(0 : 固体,1 : 障害物なし)
Pi ビンiにおける正規化平均出力 (W)
Pn 正規化出力 (W)
Pn,i, j ビンiにおけるデータセットjの正規化平均出力 (W)
P10 min 10分間平均実測出力 (W)
Pw 蒸気圧 (Pa)
QA 空力トルク (Nm)
Qf 摩擦トルク (Nm)
r 相関係数
R マスト中心までの距離 (m)
R0 乾燥大気の気体定数(287.05) [J/(kgK)]
Rw 水蒸気の気体定数(461.5) [J/(kgK)]
s カテゴリAの不確かさ要素
sA 風洞風速時系列のカテゴリAの標準不確かさ
sk,i ビンiにおける要素kのカテゴリA標準不確かさ
si ビンiにおけるカテゴリAの合成不確かさ
sP,i ビンiにおける出力のカテゴリA標準不確かさ (W)
sw,i ビンiにおける気候変動のカテゴリA標準不確かさ
s 愀 j ビンjにおける風速比のカテゴリB標準不確かさ
t マストのソリディティ
t 時間 (s)
T 絶対温度 (K)

――――― [JIS C 1400-12-1 pdf 10] ―――――

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JIS C 1400-12-1:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61400-12-1:2005(IDT)

JIS C 1400-12-1:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1400-12-1:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称