JIS C 1513-2:2021 電気音響―オクターブバンド及び1/Nオクターブバンドフィルタ(分析器)―第2部:型式評価試験 | ページ 4

           14
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
附属書A
(参考)
正弦波掃引試験に関する不確かさ
A.1 一般事項
A.1.1 時不変フィルタの場合,実効帯域幅偏差の測定には,指数関数的な速度で周波数が増加する一定振
幅の正弦波を用いることが可能である。測定出力レベル値の不確かさは,試験信号における振幅の不確か
さと信号の掃引速度の不確かさとに依存することになる。この附属書は,試験信号の不確かさをどのよう
に求めるかを示す。
A.1.2 掃引開始周波数fstartから掃引終了周波数fendまでの一定振幅の正弦波による指数掃引に近似を仮定
する場合,測定した出力信号レベルの不確かさの算出に,JIS C 1513-1:2020の式(17)を用いる。また,次
の記号を用いる。
− u : 入力レベルLin(振幅)の標準不確かさ
Lin
− uTsweep : 掃引開始周波数fstartから掃引終了周波数fendまでの掃引の経過時間Tsweep(時間)の標準不確か

− u : 平均化時間Tavg(時間)の標準不確かさ
Tavg
− u : 掃引終了周波数fend(周波数)の標準不確かさ
fend
− ufstart : 掃引開始周波数fstart(周波数)の標準不確かさ
掃引が指数掃引にどれだけ近いかを表す不確かさ,信号における周波数,形状又はひずみに関する不確
かさ及び値の調節,並びに読み取りに関する不確かさなどの追加の不確かさを適用することが可能である。
A.1.3 出力レベルLcの標準不確かさと上記で定義した標準不確かさとの関係は,JIS C 1513-1:2020の式
(17)を参照することで求める。
1
2 2 2 2 2 2
Lc Lc Lc Lc Lc
uLc uLin 2 uTsweep 2 uTavg 2 ufend 2 uf start 2
(A.1)
Lin Tsweep Tavg fend fstart
式(A.1)は,次の式(A.2)のように単純化することが可能である。
1
2
2 2 2 2 2 2
2 10 uTsweep 10 uTavg 10 ufend ufstart
uLc uLin (A.2)
ln(10) Tsweep ln(10) Tavg fend fend fstart
ln ln(10)
fstart
A.2 ディジタル発生掃引信号
A.2.1 掃引信号は,一定の標本化周波数をもつディジタル信号として生成することが可能であって,信号
の各々のサンプル値は,既知の不確かさをもつ数学的演算によって求めてもよい。ディジタル信号は,デ
ィジタル−アナログ変換システムによって変換し,必要とするアナログ試験信号を生成する。試験信号の
不確かさは,数学的に生成したディジタル信号の不確かさ,標本化周波数の不確かさ,及びディジタル−

――――― [JIS C 1513-2 pdf 16] ―――――

                                                                                            15
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
アナログ変換システムにおける不確かさを含む。
A.2.2 システムの標本化周波数は,既知の一定周波数で数学的に生成する信号を再生し,周波数カウンタ
による周波数測定によって検証する。掃引速度の不確かさは,主に,数学的に生成した掃引の精度及び標
本化周波数の不確かさによって求める。
A.2.3 ディジタル−アナログ変換システムにおける振幅の不確かさは,一定周波数及び既知振幅による数
学的に生成した信号を用いて測定してもよい。この場合は,その信号レベルは電圧計によって測定するこ
とが可能である。振幅の不確かさは,要求される掃引に高い精度が必要な全ての周波数で試験することが
望ましい。これは,通常,試験するフィルタセットにおける下限帯域端周波数から上限帯域端周波数まで
の合成周波数範囲を網羅する。掃引速度rは,式(A.3)によって求める。
1 lnfend
rT (A.3)
sweep fstart
サンプル番号nは,0から“fs×Tsweep”に最も近い整数までの整数列である。実効値1.0をもつディジタ
ル掃引信号snは,nをサンプル番号,fsを標本化周波数とする場合,式(A.4)によって求める。
2π r
sn 2sin fstartexp n 1 (A.4)
r fs
A.3 信号発生器からの試験信号
A.3.1 信号発生器は,指数関数的速度で増加する周波数において一定振幅の正弦波信号を発生することが
可能である。ただし,信号発生器の中には,未知の不確かさの掃引速度で送出するものがある。信号発生
器の製造業者から十分な情報が得られる場合,A.1に示す不確かさの計算を適用することが可能である。
このような情報が入手不可能な場合,又は情報が適切でない場合,掃引速度及びレベルの不確かさを測定
しなければならない。
A.3.2 信号発生器からの試験信号は,信号が測定において既知の不確かさをもつアナログ−ディジタル変
換システムによって既知の標本化周波数でサンプリングするシステムによって測定してもよい。記録した
信号の信号解析によって,掃引信号の時々刻々のレベル及び周波数を得ることによって,掃引速度を求め
ることが可能である。詳細については,参考文献[1]を参照。
A.3.3 信号発生器の中には,掃引が開始される直前に終了周波数を送出するものがある。これは,好まし
くない過渡現象を生み出すため,そのような信号発生器は,この試験に適しているとはみなさない。
A.3.4 信号発生器の中には,掃引が終了し,周波数が開始周波数に戻る前に,規定の時間だけ終了周波数
に停止するものがある。これは,開始周波数への復帰が測定を乱すことを防止するのに非常に都合がよい。
A.3.5 次の例では,試験信号の不確かさを,式(A.2)のように計算してもよい。入力信号は,0.03 dBの不
確かさで測定し,分解能0.1 dBの表示装置の読み取りに整える。このとき,式(A.5)のように計算する。
2
0.1 2
uLin (0.03) 0.042 (A.5)
23
次の値及び不確かさを仮定する。

――――― [JIS C 1513-2 pdf 17] ―――――

           16
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
Tsweep=20 s uTsweep=0.05 s
Tavg=20 s u=0.02
Tavg s
fend=50 000 Hz u=5
fend Hz
fstart=0.5 Hz ufstart=0.05 Hz
この場合,“uLc 0.057 dB”すなわち,試験信号の95 %の包含確率で規定する測定の不確かさ0.115 dB
が求まる。
分解能0.1 dBの表示器に結果が表示されている場合は,分解能による不確かさを追加する必要がある。
表示値の95 %の包含確率で規定する測定の不確かさは,0.128 dBとなる。指数掃引の概算及び繰返し性を
考慮するために,幾つかの不確かさを追加することが可能である。
A.4 測定の比較
時不変フィルタの場合,実効帯域幅偏差は,この附属書で説明した指数掃引法及び7.2.3で規定した周波
数ごとの測定の二つの方法によって測定してもよい。結果から求めた実効帯域幅偏差は,測定の不確かさ
内で一致することが望ましい。

――――― [JIS C 1513-2 pdf 18] ―――――

                                                                                            17
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
附属書B
(参考)
指数掃引を用いた時不変動作の試験例
B.1 一般
この附属書では,指数掃引を用いた時不変動作の検証方法の例を示す。
この試験は,周波数範囲が6.3 Hz20 kHzの1/3オクターブバンドフィルタに適用する。
フィルタは,積分平均サウンドレベルメータに含まれており,サウンドレベルメータの表示装置は,平
均出力レベルを読み取るために用いる。
B.2 試験例
B.2.1 試験では,性能が検証された信号発生器の試験信号を用いる。信号発生器の出力を,フィルタの入
力端子に結合する。信号発生器の出力を,1 kHzで1 Vの出力となるよう設定する。サウンドレベルメー
タのフィルタを,基準レベルレンジに設定する。サウンドレベルメータの感度を,製造業者が推奨する入
力レベルに対して120 dBと仮定して,指示値を調整する。そのとき,サウンドレベルメータは,1 μVを
基準とした信号レベルをdB(デシベル)で表示する。基準レベルレンジの上限を130 dBと仮定する。掃
引は,上限より3 dB小さいレベル,つまり127 dB(1 μVを基準とした場合)で行う。
B.2.2 信号発生器を,127 dBに対応する振幅で,0.01 Hz1 MHzを掃引するように設定する。これは,8
dec(ディケード)の掃引範囲に相当する。必要な掃引速度は,1 dec当たり2 s5 sとする。掃引時間を30
sに設定する場合,1 dec当たり3.75 sとなる。信号発生器の掃引は手動で開始してもよい。掃引を開始す
る前に,信号発生器は開始周波数として選択した周波数の信号を出力する。掃引を終了したときは,周波
数は直ちに開始周波数に戻される。周波数が戻るときの過渡状態が平均化時間の一部に含まれている場合
に,測定偏差を引き起こす可能性がある。
注記 dec(ディケード)とは,10倍の周波数比を表す単位である。
B.2.3 信号発生器の掃引時間及びサウンドレベルメータの平均時間を共に30 sに設定する。サウンドレ
ベルメータの積分平均を開始した約0.5 s1.5 s後に,掃引を開始する。したがって,掃引が終了する前に,
サウンドレベルメータの平均は終了する。平均が終了したとき,掃引周波数は398 kHz736 kHzにある可
能性があるが,これは最も高い中心周波数をもつフィルタの上端周波数22.39 kHzよりも十分に高く,55
dB以上減衰している周波数となる。掃引周波数が開始周波数に戻るときの過渡現象は,この設定において
は,平均時間に含まれない。
B.2.4 期待される出力レベルLc(dB)は,JIS C 1513-1:2020の式(17)によって求める。
Tsweeplg( f2 / f1 )
Lc Lin Aref10lg (B.1)
Tavglg( fend / fstart )
ここで, Lin : 127 dB(基準1 μV)
Aref : 0 dB
掃引時間と平均化時間との比は,式(B.2)に示す。

――――― [JIS C 1513-2 pdf 19] ―――――

           18
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
Tsweep30s
1 (B.2)
Tavg 30s
フィルタの上端周波数と下端周波数との比は,1/3オクターブフィルタの場合,式(B.3)に示す。
0.05
f2 10
0.05
1.2589 (B.3)
f1 10
掃引の終了周波数と開始周波数との比は,式(B.4)に示す。
fend 1MHz 8
10 (B.4)
fstart0.01Hz
Lcは,式(B.5)によって求める。
Lc=127−19.03=107.97(dB) (B.5)
B.2.5 B.2.4で求めた,測定した出力レベルとLcとの差は,時不変動作の試験の偏差とみなし,フィルタ
の時不変動作の要求事項として定めたJIS C 1513-1:2020の5.14に規定する受容限度値を超えてはならな
い。
B.2.6 最も低い中心周波数をもつ1/3オクターブバンドフィルタは,最も長いインパルス応答をもつ可能
性がある。掃引周波数が最も低い中心周波数6.3 Hzの場合,平均時間は,18 s20 sで終了する。通常,
このフィルタのインパルス応答の尾部(テール)は,平均が終了したときには非常に小さくなる。小さく
ない場合には,試験方法を変更する必要がある。
参考文献
[1] BORK, I., Exponential sweep check using Hilbert-Transform, Acta Acustica united with Acustica, 2014, vol.
100, p. 659-666.

JIS C 1513-2:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61260-2:2016(IDT)
  • IEC 61260-2:2016/AMENDMENT 1:2017(IDT)

JIS C 1513-2:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 1513-2:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称