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C 2139-3-1 : 2018 (IEC 62631-3-1 : 2016)
5.3.2 ガード
測定回路に用いる絶縁材料の特性は,良くても,供試材料と同等程度である。このような状況の下で,
絶縁材料の試験片を測定するときに生じる誤差要因は,次のとおりである。
− 所定の印加電圧以外の外部からの電圧に起因する漂遊電流。この電圧は,通常その大きさが定まらず,
また,常に生じるとも限らない。
− 試験片の抵抗,標準抵抗又は電流測定装置の絶縁物にそれぞれ並列に,これらに用いられている絶縁
物によって形成される不要な電流経路。これらの電流経路の抵抗も値が定まらず,しばしば変動する。
− 表面抵抗。その値は体積抵抗よりも一桁以上低い場合がある。
測定回路を構成する全ての部品に用いる絶縁材料の絶縁抵抗をできるだけ高くすることによって,上記
の誤差要因はおおよそ無視できる程度となる。ただし,このような場合には,しばしば測定装置の取扱い
が難しくなり,絶縁抵抗が数100 MΩ(108 Ω)を超える試験片を測定する場合には適切ではない。漂遊電
流の影響をほぼ完全に取り除くには,ガードの技術を用いることが有効である。
注記1 試験片の絶縁抵抗が大きい場合には,その値とリード線の静電容量との積で決まる時定数が
大きいので,電圧印加時の過渡電流が定常電流になるまで長い時間を要し,測定が困難にな
る(附属書JA参照)。
ガードは,漂遊電流を生じるおそれのある絶縁材料を用いた全ての測定回路の部品にガード導体を装着
することによって行う。これらのガード導体は,誤差の原因となる全ての漂遊電流を取り込み,大地に流
して捨てる。多数のガード導体の全てを電気的に接続してガードシステムを構成し,一対の測定端子と併
せて3端子回路網を形成する。適切な回路接続を行った場合には,所定の印加電圧以外の外部からの電圧
に起因する漂遊電流を,ガードシステムによって測定回路から排除することができる。すなわち,ガード
を施した回路要素(試験片,標準抵抗など)よりも,測定端子とガードシステムとの間の絶縁抵抗(ガー
ド導体上に設置した測定用電極の支持絶縁物の絶縁抵抗など)がはるかに低い場合でも,漂遊電流は測定
回路からガード導体に分流する。その結果として,試験片の抵抗だけが測定端子間の唯一の電流経路とな
る。このようなガードの技術によって,測定誤差を生じる可能性は著しく減少する。体積抵抗の測定に用
いるガード付き電極の基本的な回路を図1に示す。
図1−ガード付き電極の基本的な測定回路
注記2 図1で,下側中央の円板電極を主電極,それを囲む環状の電極をガード電極,上側の円板電
極を対向電極と呼ぶ。
注記3 ここに記載のガードシステムは,“受動ガード”と呼ばれている。ガード導体は通常接地され
ているので,漂遊電流を測定装置を通ることなく大地に“捨てる”ための回路システムであ
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る。
注記4 演算増幅器を容易に入手できる現在,広く用いられている“能動ガード”について,附属書
JAに示す。
注記5 試験片の寸法は,5.5に示す。
ガード導体とガードされた端子との間に存在する電気化学的(電池作用による)起電力,熱的(熱起電
力)によって生じる電圧などは,これらがあまり大きくなければ,適切な補償によって対処することがで
きる。測定時には,このような電圧に注意して,誤差を生じないように注意する。
電流測定における誤差は,ガードされている側の端子とガードシステムとの間の抵抗が電流測定装置の
入力端子間に並列に接続され,測定装置に流れるはずの電流の一部が分流されることによって生じる。測
定装置の動作が満足できるものであることを確認するために,まず電源電圧から試験片までのリード線を
接続しない状態で測定するとよい。このとき,測定装置がその測定感度内で無限大の抵抗値を指示すれば,
ガードシステムが適切に機能していると判断することができる。抵抗値が既知の適切な標準抵抗が入手で
きれば,測定装置の動作を確認するために用いてもよい。
5.3.3 電極材料
5.3.3.1 一般的事項
絶縁材料に用いる電極は,容易に用いることができ,試験片の表面に密着しやすく,電極の抵抗又は試
験片の汚染物による明らかな誤差を生じることがない材料であることが望ましい。電極材料は,試験時の
雰囲気条件の下で耐食性があるものが望ましい。電極は,規定する形状及び寸法の適切な裏打ち板ととも
に用いる。異なる2種類の電極材料又は2種類の電極形成の方法を試験的に用いて,明らかな誤差が生じ
るかどうかを調べることは有益である。使用可能な代表的な電極材料を,5.3.3.25.3.3.7に示す。
5.3.3.2 導電性銀ペイント
市販されている自然乾燥用又は低温焼付け用の高導電性銀ペイントは,いずれも十分に多孔質で,塗膜
を通して水分が拡散できるので,電極形成後に試験片の状態調節ができる。これは,温度依存性と同様に
抵抗の湿度に対する依存性を調べる場合に,特に有用な特性である。
導電性銀ペイントを電極材料に用いる前に,ペイントの溶剤が試験片の電気的諸特性に影響を及ぼさな
いことを確認しておくことが望ましい。細い毛の筆を用いると,電極の端部を適切かつ滑らかに仕上げる
ことができる。円形の電極の場合は,より明瞭な輪郭に仕上げるために,電極の円周をコンパスを用いて
描き,その円の中を筆で塗るとよい。電極形成用のペイントを吹き付けて塗布する場合には,適切なマス
クをクランプで試験片表面に密着させて用いるとよい。
5.3.3.3 蒸着金属又はスパッタ金属
蒸着金属又はスパッタ金属を用いてもよい。ただし,試験する材料がイオンによる衝撃,熱ストレス又
は真空処理によって影響を受けないことを確認する必要がある。
5.3.3.4 液体電極
電極として導電性の液体を用いたとき,良い結果を得られる場合がある。液体電極の構成を,図2に示
す。
上側の電極となる液体(測定電極及びガード電極)は,いずれも例えばステンレススチールのリングで
囲む。それらのリングの下側の縁は,それぞれ断面がナイフエッジとなるように加工する。水銀を用いる
ことはできないが,導電性の液体として,ガリウム,インジウム及びすず(錫)の合金に室温で液体とな
るものがあり,用いることができる。
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図2−液体電極
5.3.3.5 コロイド状黒鉛
水又は他の適切な媒体に分散したコロイド状の黒鉛は,5.3.3.2(導電性銀ペイント)と同じ条件で用い
てもよい。
5.3.3.6 導電性ゴム
電極材料として,導電性ゴムを用いてもよい。導電性ゴムの電極は,試験片への取付け及び取外しが素
早く容易にできる利点がある。この電極は測定をするときだけ取り付けるため,試験片の状態調節を妨げ
ない。導電性ゴムの抵抗分は,1 000 Ω未満とする。
導電性ゴムの材料は,適度な圧力,例えば,2 kPa(0.2 N/cm2)を加えたとき試験片と確実に接触するよ
うに,十分柔らかいものを用いる。JIS K 7215によるショアA硬度で,6585のものが適切である。
注記1 導電性ゴムの電極を用いて得た抵抗値の測定結果は,金属電極を用いて得られた測定結果よ
りも常に数10 %数100 %大きい。
注記2 導電性ゴムの抵抗分は,主電極及び対向電極を短絡(直接密着又は金属板を挟む。)して,両
電極間の抵抗を測定することによって得られる。
注記3 ゴム,エラストマなど,弾性のある材料の固さの単位として,デュロメータ硬さが適切であ
る。試験方法としては,JIS K 6253-3:2012[加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第
3部 : デュロメータ硬さ(対応国際規格ISO 7619-1:2010)]が適切である。
5.3.3.7 金属はく
体積抵抗測定用の電極として,金属はくを試験片表面に貼り付けて用いてもよい。通常,アルミニウム
及びすず(錫)のはくを用いる。これらの金属はくに,小量のワセリン,シリコーングリース,油又は他
の適切な材料を粘着剤として,できるだけ薄く塗って試験片に貼り付ける。
いずれの粘着剤も測定結果に影響を与える可能性があるため,使用量は最小限にとどめることが望まし
い。
注記 導電性粘着剤としては,次の組成(質量部)で調合して得られるゼリー状物質が適している。
− 分子量600の無水ポリエチレングリコール : 800部
− 水 : 200部
− 軟石けん(薬用) : 1部
− 塩化カリウム : 10部
軟石けんは,腐食性のない薬用中性石けんとする。
電極は,できるだけしわができないように,滑らかに圧力を加えて貼り付ける。例えば,指先でこする
のも良い方法である。はく電極の端の方に押し出された余分な粘着剤は,清浄で柔らかいティシュペーパ
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ーなどで拭き取る。この方法は,表面が十分に滑らかな試験片の場合だけ用いてもよい。十分に注意を払
って作業すれば,この方法で粘着剤の層を0.002 5 mm(2.5 μm)以下まで薄くすることができる。
5.4 校正
測定装置は,既知の体積抵抗の値によって校正する。
注記 100 TΩ(1014 Ω)までの校正用標準抵抗が市販されている。
5.5 試験片
5.5.1 一般的事項
測定に用いる試験片は,その材料の実使用状態に近い厚さとする。
特に規定がない場合,縦100 mm以上,横100 mm以上,厚さ1 mm±0.5 mmを推奨する。
5.5.2 試験片の推奨寸法
個別製品規格に規定がない場合,表1に示す試験片の寸法を推奨する。
表1−試験片
製品の種類 試験片の推奨寸法 参考
熱可塑性成形材料 − −
熱硬化性成形材料 − −
100 mm×100 mm×(35) m
長繊維強化ポリエステル及びビニル −
エステル成形材料
(SMC BMC)
エポキシ樹脂板及び積層板 − −
含浸樹脂及びワニス − IEC 60455規格群及びIEC
60464規格群に記載の材料
注型樹脂 − IEC 60455規格群に記載の材料
管,角棒及び丸棒 − IEC 61212規格群に記載の材料
エラストマ材料 100 mm×100 mm×3 mm −
5.5.3 試験片の作製
試験片の作製方法及び形状は,その材料の個別製品規格による。試験素材からの採取及び試験片の作製
を行う過程で,材料の状態が変化しないようにする。また,試験片に損傷を与えない。
試験片表面の電極と接触する部分を機械加工する場合には,機械加工の方式を報告書に記載する。試験
片は,試験する領域を平行平板状,管状など単純な形状とする。
製品から試験片を採取する場合には,可能な場合,製品の厚さのままとする。
5.5.4 試験片の個数
試験片の個数は,関連する製品規格の規定による。規定がない場合,3個以上の試験片を試験する。
5.5.5 試験片の状態調節及び前処理
試験片の状態調節及び前処理は,関連する製品規格の規定による。規定がない場合,JIS C 2142の標準
雰囲気B(温度23 ℃,相対湿度50 %)で,4日間以上状態調節する。
5.6 特定の材料の試験手順
特定の材料については,その材料の仕様書に規定がある。IEC 60455-2,JIS C 2103及びIEC 61212-2に
は,試験方法の規定がある。特定の材料に特定の手順が規定されている場合には,その規定に従う。
注記 IEC 60455-2:1998を対応国際規格とするJIS C 2105:2006が存在するが,IEC 60455-2が2015
年に改正され,規定内容が大きく変更されたため,ここでは,JIS C 2105:2006を引用しないこ
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ととした。
6 試験手順
6.1 一般的事項
個別製品規格に記載の数の試験片を用意する。特に規定がない場合,試験片3個を試験する。電極を形
成又は装着する前に,試験片の厚さを5点以上で測定する。試験片厚さ及び電極寸法の測定値は,±1 %
の許容誤差とする。
6.2 体積抵抗の測定
体積抵抗の測定を始める前に,試験片の帯電などを取り除いて,電気的に安定な状態にしておくことが
必要である。そのためには,試験片に形成又は装着した1対の測定用電極を,電流測定装置を通して短絡
し,短絡電流を測定する。その間,電流測定装置の感度を必要に応じて高める。短絡電流は,測定時に予
測できる電流値よりも十分小さい一定の値に達するまで監視する必要がある。特に規定がない場合,課電
から1分経過後に体積抵抗を測定する。測定を行う前に,試験片を標準雰囲気の下で24時間以上放置する。
試験片が雰囲気的(温度,湿度など)及び電気的に定常状態に戻る前に測定を繰り返さない。
材料の時間変化を調べる場合には,電圧印加と同時にストップウォッチなどの計時装置をスタートさせ
る。特に規定がない場合,電圧印加後,1分,2分,5分,10分,50分及び100分後にそれぞれ測定を行
う。2回続けて同じ結果が得られたときをもって試験完了とする。
6.3 体積抵抗率の計算
体積抵抗率は,次の式によって求める。
A
Rx
h
ここに, ρ : 体積抵抗率(Ωm)
Rx : 体積抵抗の測定値(Ω)
A : ガードされた電極の有効面積(m2)
h : 試験片の平均厚さ(m)
7 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
− 供試材料の名称,種類及び仕様。製造業者及び商品名を含む。
− 試験片の形状,寸法及び厚さ
− 試験電圧
− 試験装置の精度,必要と認めた場合,抵抗の測定値に応じた校正方法
− 供試材料の硬化条件,及び前処理条件
− 試験片の状態調節及び試験前の雰囲気
− 試験の準備状況及び試験に用いた装置の説明
− 試験片の数
− 試験実施日
− 試験片ごとの個々の体積抵抗及び体積抵抗率の測定値及びそれらの中央値
− 試験時の環境条件
− その他特記事項
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JIS C 2139-3-1:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62631-3-1:2016(IDT)
JIS C 2139-3-1:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定 > 17.220.99 : 電気及び磁気学に関するその他の規格
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- 規格番号
- 規格名称
- JISC2103:2013
- 電気絶縁用ワニス試験方法
- JISC2142:2016
- 固体電気絶縁材料―試験前及び試験時における標準状態
- JISK7215:1986
- プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法