JIS C 2143-5:2013 電気絶縁材料―熱的耐久性―第5部:相対熱的耐久性指数(RTE)の求め方 | ページ 3

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C 2143-5 : 2013 (IEC 60216-5 : 2008)
b) 対比時間への外挿(5.3.4参照) 外挿は,劣化処理時間の幾何平均に対して,その比が4未満でなけ
ればならない。
c) 相対熱的耐久性指数の下側信頼区間ΔR(5.3.3参照) ΔRの値は,式(9)に示す対比時間と同じ時間での
評価対象電気絶縁材料の半減温度幅HICB(c)より小さくなければならない[JIS C 2143-3の7.1(熱的耐
久性の計算)参照]。
1 1
HIC B cbB (9)
ln c2/ aB ln c aB

6.2 試験結果

  試験結果は,次のように5.2及び5.3.3の計算から導く。
a) 6.1の三つの検定基準を全て満たす場合,試験結果は相対熱的耐久性指数の値とする。試験結果は,
“JIS C 2143-5による相対熱的耐久性指数=xxx”の形式で報告する。
b) 検定基準の一つを満足しない場合,試験結果は相対熱的耐久性指数の95 %下側信頼限界とする。試験
結果は,“相対熱的耐久性指数下側95 %信頼限界=xxx”の形式で報告する。
c) 二つ以上の検定基準を満足しない場合,JIS C 2143-5の要求事項に従った試験結果は報告できない。
試験結果は,“相対熱的耐久性指数=xxx(試験結果は,統計的分析による確証不能)”の形式で報告し
てもよい。

6.3 報告事項

  報告には,次の事項を含める。
a) 試験結果
b) 参照電気絶縁材料の詳細及びその実績熱的耐久性指数(附属書D参照)
c) 用いた特性試験及び終点
d) 参照電気絶縁材料及び評価対象電気絶縁材料のJIS C 2143-1に従った熱的耐久性の報告
e) 試験結果が6.2 c) に該当する場合は,統計的確証を取得できなかった状況の詳細な説明

7 短期間熱劣化処理による材料試験

  既知の参照電気絶縁材料から僅かに化学的変性をした材料の熱的性能の比較,又は酸化防止剤を含む材
料の品質照合試験のために,しばしば,材料の劣化処理期間が数千時間程度となるような評価温度での短
期間熱劣化処理試験の要求がある。
このような試験で,特に劣化処理が単一温度で,かつ,単一固定時間後に特性測定を行う場合は,その
結果の解釈が困難な場合がある。化学反応速度論(chemical kinetic model)に従った試験を行わない場合は,
装置又は材料の変化が原因の系統誤差が生じる。
このような場合,試験材料と類似の種類及び耐熱クラスの参照電気絶縁材料とを同時に劣化処理し,同
じ処理時間の後で試験することが望ましい。その後,附属書Aと同様な方法を用いて,次に示す二組の特
性値の間に有意差があるかどうかを検証することができる。
a) 評価対象電気絶縁材料と参照電気絶縁材料との間
b) 参照電気絶縁材料の現在の試験の値と,同じ材料で得られた過去の実績に基づく値との間
2
この検証において,21s及び 2sは試験温度での熱劣化処理後の特性値グループの分散であり,1y及び
2yは
これらのグループの平均である[式(A.1)及び式(A.2)参照]。
他に規定がない場合,有意差の検定は0.05の水準で実施する(表E.1参照)。
a)及びb)のいずれにおいても有意差が見られない場合は,比較する二つの材料の熱的耐久性能は,同等

――――― [JIS C 2143-5 pdf 11] ―――――

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C 2143-5 : 2013 (IEC 60216-5 : 2008)
であるとみなす。a)において有意差が見られる場合は,評価対象電気絶縁材料の性能は参照電気絶縁材料
の性能と同等でない場合がある。b)において有意差が見られる場合は,もともと用いられた劣化条件から,
ある点で異なっている場合がある。それらは,調査の上原因を確定することが望ましい。

8 絶縁区分

  必要な場合,評価対象電気絶縁材料に,表B.1に準拠した絶縁の耐熱クラスを割り当ててもよい。

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附属書A
(参考)
対比時間の繰返し精度
A.0 概要
参照電気絶縁材料について,過去と同じ試験項目及び実績熱的耐久性指数を用いて試験を行った場合は,
試験に用いた参照電気絶縁材料で得られた対比時間τcと過去の試験実績の対比時間τcとの平均の差をスチ
ューデントのt検定を用いて比較することが望ましい。
有意差がある場合は,参照電気絶縁材料それ自身の変化,オーブン系装置の変化又は試験器具の変化を
意味していると思われる。原因を調査して報告することが望ましい。
比較は,二つの平均の差についてスチューデントのt検定を用い,次の手順によって行う。添字1及び
添字2は,データの二つのセットを表す。式中では,値 1y及び 2yは対比時間の二つの値の対数である。
A.1 分散の同等性についてのF検定
2 2
今回及び過去の測定での参照電気絶縁材料についてのy値の分散( 1s及び2s)は,JISC 2143-3の6.3.2
(直線性の検定)の式(41)及び式(42)の手引きに従って計算する。これらの比について,自由度(n1−2)
及び(n2−2)で0.05の有意水準で分散の同等性のF検定を行う(表E.1参照)。
2 2
注記 ここで 1s及び 2sは,添字1及び添字2の場合における材料についての分散の推定値に属するも
のとし,JIS C 2143-3の6.3.2の式(41)及び式(42)が与えるような階級の級内分散及び級間分散
を表すものではない。
A.2 二つの平均の差の標準偏差
二つの値に有意差がない場合は,分散の値を式(A.1)及び式(A.2)を用い,各平均に関するデータから計算
する。
s12 n11 s22 n21 1 1
sD2 (A.1)
n1 n2 2 n1 n2
nD n1 n2 (A.2)
分散の値に有意差がある場合は,式(A.3)及び式(A.4)を用いる。この場合,nDの値は整数でないことがあ
る。最も近い整数(適切な切捨て又は切上げによる。)を,その後の計算に用いる。
2 2
2 s1 s2
sD (A.3)
n1 n2
2
sD2
nD 2 2 (A.4)
s12 s22
n1 n2
n1 1 n2 1
2
Dsの平方根は,y値の平均の差の標準誤差sである。
注記 n1及びn2の値が等しいとき,式(A.1)と式(A.3)とは同じになる。

――――― [JIS C 2143-5 pdf 13] ―――――

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C 2143-5 : 2013 (IEC 60216-5 : 2008)
A.3 二つの平均の差に関するスチューデントのt検定
二つの平均の推定値(この場合単回帰による推定を含む。)が,別々のデータセットから求められ,真の
値が等しいことが期待される場合,それらの等しさはスチューデントのt検定で評価する。この検定の原
理は,推定平均とその差異の標準誤差との比を計算することである。標準誤差は,二つのデータセットの
分散を合わせて,A.2に記載する方法で算出する。
tの値は,標準誤差に対する平均の差の比である。
y1 y2
t (A.5)
s2D
1y及び 2yの値は,τcの二つの値の対数である。
ここでの自由度は,nD又はそれに最も近い整数を用いる。tの値が表E.2中の有意水準0.05の値より大
きい場合,差は有意と考えられ,その原因を調査することが望ましい。
2 2
5.3.2の目的のために,式(A.1)式(A.5)の計算で, 1s及び2sの値はJIS C 2143-3の6.3.3(X及びYの推
定値の信頼限界)の式(45) 1) を用いて,式(A.6)によって求める。
s12 2
NsY 1 及び s22 2
NsY 2 (A.6)
注1) IS C 2143-3の6.3.3(X及びYの推定値の信頼限界)の式(45)を,参考に記載する。
2
s2 X x
sY2 1
N 2x
A.4 対比時間の推定
対比時間についての二つの結果及び分散の二つの値に顕著な違いがない場合は,対比時間の対数のより
正確な推定値は,それぞれのデータから式(A.7)及び式(A.8)によって求める。
n1y1 n2 y2
y (A.7)
n1 n2
2 2
2 s1 n1 1 s2 n2 1
s (A.8)
n1 n2

――――― [JIS C 2143-5 pdf 14] ―――――

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C 2143-5 : 2013 (IEC 60216-5 : 2008)
附属書B
(参考)
耐熱クラスの指定
表B.1は,必要な場合,JIS C 4003に基づき,実績熱的耐久性指数又は相対熱的耐久性指数の値に対す
る耐熱クラスを指定するためのものである。
表B.1−電気絶縁材料に対応する耐熱クラス
実績熱的耐久性指数又は相対熱的耐久性指数 耐熱クラスb) 指定文字a)
℃ ℃
≧90 <105 90 Y
≧105 <120 105 A
≧120 <130 120 E
≧130 <155 130 B
≧155 <180 155 F
≧180 <200 180 H
≧200 <220 200 N
≧220 <250 220 R
≧250 <275 250 −
注a) 必要な場合,指定文字は,例えば,クラス180(H)のように括弧を付けて表示す
ることができる。スペースが狭い銘板などの場合,個別製品規格で,指定文字だ
けの表示を規定してもよい。
b) 250を超える耐熱クラスは,25ずつの区切りで増加し,それに応じて指定する。

――――― [JIS C 2143-5 pdf 15] ―――――

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JIS C 2143-5:2013の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60216-5:2008(IDT)

JIS C 2143-5:2013の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2143-5:2013の関連規格と引用規格一覧