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C 2143-8 : 2015 (IEC 60216-8 : 2013)
注記 混同されるおそれがない場合,温度グループ又は試験グループを,単にグループという。
3.1.13
試験グループ(test group)
破壊試験のために温度グループから一緒に取り出す試験片のグループ。
3.1.14
相対熱的耐久性指数,RTE(relative thermal endurance index)
評価対象材料の見積られる終点到達時間が,参照材料のその評価された温度指数(TI)に等しい温度で
見積られる終点到達時間に等しい点での温度(℃)の数値。
3.2 記号及び略語
この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。
a,b : 回帰係数
na,nb,nc,nd : 破壊試験用の試験片の数
N : 試験片の総数
r : 相関係数
x : 試験温度(絶対温度の逆数)(1/Θ)
y : 終点到達時間の対数
: 温度(℃)
Θ : 絶対温度(K)
Θ0 : 0 ℃の絶対温度の値(273.15 K)
τ : (終点到達)時間
μ2 : 値のグループの2次中央モーメント
TI : 温度指数
HIC : 温度指数と等しい温度での半減温度幅
RTE : 相対熱的耐久性指数
注記 対応国際規格には,上記の他に“n及びF”を規定しているが,この規格では用いていないた
め削除した。
4 熱的耐久性の試験手順
4.1 一般的事項
この規格では直線性からの偏差だけを検定し,データのばらつきを検定しない簡略化した手順について
規定する。
幾つかの制限の下で,熱的耐久性のデータをグラフを用いて評価できる。この場合,データのばらつき
の統計的な評価はできない。ただし,直線関係からのデータの偏差を評価することは重要である。
温度は,電気絶縁材料(EIM)に影響を及ぼす支配的な劣化要因であるため,ある程度の基礎的な温度
クラスは有用であり,国際的に認識されている(JIS C 4003参照)。
4.2 試験片の数
耐久性試験結果の精度は,各温度で劣化処理した試験片の数に大きく依存する。一般に,試験手順に関
連する事項を次に示す。
a) 非破壊試験の判定に必要な試験片の数は,ほとんどの場合,一つの温度のグループ当たり5個とする
のが妥当である。
――――― [JIS C 2143-8 pdf 6] ―――――
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C 2143-8 : 2015 (IEC 60216-8 : 2013)
非破壊試験又は保証試験での判定基準が特性の初期値に基づく場合,初期値は,各温度グループの
試験片の数の2倍以上の試験片を用いて測定することが望ましい。
b) 保証試験の判定に必要な試験片の数は,一つの温度のグループ当たり,11個以上,できれば21個と
する。
試験片の寸法及び調整の方法は,関連する試験方法で規定する方法に従う。
c) 破壊試験の判定に必要な試験片の総数(N)の最小値は,式(1)によって求める。
N na nb nc nd (1)
ここに, na : 一つの温度及び一つの時間で同じ処理を受け,特性評価終了
後に破棄する試験グループの試験片の数(通常,5個)
nb : 一つの温度での処理の数,すなわち,ばく露時間の長さの水
準の数
nc : ばく露温度の水準の数
nd : 特性の初期値を確定するために用いる試験片の数。通常の手
順では,判定基準がその初期値からの特性の変化率(百分率)
であるとき,通常,nd=2 naを選択する。判定基準が特性の絶
対値の場合,初期値の報告が要求されない限り,通常,nd=0
とする。
注記 これらの規定によって試験片が膨大な数になる場合は,関連する試験規格の規定に従わず,試
験片の数を減らしてもよい。ただし,試験結果の精度は,試験片の数に大きく左右されること
を認識することが望ましい。反対に,個々の試験結果が非常にばらついている場合は,十分な
精度を得るために,必要に応じて試験片の数を増してもよい。予備試験によって,劣化試験に
必要な試験片の数及び処理時間をおおよそ推定することが望ましい。
4.3 試験片の準備
劣化試験に用いる試験グループは,調査する母集団から無作為に抽出して構成し,同等に取り扱うこと
が望ましい。
個別材料規格又は試験規格は,試験片の準備に必要な全ての事項を含んでいる。
試験片の厚さは,熱的耐久性の決定に関する特性測定の一覧表の中で規定している場合がある(JIS C
2143-2参照)。このような規定がない場合は,厚さを記録しなければならない。物理的特性の幾つかは,
たとえ試験片の厚さの変化が僅かであっても,影響を受けやすい。このような場合は,関連する個別材料
規格に規定があれば,各劣化処理期間経過後に厚さを測定し,報告する。
劣化の速度は厚さによって異なることがあるので,その場合にも厚さは重要である。厚さの異なる材料
の劣化のデータは,必ずしも比較できるとは限らない。したがって,異なる厚さで測定を行って導いた複
数の熱的耐久性によって,材料を評価するのがよい。
試験片の寸法の許容差は,一般の試験で通常用いられるのと同じであることが望ましい。ただし,試験
片の寸法の許容差が普通より小さい必要がある場合は,特別な許容差を規定してもよい。寸法を測定して
選別することによって,試験片が均質で,かつ,試験材料を代表していることを保証することができる。
加工工程が,幾つかの材料の劣化特性に著しく影響することがあり,例えば,サンプルの抽出,供試ロ
ールからのシートの切断,与えられた方向での異方性材料の切出し,成形方法,硬化方法,前処理などは,
全ての試験片に同じ方法で行う。
このような試験片を続けて準備するために,元の材料のバッチから,予備として十分な数の試験片を別
に確保しておくことが望ましい。このような配慮をすることによって,不測の事態が生じた場合に必要と
される試験片の追加及び劣化処理で,試験グループの間に系統的な差を生じるおそれを最少にとどめるこ
――――― [JIS C 2143-8 pdf 7] ―――――
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C 2143-8 : 2015 (IEC 60216-8 : 2013)
とができる。このような不測の事態は,例えば,熱的耐久性の関係が直線を外れる場合,又はオーブンが
熱的に暴走して試験片が破損した場合に生じる。さらに,予備の試験片は,次のような場合に用いること
ができる。
− 試験精度の向上のため,追加した温度での劣化処理が必要な場合。
− 参照試験片が必要な場合。
予備の試験片は,適切な標準雰囲気中で貯蔵しなければならない(JIS K 7100参照)。
熱硬化性材料は,選択した最も低いばく露温度で48時間放置し,状態調節する。
必要な場合,熱可塑性材料も選択した最も低いばく露温度で48時間放置し,状態調節するのがよい。
4.4 劣化処理過程の準備-ばく露温度及びサイクル時間
温度指数の決定に関しては,終点到達時間の対数と絶対温度の逆数との間で直線関係を示す十分広い範
囲内の3点以上の温度で試験片をばく露する。可能な場合,4点以上の温度で試験片をばく露するのがよ
い。
適切な熱的耐久性の計算で不確かさを低減するには,熱的ばく露の全範囲にわたり,次の要件を順守す
るように,ばく露温度を注意深く選ぶ必要がある。
a) 最も低いばく露温度は,終点到達時間の平均値又は中央値が温度指数を決定するときの外挿時間(一
般に20 000時間)の1/4より大きい結果が得られるような温度でなければならない。
注記1 温度指数への対応平均時間は,通常20 000時間であり,したがって,最も低い温度は平均
時間が5 000時間以上となる温度に対応する。
注記2 必要な場合,他の時間(20 000時間以下又は以上の時間)を選んでもよい。
b) 温度指数の確定に要する外挿は,25 Kを超えてはならない。
c) 最も高いばく露温度においても,終点到達時間の平均値又は中央値が100時間以上となるような温度
でなければならない。
注記 幾つかの材料では,適切な直線性を維持していながら,500時間未満の終点到達時間を満
たさないものがある。ただし,平均終点到達時間の範囲が小さくなるほど,データのばら
つきが同じであっても,結果の信頼区間が拡大することに留意するのがよい。
20 000時間に対応する温度指数に関するばく露温度及び時間の指針を,表1に示す。
ばく露時間及びばく露温度の設定に有用な幾つかの推奨事項及び指示を,JIS C 2143-1の附属書B(暴
露温度及び暴露時間)に示す。
熱劣化処理を始める前に,状態調節した必要な数の試験片に対して,室温で,選択した試験方法で初期
試験を行わなければならない[JIS C 2143-1の5.4(初期特性値の確定)参照]。
適切なばく露温度を選択するためには,試験に供する材料について,関連情報が確認されている必要が
ある。このような情報が手に入らない場合は,熱的耐久性評価に適切なばく露温度を選択するために,予
備的な試験を行うのがよい。
熱劣化処理では,オーブンはJIS C 2143-4-1に規定するもので,特に許容温度差及び換気率に関して要
求事項を満たすものを用いなければならない。
必要な数の試験片を,それぞれ選択した温度に保ったオーブンに入れる。
種類の異なる材料によって試験片に相互汚染のおそれがある場合は,材料ごとに別のオーブンを用いる。
それぞれの熱劣化処理時間経過後に,必要な数の試験片をオーブンから取り出し,状態調節する。必要
な場合,状態調節は適切に調節した雰囲気中で行う(JIS K 7100参照)。
試験は,選択した試験の基準に従って,室温で実施しなければならない。
――――― [JIS C 2143-8 pdf 8] ―――――
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C 2143-8 : 2015 (IEC 60216-8 : 2013)
この手順を,調査対象の特性の数値が規定のしきい値に到達するまで継続する。
――――― [JIS C 2143-8 pdf 9] ―――――
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60216-8 : 2013)
C 2143-8 : 2015 (IEC
C2
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表1−20 000時間に対応する温度指数に関するばく露温度及び時間の指針
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単位 日
3-
8
予想される温度 ばく露温度
: 2
指数の範囲 ℃
01
120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 220 230 240 250 260 270 280 290 300 310 320 330 340 350
5(IEC6
95104 28 − 14 − 7 − 3 − 1
105114 28 − 14 − 7 − 3 − 1
02
115124 28 − 14 − 7 − 3 − 1
16-8
125134 28 − 14 − 7 − 3 − 1
: 2
135144 28 − 14 − 7 − 3 − 1
013
145154 28 − 14 − 7 − 3 − 1
)
155164 28 − 14 − 7 − 3 − 1
165174 28 − 14 − 7 − 3 − 1
175184 28 − 14 − 7 − 3 − 1
185194 28 − 14 − 7 − 3 − 1
195204 28 − 14 − 7 − 3 − 1
205214 28 − 14 − 7 − 3 − 1
215224 28 − 14 − 7 − 3 − 1
225234 28 − 14 − 7 − 3 − 1
235244 28 − 14 − 7 − 3 − 1
245254 28 − 14 − 7 − 3 − 1
推奨事項を,JIS C 2143-1の附属書Bに示す。
注記1 この表は,主として保証試験又は非破壊試験に適用するものであるが,破壊試験を行うのに最適な時間間隔を選ぶ場合にも利用できる。このような場合,56
日以上のサイクル時間を必要とする場合もある。
注記2 最初に設定した最も低い温度よりも低い温度で追加試験をする場合は,最も低い温度よりも10 K低い温度とし,温度指数を求めるための1サイクルを42日
とすることが望ましい。
――――― [JIS C 2143-8 pdf 10] ―――――
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JIS C 2143-8:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60216-8:2013(IDT)
JIS C 2143-8:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定 > 17.220.99 : 電気及び磁気学に関するその他の規格
JIS C 2143-8:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC2143-1:2015
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第1部:劣化処理手順及び試験結果の評価
- JISC2143-2:2011
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第2部:熱的耐久性の測定―評価指標の選択
- JISC2143-3:2013
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第3部:熱的耐久性の計算の手引き
- JISC2143-4-1:2014
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第4-1部:劣化処理オーブン―シングルチャンバオーブン
- JISC2143-5:2013
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第5部:相対熱的耐久性指数(RTE)の求め方
- JISC4003:2010
- 電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
- JISK7100:1999
- プラスチック―状態調節及び試験のための標準雰囲気