JIS C 2535:2017 単ヨーク形単板試験器による鉄基アモルファス帯の交流磁気特性の測定方法 | ページ 3

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ここに, Ss : 皮相電力(VA/kg)
ρm : 試験片の規定密度(kg・m−3)
f : 励磁周波数(Hz)
H~ : 磁界の強さの実効値(A/m)
B~ : 磁束密度の実効値(T)

7 再現性

  鉄損の再現性の相対標準偏差は,最大磁束密度が1.3 T及び1.4 Tのとき,3 %以内とする。
磁束密度の再現性の相対標準偏差は,磁界の強さの波高値が80 A/mのとき,約1 %以内とする。
皮相電力の再現性の相対標準偏差は,約6 %以内とする。

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附属書A
(参考)
デジタルサンプリングによる磁気特性測定法
A.1 一般的事項
デジタルサンプリング法は,現在の軟質磁性材料の磁気特性測定に多く用いられている。
Hコイル法に適用する場合,二次電圧U2(t)及びHコイルに誘起する電圧UH(t)をデジタル化し,これら
のデータを用いて軟質磁性材料の磁気特性を求めることを特徴としている。
これらの電圧の時間関数からjの添え字をもつこれらの電圧の瞬時値u2j及びu1jを,サンプル ホールド
回路によって,等しい時間間隔でそれぞれサンプリングする。サンプリングした電圧の瞬時値は,アナロ
グ デジタル変換器(ADC)によって,デジタル値に変換する。1周期又は複数周期にわたって採取したデ
ータによって,この規格で測定する全ての磁気特性をコンピュータ処理で求めることが可能である。
この規格では,デジタルサンプリングによる測定法を採用する。デジタルサンプリング法は不確かさを
低くすることができるが,不適切な使用方法によっては,大きな誤差をもたらす。
注記 デジタルサンプリング法の原理及び適用法については,多くの文献がある。
A.2 技術的詳細及び要求事項
図2に示すように,測定計測器とコイルとを接続する。励磁電源は,通常,コンピュータ制御の任意波
形発生器及び電力増幅器からなる。測定計測器でのエリアシングを防ぐため,任意波形発生器と電力増幅
器との間に,ローパスフィルタを挿入する。任意波形発生器は,外部プログラムで生成した励磁の波形,
振幅及び周期のデータから信号を合成する。測定計測器は,校正したプリアンプ,デジタイザ,及びデジ
タル信号演算器(通常は,パーソナルコンピュータ)からなる。
二次コイルの誘起電圧U2(t)及びHコイルの誘起電圧UH(t)の波形を,同時にデジタルサンプリングする。
不確かさを低くするためには,励磁周期をサンプリング間隔で除した値が整数(ナイキスト条件)で,
サンプリング周波数fsが入力信号帯域の2倍よりも大きいことが望ましい。
磁束密度B(t)は,式(4)による。
磁界の強さH(t)は,式(5)による。
鉄損Psは,磁束密度B(t)と磁界の強さH(t)とのヒステリシスループの面積として,式(6)による。
A.3 校正
測定計測器は,トレーサビリティが確保された標準交流電源を用いて校正することが可能である。測定
計測器の信号チャンネルの各入力に標準交流電源を接続することによって,各信号チャンネルの増幅率,
二つのチャンネルの位相差及びこれらの周波数特性が確認できる。このように校正した測定計測器は,デ
ジタル信号演算器での特性計算プロセスに適用してもよい。
A.4 演算処理による空隙補償
演算処理による空隙補償は,空隙補償コイルの原理と同様である。Hコイルを用いる場合は,式(A.1)に
よる。
t −C UH (t)
U2 c (t)=U2 m )( (A.1)

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ここに, U2c(t) : 空隙補償された二次コイルの誘起電圧(V)
U2m(t) : 二次コイルの誘起電圧(V)
C : 補正係数
UH(t) : Hコイルの誘起電圧(V)
補正係数Cは,試験片を挿入しない状態で一次コイルに電流を流したとき,空隙補償された二次コイル
電圧の最大値が,二次コイル誘起電圧の0.1 %以下となるように調整する。

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附属書B
(参考)
鉄基アモルファス帯用の単板試験器
B.1 試験片の形状
単板試験器の中では,試験片は平たんとするのがよい。アモルファス帯は,磁わい特性が大きいため,
僅かな変形によっても磁気特性は大きく劣化する。
IEC 60404-6に規定するトロイダルコア試験片を用いる測定方法は,試験片の直径の僅かな変形を防ぐ
ことが難しく,単板試験器を用いた測定よりも劣る磁気特性が得られることがあるため,不適切である。
B.2 Hコイル法
電力計法(励磁電流法)による測定では,ヨークの磁気特性も含まれる。このため,アモルファス帯の
ような薄い低鉄損の材料には不適切である。これに比較して,Hコイル法は,ヨークの磁極から離れた部
分の試験片の磁気特性を測定する。このため,電力計法で測定した鉄損値は,通常,Hコイル法で測定し
た値よりも高い値を示す。
Hコイル法を適用する上で重要なことは,Hコイルの信号出力の片側と二次コイルの信号出力の片側と
を接続することである。これによって,Hコイルに重畳する高周波ノイズを効果的に軽減できる。また,
Hコイルのエリアターンを大きくし,その信号出力を低ノイズの高品質プリアンプで増幅することも重要
である。電源周波数ノイズを防ぐために,プリアンプは高品質の直流電源で駆動することが望ましい。
数回の励磁周期にわたり同期平均することによって,電源周波数と同じ周波数で励磁した場合の電源周
波数のノイズを除き,信号のノイズを効果的に減らすことができる。
B.3 ヨーク
ヨークは,試験片の偏磁を防ぐため,残留磁束密度,磁気抵抗及び鉄損ができるだけ低くなる材質とす
る。ソフトフェライトが適切である。
単ヨークは,複ヨークよりも適切である。アモルファス帯の磁気特性は,ひずみに非常に敏感である。
上側ヨークは試験片の磁極付近の部分にひずみを加え,その結果,磁気特性が劣化する。さらに,試験片
の両端がヨークの磁極で挟まれ固定されるため,アモルファスの大きな磁わい特性によって,試験片には
大きな圧縮ひずみが生じる。これらの効果は,単ヨークの磁極近くの試験片の部分での面内渦電流の及ぼ
す効果よりも大きいと考えられる。
B.4 結線
Hコイルに誘起する電圧は低く,高周波ノイズを拾いやすい。Hコイルの信号出力に重畳するノイズを
減らすために,コイルと測定計測器とは図2にように結線する。各結線対の片側は,測定計測器の前で接
続し,アースには接続しない。
B.5 磁気シールド
アモルファス帯の磁気透磁率は,異方性がなく非常に高いため,単板測定器に磁気シールドを施すこと
が望ましい。単板試験器の磁化軸を地磁気に直角に設置した場合でも,地磁気によって試験片は磁化軸と

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直角方向にある程度磁化する。磁気シールドは,外部磁場によって試験片が不用意に磁化することを防ぐ
ことができる程度の簡易なものでよい。
B.6 Hコイルのエリアターンの測定
Hコイルのエリアターンは,Hコイルを巻線枠に組み込む前に,Hコイルが入る領域に均一な磁場を発
生させるために十分な径及び長さをもつ,ソレノイドを用いて測定する。
Hコイルを巻線枠に組み込んだ後は,そのHコイルで測定した磁界の強さの波高値と,コイルの中に試
験片がない状態で,コイルの中心に置いた既知のエリアターンの標準Hコイルで測定した磁界の強さとの
波高値を比較することで求められる。
他の方法として,コイルの中に試験片がない状態でのHコイルの信号による磁界の強さの波高値と,励
磁電流法で求めた磁界の強さの波高値との比較で求めることができる。励磁電流法による磁界の強さの波
高値は,式(B.1)による。
MC N1 1
H= U (B.1)
lmR
ここに, H : 励磁電流法による,磁界の強さH(t)の波高値(A/m)
MC
N1 : 一次コイルの巻数
lm : 既定の磁路長[0.24(m)]
R : 励磁電流を測定するために一次コイルに直列に接続され
た無誘導精密抵抗器の抵抗値(Ω)
1U : 一次コイルに直列に接続した,無誘導精密抵抗の両端子
間の電圧の波高値(V)

――――― [JIS C 2535 pdf 15] ―――――

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JIS C 2535:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2535:2017の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC2534:2017
鉄基アモルファス帯