JIS C 4608:2015 6.6kVキュービクル用高圧避雷器 | ページ 3

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表2−波形の裕度
単位 %
波頭長 波尾長 波高値
標準雷インパルス電圧 ±30 ±20 ±3
標準雷インパルス電流 ±20 ±10 ±10

7.5 試験方法

7.5.1  構造試験
構造試験は,箇条6及び箇条9の規定する事項について調べる。
7.5.2 耐電圧試験
耐電圧試験は,次の事項に従って,高圧避雷器絶縁容器の商用周波耐電圧試験及び雷インパルス耐電圧
試験の2種類を行う。
a) 試験電圧 印加電圧は,表1による。
b) 供試品 直列ギャップ及び特性要素を収容する容器など,平常時及び動作時に加圧する部分に対して
行う。
c) 商用周波試験電圧の加圧方法 初めに試験電圧の1/2以下の電圧を加え,それから試験電圧まで電圧
計にその時々の電圧が表示できる範囲で,できるだけ早く上昇させ,試験電圧に達した後,1分間連
続加圧する。
試験電圧の周波数は,50 Hz又は60 Hzとし,その波形は,できるだけ正弦波に近いものとする。
波形が正弦波と著しく異なる場合には,波高値を測定し,その値を2で除した値を実効値とする。
d) 雷インパルス試験電圧の加圧方法 正負極性別に各3回印加する。波形は,1.2/50 μsとする。
7.5.3 絶縁抵抗試験
絶縁抵抗試験は,高圧避雷器端子間の絶縁抵抗を直流1 000 Vの絶縁抵抗計で測定する。
7.5.4 放電開始電圧試験
7.5.4.1 商用周波放電開始電圧試験
商用周波放電開始電圧試験の試験方法は,次による。
a) 状態 乾燥状態とする。
b) 電圧印加方法 高圧避雷器が放電しない十分低い電圧から,電圧計によってその時々の電圧が読み取
れる範囲で,できるだけ早く電圧を上昇する。ただし,ギャップに並列抵抗を挿入した高圧避雷器で,
抵抗体が試験中に著しく発熱する場合には,使用者と製造業者との協定によって別の電圧印加方法で
行う。
c) 回数 形式試験は10回,受渡試験は5回試験する。
d) 時間間隔 2分以内とする。
7.5.4.2 雷インパルス放電開始電圧試験
雷インパルス放電開始電圧試験は,a)及びb)とする。
a) 標準雷インパルス放電開始電圧試験の試験方法
1) 状態 乾燥状態とする。
2) 電圧印加方法 表1の波高値をもつ正負両極性の標準波形1.2/50 μsの雷インパルス電圧をそれぞれ
10回印加する。

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b) 雷インパルス放電開始電圧時間試験の試験方法
1) 状態 乾燥状態とする。
2) 電圧印加方法 印加電圧は,正負両極性の標準波形1.2/50 μsの雷インパルス電圧とし,3種類以上
の波高値の電圧をそれぞれ5回程度印加して試験する。各回の試験値のうち,できるだけ高い値を
とって,0.55 μsにおいてV−t特性を図形で表示した曲線を作り,この曲線上の0.5 μsに相当する
点の放電電圧を求める。
7.5.5 制限電圧試験
制限電圧試験は,公称放電電流の0.5倍,1倍及び2倍の正及び負の雷インパルス電流を高圧避雷器に流
し,公称放電電流に相当する制限電圧値を測定する。
雷インパルス電流の波形は,8/20 μsとする。
7.5.6 雷サージ動作責務試験
雷サージ動作責務試験は,次の条件で毎回続流が遮断されるかどうかを調べる。
なお,試験前後に公称放電電流における制限電圧及び商用周波放電開始電圧(5回)を求める。
a) 電源電圧 高圧避雷器に定格電圧印加中,高圧避雷器端子間で測定した商用周波電圧波高値が,高圧
避雷器定格電圧波高値を下回らない。試験電圧の周波数は,50 Hz又は60 Hzとする。
b) 雷インパルス電流印加位相 印加電源電圧の波高値付近で,同極性及び逆極性を印加する。
c) 回数 同極性・逆極性について各5回,合計10回とする。
d) 時間間隔 約1分間とする。
e) 放電電流 公称放電電流とする。
f) 放電電流波形 8/20 μsとする。
7.5.7 放電耐量試験
放電耐量試験は,雷インパルス大電流試験及び方形波インパルス電流試験の2種類を行い,それぞれ別
の供試品を用いて表3によって行う。雷インパルス大電流試験は,通常の試験及び特別試験とする。特別
試験は,酸化亜鉛素子単体で行うことができる。
方形波インパルス電流試験は,図4の方形波電流で試験する。
方形波インパルス電流発生のための試験回路は,次の要求事項に適合しなければならない。
a) 規約電流波高値継続時間は,表3の規定値の100120 %とする。
b) 規約電流全継続時間は,規約電流波高値継続時間の150 %以下とする。
c) 波高値付近の高周波振動の振幅は,波高値の10 %以内とする。また,波高値は,高周波振動の平均値
とする。
d) 電流発生器は,規約電流全継続時間の1倍2倍の時間に供試器から切り離してよい。
e) 方形波インパルス電流試験回路は,多段のインダクタンス−コンデンサを用いる。ただし,回路の抵
抗損失はできるだけ小さくし,段数は,5段以上とする。方形波インパルス電流試験回路の例を,図5
に示す。
雷インパルス大電流放電耐量の特別試験を除いて,試験前後の商用周波放電開始電圧を5回測定し,平
均値を求め,公称放電電流に相当する制限電圧を測定する。

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表3−放電耐量試験
項目 雷インパルス 雷インパルス大 雷インパルス 雷インパルス大 方形波インパルス電流
大電流放電耐 電流放電耐量試 大電流放電耐 電流放電耐量試 放電耐量試験
量試験 験特別試験 量試験 験特別試験
公称放電電流 5 000 A 2 500 A 5 000 A 2 500 A
供試品 高圧避雷器 高圧避雷器又は 高圧避雷器 高圧避雷器又は 高圧避雷器
酸化亜鉛素子単 酸化亜鉛素子単
体 体
放電電流波高値 20 kA 65 kA 10 kA 25 kA 150 A 75 A
放電電流波形 4/10 s(正又は負) 継続時間2 000 μs(正又
は負)
回数 同極性 2回 同極性 18回
時間間隔 約5分間 5分以内の時間間隔で
連続3回の通電を1群
とし,6群a)
注a) 各郡間の時間間隔は,供試品の温度が周囲温度まで冷却できる間隔であることが望ましい。
注a) 規約電流半波高値継続時間は,規約電流波高値継続時間の100120 %とする。
b) 規約電流全継続時間は,規約電流波高値継続時間の150 %以下とする。
c) 波高値(100 %)は,高周波振動の平均値とする。
d) 波高値付近の高周波振動の振幅は,波高値の10 %以内とする。
図4−脈動をもつ方形波インパルス電流波形

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Ar 供試器 VD 分圧器
L インダクタンス Sh 分流器
C コンデンサ M 測定器
S スイッチ
図5−方形波インパルス電流放電耐量試験回路の例
7.5.8 耐久性能試験
耐久性能試験の試験方法は,製造業者と使用者との協定による。

8 製品の呼び方

  製品の呼び方は,名称,定格電圧及び公称放電電流とする。
例 高圧避雷器8.4 kV 5 000 A

9 表示

  高圧避雷器には,見やすいところに,容易に消えない方法で次の事項を表示した銘板を取り付けなけれ
ばならない。
なお,がい管本体に字句を焼き込んだ場合など,本体で次の事項が分かる場合は,銘板を省略してもよ
い。
a) 名称
b) 形式
c) 定格電圧(kV又はV)
d) 公称放電電流(kA又はA)
e) 製造業者名又は商標
f) 製造年

JIS C 4608:2015の国際規格 ICS 分類一覧

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規格番号
規格名称
JISC4620:2018
キュービクル式高圧受電設備