JIS C 5381-331:2006 低圧サージ防護デバイス用金属酸化物バリスタ(MOV)の試験方法 | ページ 2

4
C 5381-331 : 2006 (IEC 61643-331 : 2003)

4. 使用条件

4.1 標準使用条件

4.1.1  環境条件
4.1.1.1 使用温度及び保存温度
標準範囲 −5+55 ℃
拡張範囲 −40+85 ℃
4.1.1.2 気圧 高度を考慮して,86106 kPa(JIS C 60068-1参照)
4.1.1.3 湿度 25 ℃,93 %未満の相対湿度(JIS C 60068-1及びJIS C 60068-2-78参照)
4.1.1.4 耐衝撃性及び耐振性 この試験の目的は,試料の機械的弱点及び/又は規定された性能の劣化を
測定し,関連する規格をもとに,その情報を用いて試料の合否を決定することである(JIS C 60068-2-6及
びJIS C 60068-2-27参照)。
4.1.2 MOVの物理的特性
4.1.2.1 耐溶剤性 この試験の目的は,化学溶剤に対するMOVの耐溶剤性を決定することである。
要求があった場合,製造業者は耐溶剤性に対するデータを用意しなければならない(JIS C 60068-2-52
参照)。
4.1.2.2 はんだ付け性 この試験の目的は,はんだによってぬれることを要求されたリード線及びタグ端
子のはんだ付け性を判定することである。必要があればはんだはじきの判定も行う(JIS C 60068-2-20の
4.参照)。
4.1.3 系統条件
4.1.3.1 公称系統周波数 周波数4862 Hzの交流又は直流である。
4.1.3.2 最大連続系統電圧 公称系統電圧よりも10 %高いことを考慮する。

4.2 特殊使用条件

 MOVを標準の使用条件以外で使用する場合は,設計,製造又は用途において特別な
考慮が必要となることがある。特殊な使用条件でこの規格を適用する場合は,受渡当事者間の合意による。
特殊な使用条件は次による。
4.2.1 環境条件
標準使用条件を超える周囲温度 : JIS C 0025及びJIS C 60068-2-78参照
塩水噴霧に対する暴露 : JIS C 60068-2-52参照
特殊な振動又は特殊な衝撃(バンプ) : JIS C 60068-2-6及びJIS C 60068-2-29参照
MOVの質量の制限又は隣接する導電体までの空間距離を含む設置空間の制限
4.2.2 系統条件 MOVの定格を超える系統電圧,電流又は周波数。

――――― [JIS C 5381-331 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
C 5381-331 : 2006 (IEC 61643-331 : 2003)

5. 基本的な機能及びMOV部品

 この規格で扱う部品は,金属酸化物から作られたセラミックス(一般
に添加物を含む酸化亜鉛)であり,連続的なV-I曲線をもつ非直線性部品として機能する(JIS C 5381-1
で規定しているような制限部品)。それらは,電極の“あり”若しくは“なし”,又は樹脂封入の“あり”
若しくは“なし”の状態で供給されたり,接続用の電線又はブラケットが備わっている場合もある。また,
単独,又はサージ防護デバイス(SPD)の中で,他のMOV又は他の部品と組み合わせて用いてもよい。

6. 識別

6.1 一般事項

 MOVが,この規格を満足するかどうかを次によって確認する。
− 性能及び形状特性(6.2)
− 製造検査(6.3)
これらのデータは,全体として一つのタイプのバリスタの識別ファイルを構成する。

6.2 性能及び形状特性

 次の性能は,これらすべての測定手順書とともに製造業者が提供しなければな
らない。
− 制限電圧
− 定格ピークインパルス電流
− 最大連続使用電圧
− 最大待機電流
− 静電容量
形状特性とは,MOVを識別することができる特性で,機能特性値,信頼性及びその使用に影響する。

6.3 製造検査

 要求によって,製造業者はMOVの製造中及び製造後に実施される検査作業の説明書を
用意する必要がある。検査作業は,次からなる。
− 抜取方法
− 試験及び測定形態
− 品質管理方法
− 付加的寿命試験

7. 表示

 それぞれのMOVは,部品番号及び安全認可表示に加えて,要求によってその製造に関する情
報を表示する。製造業者が次の情報を容易に提供できる参考資料を保持していなければならない。
− 製造年月日及びロット番号
− 一連の試験結果
− 形状特性
備考 これら情報を表示する十分な余白がない場合,受渡当事者間の協議によって,技術文書の中で
規定する。

8. 試験及び測定方法

8.1 標準的な設計試験基準

 8.3及び8.4の試験は,サージ防護デバイス(SPD)用部品を選定する場合に,
MOVのパラメータを測定するための標準測定方法を提供するものである。これらのパラメータはMOVに
よって変化する可能性があり,SPDに対して選んだすべてのMOV部品を測定しなければならない。MOV
は双方向性であり,正極性及び負極性電圧の両方で試験しなければならない。

――――― [JIS C 5381-331 pdf 7] ―――――

6
C 5381-331 : 2006 (IEC 61643-331 : 2003)

8.2 試験条件

 8.3及び8.4の試験は,その用途によってMOVに要求される。他に規定がない場合,周
囲の試験条件は次による。
− 温度 : 1535 ℃
− 相対湿度 : 85 %未満
− 気圧 : 86106 kPa

8.3 定格

8.3.1  単一インパルスのピーク電流(ITM) この試験の目的は,MOVの故障を引き起こすことなく規定
の電流インパルスを処理できることを検証することである(図2の試験回路参照)。 他に規定がない場合,
試験電流は8/20の波形とする。
構成部品
PS : 直流充電電源
R1 : 充電抵抗器
R2 : インパルス整形及び電流制限抵抗器
R3 : インパルス整形抵抗器
R4 : 電流検出用抵抗器(同軸)。代わりになるべきものとして適切な定格の電流変流器プローブを用いてもよい。
S1 : 充電スイッチ
S2 : 放電スイッチ
C : エネルギー蓄電用コンデンサ
DUT : 試料
CRO : 電流及び電圧を観測するためのオシロスコープ
L : インパルス整形インダクタンス
備考 示した回路は説明用だけのものである。大電流及び高周波テストの測定には,例えば,4端子ケルビン接触,差
動オシロスコープ,短いリード線などを使用する測定技術を適用することが望ましい。
図 2 インパルスピーク電流(IP)での制限電圧(VC)を測定するための試験回路
8.3.2 複数パルスのピーク電流(ITSM) この試験の目的は,MOVに重大な劣化(例えば,VNで10 %
変化する。)を引き起こすことなく,規定のインパルス電流を定められた回数処理できることを検証するこ
とである。
複数回のインパルスは,試料が熱平衡(例えば,インパルスを印加する前の初期状態)に戻った後に印
加しなければならない(図2の試験回路参照)。
他に規定がない場合,試験電流は8/20の波形とする。
備考 JIS C 5381-1のサージ防護デバイスに用いるMOVには,クラスI,クラスII及びクラスIII試験
手順及び波形が要求される。これらの試験は,附属書Aに規定する。
8.3.3 連続定格電圧(VM) このパラメータは,8.4.2によって検証する。

――――― [JIS C 5381-331 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
C 5381-331 : 2006 (IEC 61643-331 : 2003)

8.4 電気的特性

8.4.1  最大制限電圧(VC) この試験の目的は,規定の波形及び最大振幅の電流インパルス(Ip)を流し
たときのMOVの電圧防護レベルを決定することである(図2の試験回路参照)。最大制限電圧及び最大試
験電流は時間的に必ずしも一致していない。 他に規定がない場合,試験電流は8/20の波形である。
備考 JIS C 5381-1のサージ防護デバイスで用いるMOVは,附属書Aに規定の1.2/50,8/20のコン
ビネーション発生器によって試験する。
8.4.2 待機電流(ID) この試験の目的は,規定の温度範囲を超えた状態で,過度のデバイス電導を引き
起こすことなくMOV両端に印加できる最大定格電圧を検証することである。
この電圧での電流は,待機電流又は漏れ電流と定義し,製造業者が規定した最大値未満でなければなら
ない。この測定で,電圧は負荷インピーダンスにかかわらず定常値に維持するため,定電圧の電源を使用
することが望ましい(図3参照)。試料(DUT)両端に電圧計を接続することは,電流が電圧計を通って
漏れるため,測定が不正確となり望ましくない。
構成部品
PS : 電源
V : デジタル式電圧計
A : 電流計(
図 3 待機電流を測定するための試験回路
8.4.3 公称バリスタ電圧(VN) この試験の目的は,規定のパルス電流及び規定の温度でのMOVのバリ
スタ電圧を検証することである(図4参照)。
試験電流(IN)の印加時間は,40 ms未満でなければならない。
他に規定がない場合,試験電流は直流1 mAである。この測定で,電流は負荷インピーダンスにかかわ
らず定常値に維持するため,定電流の電源を使用することが望ましい。
構成部品
P : 定電流パルス発生器
V : デジタル式電圧計
A : 電流計(
図 4 公称バリスタ電圧(VN)を測定するための試験回路

――――― [JIS C 5381-331 pdf 9] ―――――

8
C 5381-331 : 2006 (IEC 61643-331 : 2003)
8.4.4 静電容量(CV) この試験の目的は,MOV両端の静電容量を決定することである。静電容量は,
規定の温度において規定の正弦周波数及び電圧で測定することが望ましい。他に規定がない場合,25 ℃で
1 kHzの0.1 Vrmsの信号を推奨する。

8.5 信頼性

8.5.1  エージング試験 この試験を行う前に,試料の公称バリスタ電圧及び待機電流を測定し記録する。
この試験は,温度Tvに加熱したMOVに最大連続使用電圧の110 %の電圧を継続期間Lvの間印加する試
験である。
8.5.2 試料の明確化 この試験は,製品設計が変更されたとき,又は顧客の要求があったときに実施する
ことが望ましい。試料は完成したMOVとし,MOVの製造ロットから10個無作為に抜き取る。
温度は最大動作温度に設定し,継続時間は1 000時間とする。試験中,槽内の温度は均一に循環させ,
温度変動は5 %未満に維持することが望ましい。
試験が終了した後,その試料を少なくとも1時間以上2時間以内冷却し,公称バリスタ電圧又は漏れ電
流のいずれかを室温で測定する。公称バリスタ電圧又は漏れ電流の最終値が初期値の120 %以下である場
合,この試験は合格とする。10個中1個以上の試料が判定基準を超えた場合,この試験は不合格とする。

9. 不良及び故障モード

9.1 不良及び故障モードの定義

 この箇条では,MOVの不良及び故障モードについて定義する。
9.1.1 劣化不良モード このモードにおいて,MOVは予備試験の電圧値の90 %未満の公称バリスタ電
圧を示す。公称バリスタ電圧は,故障基準の根拠として使うため,試験電流の選択が故障評価に影響を与
えることに注意することが望ましい。試験電流として推奨する代表的な値は直流1 mAである。
9.1.2 短絡故障モード このモードにおいて,MOVの抵抗値は測定直流電圧1 Vを印加して恒久的に100
Ω未満に減少する。
9.1.3 制限電圧上昇故障モード このモードにおいて,MOVは同一電流で測定した予備試験の制限電圧
の110 %より高い制限電圧を示す。

9.2 定格試験実施後の不良モードの決定

9.2.1  劣化不良モード このモードにおいて,MOVは予備試験の電圧値の90 %未満の公称バリスタ電
圧(VN)を示す(8.4.3参照)。
備考 公称バリスタ電圧は故障判定基準として用いられることから,試験電流の選択は故障評価に影
響する場合がある。試験電流の代表的な推奨値は直流1 mAである。
9.2.2 短絡不良モード このモードにおいて,MOVの抵抗値は測定直流電圧1 Vを印加して恒久的に100
Ω未満に減少する。
9.2.3 制限電圧上昇不良モード このモードにおいて,MOVは同一電流で測定した予備試験の制限電圧
の110 %より高い制限電圧(VC)を示す(8.4.1参照)。

――――― [JIS C 5381-331 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS C 5381-331:2006の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61643-331:2003(IDT)

JIS C 5381-331:2006の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5381-331:2006の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称