JIS C 5750-4-3:2011 ディペンダビリティ マネジメント―第4-3部:システム信頼性のための解析技法―故障モード・影響解析(FMEA)の手順 | ページ 4

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C 5750-4-3 : 2011 (IEC 60812 : 2006)
アイテムのFMEA又はFMECAを開始する。
解析するアイテムの構成品を選択する。
選択した構成品の故障モードを明らかにする。
解析する故障モードを選択する。
故障モードの即時的な影響及び最終的な影響を明確にする。
最終的な影響の厳しさを判定する。
その故障モードの原因と思われるものを明確にする。
あらかじめ決定した期間中の故障モードについて
発生頻度又は発生確率を推定する。
故障の
厳しさ及び/又は いいえ
故障の発生確率は,処理の必
要性を示しているか
はい
軽減方法,是正処置,補正対策を提示する。
処置及び責任者を明確にする。
勧告,処置,所見などの文書化
いいえ いいえ
解析しなければ その他の
ならないその他の構成品の 解析のための構成品は
故障モードは存在 存在するか
するか
はい はい
FMEAを終了。適切な場合は,
次の改訂年月日を決定する。
図2−解析のフローチャート

5.3 故障モード・影響及び致命度解析(FMECA)

5.3.1  解析の目的
FMEAに追加された文字Cは,その故障モード解析が致命度解析も生み出すことを意味している。致命
度の決定は,故障モードの影響の大きさに関する定性的な尺度の追加を意味する。致命度には多数の定義
及び尺度があり,それらの大半が類似の意味,すなわち,対策及び軽減が必要な故障モードの影響又は重
要性という意味をもつ。それらの尺度の一部を,5.3.2及び5.3.4に示す。致命度解析の目的は,致命度及

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び厳しさの組合せで,故障の影響を軽減したり,最小化したりする処置の優先順位を設定するように,意
思決定の一助として,各故障の影響の相対的な大きさを定量化することにある。
5.3.2 リスク(R)及びリスク優先数(RPN)
致命度の定量的判定方法の一つが,リスク優先数,RPN(Risk Priority Number)である。リスクは,こ
こでは,影響の厳しさに関する主観的尺度及び解析のために事前に決定した期間で期待発生確率の推定値
によって評価する。これらの尺度が利用できない一部のケースでは,非数量的FMEAというより単純な形
態を参照することが必要となる。
FMECA内の潜在的リスクの尺度に関する一般的な関係を,次の式によって求める場合がある。
R=S×P
ここに, R : FMECA内の潜在的リスク
S : 厳しさを表す無次元の数,すなわち,故障の影響がどれ
ほど強くシステム又はユーザに影響を与えるかの推定値
P : 発生確率を表す無次元の数
0.2未満の場合,5.3.4で規定する一部の定量的FMEAで
用いる致命度数C,すなわち,その故障の影響の発生し
やすさの推定値によって置き換えることができる。
FMEA又はFMECAの適用は,システムレベルで故障の検出のレベルを付加的に区別する。故障の検出
に関する付加的区分(これも無次元の数である。)を用い,リスク優先数(RPN)は次の式によって求める。
RPN=S×O×D
ここに, RPN : リスク優先数
O : 事前に決定又は規定した期間における故障モードの発
生頻度。実際の発生頻度よりも順位番号で規定する場合
もある。
D : 故障の検出に関する付加的区分,すなわち,そのシステ
ム又は顧客が影響を受ける前に,故障を識別し,除去す
る機会の見積もり値。
通常,厳しさ又は発生回数とは逆の順序で格付けする。
すなわち,値が大きいほど,その検出の確からしさは小
さくなる。その結果,検出の確率が小さくなるとRPNは
大きくなり,故障モード解決のための優先順位は高くな
る。
RPNは,故障モードの軽減に取り組むときの優先順位付けに用いる。さらに,故障モード軽減のための
優先順位は,故障モードの厳しさにも影響を受ける。すなわち,類似の又は同一のRPNをもつ故障モード
が存在する場合には,故障モードの厳しさの大きいものから取り組まなければならない。
これらの関係は,連続的又は離散的な尺度のいずれかで,数値で評価できる(有限個の既定値)。
次に,故障モードは,それらのRPNに従って順序付けられ,RPNが大きくなれば優先順位は高くなる。
一部の適用では,規定したしきい(閾)値を超えるRPNの影響は許容できないが,他の適用では,RPN
の値にかかわらず,高い厳しさの数の方がより重要とみなせる。
異なるタイプのFMECAはS,O及びDに異なる尺度を指定する。14又は5のものもあれば,設計又
は生産プロセスの解析のために自動車産業で広く活用されているFMECA(DFMEA及びPFMEAの名で知
られている。)などの中には,三つの属性(S,O及びD)の全てに,110の尺度を用いるものもある。

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5.3.3 FMECAとリスク解析との関係
厳しさと結び付いた致命度はリスクの尺度であるが,一般に認められているリスクの尺度とは異なり,
評価においては,より厳密でなく,したがって,多くの場合,より費用がかからない。この違いは,故障
の影響の厳しさの予測方法だけでなく,寄与する要素間の比較的単純な相互関係がFMECAに適用する典
型的なボトムアップ式の手順でモデル化できる点にも表れる。FMECAが通常,全体のリスクへの寄与の
相対的な順位を示すのに対し,高リスクのシステムについてのリスク解析は一般にリスクの許容可能性を
目指している。しかし,低リスク及び複雑さの少ないシステムについては,FMECAは,極めてコスト有
効度が高くて適切な方法の可能性がある。FMECAの期間中に,高リスクの影響の起こりやすさが認識さ
れる場合はいつでも,確率的なリスク解析(PRA)をFMECAに優先して使用する。
したがって,高リスク又はより複雑なシステムの特定の影響のリスクが許容可能なほど小さいかどうか
の判断のために,FMECAの結果を唯一の根拠とするのは望ましくない。頻度又は厳しさの推定値が信頼
できるデータに基づいている場合でも同様である。許容可能かどうかの判断は,確率的リスク解析の作業
となる。より影響を及ぼすパラメータ(及びそれらの相互作用),例えば,暴露時間,回避の確率,故障の
潜在,フォールト検出メカニズムなどをこの解析の中で考慮する。
FMEAによって明確化する故障の影響を用いることで,各影響は,適切な厳しさ区分に配分される。事
象の頻度は,関連する部品の故障データ又は推定値から計算する。関係するミッション時間を乗じた頻度
が致命度数となり,それは,それ自身の値に従っていずれかの尺度に適用できるか,又はその尺度がイベ
ントの発生確率を示す場合には,その発生確率は尺度によって見積もることができる。それぞれの影響に
関する厳しさの区分及び致命度(又は発生確率)の区分は,共に影響の大きさに相当する。二つの主な致
命度評価の方法は,致命度マトリックス方法及びRPNの概念に区別できる。
5.3.4 故障モードの故障率,確率及び致命度数の決定
類似アイテムの故障モードについての故障率が活用でき,それらが解析中のシステムについて想定され
るものと同じ環境条件及び運用条件の下で決定されている場合,それらの影響に関する事象の頻度を,
FMECAに直接追加できる。一般的には,次のケースが多いが,故障率が,故障モードについてではなく
アイテムについて算出されている場合,また,異なる環境又は運用条件について故障率が算出されている
場合は,故障モードの故障率を計算する必要がある。一般に次の関係が成立する。
λi=λj×αi×βi
ここに, 槿 故障モードiの故障率(一定値)の推定値
構成品jの故障率
愀槿 故障モードiの故障モード比率,すなわち,そのアイテ
ムが故障モードiをもつ確率
戀槿 故障モードiと仮定した場合の故障の影響の条件付き確

この方法の主な欠点は,一定の故障率を暗黙に想定していることであり,多くの要因が予測又は最適な
推測にすぎない点である。このことは,システムの構成品の関連する故障率が存在しない場合,特に,機
械の構成品又はシステムなどのように,特定の適用,適用期間及び関連ストレスに対して計算された故障
確率が存在しない場合に当てはまる。
故障率データに関連する環境,負荷及び保全条件の変更は,要因を修正することで評価する。適切な修
正値に関する指針は,信頼性データを対象とする出版物に掲載されている場合がある。選ばれた変更子が
正確で,特定のシステム及びその運用条件に適用できることを確実にするために,特別な配慮を行う必要
がある。

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致命度解析への定量的な方法の一部の適用では,故障モード致命度数(“致命性”という一般的な言葉と
は関連がない)が故障モードiの故障率の代わりに用いられる。致命度数は,条件付き故障頻度と運用時
間とを関係付け,それは次に,事前に決定された製品使用期間中の故障モードリスクに関するより現実的
な評価の助けとなる。
Ci=λi×tj
=λj×αi×βi×tj
ここに, Ci : 故障モード致命度数
tj : FMECAに用いる全ての既定時間中の構成品運用時間
(動作状態にある構成品動作時間)
m通りの故障モードをもつ構成品の致命度数は,次のようになる。
m
Cj= j i i tj
i=1
致命度数が致命度という言葉そのものと関係がないことに注意する。それは,故障モードの結果の大き
さ及びその発生確率の相対的な尺度という意味合いで,あるFMECAタイプについて計算された値にすぎ
ない。ここで,致命度数は,リスクの尺度であって,発生確率の尺度ではない。
時間tjでの故障モードの発生確率は,計算された致命度から次の式によって求める。
Ci
iP
=1 e
ここに, Pi : 時間tjでの故障モードの発生確率
概算によって,故障モードの故障率及びその結果としての致命度数が小さい場合,発生確率が0.2未満
のとき(この場合,致命度は0.223である。)は,致命度数及び故障の確率の値は,極めて類似する。
故障率又は故障頻度が一定でない場合には,故障率(頻度)が一定であるとの仮定に基づく致命度では
なく,発生確率を計算しなければならない。
5.3.4.1 致命度マトリックス
致命度は,図3に示すように,致命度マトリックス上に示すことができる。致命度の普遍的な定義は存
在しないが,致命度が解析担当者によって定義され,プロジェクト又はプログラムの管理者が受容する必
要がある。各定義は,適用分野によって大きく異なる。
5
高リスク
(A)
4 故障モード
発生確率の可能性
(B) 1
3
(C)
2 故障モード
(D) 2
1
低リスク
(E)
I II III IV
厳しさ
図3−致命度マトリックス

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図3では,厳しさは値が大きくなるに従って増加し,IVが最も高い厳しさ(人命及び/又はミッション
若しくは運用の損失,又は傷害)である。また,発生確率の可能性は,5が最も高い。最も高い発生確率
が0.2未満の場合,発生確率及び致命度の値はほぼ同じである。しばしば見られるマトリックスの一つを,
次に示す。
− 致命度数1又はE,起こり得ない,発生確率 : 0≦Pi<0.001
− 致命度数2又はD,低い,発生確率 : 0.001≦Pi<0.01
− 致命度数3又はC,時々起こる,発生確率 : 0.01≦Pi<0.1
− 致命度数4又はB,起こり得る,発生確率 : 0.1≦Pi<0.2
− 致命度数5又はA,頻繁に起こる,発生確率 : Pi≧0.2
図3は一例である。異なるレベル及び異なる定義をもつ致命度又は厳しさを示す方法もある。
図3に示す例で,故障モード1は,故障モード2よりも発生可能性が高い。故障モード2は,故障モー
ド1よりも厳しさが高い。故障モードが,対応が必要なほど優先順位が高いかどうかの判断は,厳しさ及
び頻度の分類の尺度並びに順位付けの原則による。線形の尺度において,故障モード1が(通常,マトリ
ックスによって示すような)故障モード2よりも致命度(又は発生確率)が高いにもかかわらず,厳しさ
が頻度に優先するため,故障モード2の方がより致命的な故障モードとなる適用もある。また,同じシス
テムの保全実施単位に関連する故障モードだけを,致命度マトリックスで比較することに意味がある。な
ぜなら,複雑度の低いシステムでは,より下位レベルの故障モードが,通常,低頻度を示す傾向があるか
らである。
致命度マトリックス(図3参照)は,上記の説明のように,定性的かつ定量的に適用できる。
5.3.5 リスク許容度評価
最終製品の解析に致命度マトリックスを行う場合,厳しさ及びその事象の頻度によって表すことができ
る。リスクの許容度は,主観的な又は専門的及び財政的な判断によって行われ,産業のタイプによって異
なる。リスク許容度のクラスと修正された厳しさのレベルとのマトリックスの例(故障の影響の発生頻度
と厳しさのレベルとのマトリックス)を,表3に示す。
表3−故障の影響の発生頻度と厳しさのレベルとのマトリックス
厳しさのレベル
故障の影響の発生頻度 I II III IV
重要でない 軽微 重大 破滅的
5 : 頻繁に起こる 望ましくない 許容できない 許容できない 許容できない
4 : 起こり得る 許容できる 望ましくない 許容できない 許容できない
3 : 時々起こる 許容できる 望ましくない 望ましくない 許容できない
2 : 低い 無視できる 許容できる 望ましくない 望ましくない
1 : 起こり得ない 無視できる 無視できる 許容できる 許容できる
5.3.6 順位の尺度をもつFMECAの形式
5.3.2で規定したFMECAの形式は,自動車産業における製品の製造工程の解析用だけではなく,製品設
計の解析のためにも一般的に用いられる。
解析の方法は,厳しさS,発生頻度O及び検出Dについて示す三つの表(表4表6参照)の定義を除
けば,一般的な形態のFMEA又はFMECAで説明するものと同じである。

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  • IEC 60812:2006(IDT)

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